いきなりの掲示板形式回
―― それでは、〝異能力者〟というものについての説明をお願いします。異能力者という人種が所属する組織、その日本支部〝神祇省〟のトップである〝柊木真〟さん?
「そうですね……では、直球で行きますか。皆さんは、魔法などが実際に存在すると言われても信じることができますか? まぁ、普通は無理ですよね。僕の友人がこのことについて何も知らない状態だったならば、すぐさま病院へ行って来いと頭を抱えながら言うでしょう。それほどまでに荒唐無稽な話をします。混乱しないようにある程度の覚悟はしておいてください」
―― ……覚悟はしています。
「分かりました。では始めましょうか。僕たちのことを――」
【総司令】異能力者について語るスレ31回目【意外と普通】
359:774の一般人
そろそろ落ち着いてきた頃か?
360:774の一般人
たぶん……
361:774の一般人
いやぁ……いろんなことが立て続けに起こったせいで、まだ混乱しっぱなしだわ
362:774の一般人
仕方ねぇよ
突然、異世界への門が開いたとか受け止めきれなくて当然のことだっていうのに
363:774の一般人
死んだ人もいるからな……
364:774の一般人
>>363
不謹慎だぞ
365:774の一般人
>>364
すまねぇ
俺って、テレビで見ただけだからさ
まだ実感がわかないんだよ
366:774の一般人
>>365
それでも、死者について触れるのはダメだぞ
367:774の一般人
>>366
分かった
これからは触れないようにする
368:774の一般人
それでいいんだよ
んで、今回分かったことは何だっけ?
369:774の一般人
>>368
あの時、前線で戦ってくれた異能力者(?)達のトップが直々に話してくれたやつか
370:774の一般人
>>369
あの人には感謝してるわ
あの人のおかげで嫁も子供も無事だったからな
371:774の一般人
>>370
それな
あの人のおかげで死者も最低限に抑えられたし
372:774の一般人
でも……亡くなった人は何人か出ちゃったし……
373:774の一般人
>>372
シッ!
それについては触れないの!
374:774の一般人
>>373の言う通りやな
あの人のおかげで助かった人もいるけど、助けられなかった人もいる
今回の取材でも言ってたろ
あの人は政治的な意味で大分無茶して人助けに向かったって
375:774の一般人
ごめん
でも、ダチが死んじゃったからさ……
まだ受け入れられなくて……
あいつ、あの日にあったコミケ楽しみにしてたんだよ
今でもあいつの楽しみ過ぎてたまらないって笑顔が脳裏にちらついてさ……
あの人が殺したわけじゃないのは分かってるんだけどさ……
どうしてもあの人がもっと早く来てくれたらあいつも助かったんじゃないのかって思ってさ……
376:774の一般人
……
377:774の一般人
……
378:774の一般人
……
379:774の一般人
……
380:774の一般人
……
381:774の一般人
……
382:774の一般人
……
383:774の一般人
すまん
変な話した
しばらくROMってる
384:774の一般人
……
385:774の一般人
……
386:774の一般人
……
387:774の一般人
……
388:774の一般人
……
389:774の一般人
よし
すぐ切り替えろ
馬鹿な俺達には簡単なことだろ
390:774の一般人
そうだな
反省はしても後悔はするなってどこぞの誰かも言ってたしな
391:774の一般人
さて、異能力者のことだな
誰か説明できるか?
392:774の一般人
あぁ、俺ができる
しばらく待ってくれ
393:774の一般人
おK
394:774の一般人
了解
395:774の一般人
よろしく頼む
396:774の一般人
頼んだ
397:774の一般人
じゃあ、>>392が戻ってくるまでしばらく駄弁ってるか?
398:774の一般人
>>397
暗い空気で話しても飯がまずくなるだけだしな
その案採用しよう
399:774の一般人
でも何話すんだ?
400:774の一般人
俺のマル秘な本(意味深)を朗読するか?
401:774の一般人
なにそれkwsk
402:774の一般人
ktkr
403:解説
待たせてすまんな
異能力者とは、遥か昔から続く魔法や呪術といったオカルト的技術を管理し、悪用した者を取り締まる者達のことを言う
異能といっても、漫画にあるような人それぞれの能力のことを指すのではなく、一般人には出来ないようなこと(魔法や呪術、超能力)を統合したものの名称らしい
神祇省は、表としては神祇の祭祀と行政を掌る機関として律令制以来の神祇官に代わって設置されたもののことだ
裏は今回戦ってくれた人達みたいに異能を行使する人達が所属しているとのことだ
ついでに言えば、異能力者とは本来秘匿されるべきものであり、今回みたいな公に能力を使うのは許されていないそうだ(型月の魔術師みたいな)。
404:774の一般人
>>403
これは有能
405:774の一般人
はえ~そんなのが昔からあったんですね~
406:774の一般人
>>403
マル秘ニキの話も気になるけど、やっぱ話題の話だよな
407:774の一般人
>>403
え~っと、魔法とか呪術とか全部ひっくるめて「異能」っていうのか
408:マル秘
何それ俺の話より面白そうじゃん
409:774の一般人
>>408
マル秘ニキwww
410:774の一般人
>>408
コテハンつけたのかwww
411:774の一般人
要するに、異能力者ってファンタジーな警察ってことか?
