第501MS戦記   作:木ノ本悠里

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第2話

~赤城甲板~

「ふぅ、やっとこの長い船旅も終わりか」

 

「そうですね、もうすぐブリタニアが見えてくるそうですよ」

悠里は今、赤城の甲板の上で芳佳ともに甲板掃除を手伝っていた。

既に1ヶ月近く船旅をしていた悠里はMSのテストをしているがその他の時間はそれなりに暇で料理や掃除なんかを手伝っている。そうした生活を送るにつれ芳佳と会う機会が多くあり、悠里は芳佳と次第に打ち解け今では名前で呼び会うようになっていた。

そんな甲板に艦のアナウンスが鳴り響いた

 

「宮藤、悠里、甲板にいるな?これから飛行訓練をやるから見ておけ」

 

「おお、美緒の飛行が見えるのか、楽しみだな」

 

「私、ウィッチが飛ぶところ見たことないです」

 

「見たことないのか、実は俺も他のウィッチはたくさん見てるんだけど美緒が飛ぶところは見たことないんだ。まあ、部隊が違うから無理だったんだけど。美緒はかなりのベテランだからからウィッチを目指すならかなり参考になるな」

というと芳佳は少し顔をうつ向けて悠里に抗議するように言った

「私、戦争はしませんから」

「そうか…そうだよな、悪かった」

悠里は芳佳の父、宮藤博士が亡くなった事から芳佳が極度の戦争嫌いなってしまった事を美緒から聞いていた。

重苦しい空気が続くかと思われたが中央エレベーターが上がって来るのに気づいた悠里は芳佳に声をかける。

「お!芳佳、美緒が来たみたいだ」

 

芳佳が振り向くとちょうど発艦エレベーターから発進ユニットと共に美緒が上がって来た。 悠里と芳佳は発進ユニットの上に乗っている美緒に近寄った。

 

「美緒、俺はお前の飛行を見るのは初めてなんだ、じっくり見学させてもらうぜ。それに芳佳はウィッチが飛ぶ所を見るのが初めてなんだとよ」

 

「人にみられるのは慣れないんだがな。二人とも私の飛行をよく見ておけ、特に悠里!お前は今後の参考の為にもな。よし、それではいくぞ! 坂本美緒、飛行訓練を開始する!」

そう言うと美緒は勢いよくストライカーユニットに足を入れた。そして魔力を出すと使い魔のドーベルマンの耳としっぼが飛び出る。そして 魔導エンジンが始動しプロペラが出て一気に回転を始めた。そして勢いよく大空に飛び出した。

さっきとは打って変わり興奮する芳佳。

「わぁー!すごいですね!悠里さん!」

 

「ああ、そうだな!」

悠里も幼馴染みの飛行を見て多少興奮していた。

(なるほど、やっぱりハイレベルな動きなんだ、あれが経験に裏打ちされた飛び方か)

 

~数十分後~

美緒は飛行訓練を終えて甲板に戻って来た

悠里と芳佳は降りてきた美緒に声をかけた。

「お疲れ美緒、やっぱスゲーよ、美緒は飛び方に無駄がないな!」

 

「すごいです!坂本さん!ウィッチってあんな風に 飛ぶんですね。格好いいです!」

二人にそう言われ笑う美緒

「ははは、そうか、そうか、格好いいか!」

 

そうこうしていると艦全体にアナウンスが響いた

「木ノ本大尉、至急格納庫に来てください。

整備チーフがお呼びです」

 

「ん?なんだ?」

 

「わからないが早く行ってこい。整備連中を待たせると後が怖いからな」

 

「ああ、それじゃ、美緒、芳佳、また後でな」

 

「はーい、頑張ってくださいね、悠里さん」

 

「悠里、終わったら昼にしよう待ってるぞ」

 

「おう!」

そういうと悠里は格納庫に向かった。

 

悠里が陸戦一級装備を付け格納庫に到着するとガンダムを整備している山本が悠里に気付き声をかけてきた。

「すまんな、ちょいと機体の微調整を頼もうと思ってな。整備にお前さんを呼ぼうとしたんだ。調整はお前さんがいないと話ならんからな」

 

「しょうがないですよ。MSは魔法力がないと動きませんから。それでどこの調整を?」

 

「それが、さっき機体の調整をしてたんだがどうもエンジンの調子がおかしくてな。一応直したんだが魔法力を流してみてどうか判断することにしたんだ。向こうに着くまでに直しておきたい。向こうの整備屋にいい状態で渡したいからな」

因みにMSのエンジンはジェット機構になっており、それにより機体が大型になっている。

 

 

「わかりました。変換機構と武装の調子はどうですか?」

 

「今のところは大丈夫だ。だがあれも手を加えるつもりだ。なんとか整備の方は慣れたがビームサーベルは粒子展開が長くもたない」

 

「整備屋からはどうですか、あれは?」

 

