5/27 副リーダーの名前を変更いたしました
5/30 主人公の二つ名を変更しました
食べ終わった2人はその場でそのままお茶を飲んでいた。
「朝田さん」
詩乃はいきなり呼ばれて驚きながらも返事をした。
「な、何?」
「お茶、淹れるの上手くなったねぇ……」
汐耶にそんな事を言われた詩乃は言い返した。
「あのねぇ……神那岐くんと遊ぶ毎にお茶の淹れ方を言われてたら誰だって上手になるわよ!」
「え……?俺の所為なの?この結果って……」
汐耶はそんな事を言いながらお茶を飲む。
「ところでさ」
詩乃が汐耶に話しかける。
「何がところでなのか分からないけど何?」
「GGOでのステ振りって何なの?」
「ん~?確かDEX─AGIだったような……その次がSTRだったと思う。朝田さんは?」
そう聞かれた詩乃は即答する。
「命中一極型よ」
「て事はスナイパー?」
「うん、まぁ……」
詩乃はステ振りだけでクラスを当てられて驚きながらも返事をした。
「武器は……対物狙撃ライフルの……ヘカートⅡかな?」
銃まで当てられて詩乃は驚愕した。
「なんでそう思ったの?」
「偶然、雰囲気が似てる人を戦場で見かけてね。その人、ヘカート使ってたから」
「そうなんだ」
そこで汐耶はすっくと立ち上がると言った。
「さて、そろそろお暇しますかね……次会うときは銃の喝采の鳴る地で」
つまり、食事中に言ったようにGGOで落ち合おうと。
「集合場所は?」
汐耶はニコリと笑いながら言った。
「総督府地下一階の酒場でどうかね?」
「分かったわ」
「じゃ……っと、その前に……シノンの容姿ってどんなの?最悪特徴だけで良いよ」
「ショートなペールブルーの髪……って、見掛けたって言ってたんだからそれぐらい分かるわよね?」
「まぁね。俺は赤髪に紅眼の細身アバターだから。じゃ、お邪魔しました」
「あ、ちょっと待って」
汐耶はそう言って詩乃の部屋から出て行こうとしたところで詩乃に止められた。
「何?朝田さん」
「私達、友達……だよね……?」
「まぁ、そうだね」
「だから……名前で呼んでくれない?そんな他人行儀な呼び方じゃなくてさ」
汐耶は少し意地悪をしてみた。
「……他人はもう信じないと誓ったんじゃ無いの?」
汐耶の言葉が詩乃の胸に突き刺さるが、それでも詩乃は言った。
「そんな他人行儀な呼び方しないで」
汐耶はそれを聞くと安心したようににっこりと笑って言った。
「分かったよ。詩乃」
「よろしく、汐耶くん」
「くんは消えないのな……」
汐耶はそう言って部屋から出て行った。
※─※─※
俺は朝田さん……いや、詩乃の部屋から出て今、自分の部屋で部屋着に着替えた直後だ。
俺は詩乃が名前で呼んでくれと言ったのに内心驚きながらもそれを了承した。それが詩乃のこの先の為になると思って。
時計を見れば12時50分。出て来たのが12時30分だからもう既に詩乃は潜って居るだろう。俺は急いでベッドに寝て体が冷えないように布団を被り、頭にアミュスフィアを被る。気温はまだ昼間で太陽昇って……いや、もう下りはじめては居るが太陽の光が入っていてそこそこ温かいためエアコンは着けずにベッドに寝転がる。そして、静かに呟く。
「リンク・スタート」
※─※─※
GGOの仮想の地面……いや、床に足を着いた俺を歓迎したは俺が率いる中規模スコードロンのメンバー数人だった。
「……お前ら暇人だなぁ……」
