いつだったかオールマイトをメインとした番組がやっていた時の話だ。内容はオールマイトにとってのヒーローとはというありきたりなものだった。そして番組の時間が中盤に差し掛かったところで番組主催者がとあることを聞いたのだ。
――――オールマイトが戦って建物を壊したところを見たことがないんですが、そういう個性なんですか?
と。それに対してオールマイトはいつものようにアメリカンに笑うと首を横に振って否定すると
――――周りを壊さないように気を遣っているだけさ!
と答えた。それを聞いた主催者はおー!と言って周りも称賛の声で溢れていた。しかし、それを聞いたヴィラン達や評論家達は戦慄した。オールマイトの言葉が事実だとするならばオールマイトは今の今までヴィラン相手に本気で戦ったことが殆どないということになるからだ。
それほどまでに信じられない事実だからだ。天候を変えるほどの破壊力を持つオールマイトの一撃にまだまだ余裕があるということは。そして今回、演習試験にてオールマイトから周りを気遣うという意識はなくなり完全に枷が外れていた。
それはつまり拳を振るった衝撃で生じたハリケーンと見紛う一撃を放った今この瞬間こそがオールマイトの力の剥き出しの姿なのだ。舞い上がる土煙の中から、カツカツカツという足音と野太い声が聞こえる。
「街への被害などクソ食らえだ!」
オールマイトの声は確かに大きい。それはきっと周りを鼓舞するためや救助すべき人間を呼ぶためにそうなったのだろう。しかし、今回は普段と全然違った。
(((何だ…何なんだ…この威圧感は!!!)))
言葉そのものが質量を帯びたような感覚が伏黒達に重くのしかかってくるように襲いかかる。それは何処かヒーロー殺しが最後に発した威圧感によく似ていた。
「試験だなどと考えていると痛い目見るぞ。私は
その言葉と共に右足で地面を強く踏みつけると、風のように駆ける。それと同時に威圧感がさらに強くなって襲いかかる。それを感じた伏黒は背筋が粟立つような感覚に襲われる。咄嗟に逃げの選択が浮かぶが戦闘能力は疎か機動力も膂力も果ては経験すらも3人束ねても足元にも及ばない以上、逃げは下策と判断。
チラッと緑谷を見るが半ば信仰の対象に近いオールマイトが襲いかかってくることに衝撃を覚えたのか動けないと判断し、まだ冷や汗をかいているが笑っている爆豪がまだ動けると判断するとアシストに回ろうとする。
爆豪がオールマイトをギリギリまで引きつけると左手と右手を包み込むようにして突き出す。
「
すると爆豪の手を起点に太陽を思わせる眩い光が溢れ出す。流石のオールマイトも目は鍛えてなかったのか目を覆うように右手でカバーする。
「オールマイト!!言われねぇでも最初から俺は!」
爆豪が掌から爆破を発生させて空中に浮くと猪突猛進にオールマイト目掛けて突っ込む。しかしオールマイトは目をすぐにカバーしたこともあって視界が戻ると爆豪を捕まえるべく手を伸ばす。が、
「おおっと!?」
「チッ!邪魔すんな!伏黒!!」
【嵌合纏】を発動させた伏黒が爆豪の影から飛び出すと手首を蹴り飛ばしてオールマイトによる爆豪の捕縛を防ぐ。それに対してオールマイトは驚き、爆豪は舌打ちをしながら悪態を吐くとオールマイトの顔目掛けて全力ではないが強めの爆破を連発する。
「うーん!いい連携…って言いたいところだけどこれは伏黒少年のアドリブかな?それとだ、爆豪少年。私を仕留めたいんだったらっ!」
「なっ!?ガァッ!!」
「本気で打ち込まないとな」
空中でオールマイトの顔面に爆破を連発してた爆豪がバランスを崩すとオールマイトは爆豪を掴んで地面に叩きつける。爆豪の体勢を崩すためにオールマイトのやったことは単純だった。ただ全力で拳を放たずにその場で旋回させた。ただそれだけ。それだけで体幹の優れた爆豪が一発で体勢を崩すほどの強風を引き起こしたのだ。
「そして君もいつまで引き篭もってるんだい?伏黒少年」
「チッ!」
大きく肺から息を絞り出すように吐き出す爆豪を見たオールマイトは自身の影目掛けて拳を放とうとする。するとたまったもんじゃないと言わんばかりに影から伏黒が飛び出し、せめて一撃を喰らわせようとするもかわされて終わる。
