SAO ~銃の喝采の鳴る仮想の地で~   作:見知らぬ誰か

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第04話 弾丸喰らい(ブザービーター)

 さて、そこそこに戦闘士気も上がった所で作戦ブリーフィング(手抜き)と行きますか。

 

「じゃ、アタッカー、ボマー部隊は右に、他は左に集合しろ。遊撃スナイパー部隊は壇上に来い」

 

 俺がそう命令するとそれぞれのクラスにそって集合する。

 

「各々、作戦を立案すること。以上、始め!」

 

 アタッカー、ボマー部隊とその外部隊は何時ものように作戦立案するとその2つの部隊リーダーで作戦の奥を詰める。何時ものパターンだ。

 で、問題は俺の率いる遊撃スナイパー部隊だが……

 

「まず、スナイパーと遊撃手でタッグを組め」

 

 俺がそう言えばすぐに男女1組が4つが出来上がり、俺とシノン、そしてストラトミットスが余る。

 

「じゃ、俺とシノン、ミットスが一緒で問題ないな」

「それ以前にリーダーはペア行動の必要ないワンマンアーミーじゃん」

 

 うるせーよこの野郎。

 

「まぁ、良いとして。

 俺達遊撃スナイパー部隊は各所に芋り、敵部隊が見えたら後方から狙撃する……勿論、敵にもスナイパーが居る可能性があるから周囲1キロの警戒は怠らない事」

 

 因みにこの遊撃スナイパー部隊の人数はシノン合わせ10人で、全員が有名なスナイパーライフル或いは対物狙撃銃を装備している。

 有名なスナイパーライフルはレアだし、対物狙撃銃はサーバに10丁程しか無いためある意味で幸運部隊である。

 ちなみにミットスは除く。あいつは俺が遊びで作った『遠距離仕様(ロングレンジ)電磁投射砲(レールガン)』を使っているからな。結構使えるらしい……まぁ、音速の5倍も出る狙撃銃が使えない訳無いよな。音も殆ど無いし。

 

「後は敵スナイパーを見つけた場合確実且つ迅速に排除する事。これは自分が敵に発見される可能性があろうが何だろうが行う事」

『了解』

 

 全員が俺の命令に了承の返事をする。

 

「じゃ、各自自分の配置場所を考えておくこと。

 シノン、俺に付いて来てくれ」

『はーい』「分かったわ」

 

 俺が屋上に来ると俺はバイクのエンジンを掛けて、それに跨る。

 

「な、何するの?」

「戦場を見に行くんだよ。ついでに、フライングした馬鹿共を始末に」

「ふ、フライング?」

「さ、乗った乗った」

 

 俺はシノンをバイクに乗せると一気にアクセルを全開にして急発進させてビルの屋上からビルの屋上へと移っていく。

 そのうちにグロッケンの圏内から出て、ニュートラルフィールドに移るが、ビル群が存在するため屋上を移動していく。

 

「お……?」

「あ……」

 

 俺が見つけるのと同時にシノンも何かを見つけたようで声を出す。

 俺はそれを見つけた瞬間、バイクを止めて取り出した双眼鏡を覗く。

 そいつは座って居るがその傍には黒く長い銃身を持つスナイパーライフルが見えた。

 

「……約束違反はイケないぜ?」

 

 俺はメニューを開いて対物狙撃銃《OSV-96》を取り出し、バイクのシートに二脚(バイポッド)を立ててスコープを覗いた。

 視界いっぱいに敵スナイパーが移るようにスコープ倍率を変更すると、引き金に指を掛ける。

 

息を大きく吸い込み

 

ゆっくりと息を吐く

 

息を大きく吸い込み

 

止める

 

 視界の敵スナイパーの眉間を中心に広がるライトグリーンの弾着予測円がほんの数ドットに収縮した瞬間、俺は引き金を引き絞った。

 OSV-96から放たれた音速を超える弾丸は敵スナイパーの眉間を捉え、顔のみならず上半身の殆どを消失させた。

 

「ビンゴ」

「お見事」

 

 シノンがそう言うが、シノンの腕も悪く無い筈だ。

 

「さ、次行くぞ」

「分かったわ」

 

 俺はシノンがバイクに乗ったのを確認すると言った。

 

「次からは一々止まらないからな。シノン、ヘカートⅡ出してジャンプ中に撃ってくれ」

「へ……?」

「なに素っ頓狂な声出してんだよ。これぐらいは基本だからな。

 あと心配いらん、狙撃距離は500以内だから」

「……やってみる」

 

