SAO ~銃の喝采の鳴る仮想の地で~   作:見知らぬ誰か

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UAが2000突破してた……これって多いのかね?分からん


第05話 箱舟とお誘い

 今回の戦闘、結果を言うならばパンドラの圧勝だった……なのに……

 

「ミットス!いい加減放しやがれ!!」

 

 中規模対人スコードロン『パンドラ』のリーダーの俺はロープでグルグル巻きにされ天井からぶら下がっていた。

 いや、まぁね……?十字架に磔にされるよかはまぁマシなんだけどさ(実際にやられた方がそう断言致します)?

 

「五月蝿い。1人で楽しんで連絡一つ寄越さないアリスが悪い」

 

 ストラトミットスはそう言って右手に持っている電磁連射砲を構えて俺を照準する。

 まぁ、圏内故にダメージは無いんだけどしっかりと衣服とかロープとかには耐久度消費が発生するし、武器を全部装備したままだから機関部に当たれば……通常のアサルトライフルなら問題無いけどシグの持っている電磁連射砲は音速の2~5倍の速度という対物狙撃銃よりも速い速度で弾丸を発射するため一発でも銃の機関部に当たれば威力的に即アウトなのだ……いや、冷静に状況説明してる場合じゃないんだけどね?

 

「アリス、弁明は?」

「すいません。俺の「却下」言わせろよ!!」

「チッ…………弁明は?」

 

 舌打ちしたよな?こともあろうリーダーに向けて舌打ちしたよな?まぁ、良いんだけどさ。

 

「戦闘狂の血を抑えられませんでした。今では大変後悔し反省しています。大変申し訳ありませんでした」

 

 ストラトミットスがため息を吐く。

 

「アリス」

 

 静かに且つ冷たく凍えた声で俺の名前を呼ぶ。

 

「ハイ?」

「その言葉、何回目だと思ってるんですか?」

「えーっ……とぉ……」

 

 ひい、ふう、み、よ……………

 

「28回目」

「よく覚えてましたね?誉めてあげましょう」

「ありがとうございます?それじゃあそのレールガンを仕舞って俺を解放してくれない?」

「そんな訳無いでしょう」

 

 ストラトミットスがニコリと笑って拒否する。

 なお、現実のストラトミットスとは実際には親友ではなく幼馴染だ。同じ年齢の小さい頃からの付き合いだ。

 GGOでの容姿は紫の髪に赤の眼……そして雪のように白い肌。

 使っている武器は電撃に近い攻撃を放つレールガンで、しかも全体フィールド(この場合はGGOの世界全体を示す)の西側に存在するグロッケン故に『西方の魔女(ウェスタンウィッチ)』なんて二つ名まで出て来る始末。この世界に『魔法』という概念は存在しないが。

 

「というわけで……死刑」

 

 そう言った瞬間、ストラトミットスが電磁連射砲の引き金を引いた。そんなの、通常のマガジンなら0.2秒で撃ち尽くす……が、本来マガジンが存在する部分にはベルトが延びていた。

 ベルト型ぁ!?一体誰がそんな危険物をストラトミットスに渡した!?

 ……ああ、俺だっけ?もっと連射したいってせがまれて渋々作ったんだっけ?馬鹿だなぁ……俺……。

 ん?弾丸?俺の頭にピンポイントで精点射撃されてるよ?圏内じゃなかったら一瞬で死んでるね。絶対にやられたくない。

 と、ここで漸く弾を撃ちきったのか射撃が止む。痛みは無いけど衝撃はあるから結構怖い。大変に怖い。

 

「ふぅ……すっきりした」

 

 ストラトミットスが左大腿部のホルスターから『IMI・デザートイーグル』を左手で引き抜いて俺を吊しているロープを撃った。弾丸は寸分狂う事無くロープを捉えそのロープは耐久度を0にして切れた。

 俺は落ちるが何とか両足で床に立った。バランス感覚はかなり良い方だと我ながら自負している。

 なお、俺とストラトミットスは右利きでも左利きでも無く両利きだ。だからこそ俺は迫る弾丸を両の弾丸で弾く程の精密射撃が出来るしストラトミットスはロープを拳銃で狙い撃てる。

 案外これがストラトミットス……正しくは現実の彼女との関係が続いている理由かもしれない。

 