「爆豪少年を囮にして奇襲をかけようとしたのかな?悪くない判断だが、協力したほうがよっぽどいいとおじさんは思うんだよね?」
「片や意固地になって、片や崇拝から。いずれも思考停止した輩と足並み揃えるほどお人好しにはなれませんよ、オールマイト」
「くうぅ〜!手厳しいぜ!でもさ、それって私に1人で挑むことほど勝ち目があることなのかい?」
そう言うとオールマイトは先ほどよりも速く突っ込んでくる。人が認識できる以上の速度を加算した一撃を伏黒に見舞おうと拳を突き出す。しかし、
「もとよりそのつもりですよ」
それは伏黒の一本背負いによって防がれる。
伏黒がやったことはオールマイトが突っ込んできて拳を突き出すためにブレーキをかけるその瞬間を見抜くためにじっと待って構える。そうして伏黒の顔面スレスレまで拳が近づくとギリギリで避け、オールマイトの胸目掛けて突っ込んだ。そして伸び切った肘とスーツの胸ぐらを掴み、オールマイトが起こしてみせた勢いを利用して地面に叩きつけた。
それを見た爆豪や緑谷は目を見開いて驚く。そしてゲハッと爆豪のように息を吐き出すオールマイトも同様だった。オールマイトは寝たきりでいるはずも無く、追撃を加えるべくオールマイトの喉目掛けて踏みつけようとしてきた伏黒の一撃をかわすと先ほどまで頭部のあった場所に手をやり足を掴んで無理矢理投げる。
「ゴホッゴホッ…マジで驚いたな」
「俺が普段相手にしてんのが拳藤なんでね。まあ、もっとも。流石に生身で投げれるほどの技量は俺にはありませんから【嵌合纏】で【虎葬】を使ってますけどね」
「パワータイプの対策は万全って訳だ。いやー!驚いた!…で?それ後何回やれるんだい?」
目に見えてダメージを受けたオールマイトは何てことなさそうに伏黒に問いかける。伏黒の顔には尋常じゃないほどの汗が噴き出していた。当たり前だ。確かに拳藤の一撃はオールマイトにも届くほどだ。しかし、そこに込められた念、思い、経験は段違いだ。しかも食らえば一発KO間違いなしの一撃はたった一度で伏黒の精神を大幅にすり減らしていった。
「………」
「ま、言わなくていいとも。君は後でゆっくりと仕留めさせてもらおう。色々と戦力を削いだ後でねッ!」
黙ったままの伏黒にオールマイトは笑ってそう言うと及び腰になって出口へと向かおうとする緑谷の前に回り込む。
「どこへ行こうというんだい?緑谷少年。まさかと思うがチームを置いて逃げるのかい?」
「〜〜ッッッッ」
伏黒からしても緑谷が完全に戦う前から戦意喪失しているのが容易に理解できた。少しでもオールマイトから離れようとしたのかフルカウルを発動させて飛び退く。
「【蝦蟇】!緑谷に舌を巻き付けろ!」
「うぇぇ!?伏黒君なにを!?」
「焦んな!周りをよく見ろ!」
咄嗟に伏黒が発動させた蝦蟇に無理矢理地面に引き戻される緑谷。何事かと伏黒に問うと緑谷に対して周りを見ろと言われ周りを見る。
「危ねぇだろうが!デクゥゥ!!」
そして緑谷の目に空を飛んでいた爆豪が映る。そして悟る。自身が跳んだあの瞬間にはすでに爆豪がいて伏黒がいなければ衝突していたことに。伏黒はぶつかればこれ以上拗れる可能性も考えて咄嗟に衝突を避けた。しかしそれは歴戦の英雄にとって致命的すぎるスキとなった。
伏黒の腹部に致命的な一撃が突き刺さる。それと同時に10メートル近く地面と並行しながら飛んでいくとビルに直撃する寸前で伏黒はビルの壁にへばり付くように着地する。一瞬、「ヤベ、やり過ぎた」と思って助けようとしたオールマイトもまさかこの一撃に耐えるかと驚き壁に張り付いた伏黒を見て得心する。
「なるほど今の伏黒少年は【蝦蟇】を纏ってるわけだ。たしか【蝦蟇】は打撃とか衝撃に強いんだっけ?おまけにギリギリだったけど受け止めるんじゃ無くて後ろに飛んで地面から足を離すことで体に衝撃が巡るのを抑えたと。いやー、改めて思うけどマジでやるね!純粋にゴリッゴリのパワーファイターに戦いなれてるだけだと出来ない芸当だ!」
オールマイトの心からの賞賛に壁から降りると【蝦蟇】を解除して【玉犬】を纏い直す。
「職場体験先はアンタの元サイドキックだ。予測や演算はいやってほど先輩方に仕込まれたよ」
「なるほどナイトアイの。納得がいったよ。それで伏黒少年?