ここは総督府のすぐ近くにある大型の俺所有の物件だ。たしか20Mクレジットで買った気がする。
俺はそこをスコードロンの拠点にして且つセーブポイントにしているのだ。
「お、リーダーじゃんか」
「学生じゃなかったっけ?」
メンバーが俺にそんな事を言いながら近付いて来る。
「風邪で具合悪いから早退したんだよ」
「じゃあ暇なら一狩り行きませんか?」
まぁ、行きたいのは山々だが……
「すまんな、用事があってさ」
「そうですか……じゃ、また今度、次は大規模スコードロンと派手に戦いたいっすね~」
「現在募集中だから待ってろバトルジャンキー共」
「了解です!」
そいつはそう言って離れていった。
「さてと……」
俺は簡単に武器の装備の確認をすると拠点を出て総督府に向かう。
AGIはそこそこに上げているためすぐに着くと俺はエレベーターで地下一階の酒場に向かう。
酒場に入るとペールブルーの髪を探す。それはすぐに見つかった。ジャケットを着てサンドカラーのマフラーをした小柄な少女だ。
俺は黒いコートのポケットに両手を突っ込みそこに歩いていく。足音に気付いたようにペールブルーの少女が此方を向く。
俺は少女の正面に座り、メニューからネームカードを差し出した。名前にはAliceと表示されている。
「詩乃……いや、シノンで合ってるよな?」
「もちろん」
シノンもネームカードを取り出して渡す。名前はSinon……リアルを知っている者からすればひねりも何も無い名前だ。
「て言うか、アンタってかの名高き《弾丸喰い(ブザービーター)》じゃない。対人戦闘では無類の強さを誇るプレイヤーでしかも対人戦闘に特化したスコードロン《パンドラ》を率いるリーダー」
「まぁね」
そこでシノンが意を決したような顔で言った。
「ねぇ、私をそのスコードロンに入れてくれない?条件があるならそれをクリアしてでも入るわ」
「良いよ。これからよろしく、シノン」
「え……?」
あれ?なんか間違ったっけ?俺。
「シノン、なんで鳩がアハトアハト喰らったみたいな顔してんの?
ここでどう広がってるのか知らないけど俺のスコードロンは入る為の条件とか無いよ。まぁ、独断と偏見で許可不許可は出すけど……あと人数制限」
「そうなんだ」
「まぁ、リーダー故にやらないといけないこととかは多いけど中規模だから統制は取れやすいよ」
「リアルじゃ人を引っ張るのは嫌いだって言ってる癖に押し付けられるとそこそこ頑張ってたよね」
「はっきり言ってどの道気は進まないよ。現在、後釜を捜索中さ」
俺はジンジャーエールを注文し、出て来たのを一口飲む。
「じゃ、招待状送るぞ」
俺はメニューを開いてシノンへスコードロンの招待状を送る。
シノンは考える暇もなく了承したようですぐにスコードロンにシノンが加入しましたというメッセージが視界中央に表示された。
因みに俺のスコードロンで加入を許可出来るのは俺だけだ。大規模にならないための保険としてそうしている。
「じゃ、行きますか」
俺はジンジャーエールを一気に飲み干すと立ち上がった。
「え……?どこに?」
「パンドラの拠点に」
「スコードロンの拠点を持ってるの!?」
シノンが驚いたように聞いてくる。
「まぁな……ほら、行くぞ?」
俺はシノンの右手を引いて立ち上がらせるとエレベーターまで引っ張って行くが、シノンはエレベーター前で止まると手を強引に離させた。流石にデリカシーが無さ過ぎだっただろうか……?
