そしてやって来た週末……そう、詩乃と沙耶と遊園地に行く日だ。なんか憂鬱……頭が痛い……治っていた偏頭痛が復活しやがったのか?
集合場所は俺、詩乃、沙耶の住んでいるアパートの門だ。つい一昨日まで沙耶が同じアパートなのは知らなかった……つか気付けなかった。集合時間は朝7時、移動はバス。
なんでバイクじゃないのかって?そりゃ、沙耶も詩乃もバイク免許持ってないからだ。普通持ってる訳がない。
……で、現在時刻午前6時57分。俺はアパートの門の前に居る。詩乃はもう既に隣に居る。俺が来たのが50分ちょい前だったのだが、来てみれば詩乃はもうそこにいた。今は沙耶を待っている。
詩乃の格好はダメージジーンズに長袖のシャツの上に青色のフード付きパーカーを羽織り首にはマフラーを巻いたものだ。俺はサンドカラーのズボンに黒の長袖シャツに白と黒のフード付きパーカー、首には真っ黒い伸縮素材で出来たチョーカーだ。お洒落とか気にしない俺は至って普通の格好だ、チョーカー以外は……詩乃もそれは同じか。
「おまたせ♪」
ようやく沙耶も来た……7時ジャスト。時間前行動を沙耶はしないからどうでもいい。時間とか細かい事を気にしない大雑把な沙耶の性格はSAOで死にかけようが何しようが変わらなかったらしい。
沙耶の格好は赤と白のチェック柄のロングスカートに白のシャツ、そして赤黒い……血の色とでも言うべきどぎつい色のチェスターコート……普通の女性が着れば違和感があるかもしれないが沙耶にはその違和感を感じない……何というか、着こなしている。
「んー……やっぱりなんか足りないなぁ……」
沙耶は背中を見ながらそう言った。
ああ……そう言う事か……沙耶のその格好はSAOでの格好か……どうりでしっくりくる訳だ。
「……ま、仕方ないかな。あの世界じゃないんだし♪」
……吹っ切ったようだ。何時までも引っ張っていてはどうしようも無いのだろう。間も無く1年が経つのだから……
「さぁ、遊ぶよ詩乃ちゃん♪汐耶の奢りだしね!!」
「ええ、そうね」
あー……そういやそうだったね。しっかりと俺の財布の中に一応の予備も含めた12万円が入っているのが怨めしい……
ま、それだけで詩乃の笑顔が見れるならそれで良しとしよう。
「さ、行こう♪」「行きましょう?」
「はいはい……」
※─※─※
そしてやって来たは遊園地。右には詩乃が左には沙耶が抱き付いている。つまりは両手に華……周りからの視線が痛い……頭も痛い……。
更に追い討ちを掛けるのは沙耶の平均を上回る大きさの胸のソレと詩乃の小さくはあるがしっかりと質量のある胸のソレの感触……逃げたいけど逃げられない……ここに来るまでに1度逃げようとして逃げ損ね、ただ腕を組むだけでなく押し付けてきたのだ。まだ普通に腕を組むだけの方がマシだった。
ここで当たってるって言ったところで当ててるんだよ的な言葉が返ってくるのは確実なので言わないが。
「んじゃ、最初は何にする?無難にジェットコースター?」
……どこが無難なのかと突っ込みたい。
因みにここの遊園地、ゲテモノ遊園地として有名だ。例を挙げるならば
・時速120キロの足の着かないジェットコースター【ホェアーアーユーレッグス】
・落ちる角度が70°もあるジェットコースター【ダイブ】
・グルグルと座席が回転しながら時速80キロの速度で走るジェットコースター【ハイアラウンド】
・5分耐久時速70キロジェットコースター【ファイブミニッツロード】
・超高速回転コーヒーカップ【アラウンドアラウンド】
・70メートルの高さからバンジージャンプ【ヒャッハァァァ!】……etcetera
極めつけは耐えきったら現金1万円プレゼントの1時間耐久時速100キロの足の着かないジェットコースター【レッツゴウ・インフェルノ】……未だにクリア出来た奴が居ないらしい……俺はチャレンジしたこと無いが。
「じゃあ、早速1時間耐久時速100キロジェットコースターに行ってみよー!!」
「おー!」
2人に引き摺られて1時間耐久ジェットコースターに向かう俺達3人。
え?沙耶、詩乃?マジですか?初っ端からハード楽々飛び越えヘル(地獄)も普通に飛び越えインフェルノ(火焔地獄)にチャレンジすか?