その言葉と共に伏黒の膝がガクガクと笑い出す。そして間を置かずしてその場で崩れ落ち、【嵌合纏】が強制的に解除されると口からヒュー、ヒューという浅い呼吸音が漏れ出す。流しきれなかった。最強の一撃は打撃に強いはずの【蝦蟇】の耐久性と持ち合わせた技を貫通して伏黒を行動不能一歩手前まで追い込んだ。
「ゲロっちまったほうが楽だぜ?」
「ヒュー、ヒュー…ング、誰がッ」
「全く強情な。で、他の2人は……全く何やってんだい」
緑谷と爆豪が何をしているのか気になったオールマイトが後ろを振り返るといがみ合う2人が目に映り呆れた。そしてスタスタと歩き近くにあったガードレールを引っこ抜くと天高く跳躍した。
「逃げたい君には〜〜こいつをプレゼントだッ!」
そう言いながらオールマイトはガードレールを緑谷目掛けて拘束するように打ち込むとすぐに爆豪の鳩尾目掛けて拳を突き刺す。いきなり生じた胃を押し出すような衝撃に爆豪は耐えきれず吐瀉物をぶちまけながら飛んでいくと地面に転げ回される。
そして少しだけ落ち着いた伏黒が立ち上がるとオールマイト目掛けて走る。それを予測していたオールマイトは振り返ると目の前に澱んだ色の液体が迫ってくる。それは伏黒の吐瀉物だった。「きちゃない」と言いながら重心を低くして回避すると同時に踏み込もうとする。
「うおっ!?」
すると急な段差が生じたかのように足場が消えてバシャッという水にも似た感覚を味わう。足元を見てみると自身の足がいつの間にか伸びていた伏黒の影に飲まれていた。そして伏黒の影から4体の【蝦蟇】が現れ、オールマイトの四肢を封じるように舌を巻き付ける。
「畳みかけろ!!」
伏黒の言葉と共に影が大きくゆらめくと拳を大きく振りかぶったチャージ完了済みの【虎葬】が現れる。足を取られて四肢も封じた。この状態からでは反撃は愚か回避も不能。そして伏黒は以前の対話でオールマイトの弱点をよく知っていたため、この一撃で仕留められると確信していた。
唯一の誤算があるとするならば伏黒は人を相手していたつもりだったが、相手は人の形をした【天災】であったというところにある。
体を急速回転させる。ただそれだけで拘束していた【蝦蟇】を遠心力で振り飛ばし、チャージが少なかったとはいえ【虎葬】の一撃をまるでコマのように弾き飛ばす。このままでは破壊されると判断した伏黒は【蝦蟇】も【虎葬】も解除して巻き込まれ宙を舞いかけた自身を【玉犬・渾】に回収させる。
そうして次の一手を打つべくもう一体の式神を呼び出そうとした瞬間、凄まじい虚脱感と頭痛に襲われる。そしてその反応から自分の許容限界を越え始めたことを悟った。
伏黒の個性は遠距離、中距離、近距離、全てに対応したオールラウンダー。おまけに呼び出された式神達も固有の能力を持つなどただ対応できるだけで無く一体一体がひどく強い。一見弱点のない強個性に写るがその実、弱点を抱えていた。
それは燃費の悪さにある。この個性はいわばゲームにおける
そしてMPが底をつきかけると体がそれに反応する。まず初めに頭痛。頭の奥がピキィーンといった風な感覚に襲われる。次に虚脱感。体から凄まじいストレスと共に筋力が衰えていくのと似た感覚に襲われる。そして最後に顔からの出血。許容限界をはるかに超えた場合にのみ起こる現象で目や鼻、耳に口と顔がある場所の穴という穴から血が流れ出す。
