伏黒のヒーローアカデミア   作:アーロニーロ

5 / 70
お気に入り登録が増えててビックリしています。読んでくださってる皆さんありがとうございます。


雄英入試、そして結果。

 2月26日。雄英高校ヒーロー科入試当日。伏黒はというと特に変わった様子も無く、いつもと同じような生活を送っていた。朝、簡素な朝食を食べて食器を洗った後に仏壇にある母の写真立てに手を合わせる。淀みなく一通りの作業が終わった後に身支度を整えた伏黒は家を出る準備をする。玄関で靴を履いて、玄関を開ける。するとそこには、

 

「よう」

 

 白い息を吐いて笑いながら挨拶をする拳藤がそこにはいた。それを見た伏黒は驚くことはなかった。理由はステインとの交戦以降、互いの欠点を克服し合うために組み手や個性の訓練などを行うために拳藤が伏黒の家まで足を運んで共に行動することが多かったからだ。それに元々伏黒と拳藤の家は大分近かった。待ち構えていた拳藤を見て伏黒は少しため息を吐くとそのまま歩みを進めた。

 

「ちょっと、幼馴染に挨拶もなし?」

 

「今日は雄英の試験だぞ?むしろ人を迎えに来るだけの余裕のあるお前が羨ましいよ」

 

「お、なんだ?緊張してるのか、伏黒?珍しいな」

 

「ああ、そうだよ。悪かったな」

 

 伏黒がつっけんどんにそう言い返すと拳藤は本気で意外そうな顔をした。実際、伏黒はかなり緊張していた。過去に自身のやりたいことがわからずになぁなぁで人生を無駄に浪費しながら過ごしてきた彼にとって生まれて初めてやってみたいこと、目指したいものに向けての試練なのだ。伏黒にとって今日この日に至るまでに並々ならぬ努力を積んできたつもりなのだ。故に今の伏黒は正直な話、寒さも相まって震えそうなほど緊張しているのだ。その様子を見た拳藤は少しため息を吐くと緊張をほぐすために過去の話をする。

 

「そんなことより、あん時の凄かったなぁ。あの『舎弟事件』」

 

「やめろ。なんで今そんな勉強してきたことが飛びそうな話題を出してきた」

 

 『舎弟事件』。その事件を語るには今から約半年以上前に遡る必要がある。

 

 あれはステインに関する事件の終了後、ある程度の事情聴取が終わり事件が過去のものになろうとしていた時だった。放課後になり自主勉兼、個性や自身の身体能力を高めるトレーニングを行うべく学校の校門から出ようとした時だった。

 

 校門の前に複数人のヤンキーや不良など日陰者と名のつく者たちの筆頭格がそこにはいた。当然伏黒は初め御礼参りやもしかしたらステインの一件でボコったことで面子が潰れたことに対する報復だと思っていた。故に適当なところに必要最低限しか入っていないバックをそこら辺に置き喧嘩の準備をする。ステインの一件以降、拳藤と並木先生との約束で喧嘩は禁止だと言われているが、条件として『喧嘩を売られた場合にのみある程度怪我をさせないように対処するのであれば喧嘩しても良い』と言うことになった。伏黒は流石に喧嘩は避けられないと半ば確信しながら不良たちに話しかける。

 

『おい、何の用だ』

 

 普段よりも声を低めに目つきを悪くしながらそう問いかけると不良たちの目線が一斉にこちらに向いた。どう来ても対処できるように構えていると、

 

『『『伏黒さん、お勤めご苦労様です!』』』

 

 一斉に筆頭格全員がモーセのごとく道を譲り頭を下げ、腹の底から出したかのような声で伏黒を出迎えた。あまりの出来事に伏黒は頭の中が真っ白になったと言う。いきなりの出来事に思考が追いつかずに全ての挙動か止まった。関わらないように遠巻きで見ていた学生たちも何事かと音の発生源によるほどだった。すぐさま衝撃から立ち直った伏黒は何故このようなことをするのかと問う。すると、どうやらあの事件でまだ意識があった奴がいたらしく。自分たちを助けた挙げ句、主犯格であった男を助けた度量に惚れたとのことだった。そしてその話を事件の関係者たちに片っ端から話したらしい。それを聞いた伏黒は本気で頭を抱えた。伏黒が頭を抱えている間も口々に、