「いや、まずは5分耐久あたりから……」
「大丈夫大丈夫♪」「大丈夫よ」
「そのこころは?」
「「アリスのバイクに比べればどうって事は無い(わ)♪」」
「……………………」
反論出来ない俺が悔しい。
そして乗せられる前にしっかりとトイレに行き、漏らさないようにしてから自分で乗る。
乗り方は1列で順番は俺・沙耶・詩乃。首にはハーネスが着けられ、肩の方からしっかりとシートに体が固定される。俺、詩乃、沙耶の右手に持たされたのは何やらボタン付きのグリップ。説明では停止ボタンだとか……始まってすぐに……
「汐耶、これ押したらまた乗るからね」
「……ハイ」
押したかったな……。
足場が下に降りていき足がブランブランとなる。ガタガタと動き出すジェットコースター。右手のグリップは握るだけで上の親指で押すであろうボタンには親指を架ける事もしない……偶然にも押したら一大事だ。
ガタガタと登っていき頂点に1番後ろが達した瞬間、ソレは始まった。
普通に落ちるだけではない、捻りが加えられながらの落下。例えるならば空自の航空祭のブルーインパルスのコークスクリューの外側のやつの落下バージョン。
「ギャアァァァァァァァアッッ!!」
「「ヒャッホォォォォォオ!!」」
えー……悲鳴ならぬ喜鳴を聞きながらも次に移る。
次は……直角旋回?
「ヒィィィィィイッッ!?」
「「イィィィィエェェェェイィィィィッッ!!」」
ガガガガガガガガガガガガガ
と連続で高速で直角に曲がるジェットコースター……うわ、なんつうジェットコースター好き殺しだよ。こんなん乗ったらもう乗りたく無くなるわ。
次は……連続宙返り?
「イィィィヤァァァァッッ!!」
「「フゥゥゥゥゥゥゥッッ!!」」
グリングリングリングリングリングリン!
と、ここまででまだ5分経ったあたりか?何か慣れてきた。
次は……宙吊り高速旋回?
「「「ヒャッハァァァァア!!」」」
ヤバい、なんか楽しくなってきた。
※─※─※
1時間も残り10分ほど……なんか速度が120キロぐらいに増えた気がするけどやっぱり速度あった方が楽しいな。
後ろの2人?速度上がってから声聞いてないな……まぁ、良いか。残り10分、楽しむとしよう。
※─※─※
「ふぃー……楽しかったぁ……」
「「……………………なめてた私(ボク)が悪かった」」
詩乃と沙耶は高速ジェットコースターに酔ったらしく途中から気絶したらしい。俺は最後まで楽しんでついでに現金1万円ゲットした。気絶したら貰えないんだって。
ついでに言うと俺はベンチに座り2人は俺の膝枕中。右の膝が詩乃で左の膝が沙耶……なんか2人でブツブツ言ってるけどよく聞こえないからいいや。
「さて……次は何にするかな……」
ビクゥッ!
