伏黒のヒーローアカデミア   作:アーロニーロ

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遅くなってしまって大変申し訳ありませんでした。


夢の中、そして体育祭

 雄英高校体育祭当日。会場には多くの人であふれかえっていた。日本を代表する催しなので毎年人はたくさん集まるのだが、今年は例年に比べてもその数は多い。

 その中でも特にその傾向にあるのは1年のステージであった。通常であればラストチャンスにかける熱や経験値からなる戦略が見応えのある3年にスポットライトが当てられる。しかし、先週起きた雄英襲撃事件があった。それを全員乗り越えて生き残った1年の世間での話題はそれほどまでに大きかった。

 そして警護として各地からヒーローも呼ばれたことも相まって今年の雄英体育祭は通常以上の人を呼び寄せる結果となった。

 

「コスチューム着たかったなー」

 

「公平を期すためだ。気持ちはわかるが諦めろ」

 

 体操着を見ながら不満そうに呟く芦戸。伏黒もコスチューム有りならば宣伝のためにアピールもできる。が、それでは流石にコスチューム無しの学科には不平であるため伏黒は諦めろと告げる。他のクラスメイトは緊張を紛らわすためか誰かと話す者、ストレッチをして体を伸ばしてほぐす者、深呼吸をする者、特にこれといって変化のない者など様々だった。すると、

 

「緑谷」

 

 クラスでもトップクラスの実力を誇る轟が緑谷に向けて話しかけた。皆の視線が轟と緑谷に注がれる。

 

「えっと……。轟君、何?」

 

 緊張していたのか息を大きく吸いながら心臓部に手をやっていた緑谷は困惑顔を浮かべながら轟に呼び止められたことに対して首を傾げながら聞き返す。

 

「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う。」 

 

「へ!?……まぁ、うん」

 

「けどお前、オールマイトから目かけられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねぇが……お前には勝つぞ」

 

 あと数分もしないうちに入場するにも関わらず轟が目を見開く緑谷にそう言い放ち、じっと見据える。控え室に緊張が走る。突然の挑発的な宣戦布告に周りが驚く。切島は直前になってやめろと肩を掴まれて言われるが、轟は仲良しごっこではないのだから言うと手を振り解く。すると、緑谷はオドオドと下を見ながら言い返す。

 

「轟君が何を思って僕に勝つって言ってんのかは分かんないけど……そりゃ君の方が上だよ……。実力なんて大半の人に敵わないと思う……。客観的に見ても、ね……」

 

「……」

 

「緑谷もそういうネガティブなこと言うなって……」

 

「でも……!普通科の皆んなも本気でトップを狙ってるんだ!僕だって……遅れをとるわけにはいかない。だから、僕も本気で獲りに行く!」

 

 緑谷が静かに、しかし強い意志をこめてそう宣言する。珍しくはっきりとした物言いに切島は目を見開きながら緑谷に伸ばした手を伸ばして自身の席に戻る。轟も緑谷の言葉に「……おお」とだけ告げると戻ろうとする。が、その直前になって今度は伏黒に顔を向ける。突然目線を向けられたことにため息を吐きそうになるのをグッと抑えて伏黒は轟に目線を向ける。

 

「伏黒……。お前もだ」

 

「……言っとくが俺はオールマイトに目をつけられてねぇぞ」

 

「そうじゃねぇよ。同学年の奴が、いや、お前が初めて俺に対して敗北を味わせたんだ……。だから、お前にも俺は勝つ」

 

「……そうかよ。ついで扱いされてみたいで腹立つがよくわかったよ」

 

 くだらなそうに轟を見て伏黒はそう告げる。実際、伏黒はかなり轟のことが嫌いだったりする。なにせ轟は伏黒はおろかどのクラスメイトに対してもそうだが見ようとしないのだ(・・・・・・・・・)。まるで誰か別の奴に対して言っているかのようだった。

 

 冷ややかな伏黒の目線と轟の睨みつけるような目線がかち合う。数秒ほどして飯田の呼び出しの合図が聞こえたため互いに目を声のする方に逸らした。待機室の空気が最悪となった中、雄英体育祭が始まった。

 

 

『雄英体育祭!ヒーローの卵たちが、我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!どうせテメーらアレだろ、こいつらだろ!?ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!』