「いつまで握ってるのよ」
若干睨んでいるシノンは獰猛な山猫に一瞬見えた……いや、もう纏っている雰囲気もリアルの柔らかいものではなく、全てを凍らせる氷を抱かせた。
「悪い」
「良いけど」
口調もリアルとは違い、厳しく鋭い刃物……いや、絶大な貫通力を秘めた狙撃銃を思わせた。
リアルとバーチャルで性格の変わる奴は多いが此処まで違う奴は初めてだ……。
そこまで考えた所でエレベーターが到着し、俺とシノンは無言でそれに乗った。他に乗っている者は居なかった。
「ねぇ」
「な、何だ?」
俺はいきなり声を掛けられ驚きながら答える。
「今日ってスコードロンでやる事ってあるの?」
「いや、今日は特に……」
続きの無いと言おうとしたところでメールを受信したというのを知らせるダイアログが視界に表示され、その下には見る/見ないのボタンがある。差出人は大規模スコードロンのリーダーだ。
俺はそれを間髪入れることなく見るのボタンを押す。
内容は次のような物だった。
《『パンドラ』リーダー『アリス』へ
君達の挑戦を受けよう。
本日午後4時にグロッケン西方フィールドの旧市街地での戦闘を開始とする。
戦闘方法は殲滅戦とし、戦闘終了は午後6時になるかどちらかの全滅、リーダーの敗北とする。
此方の人数は90人オーバーだ。
『ファイアクラッカーズ』リーダー『リーサ』より》
「へぇ~……面白いじゃないか」
「……?」
「シノン、市街地における狙撃は出来るか?」
「ち、ちょっと!何があったのよ!?」
「出来るか出来ないのか聞いてるんだ。詳細は拠点で」
「そ、そりゃ狙撃手だから出来るわよ」
「上等」
そこでエレベーターが開いて俺とシノンは出る。俺はその後すぐにグロッケンの車庫に行き大型の2輪バイクに掛かっていたロックを解除してそれに跨る。ここはVR故にヘルメットは必要ない。
「え……!?」
「乗って。スコードロンメンバーの招集とか説明とかしないといけないから」
「あ……うん」
シノンはすぐにリアシートに跨り俺の腰の辺りに腕を回し振り落とされないように固定されるのを感じると俺はアクセルを全開にして急発進させる。
道路を走るのが嫌な俺は車庫出口にあるジャンプ台から一気に飛び上がり建物の屋上から屋上へと移動していく。
「な、何よこれ!?」
「裏技」
何軒か跳ぶと拠点の屋上が見えて来て、最後にフルアクセルで大ジャンプをして拠点の屋上にタイヤが着くとフルブレーキで停まる。
「到着」
「き、規格外ね……あなた……」
「ほら、行くぞ」
「はいはい……」
俺とシノンが拠点の中に入ると俺がログインしたときよりも人数が増えていた。
「暇人多いな……」
「…………」
俺とシノンがキャットウォークから降りるとスコードロンメンバーがワラワラと集まってきた。
こいつらはどうもシノンに興味津々らしい。肉食系が多いな……うん……。
「全員、整列!!」
俺がそう言うと全員が並んだ。こいつらの扱いやすい所だ。
「ん~……大方30人……ほぼフルメンバーじゃねぇか!」
パンドラの総員は38人(シノン除く)だから、ほぼフルメンバー揃っている。何を察知して集まったんだろうか……?
「じゃ、てめぇら、一体何が聞きたい?」
俺が言った質問の返答は、完全統一されていた。それは……
『その可愛いのは誰だ!?』
「新メンバーだこの馬鹿共!」
そう言った後、聞こえて来たのは「リーダーにも漸く春が!」とか「祝杯だ!」とか「おめでとう」とか……嫌みが無いだと!?
「それだけか!?」
「いや、だってねぇ……?」
「このスコードロンで独り身ってリーダーとその親友だけだし……」
そう言えばそうだった。クレイジーガンナーズに入る奴大抵リア充なんだよな……って、話がずれてる!?いや、ずらされた!!
「じゃなくて!!新メンバーの紹介だっての!後、大イベント迫ってるから静かにしやがれ!」
俺がそう言うだけでメンバー全員が何も言わなくなる。こいつらもう嫌……大人だってのに聞き分け良すぎるんだもん……。兎に角、シノンを紹介しなければ。
「シノン、自己紹介をしてくれ。クラスと差し支え無ければ使用武器も」
「分かったわ」
シノンは一歩前に出て自己紹介をする。
「シノンです。クラスはスナイパーで主武装はアンチマテリアライフルのヘカートⅡで予備武装はMP7です。よろしくお願いします」
そうしてつつがなくシノンの紹介が終わった所で俺が今日のイベントを話す。
「喜べ戦闘馬鹿共、本日午後4時から大規模戦闘だ」
「どこのスコードロンですか?リーダー」
副リーダーで親友の『ストラトミットス』にそう聞かれて俺は答える。
「相手は大規模スコードロン『ファイアクラッカーズ』。彼方の戦力は90人オーバー……確実に100は超えているだろう」
メンバーから賞賛の声が聞こえる。
「てめぇら!あいつらを本当の爆弾の如く破裂させてやろうぜ!!」
『オー!!』
……スコードロンの名前は考えるの大変でしたよ……名前とか考えるの苦手なものですから……
人によっては主人公と副リーダーの元ネタが分かるかも……