412:774の一般人
>>411
たぶんそうじゃないの?
よく分からんけど
413:774の一般人
ん~好き勝手できるわけじゃないのか
いや、国の組織だからそういうもんか
414:774の一般人
なんで、能力を使えないんだろう?
それだったらもっと早く行けてたはずなのに
415:解説
>>414
ヒント:テロリスト、反社会的勢力
416:774の一般人
>>415
あ……
417:774の一般人
あーなるほど
418:774の一般人
え? どういうこと?
教えてエロい人!
419:解説
>>418
別にエロくはないが……
あの人の戦闘した場所知ってるか?
アスファルトがアニメでみたいにデカいクレーターができていたり、異世界の兵士達が軒並み瞬殺されていたんだよ
こんな力をテロリストどもが手に入れたりでもしたら、あの悲劇〝9.11〟が簡単に引き起こせるんだぞ
そうなったら災害なんて目じゃない〝
そこかしこで戦争が起きるだろうな
420:774の一般人
>>419
ヒェ……
421:774の一般人
>>419
だから今まで隠してたんですね~(RTA並感)
422:774の一般人
>>419
文字にしなくても分かるヤバさ
423:774の一般人
ってことは、あの人はそれが引き起こせるのにやろうとしないんだ
普通だったら、大きすぎる力に溺れそうになるはずなのに
424:マル秘
溺れてないから組織のトップにいるんだろ
425:解説
続き
総司令こと「柊木真」は、日本の異能力者によって構成されている組織〝神祇省〟のトップである総司令の席に就任している
強さは〝特級〟らしい
そもそも、異能力者には自衛隊とかみたいに階級が存在する
下から〝下級〟、〝中級〟、〝上級〟、〝特級〟とあり、それぞれ
下級…戦闘能力は武術を収めた者とほぼ変わらない
拳銃で応戦可能
それぞれ弱いながらも魔法を行使可能
中級…下級を三回りぐらい強くしたような戦闘能力
拳銃で撃たれても死なないぐらいに頑丈
車一つを破壊することが可能な魔法が行使可能
上級…漫画の主役をはれるぐらいの強さ
戦車砲で撃たれても生きているぐらいには頑丈
戦車を簡単に破壊可能
特級…次元が違う強さ(ピンからキリまで幅広い)
戦艦の大砲を喰らってもピンピンしているらしい
一人で一つの軍勢と戦えるぐらいには頭おかしい強さをしている
そして、柊木さんは特級の中でも〝最強〟の二つ名を持つらしい
426:774の一般人
>>425
えぇ……
427:774の一般人
>>425
なぁにこれぇ……(デュエリスト並感)
428:774の一般人
>>425
まるで意味が分からんぞ!(デュエリry)
429:774の一般人
ハルトオオオオオオオオオ!!
430:774の一般人
こんなところでも叫ぶ兄さんは嫌いだ
431:マル秘
やっぱり日本は修羅の国だぜ!
432:774の一般人
なるほどねぇ……
そりゃ、そんな強さしてたら隠すよな
それもあの日までか
433:774の一般人
不謹慎だけど、そこらにいる人が拳銃を常に持っているようなものだからね
そりゃ、隠すでしょ
434:解説
さらに続き
異能力者達は、何もその能力を悪用する者を取り締まるだけではなく、こことは別の世界〝反転世界〟から来る怪物〝怪異〟を討伐する義務もある。
怪異ってのは、昔話とか神話とかでよく出て来る妖怪や妖精、獣なんかのことを言う
要するに、昔から続く神話なんかは実際にあったことらしいってさ
そして、現在も公には知られていなかったが、怪異達はこっち側に来て人を襲うらしい
時々ニュースであるだろ?
突然行方不明になったっていう人達のこと
435:774の一般人
>>434
解説ニキ、すごい詳しいね
436:774の一般人
>>434
はぇ~やっぱり犯罪者を捕まえるだけじゃなかったんですねぇ~
>>435
たし蟹
解説ニキやたら詳しいな
437:774の一般人
>>435
どういうことだ解説ニキ?
洗いざらい吐いてもらおうか
438:マル秘
沈黙は肯定とみなすぜ!