伏黒は今まさに個性使用限界の第二段階へと移行していた。そんな様子を見たオールマイトはこれ以上の戦闘は難しく、出来ても問題なく対処できると思ったのか踵を返して爆豪の元に歩み寄る。
そしてまるで諭すように優しく話しかける。何をそんなに焦っているのだ、と。まだまだ発展途上の君には可能性があるんだ、と。爆豪はそれに対して息を荒くしながら吐き捨てるように言う。
「黙れよオールマイト…!あのクソ共の力ぁ借りるくらいなら……負けたほうがまだ…マシだ」
その発言に何を思ったのかオールマイトは少し黙り込むとせいぜい悔いのないようにと言って手を振り上げる。しかしそれよりも速くたどり着いた緑谷が爆豪の横面を殴り飛ばす。
「負けた方がマシなんて…君が言うなよ!!」
完全に予想外だったのか固まるオールマイト。それを他所に緑谷が伏黒の元へと2回跳躍して駆けつけると伏黒の裾を掴んで路地裏に跳ぶ。
「大丈夫、伏黒君!?」
「これを見て大丈夫と思うならなかなかの節穴ぶりだなッ」
「ご、ごめん…」
「冗談だ。で、さっきから騒がしいそこのボロクズはどうすんだ」
「ボロクズはテメェもだろうが!影野郎!」
「元気いっぱいで何よりだよ」
伏黒は爆豪が自身を影野郎と言っているのを聞くとボコられた影響か多少は余裕が生まれたのを確信する。その後、色々と爆豪と緑谷との間に問答があったが最終的に爆豪が自分の顔を小爆破することで気合いを入れ直し3人でここからどうしたものかと相談する。
〜30秒後〜
「どこぉ見てんだぁ!!?」
爆破でブーストしながら爆豪が路地裏から飛び出してオールマイトの後ろに回り込む。そして振り返ろうとするオールマイトの顔面目掛けて爆破をする。そして、
「デク、影野郎!」
「避けろよ爆豪」
「ごめんなさいオールマイト!!!」
路地裏から飛び出してきた緑谷とその影から現れた伏黒が爆豪の手榴弾の形をした籠手のサポートアイテムのピンを引き抜きゼロ距離で凄まじい爆発を浴びせる。
「走れ!アホども!」
「言われんでもッ」
「あ、うん!」
そして直撃を確信した伏黒が【嵌合纏】を発動させ、肩が外れかけた緑谷が無理矢理戻して『フルカウル』を発動させるとその場から急いで逃げ果せる。そしてそこから全力で走り続ける。道中で障害物などの心配はあったが、信じられないことに鉄筋が組み込まれたはずの建物も舗装された道路も関係なく全てがオールマイトの初めに放った拳圧で破壊し尽くされていた。
「オールマイト追ってくる様子がないね……まさか気絶したんじゃ…」
「そんな訳あるか。あんなので倒れるんだったら平和の象徴を名乗ってないだろ」
「聞こえてんぞ影野郎ォ!…だが腹立つけど同意見だ。次もし追いかけてきたら多少キツイが全力の爆破で追い払うぞ」
「わかった、ッ!爆豪!緑谷!受け身を取れ!」
走りながら作戦会議をしていると伏黒が【玉犬】の耳で音を捉える。何か凄まじい風切り音と共に勢いよく迫る巨大なナニカがせまる。伏黒は迷うことなく爆豪の足を掴むと全力で緑谷に向かって投げ飛ばす。そしてすぐに衝撃に備えるべく、後頭部と頭を手で覆う。
次の瞬間、覆った手を貫通するほどの衝撃が伏黒を襲うと背中を凄まじい力が押さえ込む。
「HAHAHAHAHAHA!!やるじゃないか!流石に熱かったぞー!」
伏黒は転がりながら向け身をとって起き上がる。そこにはところどころ焦げながらも怪我らしい怪我が見当たらないオールマイトがいた。起き上がった爆豪が怒鳴ろうと起き上がると緑谷共々絶句する。