 シノンはそう言うとメニューを開いて巨大な対物狙撃銃《PGM・ウルティマラティオ・ヘカートⅡ》を取り出した。

 それを確認した俺はバイクを急発進させて再び屋上から屋上への運転をする。

 そして4回目の跳躍の時……ΟSV-96と殆ど同じ銃の轟音が響いた。シノンのヘカートⅡの発射だ。

 

「見つけたのか?」

「次、探して。確実にやったわ」

 

 遠視スキルにより見えたガラス破片のようなポリゴンの崩壊エフェクトは明らかに1キロを超えていた。最悪、2キロに到達する距離の狙撃をシノンは当てた……どんなプレイヤースキルだよ……。

 

 その後も移動しては撃ち、移動しては撃っていると約束の時間である4時まで残り30分になった頃。

 

「シノン」

「何?」

「拠点に戻るぞ」

「ああ、4時近いものね」

「じゃ、行くぞ」

 

 俺はそう言ってバイクをグロッケンに向けて走らせる。勿論、屋上から屋上への移動で。

 

※─※─※

 

 俺とシノンが拠点に戻るとメニュー全員が綺麗に整列していた。

 

「何これ?」

「毎度思うんだよね。どこの宗教団体だよって」

 

 怖いんだよね……全員が何にも話さず静かにしてるんだもん。

 

「ま、良いや。全員、戦闘エリアに行くぞ」

『おおー!!』

 

 全員がそう応え、立ち上がるとようやく話を始める。

 てか……ん?増えてるな……いつの間にか38人のフルスコードロンメンバーになってる……誰だよ、残りを読んだのは。

 

※─※─※

 

 と、まぁやって来ましたグロッケン西側ニュートラルフィールドの旧市街地。

 もう既に戦闘開始時間から5分経っては居るが未だにどの部隊からも戦闘に入ったという連絡は無い。

 

「……異様な静けさだな……」

 

 俺の言った事にシノンとミットスが返事をする。

 

「対人戦闘なんてこんなものじゃないの?」

「たしかにアリスのいう事も理解出来なくは無いな」

 

 戦闘が始まらない?なら始めれば良いじゃないか。探し出せば良いじゃないか。

 

「じゃ、行って来ますかね……」

 

 俺は黒のロングコートの袖の中に隠していたワイヤーアンカーを取り出しながらそう言った。

 

「何をするんだ?アリス」

「決まってんだろ?あいつらやる気が無いから一丁発破掛けに行ってくる」

「あ、そう」

「じゃ、ミットス……シノンの護衛頼んだぜ」

 

 俺がそう言うとストラトミットスは『短距離用(ショートレンジ)電磁砲(レールガン)・連射式』を装備して答える。

 

「しょうがないなぁ……行ってらっしゃい」

 

 俺はそれに答える。

 

「行ってくる」

 

 俺はビルの屋上から助走をつけて屋上から思いっ切りジャンプして右手に持っていたワイヤーアンカーを習得している『投げナイフ』スキルで近くにあったビルの壁面に向かって投げた。

 薄い銀色のライトエフェクトを引いたワイヤーアンカーはしっかりとビルの壁面に突き刺さった。あとはこれを某蜘蛛男の如く自分を振り子の重りようにして移動していくだけた。

 振り子の位置エネルギーがそこそこに溜まり運動エネルギーが残っている状態でワイヤーアンカーを機会仕掛けのリールで瞬時に手元に戻し、再びビルの壁面に投げる。

 『軽業(アクロバット)』の上位スキル『鉄線軽業(ワイヤーアクション)』によってこれは可能なのだが……あまりと言うか先ず使われない。理由は簡単、ワイヤーアンカーの作業が面倒だからだ。

 投げるまでは良い。だが回収が大変なのだ。故に使われない。でもだからこそ奇襲に使えるのだ。

 

 ワイヤーアンカーによる移動を8回ほど繰り返した時、ようやく敵部隊を見つけた。まぁ、偶然にも敵部隊背面だったが。

 そんなことはお構い無しに目標地点に着地出来るように調整してアンカーをビルの壁面から引き抜くと両大腿部の外側に装備している『S&W・M500(10インチモデル)』を両手に装備して空中で構える。

 敵部隊との距離は200……完全とは言えないものの頭を撃ち抜けばこの銃であれば一撃で仕留められる射程距離だ。

 俺は両手合わせて12回引き金を引き絞る。発射された.50マグナム弾は全て敵部隊の12人の後頭部に直撃し全てポリゴンの破片と化した。この時点で地面との残り距離、50メートル。