「俺も説明資料を見たときは驚いたな、MSがビームを扱えるなんてな。武装も確かに威力がある。技術としたはいいかも知れないが整備する身としては機体の複雑化は大変だな」

 

「そうですか…でも、まだ試作段階ですし、現状は近接用の武装しか出来てません。上手くいけば小型化もいけるかもしれません。とりあえず当面は任務で機構の完成と実用性のテストをする予定です」

今、二人が話している機構とは扶桑を中心に最近開発が始まった魔法力をビームに変換する機構の事である。

 

「う~む、話しても進まんな。とりあえず、お前さんも整備の出なら自分の機体を大事にしろよ?MSはあんまり数がないからな。さてぼちぼち始めるぞ、お前ら準備いいか!悠里もコクピットに入ってくれ」

悠里と整備兵一同に準備を促す山本。

 

「了解、さーて、やりますか!」

そう言うと悠里は意気揚々とコクピットに入った。

 

一方その頃、甲板では芳佳と美緒がいた。

「何ですかね、急な呼び出しって?」

 

「わからないが多分MS関連だろうな。あいつはパイロットだからな」

 

「悠里さんも、坂本さんも、やっぱり戦争するんですね」

 

「それが私達の使命だからな。あいつも私も力ない人々を守る為に戦っている」

 

「誰かの為に、一人でも多くの人を助ける為にその力を使え、か」

一人呟く芳佳だった。

そんな中ぼんやり海を見つめた芳佳がついにブリタニアの大地を見つけた。

 

「あれが…ブリタニア。あれ?なんだろう?」

と何か見つけた芳佳

 

「どうした、宮藤?」

 

「何か、こう、黒いものが見えたような気がするんです」

その一言に顔色を変える美緒。

 

「!?どこだ!宮藤!」

 

「あ、あそこです」

若干驚きながら艦隊の右前方を指差す芳佳

美緒は固有魔法の魔眼を使い黒いものを探したすると艦隊の右斜め前方に大きな黒い影を見つけた。

 

「ネウロイか!敵襲!十二時方向、四千!」

美緒の一言に一気に船員達があわただしく動き出した。

 

「あれが…ネウロイなの?」

芳佳にはかろうじて見える程度影がさほどの

脅威に感じられなかった。

しかしそれはネウロイがビームを放ち護衛の駆逐艦の一隻があっさり落とさせれる事によりそれは儚く壊れた。

 

「宮藤、こっちに来い!」

と言って芳佳を美緒は艦内の医務室に連れて行った。

 

その頃、ネウロイ出現を受け艦内は緊張感に包まれた。

艦橋では杉田艦長と樽宮副長が迎撃指令を送っていた。

「ブリタニアに僅かと言うところで!、まだだ!何としても我々はブリタニアに物質を送らなければならんのだ!

戦闘機隊を出せ!坂本少佐、木ノ本大尉に連絡急げ!、モビルスーツもモビルスーツも出す!

それとブリタニアの501に急ぎ応援要請を!」

 

「しかし、艦長!あれは試験機体です!」

 

「やむを得ない!我々がやられるわけにはいかん!」

 

「艦長!格納庫の山本上等兵から連絡!MSが整備中に出撃に時間がかかるとの事です!」

 

「なにぃ!仕方ない、坂本少佐の発進を急がせろ!501の援護が来るまでなんとしてももたせるのだ!」

 

ハンガーでもネウロイ出現と聞き整備を急いでいた。

「おいおい…マジかよ!こっちにはロクな装備もないってのに!山本さん、エンジンはどうですか!」

 

「クソっ!まだ必要出力まで足りない!もう少し待ってくれ!」

 

遣欧艦隊は今まさに危機に直面していた。

 

 

 

その頃、501統合戦闘航空団ではリベリオン出身の「グラマラス・シャーリー」こと、

シャーロット・E・イェーガー大尉と501では最年少のロマーニャ出身のフランチェスカ・

ルッキーニ少尉が水着姿でデッキチェアに寝そべっていた。

「あ!帰って来た。」

 

「お~、お帰り~」

夜間哨戒から帰って来たのはオラーシャ出身の

サーニャ・V・リトヴャク中尉とスオムス出身のエイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉。

 

ここ501は各国の精鋭を集めた連合部隊である。

「今は戦闘待機中です。もう少し気を引き締めたらどうですの?」

二人の傍にやって来たのはガリアの出身で貴族であるペリーヌ・クロステルマン中尉。

貴族出身のせいか自信家で気が強いのがたまにキズである。

 

「別に大丈夫だろ?解析じゃ後二十時間は来ないらしい。中佐からOK貰ってるし、それ暑いし~、別に見られても平気だしね」

ペリーヌの嫌味もシャーリーは気にしない。

 

「ペリーヌは見られたら困るもんね~」

シャーリーの胸とペリーヌの胸を比べ、ニシシ

と笑うルッキーニ。

 

「し、失礼ね!余計なお世話です!」

澄ました表情を見せるペリーヌ。

自分でも自覚はしているらしい。

 