「速、すぎる」
「嘘だろッ。俺のサポートアイテムの許容限界ギリギリまで貯めた最高火力を同時に放ったんだぞ、効いとけや!人として!!」
「これでも重りのせいでトップギアじゃないんだぜ?それで手詰まり、ってことでいいのかな?さてとどうしたもんか……よし!埋めるか!」
末恐ろしいことを言っているのが頭に入らないほど3人は驚愕する。対峙してわかった、どこまで見積もっても甘いと思った方が良かったことを。耐久力も速度もパワーも何もかもが全てにおいて強い。そしていやでもわからされる、目の前に立つこの男こそが
《報告だよ。条件達成した最初のチームは轟・八百万チーム!》
「お!相澤くんを出し抜くなんてやるなぁ!ねぇ?君たちはどう思う?」
「じゃあ、俺たちもそうさせてもらいますよ」
「またまた強がっちゃって、ッて、うおぉぉぉぉぉ!!??」
伏黒がオールマイトの足を掴んで電流を流す。そうして指がめり込むほどの力でオールマイトの足首を掴むと遠く目掛けてぶん投げる。これこそ伏黒の
【嵌合纏】は奇しくも緑谷の『フルカウル』とよく似ている。それ故に自身のフィジカルを大きく超えるものを用いた【嵌合纏】は肉体を著しく壊すのだ。伏黒の体からブチブチと何かが千切れていく音と共に激痛が走る。そして許容限界を超えた式神の召喚が原因で目からポタポタと血が流れ始める。
「行け爆豪、緑谷!」
「伏黒君!」
「〜〜〜〜〜〜〜ッッッッッッ!!!行くぞデクゥゥゥ!!」
尋常ならざる伏黒の様子に緑谷は悲鳴のように伏黒を呼ぶが、伏黒の覚悟を察した爆豪が歯を割り砕かんばかりに噛み締めると、緑谷の手を取ってぶん投げるとその後を追うように『爆速ターボ』を用いて後を追う。
それを見たオールマイトは手を引き絞ると自身の前に向かって正拳突きをかます。すると一発目は慣性の方向に逆らうように急ブレーキをかけられる。そしてすぐに二発目を放つことでまるで逆再生でもするかのような勢いで急速移動する。
「させるかぁ!!」
伏黒は自分の肉体に電気の負荷をかけることで、限界を超えた反射速度と【虎葬】の掛け合わせで生まれた身体能力を用いて体当たりの要領で割り込んで無理矢理止めにかかる。しかしそこはオールマイト。ただ突っ込むのではなくその勢いを利用して拳を放つ。それを伏黒はなんとか抑えにかかるも、止められなかったため呼び出した【蝦蟇】を用いて足を縛り付けることで漸く止めることに成功する。
しかし体の負荷も相まって止めることで精一杯だった伏黒は迫り来るオールマイトの大きい掌から逃れることが出来ず、地面に叩きつけられる。
「寝ときな伏黒少年。そういう身を滅ぼすやり方はもう懲りてる」
「知るかよ。ここまで来て失敗しましたが1番あり得ねぇんだよ。それがキツイって言うならせいぜい噛み締めておけ」
伏黒はそう言うと【虎葬】を解除。【鵺】のみを残すことでダメージを喰らって無理矢理発電した電気をオールマイトにしがみつき全力で放出する。伏黒のことを離そうとするオールマイトに必死にしがみつく。すると少ししてオールマイトが大きくよろめき、伏黒の裾を誰かが掴むと伏黒の体がオールマイトから離れていく。薄らとしていく意識の中で伏黒は「暴れんな!」と言う声とパァァァン!という空砲にも似た音が聞こえたと同時に伏黒は気絶した。