2人が跳ねた。ギギギギギ……と音を立てるように俺の顔を見てくる2人に俺はイイ笑顔をしてやった。
「ね、ねぇ汐耶……」
「なんだ?」
「……ちょっと休憩しない?」
「もう30分近く休憩してるが?」
いい加減回復したと思うんだが……
「うん、そうなんだけどあのフードコート辺りでさ……何か食べない?」
「ああ、そうだな。移動するか」
フードコートからは甘い良い匂いがしている女子は甘い物が好きだったっけ……詩乃は余りそうでは無かったような……
※─※─※
フードコートで適当に甘いものを食べた後、俺達3人は遊園地内のゲームセンターに来ていた。
俺的には適当なアトラクションで楽しみたかったのだが詩乃と沙耶に止められた。恐ろしい速さで回るメリーゴーラウンド【アラウンドアラウンド】とか超高速回転コーヒーカップ【エレクトリックコーヒー】、ウルトラマン気分が味わえる【ウルトラソウル】……仕方無い、また今度の機会に楽しむとしよう。
で、そんな訳で来たゲーセンな訳だが……俺は入った瞬間に詩乃の視界を手で覆った。
「な、何?汐耶くん……」
「詩乃、流石にここは無理だ」
何故ならこのゲーセン、銃ゲーしかないからだ。なんで銃ゲーだけなのかは分からん……
「今はここに入れない、詩乃が自分の過去を克服したらまた来よう」
「……分かったわ」
「てな訳で沙耶、出るぞ」
「分かった」
※─※─※
で、フードコートに戻ってきた俺達、何か空気が思い。
「ちょっとトイレに……」
「おう、いってらー」
詩乃が席を立ってトイレに行く。
「汐耶、詩乃ちゃんのこと好きなんでしょ?」
「……まぁな……」
「力無いじゃないか。どうしたの?」
「……SAOで1人くらい殺してたら、詩乃の気持ち分かるかなってさ」
「汐耶」
冷たく鋭い声が俺に突き刺さる。
「そんなことは冗談でも言わないで。これは、SAOに居たボクの本心だ」
「分かってる。それは分かってる……」
「分かってるなら良いよ……(十数人殺したボクが言えた義理じゃ無いけどね)」
最後の方は聞こえなかった事にした……敢えて割り切りに割り切りを加えて完全に割り切ったようだったから。忘れることが出来ないと言うのも辛いな……SAOなんか渡すんじゃ無かったな……。
「ところで、詩乃ちゃんが君の事を好きだってのは分かってるのかい?」
「………………敢えて、敢えて見ないようにしてたんだが……」
「どうして?相思相愛なんだろ?」
「…………詩乃の傷に付け込むような形だったからだよ。詩乃がやったことを1から見て信じたのが、肯定するのが俺1人だったから……そんな傷に俺は付け込んだ……だから俺は……」
「詩乃ちゃんを彼女には出来ないって?」
「……まぁ、そうだな。何時かは言うつもりだが」
いやまぁ……俺の身勝手な考えなのかもしれないが、それでも何時かは詩乃に伝える時が来るだろう。覚悟が決まったその時に……
「……その前に他の誰かとデキちゃうかもよ?」
「むしろその方が良いのかもしれないな……差し当たってはSAO生還者あたりかな」
「…………もしそうなってもボクはキミとは付き合わないからね」
「……………………それくらいは分かる」
「じゃあ、理由は?」
……沙耶の顔に浮かぶ屈託の無い笑顔……それには影が見て取れる……ああ、なるほど……そう言うこと。
「……俺が詩乃を捕まえられなかった事への戒め……そして沙耶がもう既に誰かと付き合ってるから……か?」
「ご名答」
「お前を受け入れてくれる奴が居て俺は肩の荷が降りたよ」
「勝手に背負ってただけでしょ」
……かもしれない……だが、沙耶は俺・詩乃以外とは孤独だったからな……俺の心配の種が消えたのは確かなのだ。
「そうなのかもな……
で、良いのかよ?彼氏ほっといて俺なんかと居て」
「別にアイツはそこまで嫉妬深いやつじゃ無いから大丈夫だよ」
「……そりゃ安心だ」
ま、その後は詩乃が戻ってきて適当なアトラクションに乗った。ま、どれもゲテモノであることに違いは無かったがとても楽しかった。
最後は夕焼け空見ながら70メートルの高さから飛び下りるバンジージャンプで締めくくった。夕焼け空はとても美しかった……
えーお久しぶりにございます。
持病の「新しいのやりたがり病」が復活しやがりましてこちらの更新が遅れます。
あーあと、この作品のスピンオフSAO編『SAO ~ 血塗れ戦女神(ブラッディヴァルキリー)~』を書き始めました。興味のある方はどうぞ→http://novel.syosetu.org/30746/
では、ご感想お持ちしております