439:774の一般人
>>438
マル秘ニキ、なにをだよ
440:774の一般人
>>435
でも、確かに気になるんだよな
解説ニキ、話してもらうよ
441:解説
>>435
>>436
>>437
>>438
>>439
>>440
スマン
仕事が入ったわ
442:774の一般人
ちょ
443:774の一般人
逃げるな卑怯者―! 逃げるなー!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……で、これでよかったのか?」
とある場所の一室にあるベンチに座る男――
伊丹の顔は疲れたように少しやつれていた。
無理もないだろう。
彼は、あの日、この地球が異世界に繋がった瞬間にその場へと居合わせていた者であり、掲示板内で話題に出された異能力者が現場に到達するまで多くの民間人を逃がしたという偉業と言う他無いことを成したのだから。
実際は、同人誌即売会が中止になってたまるかという一心で動いたとのことだが……
それはともかく、彼の問いかけに対し、反対側に座る男は重々しく頷き肯定する。
「あのスレにいた者達にはすまないが、あそこから広げることも良いと判断したからだ」
「……本当か? いっそゲロっちまえよ。コレ、思い付きだって」
口を開いた男は顔を上げて、伊丹の顔を真っ直ぐに見据える。
今まで伏せられていた顔が向けられたことで、部屋の天井から降り注ぐ明かりによってその顔の細部が分かる。
眼鏡を掛けた精悍な顔立ちをしている男の目元には眼鏡のフレームでも隠せないほどに濃い隈が出来ており、おそらくここ数日寝ていないことが察せられ、更に眉間には深い皺が出来ており、彼の気難しいであろう性格と苦労人気質を表していた。
「馬鹿な。この俺の計算に狂いは……ZZZZZZZZ……ハッ!」
「……大丈夫かよ、本当……あの日以降寝れてないんだろ、〝木場〟?」
伊丹に木場と呼ばれた男――
そんな木場に対し、気遣うような言葉をかける伊丹。
「で、実際はどうなんだ? 柊木さんが関係各所に対応してるんだけど、それだけじゃ情報が規制されるかもしれないとスレに流してみたらいいんじゃないのか? って言ったのはお前なんだろ?」
「……あぁそうだ。あそこには海外の記者もいた。柊木も動いた。遅かれ早かれ、世界に異能力者のことが知れ渡るのも時間の問題だ。その時間も誤差程度でしかないのは明らか。隠蔽し続ければ、国民の不満も高まるだろう。なら、いっそのこと世界に情報をさらすしかない。ニュースでは都合のいいように情報が書き換えられるかもしれない。だからこそ、今回みたいにスレに情報をさらしたんだ」
伊丹の問いに、眠りかけた際にズレた眼鏡をなおした木場は、溜息から漏れ出るかのように言葉を紡いでいく。
「はぁ……面倒なことが起きたもんだな……俺はただ同人誌即売会に行きたかったっていうのに……」
「……それだけで人を助けるお前も大概だがな。お前みたいな奴が俺の部署に来てくれたらどれだけ楽か……」
「そういうのは御免被るぜ。俺は「食う寝る遊ぶ、その合間にほんのちょっとの人生」を掲げているんでな。お前みたいな過労死寸前な部署には行きたくないんでね」
「……いっそのこと、無理やりにでも連れて行くか……?」
「おい待てコラ。変な考え思いつくなよ! 構えんな!」
伊丹と会話を続けていた木場だったが、突然立ち上がり、拳を構えたかと思うと、不穏な空気を纏いだす。
それに対し、椅子から転げ落ちた伊丹は、部屋の隅へと退避した。
一触即発の空気の中、それを破るように部屋の扉が開く。
入ってきたのは黒づくめの男――柊木真だった。
「やぁ! 二人とも、元気かい?」
「生憎のところ、お前の相棒に襲われそうになっているんだよ」
「柊木、邪魔をするな。この男を仲間に入れて、俺は少しでも仕事を減らすんだ」
「うんうん! 解放されたいじゃなくて、あくまで減らしたいというのが木場らしいね。休暇を出すから奥さんと共に旅行に行きなさい」
周りを見回した柊木はとりあえず事情を聞き、危ない目をしている木場を宥めてすぐさま休暇届を懐から出して木場に投げつける。
それに跳びついて残像ができるほどの速度で懐にしまった木場は姿勢を正した。
心なしか、目の隈と眉間によっていた皺が減ったように感じる。
「で、お前が来たということは、話が終わったということ……ではないな」
「うん。この後も取材の依頼が何件か来ている。君達にも話があるとのことだ」
「うへ~……有給降りるのかこれ?」
「諦めろ伊丹。上の連中はてんやわんやの大騒ぎなのだから、自由に動ける俺達に依頼が来るのは当然の流れだ。特に、お前と柊木は当事者なんだからな」
「へいへい……ったく、仕方ねぇな!」
「話はまとまったようだね。それじゃあ行こうか」
愚痴を言う木場と伊丹を引き連れて、柊木は部屋から出ていった。
残された部屋には静寂が漂う。
彼等が向かった先には、そことは正反対であるのに。
新キャラ〝
参謀キャラ。
苦労人。
眼鏡。
可愛い嫁さんがいる。
リア充爆発しろ……とは言えない(書類仕事が充実しすぎて、過労死寸前)。
また次回