 

『伏黒さん、本当にありがとうございましたぁ!!』

 

だの。

 

『オレらがこうやってちゃんと生きて学生やっていけてるのは、伏黒さんのおかげッス!』

 

だの。

 

『この恩、忘れません!』

 

 言ってきた。これはどう足掻いても、何を言っても聞きはしないことを伏黒は悟っていた。あの時の伏黒の気持ちを表すなら「どうしてこうなった」だろう。一応言っておくが、伏黒の個性に洗脳系の能力を持った影絵の動物は現状は一体もいない。

 

 そこからはまあ大変だった。集まる野次馬、またコイツかと言わんばかりの顔をした担当の教師、遠目で伏黒を指差して爆笑する拳藤と並木先生。なんとか不良連中を撒いた次の日を迎える頃には事件後に印象が変わったと心の距離を詰めてくれる人たちは拳藤を除いて一人残らず遙か彼方へと遠のいていった。挙げ句の果てに伏黒についた渾名は『植蘭の龍』。あまりのダサさに、そして因果応報といえど自身に対する仕打ちに伏黒は本気で涙したとのことだ。

 

「あん時はホントに笑ったなぁ」

 

 ケラケラと笑いながらそう語る拳藤を睨め付けながら恨みがましく伏黒は言う。

 

「笑い事じゃねぇよ。危うく、進路が絶たれるところだった」

 

「本当にね。でも、あの一件以降ここら一帯の不良連中は一切合切悪さしなくなってその上、街に貢献するようになったって理由で進路を取り消されることはなかったじゃん」

 

「それはあいつらがなんでもするって言ってたから『半グレやめて真っ当に生きろ。無理なら互いに協力し合え』って頼んだからだ」

 

 素直に言うことを聞いた時は驚きを隠せず思った以上に義理堅かったことを伏黒は知った。しかもその後、自身達が伏黒の夢の足枷になるかもしれないと関わるのをやめる徹底ぶりだった。

 

 因みに完璧に余談だが、伏黒と拳藤の二人とも両者ともに不良をまとめ上げて街に貢献させたということから『植蘭の平和の象徴』と言われていることにまだ気が付いていない。

 

 ケラケラと笑う拳藤とその言葉に突っ込みを入れながら歩く伏黒は互いに緊張を解きあっていく。すると、

 

「お、着いたな」

 

「みたいだな」

 

 伏黒と拳藤は目線をまっすぐ向ける。するとそこには"雄英高校ヒーロー科試験説明会場"と書かれた看板がそこにはあった。

 

「んじゃ、このまま行こうか。伏黒」

 

「まあ、筆記の番号はほぼ同じだからな」

 

 各々、そう言いながら雄英の会場に入っていった。

 

 

 あれから筆記試験が終わった。元々地頭のいい上に努力の怠らなかった伏黒にとって雄英の試験すらそこまで難しいものではなかった。自己採点で最低でも470点以上は取れていることを確信しながら実技試験を待つ。内容はどんなものなのかと考えていると、一人の男が壇上に出てきた。

 

『受験生のリスナー!!今日は俺のライヴにようこそー!!エヴィバディセイヘイ!!!』

 

 突然出てきた男はいきなりそう叫び、両手を高らかに挙げた。明らかに滑ったからか会場が静まりかえる。

 

『こいつはシヴィー!!なら受験生のリスナーに実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!!アーユーレディ!?』

 

 さらに男は続けて声を張り上げた。依然沈黙が保たれる会場。それでも平常心を保てるのはプロ故なのかそれとも純粋に鋼のメンタルを持ち合わせているからなのか。いずれにせよこのヒーローはある意味で凄いなと思いながら伏黒は眺める。その後も会場の空気など気にせずに男は話を続ける。