 

 通路を歩くにつれて、徐々に実況と歓声が大きくなっていく。しかし進み続ける足は決して止まらずに歓声の方へと進んでいく。するとゲートの出入り口らしきところに人がいた。口には出さずに手の動きだけでA組の進行を一度止める。そして、

 

『ヒーロー科!!一年!!!A組だろぉぉぉぉ!!?』

 

 その言葉と共に外に出るよう促される。その合図と共に歩き始めるA組。すると外の光がA組のメンバー達の体を叩くと同時に、歓声も360度、全方向から叩いてきた。キラキラとカメラのフラッシュが生徒達を捉え続ける。このようなならない状況にある者は緊張し、ある者は普段通りに、そしてある者は好戦的に笑って答えた。その後、普通科や経営科など全ての雄英生達が出揃った。すると、

 

「選手宣誓!!」

 

 SM嬢のような過激なコスチュームに身を包む長身でナイスバディな美女が壇上に上がると鞭を鳴らしながらそう大声で告げた。それと同時に——声だけで判断したが——-男性陣を中心に再度大きな盛り上がりを見せた。因みにA組では峰田が大きく反応していた。18禁ヒーロー、ミッドナイトのファンは当然ながら男性が多い為、仕方ない事なのだろう。

 

 実は伏黒はミッドナイトと面識がある。出会ったきっかけは戦闘訓練の後に爆豪が泣きながら緑谷に何か告げているのを見ていた時のこと。ミッドナイトがカメラを乱射しているのを伏黒は発見していた。そのことを後日聞くと「幾ら払えば黙ってくれる?」とマジ顔で財布片手に聞いてきた時にこの学校はもうダメかもしれないと伏黒は本気で思わされたと言う。

 

「1ーA代表!伏黒恵!!」

 

「ケロ……。伏黒ちゃんなのね。A組の代表って」

 

「まあ、入試成績1位なだけはあるからな」

 

 周りから集まる視線を一心に受けながら伏黒は堂々と歩き続ける。途中で「ヒーロー科入試の、な?」やどこか嫌味などのものを含んだ視線を向けられたが特に臆することなく伏黒は壇上に上がる。そしてマイクをマイクスタンドから取り外しながら始めた。

 

「『宣誓。僕たちは〜』的なこと考えてた、っていうか言おうと思ってたんですけど。始まる前にあんだけ挑発されると流石にイラッときたんでらしくないけど言わせてもらいますね?

 

 ―――俺1位を取ります(頂点を目指します)。だから、それ以外はどうぞご自由に。どうか安心して2位を目指してください。以上です」

 

 一瞬、整列された生徒一同がシンと静まり返る。すると次の瞬間、生徒一同のブーイングの嵐が巻き起こる。内容は「調子に乗んなA組オラァ!」や「品位を貶めるのはやめろぉ!」や「上等だ!この影野郎!!」などだった。そんなブーイングに対して伏黒は「ハッ」と鼻で笑うことで返すとさらにブーイングの勢いは増した。持っていたマイクを「クール系の見せる熱い感情……。ああ……いいわぁ」と顔を赤く染めるミッドナイトに渡す。壇上から降りるとA組の生徒達は戦々恐々とした目で見られながら元の列を戻った。すると、協議が決まったのかスクリーンに映像が映る。

 

「さーて、それじゃあ早速第一種目に行きましょう!いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ(ティアドリンク)!さて運命の第一種目!今年は……コレ!!」

 

 スクリーンにデカデカと『障害物競走』の文字が現れる。そして矢継ぎ早にミッドナイトは障害物競走のルールを説明し始める。

 

「計11クラス全員参加のレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4㎞!我が校は自由が売り文句!コースを守れば何をしたって構わないわ!

