本当はもっと前の段階で気がついて、本編に放り込まねばいけなかったネタなため、時系列的に、後で動かすかもしれません
『これがやりたかっただけだろう』? ああ、その通りさ!
「……え? ……あの……」
福島競バ場で行われた新バ戦。
初陣を勝利で飾ったバーネットキッドは、困惑していた。
そう、ウマ娘にとって、メイクデビューの初勝利を飾る、ライブステージ。
新バ戦で勝利を収めたキッドは、当然ながら、それに臨む事になったものの……
「トレーナー。
俺、ウイニングライブのダンスの振付、全然習って無いんですけど?」
「あ……」
そう。早すぎたのである。
入学手続きを経て、選抜レースで即、石河トレーナーにスカウトされ、『素質だけでも新バ戦ならばイケる』と、速攻で福島のレースに放り込まれたために。
事前準備も下準備も、ついでに中央所属のウマ娘である自覚も何も、当時のバーネットキッドは持って無かったのである。
「ど……どうしましょう? いきなりセンターなんですけど」
「まあ、初々しさで多少のミスは見逃してもらえるよ、こんな時期の初陣なんだし」
「いや、ミス以前に無理ですって! つか、習ってないダンスをどうやって踊れと!?
妹たちも見に来てるのに、ステージで棒立ちなんてカッコがつかな……あ」
戸惑いを隠せないキッドは、そこで。
天啓のように思い出した。
「トレーナー! 俺、一つだけ踊れるダンス、あります!」
「え、出来そうか!?」
「はい! お笑いの師匠から教わったのが一つあります!」
「おお、そうか! それで行こう! ……ん?(お笑い? お笑いってなんだ……)まあ、いいか」
キッドの微妙な回答に違和感を感じるも、お互いに切羽詰まった立場だったがために。
深く考えずに彼女の言葉をスルーをした事を、直後、彼はトレーナーとして強烈に後悔する羽目になる。
そして……
『ひがっしむっらやぁまぁ~♪ 庭先ゃ~多摩湖~♪』
ライブステージで流れる『東村山音頭』に合わせて笑顔で踊るバーネットキッドと。
『こんな奴に私は負けたのか』と、内心ハラワタ煮えくり返りながらも、無理矢理の笑顔でバックを務める、マイネル嬢筆頭に新バ戦のレースに出た良家のウマ娘たち。
そして頭を抱える石河トレーナーや。全力で他人のフリを始めるデビュー戦を見に来たクアッド筆頭に妹たちを他所に、大うけして爆笑する観客という、それはそれはカオスな空気感のウイニングライブが繰り広げられ……
翌日には『福島の珍事』『お笑いライブ勃発』『オグリキャップ以来の大物か』と競バ新聞に書かれることになったキッドは、そのレース運びや脚質も含めて、一躍、同世代の『お笑い枠』として周囲に認識される事となった。
「どうだ、姉ちゃんのメイクデビューは……って、おい、クアッド」
「あ、すいません、他人なんで話しかけないでくれます」
「ごめん、キッド姉さん。流石に暫く距離置かせて」
「もー帰ろーぜ、クアッド姉ちゃん」
「すいません、私はメジロ家なんでもう他人という事で」
「俺もテイエム家に帰るわ」
「……(´・ω・`)ショボーン」
実妹たちには、不評だったようである。
なお。
この出来事が切っ掛けで『未勝利や新バ戦のウイニングライブで、盆踊りをキメたウマ娘は大成する』という奇妙なジンクスが成立するも。
『ソレ』に挑んで成し得たウマ娘は、今の所二人以外、存在しない……
シングレのアニメで、見事に3Dで笠松音頭を決めるオグリを見て……(実馬が園長と沢山絡んでる&オグリの孫たるキッドが)『コレ』をやらない理由が無いな、と。
あと、このライブでバックを務めさせられるウマ娘たちは、泣いていいと思う。