「もうすぐ坂本少佐が戻られます。そうしたら

一番にあなた方の行動を報告させていただきますわ!」

 

「チクる気?感じ悪いね~」

シャーリーとペリーヌは前々から反りが合わない。

シャーリーの陽気な性格がペリーヌの癪にさわり、ペリーヌの貴族ぶった言い方がシャーリーには嫌味に聞こえるようだ。

 

「ぺたんこのくせにえらそ~」

ルッキーニもペリーヌの偉そうな態度が気に入らない。

 

「それは関係ありません!それにあなたには言われたくありません!」

三人が言い争いをしていると基地全体にサイレンが鳴り響いた。

 

「嘘だろ!?敵襲!」

 

「でもでも予報じゃまだ来ないって」

 

「実際、敵が来てますわ!でも早すぎる!」

そしてペリーヌは先ほどとは全く違う顔つきでハンガーへ走りだし、シャーリーとルッキーニは軍服に袖を通しながらペリーヌの後を追いハンガーへ向かった。

 

 

 

「どうして…こうなっちったんだろう?私、お父さんに会いたいだけなのに」

赤城の医務室で芳佳は、ぼんやりと考えいた。

激しい振動と轟音、またあのネウロイの攻撃である。ネウロイがビームを打つたび護衛の駆逐艦が撃沈していく。

ドウッ!またしても大きな振動が赤城を揺らしていく。

 

(お父さん、私、怖い!)

芳佳はギュッと強く目を瞑っていた。すると耳から美緒の声が聞こえた。

 

「大丈夫か、宮藤?」

 

「さ、坂本さん!?」

 

「どうやらインカムはちゃんと機能しているようだな。しかし今しか話せん。もう一度使う時は本当に困った時に使え。いいな?」」

美緒は芳佳を医務室に連れて行く途中芳佳にインカムを着けて置いた。今、それが上手く機能しているようだ。

 

「はい…」

 

「心配するな、お前達には指一本触れさせん」

 

「戦うんですか、あれと?」

 

「それが私達、ウィッチの任務だからな」

美緒はおどけて言った。

しかし芳佳でさえネウロイとの戦いは一歩間違えれば死に至る事を容易に理解できた。だからこそかける言葉がなかった。

 

「あの、私…私…」

 

「いいか、宮藤、お前は決してそこから出るなわかったな。」

強めの口調で美緒は芳佳に言った。

 

「でも…」

 

「大丈夫だ、ここには私と悠里がいる。安心して待っていろ」

今度は安心させる様に美緒は言った。

 

 

「だああ!何で出力が上がんないんだ!」

格納庫では悠里や山本が急ピッチで整備をしていた。しかしエンジンが新型のためか思ったより整備が進んではいなかった。

そこに通信機に張り付いていた整備兵が艦橋からの通信を伝えた。

 

「艦橋より連絡!坂本少佐、及び飛行戦隊、出撃したとの事!」

 

「クソっ!まだ相手は大型ネウロイなんだ!美緒一人で支えられるわけないだろ!早くなんとかしねーと!山本さん!そっちはどうですか!」

コクピットで魔法力を流している悠里は機体のバックパックの魔導エンジンを調整している山本に大声で聞く悠里。

 

「駄目だ!エンジンの出力がまだ上がらん!」

どうやら山本の方をうまくいっていないようだ。

 

「なんでもいい!飛べさえすればいいです!」

 

「わかってる!俺達だって死にたかない!お前ら!何としても、こいつを出すぞ!」

山本は整備員を叱咤する。

 

 

一方、先ほど出撃した美緒もネウロイ相手に苦戦していた。

「くっ!まるでハリネズミのようだな。」

美緒は大型ネウロイを相手にしながら違和感を

感じていた。

(こいつ、上部に発射器官があまり見えない。

地上攻撃に特化しているのか?)

しかしネウロイはビームを乱射し、美緒に考える隙を与えない。シールドでビームを防ぐ美緒の脇から戦闘機隊がネウロイに接近したがネウロイのビームが戦闘機隊を叩き落としていく。

戦闘機はウィッチのような戦闘軌道やMSの様に強力なシールドを張れるわけがない。ネウロイにとって格好の的である。

なんとかパイロット達は脱出に成功していた。

 

「馬鹿者!死にたいのか!」

叫ぶ美緒。

 

「ここは私に任せて、戦闘機隊は援護に専念

しろ!」

そこに赤城の甲板から上がった信号弾が上がった。美緒はそれに気付き呟いた。

「援護が来るまで二十分か…宮藤の為にも耐えてみせる!」

美緒は気合いを入れネウロイに突撃していく。

 

「坂本さん…戦ってる。」

芳佳は医務室から戦いを見ていた。

 

(私は何もできないの…)

戦闘は美緒の不利が続いていた。

窓から目を剃らす芳佳。

しかし芳佳の目に薬瓶や包帯が目に入った。

 

(ある!私にも出来ることが!)

芳佳の目に決意の光が宿った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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