 

「へぇ……なんでも、ねぇ」

 

「さあさあ、位置につきまくりなさい!」  

 

 ミッドナイトの言葉の中にあった一言に伏黒は反応しているとすぐ近くにあったゲートが音を立てて開き始める。11クラス全員が並んで位置につくとゲートのランプが減り始める。3つのランプが消えた瞬間、

 

「スターーーーート!!」

 

「《鵺》。飛べ!」

 

 ミッドナイトの声がスタジアムに響き渡る。それと同時に全生徒が動き出し始める。伏黒はそれを見ながら鵺を呼び出し、飛び乗るとゲートを越え、スタジアムを超えて(・・・・・・・・・・・・・・・・)誰よりも早くコースに入った。

 

「「「「あれ、有りぃぃぃぃぃ!!!?」」」」

 

 宙を舞う、伏黒を見てほぼ全員の生徒が指差して叫ぶ。それに対してミッドナイトは、

 

「コースを守ってるからありよ!!言ったでしょう!なんでも(・・・・)って!それより良いの!?トップの伏黒君はもう第一の関門に行ったわよ!」

 

 ミッドナイトの言葉にギョッとしながらも周りの生徒たちは足を再度動かし始めた。そのことを伏黒は後ろを振り返って確認すると小さな声で「余計なことを……」と呟いた。すると、上空にいるにも関わらず目の前に壁ができた。前を向き顔を上げる。するとそこには、

 

『さぁ、いきなり障害物だ!まずは手始め、第一関門!こんな早く出番が来ると思ってなかったロボ・インフェルノ!』

 

 雄英の実技試験に登場したお邪魔ギミックが何台も点在していた。突然の出来事に驚きながらも思考はどこから資産を出しているのかと言う疑問に切り替わる。

 

『仮想ヴィランロボットがお相手だ!』

 

 だがそれでも。伏黒にとって巨大ギミックはただでかいだけで鈍く隙間も大きかったため穴の空いたザルにしか映らなかった。

 

「大した壁になってねぇよ」

 

 そう呟きながら伏黒は巨大ギミックの間をすり抜けていく。何台か巨大ギミックの体の上に仮想ヴィランも存在していたがそれも難なく回避していく。すると直後、背中に冷気を感じた。振り返ると最初にいたお邪魔ヴィランが氷漬けにされていた。驚きながらも下を見るとこちらを睨んでくる轟がいた。目線がかち合うと伏黒は鵺の速度を上げた。

 

『伏黒、独走状態!!っていうか、飛行個性持ちはメッチャ有利じゃん、不平等じゃねぇの!?そこんとこ、どうなんだイレイザーヘッド!』

 

『世の中そんなもんだろ。そもそも個性ありきの競技な以上、平等も不平等もありはしねぇよ。それにこの学校の校訓はなんだよマイク』

 

『YEAAHHHHHH!!勿論知ってるぜ!『Plus Ultra』ってなぁ!!』

 

『そう言うこった』

 

「ちっ……(出遅れちまった、クソッ。やっぱりと言うか予想通りこう言う競技タイプは万能型の伏黒によく刺さるな)」

 

 舌打ちをしながら轟は多少体が冷えるのを無視しながら氷を後ろに放出して速度を上げ始めた。初めの凍結で大分ふるいにかけることは出来たが伏黒が空を飛べるなどを考慮するのを忘れていた轟は急いで次の関門に向かった。周りのA組達も急いで伏黒と轟を追った。

 

『そうこうしている間にぃぃ!1ーA伏黒恵!早くも第二関門、ザ・フォールに到達ぅ!』

 

「大層な綱渡りだな。まあ、俺には関係ないけどな」

 

『おーっと!それも関係なしと伏黒、上空を飛んで攻略かぁー!?』

 

 足場を使わずとも鵺に乗れば上空を旋回することで移動できるためそのまま進もうとする。瞬間、不自然なまでに強力な風が伏黒と鵺の体に襲いかかった。

 

「なっ!?」

 

 突然の出来事に鵺は飛行の体制が崩れ、そしてその上に乗っていた伏黒はバランスを崩して自由落下を開始した。しかし、伏黒はすぐさま鵺を仕舞い、蝦蟇を呼び出すと舌をすぐそばにあった縄に巻き付かせて落下の勢いを利用して第二関門のスタート地点から二つ目の岩場に着地した。

 

『ナイス反応だ伏黒恵!だが、これでわかったな!?縄を渡ろうとした瞬間!空を飛べるタイプの個性にはランダムで風が吹くように出来ている!!飛ぶ高度が高ければ高いほど風の強さは増す!バランスを崩して奈落の底に……なーんてならないよう気をつけNA!!ちなみに落ちても中腹あたりに網が貼ってあるから怪我のほうは心配すんな!』

