異能力者 異世界にて、斯く戦えり   作:クラウディ

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会話メイン回

レレイ編

短めです





集う者達

 

 

 年の頃は十四~五歳といった感じで貫頭衣を纏ったプラチナブロンドの少女――レレイ・ラ・レレーナは賢者である。

 そんな彼女はここ最近出会った緑の人達――〝ジエイタイ〟の成すことに興味津々であった。

 

 彼女は賢者と呼ばれるように、その知識は深く、そして彼女自身も非常に聡明だ。

 そんな彼女をして、ジエイタイと呼ばれる者達は非常に興味深かった。

 

 独りでに走る鉄の馬車に〝ジュウ〟と呼ばれる魔法の杖。

 これだけでも興味を引かれるのに、それ以上のものがあった。

 

「あなた達は何者?」

「あん? どうした嬢ちゃん? いきなりそんなことを聞いて……」

 

 それが〝異能力者〟。

 

 同じ人とは思えないような身体能力を持ち、それぞれが並の魔法では到底かなわないであろう強さの〝異能〟というものを行使する。

 そして、ジエイタイの者達と違い、普通に話せるということだ。

 

 だからこそ、ジエイタイのような緑の服を着た者ではなく、独りでに走る馬車の傍に立っていた大男に話しかけたのである。

 

「私はあなた達のことを知りたい。どこから来て、なにをしに来たのかを」

「……生憎のところ、全部は話せねぇ。が、俺が話せる範囲でならいいぞ」

「分かった。まずは……」

 

 そうして、レレイと大男――山内竜司は話始めた。

 

「なぜあなた達異能力者とジエイタイの者達は会話が可能なのか?」

 

 まず最初に気になったのは、会話が成立するかどうかについてだった。

 これに関しては、納得のできる質問だろう。

 

 何故なら、仲間であろう異能力者とジエイタイの者達では会話が通じている。

 これは当たり前だ。

 何故なら同じ国に生まれたのだから会話が通じるのは当たり前のことである。

 

 だが何故、異能力者とレレイは会話が通じるのに、その異能力者の仲間であるジエイタイの者達はカタコトでしか喋れていない。

 

 ジエイタイの者達は、訓練の積まれた兵士だということが分かる。

 それなのに、同じ仲間であるはずの異能力者達は流暢に喋れているのに、ジエイタイの者達はカタコトなのか?

 

「あ~……固有の名前とか馬鹿みてぇな言葉が出てくるが、それでもいいか?」

「問題ない」

「なら話すぞ? 俺達異能力者と自衛隊の皆さん方はこことは違う世界――地球っていうところから来たのさ」

「なるほど……」

 

 顎に手を当てて考え込むレレイ。

 確かに、それならば全ての理解は出来ずとも納得はできる。

 世界間の違いがあるのなら、自分達の言葉が通じないのも分かった。

 

 では何故、異能力者達は自分達と会話ができるのか。

 

「異能力者ってのはな、頭で考えるだけで会話ができるんだよ」

「念話のようなもの?」

「それがどういうもんかは知らねぇが、おそらくその認識であっているはずだ。俺達は戦場に出る。そんな時に相手に聞こえるように声を出したら、作戦も何もかも崩れちまう。だからこそ、俺達は頭の中で会話をすることができるようになったのさ」

「でも、それでは私達と会話ができている理由にはならない」

 

 レレイの言う通り、頭の中で会話ができるからと言って世界すら違う者達が会話できるはずがない。

 

「良いところに気付いたな。その通り、頭の中で会話ができるからと言ってお前さんらと話ができるとは限らない。俺達の世界には国が大量にあって、それぞれ扱う言語も違う。それなのに俺達の国の言葉で話したら相手にはなんのこっちゃ分からない。だからこそ、俺達の会話は〝意思〟で通じているのさ」

「意思……」

「ま、簡単に言えば、あそこにいる馬は馬だ。それを表す言語が違うだけで、示しているものは同じ。なら、言葉に乗せられている〝意思〟を魔術的なもので汲み取り、分かりやすい言葉にする。そういうので俺達は会話しているのさ」

「なるほど」

 

 例えを入れることで、分かりやすく解説してくれる竜司。

 思わず感心するレレイ。

 

 続いて質問する。

 

「異能力者とは何?」

「異能力者ってのはな、ただの人間に特殊なものを埋め込むことで肉体を強化された人種のことだ。その際、体にある魔術を生み出す器官が刺激され、魔術……こっちじゃ魔法だっけか? を使えるようになる。その際、さっきの言語を理解する能力も得る」

「魔法なのに異能?」

「あぁ、俺達がいた世界は広くてな。その国によって魔法の呼び方が違ったんだよ。さっきの馬みたいにな。そんで、いちいちそれぞれの呼び方をしていたなら混乱するだろうということで、統合した呼び名――〝異能〟という呼び名になったんだ。んで、〝異能〟という〝力〟を使える〝者〟で、〝異能力者〟って呼ばれるようになったんだよ」

「なるほど」

 

 要するに、リンゴをappleと呼んだりしてこんがらがるから、一つの呼び名に統合しようということらしい。

 

「あなたの異能は?」

「俺の異能か? 俺の異能は〝煙吐きの重機関車(スモーキングロコモティブ)〟だな。俺達の国には機関車っていう乗り物がある。それになぞられたやつだ」

「どんな力?」

「ただ単純なパワー増大の異能。ただ力が強すぎてな。異能を発動したまんまじゃ鉄板を紙みてぇに破いちまう」

 

 そう言うと、竜司は懐から知恵の輪を取り出す。

 

「こいつは知恵の輪って言ってな、上手いことやらねぇと外れないっていう玩具(オモチャ)だ。ついでに言えば、金属でできているから無理やり解くことは普通出来ない。試しにちょっと解いてみろ」

「分かった」

 

 そう言って渡された知恵の輪を解いていくレレイ。

 レレイが挑戦して外すのに、一分とかからなかった。

 外された知恵の輪を渡され、答えを知っていた竜司はあっという間に元通りにしてしまう。

 

「……せっかく外したのに」

「ははは! すまねぇな。ま、遊ばせてもらっただけよかったと思え。んじゃ、俺の能力はな……っ!」

 

 竜司が、深呼吸をして調子を整えた瞬間、パキンッという音を立てて知恵の輪が簡単にちぎれてしまった。

 

「っと、こんな感じに結構な力が出せるのさ。やろうと思えば、炎龍とやらと力比べができるかもな。……ってかアイツ等、もうちょっと頑丈なやつ寄越せって言ってんのによ……

「それはすごい」

 

 レレイは、苦も無く金属の輪を引き千切ってしまった竜司を称賛する。

 最後の方にボソッと言ったことは無視をする。

 

『おっさん。そろそろ時間だ。車を出してくれ』

「あいよ。っと、すまねぇな嬢ちゃん。話し込んじまった」

「大丈夫。興味深い話が聞けたから」

「そうか……んじゃ、怪我せずついて来いよ」

 

 ジエイタイの一人が竜司に出発することを告げたらしく、竜司は鉄の馬車に戻っていった。

 レレイも自身の馬車に戻っていく。

 

 こうして、賢者と重機関車の秘密の話し合いは終わった。

 

 

 

 






竜司は実を言うと、〝特級〟に位置する異能力者です。

今回の異世界への派遣の中には何人か〝特級異能力者〟がいます。

楽しみにしておいてください。


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