「さっさと縄を解いてくれよ」

「意味不明の謎スキルの縄抜けがあるでしょ」

「それは現実だけだ!」

「ちぇー……」

 

 そう言ってストラトミットスはもう一度左手のデザートイーグルを撃った。弾丸は見事に結び目を直撃し縄が落ちる。

 ストラトミットスのこの精密射撃は某有名な泥棒三世のスーツを着て髭を生やした帽子命の相棒並みだ。ちょっと前にデザートイーグルで1キロ先にいる人を狙撃してたし。

 

「ふぅ……まったく、リーダーに向かって酷い扱いだよなぁ……」

「それはキミが悪いんだよ?」

 

 ストラトミットスが武器を全て仕舞って立っていた。

 

「俺が何をした!?」

「パンドラ率いている癖に1人で楽しんでた。リーダーとしての威厳は無いの?」

 

 ……分かってる癖に言うなよ……。

 

「……俺のリアル知ってる癖に……俺が引っ張って行くの嫌いなの知ってる癖にそう言うことを言うか?」

「…………なんだかんだで適任の癖に……」

「……俺としてはソロで良いんだけどな」

「最近、AGI型なんてソロでは無理でしょ」

「其処まで軽くて強いレア銃無いしな……」

 

 俺は両大腿部のホルスターに仕舞っているM500を取り出す。

 

「ねぇ、なんでそれを使ってるの」

 

 今まで気配を消していたシノンが話し掛けてくる。

 

「……二丁拳銃スタイルでも絶大な威力を発揮するから」

「お誂えみたいに2キロもあるリボルバー拳銃を自由自在に操るSTRもあったしね」

 

 ストラトミットスが追加で説明する。

 

「ふぅん……」

「さて、酒場に行くかな……」

 

 俺は拠点の酒場に向かって歩く。

 

「え……外で飲むんじゃないの?」

「拠点に小さいけど酒場を作ったんだよ」

 

 俺は両手のM500と腰の後ろに装備している『H&K・MP7』二丁、コートの中に装備しているファイブセブンをストレージに仕舞う。若干重いんだよね……銃を6丁も装備してるとさ。

 

※─※─※

 

 俺はそこそこに拠点の酒場で飲んだ後、ログアウトして現実に戻ってきた。枕の近くに置いておいた高スペックデスクトップPCの遠隔スイッチでその電源を入れる。

 布団の外は其処まで寒くないため普通に起き上がる。

 パソコンが起動すると俺はPCデスクの前の椅子に座った。

 PCにインストールしている幾つものソフトウェアからVR空間製作ツールを起動する。

 

「…………」

 

 何時ものように製作途中のVR空間を呼び出す。

 その世界は曼珠沙華が視界一面に広がる丘だ。有り得ないような世界だが俺の生まれたて故郷には実在する。

 製作途中とは言っても大半は完成していて後はその世界を綺麗にするために大容量HDDにコンバートするだけだ。

 まぁ、買いに行かなければならないが……。

 俺は曼珠沙華が広がる世界を閉じて仕事の為に他の箱庭を開く。

 高校生の俺が出来るアルバイトでも株でもない金稼ぎはGGOで超レア銃を一発ドロップするか一発カジノで儲けるか1人で超大規模スコードロン潰すか、かなりマイナーな『VR空間製作』ぐらいだ。

 俺がやっているのがその『VR空間製作』。俺は作って欲しいVR空間を『箱庭』と呼ぶ。

 手順としては作って欲しい箱庭(VR空間)を募集するサイトを立ち上げ、メールで仕事を受ける峰を送る。VR空間の入った大容量HDDをこちらで先ず買って、作って欲しい箱庭を制作しお金(HDD代+2万円)を振り込まれるのを確認するとHDDを送る。

 一昔前の絵師募集に似ているかもしれない。昔やってたんだよな……友達の小説の挿し絵……カラー、モノクロ問わず。

 で、現在受けている仕事は5つ、もう既に空間の制作は終了しているため、今開いたのは新しい仕事のだ。

 月に大凡10~20空間は作っているため、最低でも月に20万円、多いときには40万円は稼ぐ。案外儲けてたりするのだ。

 

「今幾ら入ってるんだ?」

 

 気になって預金通帳を見てみる。

 現在の預金残高……一、十、百、千、万、十万、百万、千万、一億…………ん?一億?……

 