 

「エンターテイメントしすぎだろこの学校は……。蝦蟇、悪いが地道に、それでいて早めに頼む」

 

 伏黒は蝦蟇にそう頼む。すると蝦蟇は「ゲコッ」とだけ答えて綱をしっかりと掴んで移動し始めた。アンバランスすぎて立つのに苦労しそうだと思っていたが、綱は思っていたよりもしっかりとしていたようでそこまでグラつくことはなかった。そんな様子をプロヒーロー達は画面越しで見続けていた。

 

「1位の奴が圧倒的すぎるぞ!?」

 

「エンデヴァーの息子さん、か?」

 

「いや、エンデヴァーの息子さんは第2位の氷を出してる子だ」

 

「エンデヴァーの息子を抑えて第1位かよ……」

 

「個性も強い。だがそれ以上に突然バランスを崩して落ちても冷静に対処できる判断能力、呼び出した?個性に瞬時に捕まることのできる運動能力、どれをとってもプロヒーローに勝るとも劣らない」

 

「早速、サイドキック争奪戦だなぁ!」

 

 思い思いの言葉を言いながら画面越しに見える伏黒に対して評価を下し続けるプロヒーロー達。そんなこともつゆ知らず伏黒は難なく第二関門を突破すると蝦蟇を解除して走り始める。するとすぐに後ろから誰かがたどり着くのがわかった。来んのが早えよ、と1人愚痴をこぼしながらも伏黒は第三の関門に到達した。

 

『先頭を独走中の伏黒を筆頭にあと少しで追いつきそうな轟、爆豪と続いて、下は団子状態!上位何名が通過するかは公表してねえから、安心せずに突き進めよ!そして早くも伏黒が最終関門にさしかかる!かくしてその実態は……怒りのアフガンだァァァァ!地面は地雷原!上空には本日お披露目の対空兵器が待ち受けているぞ!どっちとも見た目と音は派手だから失禁必至だぜ!』

 

『人にもよるだろ』

 

 その言葉ともに柵の外からドローン型の仮想ヴィランが飛び出してきた。これを見た伏黒はリスクありならば鵺に乗って飛べるが、リスクがデカすぎると判断。蝦蟇で一飛びすれば辿り着けるかと言われれば絶対に無理。そう判断した瞬間、蝦蟇をしまって影から玉犬・黒を呼び出す。

 

「嗅ぎ分けろ玉犬」

 

「ワフッ!」

 

 伏黒の言葉に玉犬・黒は吠えると地面に鼻をつけて匂いを嗅ぎ始めた。しばらくすると顔を上げて何かを避けるように先を進み始めた。伏黒も玉犬・黒が通った場所をなぞるように進み続ける。

 

『……なあ、イレイザー。これってもしかして……』

 

『わかってはいた事だが、見事に見抜かれてるな。伏黒恵、個性《影絵》。影で呼び出した動物を使役する個性。個々のスペック値は通常の動物の上をいくらしい。嗅覚の優れている犬。そんな犬の嗅覚が強化されてるのだとしたら回避は余裕だろうな』

 

『なんでもありじゃねぇか!空も飛べて、足場の悪いところも難なく攻略できて、終いにゃあかなり巧妙に隠した地雷原も簡単に攻略って!』

 

 プレゼントマイクがチートだチート、とぼやいているのを無視しながら伏黒は玉犬の後に続く。順調に進んでいき中腹地点まで到達した。だがしかし、

 

「おい」

 

 後ろからパキパキと何かが凍りつくような音ともに声が聞こえてきた。背筋に嫌な予感が走り咄嗟に飛び跳ねる。すると、先ほどまで立っていた地点に霜が走り、次の瞬間には凍りついていた。声と個性から轟だとすぐにわかったがいくら何でも早すぎる。そう思い振り返る。そして何でこんなに早く自身に追いつけたのか伏黒は理解した。

 

「良いのかよ。道作っちまって」

 

「追いつく方が優先だ。違うか?」

 