 俺は素早くシリンダーから空薬莢を排出し自作したフルムーンクリップ(M500用)を使って再装填する。この時点で地面との距離残り5メートル。

 俺が着地したのは敵陣のど真ん中。まだ俺が降りてきたのに動揺を隠せない奴らの眉間と後頭部にM500をぶっ放す。

 放った12発全てが狙った場所に直撃しポリゴンの欠片となるのを確認する前にM500の空薬莢を排出して再装填すると両大腿部のホルスターに仕舞って、背中の『FN・P90(50発マガジンを強引に2つ連結させて100発装填したやつ)』を手に持つ。

 

「楽しいパーティーだ。楽しめよ?」

 

 そこからは『地獄』の一言だった。

 あ……いや、俺が地獄じゃなくてファイアクラッカーズが地獄って事な?なんせ俺は敵陣ド真ん中。撃って外せば即友軍被弾(フレンドリーファイア)でまともに撃てないが反対に俺は撃てば誰かには当たる。

 が、そんな考えが何時までも通じる訳が無かった。

 連中は仲間に当たるのもお構い無しに手に持っていた武器で俺を照準し撃つ。

 囲まれて居るものだから平面上の360度から赤い線が迫る。七面鳥撃ち、鴨撃ち、蜂の巣とは当にこの事を言うのだろうか?

 視界に映るこの無数の赤い線はGGOに搭載されている守備的システムアシスト『弾道予測線(バレッドライン)』だ。

 俺はそれを避けるのに使うのではなく、弾くのに使う。

 撃ちきって残弾ゼロとなったFN・P90を投げ捨てコートの中に装備していた『FN・ファイブセブン』を二丁両手で持ち、赤い弾道予測線に向けて5.7ミリ弾を幾つも発射した。

 その直後に幾つものアサルトライフルやサブマシンガン、重機関銃から大量の弾丸が発射されるが弾道予測線を見た感じ直撃率は良くて4割……酷くて3割届かないだろう。近距離であることを想定すると異常な着弾率だが、恐らく味方諸共撃つのに緊張しているのだろう……情けねぇ……。

 俺の放った弾丸は俺を捉える弾丸全てを弾いた。

 当たり判定のあるこのゲームだからこそ出来る芸当だ。これまでやって来たFPSは弾丸には当たり判定無くて出来なかったがここはそこそこリアルを追及した作品だから弾丸にまで当たり判定が存在するし、弾道予測線という大変やりやすいアシストがあるからこそ出来る。

 まぁ、周りから『弾喰い(バレッドイーター)』なんて不名誉な二つ名を貰ったけど。

 でも、そんな事はどうでも良い。俺がGGOをやり始めた理由とは違うし、第一こんなゲームやったところで理解は出来ない。

 だけど今日も引き金を引き続ける。このゲームの住人にですら忌み嫌われるまで引き金を引き続ける。

 弾丸を弾きつつも的確に、確実に敵プレイヤーの眉間に一弾一弾を当ててポリゴンに変えて行く。

 そんな時だ……俺の視線の先に青白い雷撃が走り、その直撃青白い塊が複数人を貫通しビルの壁面に穴を開けた。よく見ればそのビルに穴を開けただけで無く貫通までしていた。これはもしや……

 

「あ~り~すぅ~?」

 

 その言葉で俺だけでなく敵部隊すらも硬直する。

 雷撃が飛んできた方を見れば、右手で大振りの『雷撃砲(俺自作の大口径高威力レールガン)』を構えているストラトミットスとその他パンドラのスコードロンメンバーが集合していた。勿論、シノンも居る。

 

「な、何だ?ミットス……?」

「し・け・いね?」

 

 ストラトミットスが雷撃砲のボルトハンドルをジャキリと引いて次弾を装填した。

 

「い、いや……ミットス?話を……」

「問答無用!全員、放てぇ!!」

 て、こいつら範囲的に照準してて逃げ場が無いだと!?

 あっと言う間に赤い弾道予測線が殺到した瞬間、俺は両手のファイブセブンをコートに仕舞って右手にワイヤーアンカーを持ちスキル支援全開でビルの壁面にアンカーを投げつけた。

 そして空中に浮いた瞬間、弾幕が足元を通り過ぎた。か、間一髪……危なかったぁ……。殺す気か!?全く……

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