総額3億5623万円也

 

 結構な額が銀行に預金されていた。親からは他の口座にしっかりと仕送りを貰っているが、この量……下手すると親の財産超える……事はないか。何気に家の親、2人して大企業のCEOやってるからこの程度普通か。

 よく見てみればたまに一発で大量に入っている時があるから企業から何回か依頼を受けていたんだろう。てか、名刺貰ってるのにそれを見ない俺もおかしいよな。箱船を作るときは実際に会ってるってのに……。

 

 そしてふと時計を見れば午後7時過ぎ……結構やっていたんだな……随分と板に付いてきた物だ。

 

「腹減った」

 

 そりゃ、7時過ぎって言ったら飯の時間だからな。腹も減るよ……。

 

ピンポーン♪

 

 ここで部屋のインターホンが鳴る。この時間に誰だろうか?俺の友人はこの近くには詩乃しか居ないし、この時間に俺の所に来る奴はよっぽどの物好きだろう。俺でなくても付き合いやすいやつはごまんと居ると思うし。

 まぁ、居留守使うのも気が引けたので渋々インターホンに出る。

 

「はい、誰でしょうか?」

 

 そこでインターホンの画面に映ったのは隣の住人詩乃だった。

 

『あの……こんばんは……』

「……何のご用件で?」

『えっと……一緒に夕食食べない?』

 

 ……静かに夕食は食べたいんだけど……という返事をしそうになって何とかそれを留める。そもそも詩乃はそこまで喋らないしね。

 

「あいよ~」

 

 俺は玄関まで行き、閉めていた鍵を開けてドアを開ける。

 

「んで、どこで食べる?詩乃が作る?俺が作る?それとも外食かい?」

「えっ……と……」

 

 ふうむ……どうするのだろうか?てか、どうしようとしていたのだろうか?

 生憎と人の心を読む事なんて出来ないから良く分からん。特に女子の考えていることは……。

 

「あの、私のところで私の作ったのを……食べない?」

 

 誰が予想しただろうか?

 あ、自分で予測してたな。詩乃にそう言ったじゃん。

 とは言っても……詩乃のお手製料理は食べてみたいし何よりも女性からのお誘いだ、無碍に断る気も起きなかった。

 まぁ、父親に言われたのが原因でもあるが……。

 

~父の名言~

《女性のお誘いは何の理由も無く無碍に断るな》

 

 偶に父親の口から出てくる名言(迷言)の数々は父親曰わく全て実体験から来ているらしい。聞いてみれば父親はかなりモテるとのこと。現在進行形だって話を母親から聞いてる。大変だね、父親も母親も。

 父親は鈍感かって?むしろ逆の敏感だよ?そうでなければあんな名言が出て来る筈無いし。

 

「あの……お昼のお礼で……」

 

 ああ、なるほど。そう言う事ですか。それなら何となく納得出来るな……うん。

 てか、随分と不安そうな顔だなぁ……俺が断らないか心配なのか?まぁ、断りはしないが。

 

「分かった。有り難く頂くよ」

「そう?嬉しいわ」

 

 詩乃の顔は不安そうな顔から一気に安心したような顔になる。

 

「じゃ、ちょっと待ってくれ。着替えてくる」

「あ……うん、分かった。部屋で待ってるわ」

 

 俺はその返事を聞くとドアを閉めた。流石に部屋着で女子の部屋に上がるのもどうかと……って、俺はそこまで気の利く人間だったのか?初めて知ったよ。

 で、俺は部屋の箪笥から外に出ても恥ずかしくない……とは言っても下はジーンズで上にTシャツ、上着にフード付パーカーを着て家を出る。

 鍵はオートロックにしたため問題ない。ま、長時間出るときは普通の鍵も掛けるが……まぁ、今回は良いだろう大した物も無いし。

 俺は隣の部屋のインターホンを鳴らす。直ぐに中からドアが開けられる。

 

「どうぞ」

 

 上がる前に……一言言わせて貰おう。

 

「詩乃、誰なのかの確認をしろよ……そんなんじゃ、何時か事件に巻き込まれるぞ……」

「あ……うん、気を付ける……」

「じゃ、お邪魔しまーす」

「どうぞ」

 

 そうして俺は本日2度目の詩乃宅に上がった。




主人公とその幼馴染……元ネタ分かった人居るかな?
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