 轟は地雷のあった地点を無視して一直線に凍らせることで最短ルートを作り上げたのだ。当然、轟にもリスクはある。安全地帯を作った以上、後ろから迫ってくる後続たちは安全にその道を通れるのだから。伏黒は轟も切羽詰まっていたことを確信すると同時にまだ自身が有利であることを悟る。足場が限られている状態で伏黒は轟に上段蹴りを放ち牽制する。轟は伏黒の蹴りを躱すと触れて氷漬けにして身動きを封じようとしているのか伏黒に掴みかかる。

 

『伏黒と轟が並んだァァァァ!!喜べマスメディア!お前ら好みな展開だァァ!!』

 

 するとスタジアムの方から歓声が上がる。伏黒は轟が思っていたよりも近接戦に秀でていたため手間取っていた。少し伏黒の顔に焦りが浮かぶ。すると、

 

「待てや!影野郎!半分野郎!俺を無視してんじゃあねぇーー!!」

 

「ここに来て爆豪かよッ……」

 

「チッ、面倒くせぇ奴が」

 

 爆豪が掌を爆破させながらこちらに飛んできた。空中を飛んでいる時にドローン型の仮想ヴィランに爆撃されていたのか体操服が汚れていた。

 

「……飛んでくるとはな。さてはお前馬鹿だろ」

 

「ア゛ア゛!?なら、半分野郎の作った道を走れってか!?ざけんな!俺は俺の道を行くんだよぉ!!」

 

「よそ見してる暇あんのか、伏黒」

 

 煽りながら徒手空拳で2人を迎撃し続ける伏黒、隙を見て伏黒を凍らせようとする轟、そんな2人に爆破と打撃を叩き込みながら戦う爆豪。一進一退の攻防が繰り広げられる。観客席から伝わる歓声がさらに高まるのを感じる。その時、鼓膜を破るような大爆発が後方で起こった。伏黒を含めた3人が戦いを止めて後のする方向に目を向ける。するとそこには、大量のドローン型の仮想ヴィランを(・・・・・・・・・・・・・・・・)引き連れた緑谷が(・・・・・・・・)空から降ってきた。

 

「なっ!?」

 

「デクァ!?」

 

「ヤベェな。これはッ」

 

 緑谷が着地して駆け抜ける。その次の瞬間。緑谷を追っていたドローン型の仮想ヴィランは伏黒、轟、爆豪目掛けて突っ込み地雷の誘爆も相まって信じられない大爆発を引き起こした。

 

『ヤベェェェェェェェ!!!大・爆・発!!え?これ本当に大丈夫?威力が洒落になってねぇけど?』

 

 あまりの爆発に緊張からか歓声が一度止まる。すると煙の中から伏黒が咳をこみながら飛び出した。

 

『生きてたァァ!!無傷ってわけじゃねぇけど走れるだけの余裕はあるっぽくてよかったー!あれ?爆豪と轟は?』

 

 体が煤まみれとなった伏黒の登場にプレゼントマイクを筆頭に観客が再度歓声を上げる。大体4、5秒もしないうちに目を血走らせた爆豪と顔を歪めた轟が煙の中から現れる。

 

「影野郎!デクゥゥ!!」

 

「やってくれたなッ……」

 

 それぞれ口から恨言がこぼれ出る。大爆発が起こる直前に伏黒は鵺を呼び出し抱きしめるように防御させ、轟は氷のバリアを貼ることで衝撃を防ぐ、爆豪は最大火力の爆破で爆破を相殺した。この段階で伏黒が一手先をいっていた。轟と爆豪が走り出そうとした瞬間、伏黒は鵺に最大火力の電撃を放たせたのだ。当然回避する術もなくもろに電撃を受けた2人はその場に倒れ込む。伏黒はそんな2人を尻目に緑谷を追いかけた。目の前に緑谷の背中が見える。それを見た伏黒は全力で駆ける。しかしそれでも、

 

『誰が予想出来た!?今一番にスタジアムに還って来たその男

 

――――――緑谷出久の存在を!!!』

 

 緑谷を追い抜くことは出来なかった。緑谷のゴールするとプレゼント・マイクの実況と共に、空気が震える程の大歓声があがった。悔しかった。爆豪や轟ばかりに目がいきすぎて緑谷の存在を完全に頭の中から外していた。現実を受け入れ前を向く。大歓声の中、伏黒恵の第一種目の結果は2位で終えた。

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