BETAは殺す!必ず殺す!慈悲は無い!

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そなたもすなるまう゛らう゛にじさうさくといふものを こなたもしてみんとてするなり


BETAスレイヤー

  

 「アイエェェェ!」

 「URYYYYYYY!」

 

 ここはマウント・コワイ。辺りには、人間の文字ではとても表現出来ない、恐ろしい叫び声が響いている。まさに地獄のような場所で、不思議な儀式が行われている。

 

 「ナンミョー!ホーレン!」

 見よ!全身に経を書いたボンズの集団を!耳までびっしりホーリー・インクで文字が書き込まれており、実際隙がない。亡霊に耳を持って行かれぬよう気をつけているのだ。彼らはこの7日間不眠不休で呪文を唱え続けている。

 

 「カシコミ!カシコミ!」

 反対側にも、平安貴族めいた装束に身を包む集団が、滝に打たれながらエンチャント・オオヌサを振り回しノロイを唱えている。聖水に打たれることによりこの場に集う悪霊から身を守っている彼らは、国家シントー・プリースト。厳しい試験をくぐり抜けた、カチグミ神官達だ。

 

 もしや、これが古事記に記されている暗黒儀式、神仏習合ではなのか?勘のよい読者はお気づきだろう。時の将軍コーブインの命により、神聖なる国土を犯すBETAを滅ぼすために国中からボンズと神官が集められ、元寇以来1000年ぶりの暗黒儀式を行っているのだ。

 

 おお、見よ!注連縄で囲まれた斎場の中央にそびえ立つ、巨人を!あれは日本帝国の斯衛軍に配備されている戦術機ではないのか?だが紫色のその全身は、儀式が進んでいくにつれ足下から禍々しい赤黒色に染められていき実際邪悪なアトモスフィアがする。何か良くない。

 

 「ドーモ、コンニチハ。ビクター=サン。」

 「ドーモ、コンニチハ。ヨロイ=サン。一体どうしましたか?」

 

 その場に居合わせたジェネラル・ビクターに尋ねてみることにした。

 

 「この儀式は一体?」

 「アッハイ、これは代替計画四ですね。一般に公表されているのはフェイクです。実際、BETAとの意思疎通なんて言ってる場合ではないですからね。三千大千世界のBETAに殺された人たちの怨念を集めます。怨念を集めて適当な体に憑依させてBETA絶対殺す存在を作ります、ハイ」

 「なんと!実際コワイ計画ですね!あのタケミカヅチが動くんですか?」

 「ハイ、動きます。衛士無しで実際動いてBETAを殺しますね。」

 

 儀式をしばらく見ていると、おお、見よ!力尽きたボンズや神官たちがバタバタと倒れていくではないか!同時に、斎場の真ん中の戦術機の瞳に灯が点り、メンポに「べ殺」の文字が浮かび上がる。BETAスレイヤーの誕生だ!その機体の色は実際赤ではなく紅!正にBETAに殺された怨念達の血の色だ、ジッサイコワイ!

 

 誕生したBETAスレイヤーは、目にも留まらぬ速度で飛び上がった。目標は佐渡島だ。

 

 「イヤーッ!」

 

 高高度からの跳び蹴りで佐渡島=ハイヴのモニュメントが一撃で粉砕された。一体どうしたことだ、光線級は寝ているのですか?

 

 「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 ハイヴの中から叫び声と、BETAが潰れる音が断続的に聞こえてくる。BETAには排泄器官が無いので失禁しないが、恐怖は感じる。BETAスレイヤーの行く手を遮るBETAはみな失神、カラテを使うまでもなく大広間までの道が開けた。

 

 「頭脳級よ、お主の親玉はどこだ!吐けば楽に殺してやろう。」

 

 だが、頭脳級は答えない。ハイヴの主としての意地があるのだ。

 

 「スー、ハー、スー、ハー」

 

 んん、どうしたことだ。BETAスレイヤーが奇妙な呼吸を始めたではないか。これは若しや、かつて太閤に仕えたという千利休が編み出したチャドー呼吸ではないか?特殊な呼吸によって相手と精神を同調させ、その思考を読み取るのだ。だが、BETAは人間ではない、果たしてチャドーは通用するのだろうか?案ずるには及ばない、BETAスレイヤーはBETAの天敵のようなもの、状況判断は常に的確だ。

 

 「上位存在を気取る、お主らの親玉は喀什か。待っておれ、直に殺してくれるわ。BETAは殺す!シリコニアンも殺す!慈悲は無い!」

 

 見事情報を引き出すと、頭脳級はカラテによって爆発四散!

 翌日、カシュガルのオリジナルハイヴの重頭脳級が撃破され、BETAスレイヤーはシリコニアンを殲滅すべく宇宙の彼方に旅立った。




続かない


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