 

『入試要項通り!リスナーはこの後!10分間の、模擬市街地演習を行ってもらうぜ!!!』

 

 そして、実技試験の説明が始まった。要点を掻い摘んで説明すると。

 

・実技演習試験では都会を模した会場の中で他受験者と競い仮想敵ロボットと戦う。ロボットを無力化・行動不能にするとヴィランポイントが加点。

 

・敵ロボットは3種。倒してポイントになるロボット各1P、2P、3P。

 

・各々のやり方"個性"で仮想敵を行動不能にしてポイントを稼ぐ。

 

 と言うものだった。

 

「行動不能、ねぇ」

 

 伏黒は最後に説明された『行動不能』の言葉を見て仮想敵は破壊するだけでなく。

動けなくするだけでもポイントが入る(・・・・・・・・・・・・・・・・・)ことを悟る。しかし、その反面。人間にのみ効果を示すタイプの個性持ちはどうするのかと考える。すると、

 

「質問よろしいでしょうか!!」

 

 この広い雄英のホールの中でもよく響く声で質問をする男が現れた。伏黒は声の大きさに顔を顰めながら声の発生源へと目を向ける。するとそこにはthe委員長といった風貌のメガネがいた。こう言う質問する時はマイクとか使わないのかと思っている伏黒を尻目に話は進む。

 

『オーケェ!!言ってみ!!』

 

「プリントには4種の敵が記載されております!誤載であれば日本最高峰である雄英において恥ずべき痴態!!我々受験者は基盤となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」

 

 眼鏡は熱く語りかけるかのように話していた。それを見た伏黒は痴態とは言い過ぎでは?と思ったとのこと。そして、眼鏡はギュルンという効果音がつきそうな勢いで振り返りながら伏黒の後ろあたりを指さす。

 

「ついでにそこの縮れ毛の君!!先ほどからボソボソと、気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻、ここから去りたまえ!!!」

 

「すみません……」

 

 振り返ると緑髪の天然パーマの少年は恥ずかしそうに小さくなりながら謝っていた。

 

(さっきからブツブツ言ってたのコイツか……)

 

 謎の音に気づいた伏黒は納得すると前を向きなおる。すると、目の前で試験の概要を説明していた男が捕捉して説明した。曰く、この4体目の仮想敵は倒してもポイントにならない巨大敵ロボットとのこと。ゲーム風に言うなればドッスンに位置するものだと言う。それを聞いた委員長風のメガネは勢いよく礼を告げるとその場に座った。思っていた以上にアグレッシブな奴が多いことに驚いていると、

 

『俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校の"校訓"をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!《真の英雄とは人生の不幸を乗り越えてゆく者》と!!……"Plus Ultra"!!!それでは皆、良い受難を!』

 

 壇上で説明していた男は最後にそう締めくくりその場を後にした。最後の最後で告げられた言葉に伏黒は頬をわずかに上げて笑い、その場を後にしようとする。すると、

 

「おい!伏黒!」

 

「あ?なんだ?」

 

 拳藤が声をかけてきた。試験も間近だというのに何事だと思い聞き返すと。

 

「互いに頑張ろう!」

 

「――――」

 

 出てきたのは励ましだった。幼馴染のお人好しぶりに吹き出してくつくつと笑うと。伏黒も

 

「こっちのセリフだ」

 

 そう言い返した。完全に肩の力の抜けた二人は今度こそ各々の試験場へと足を運んだ。

 

 

「……デケェ」

 

 バスで試験場に着くなり伏黒が第一声に放った言葉はその一言に尽きた。比喩表現なしで街一つが伏黒の目の前に広がっていた。あまりの広さに伏黒以外の受験生達も感嘆の声を上げていた。すると突然、

 

『ハイ!!スタァァァァトォォォォ!!』

 

 マイクから先ほどの男の声が聞こえた。だが受験生一同は何が起こったか全く分かっていない様子だった。かく言う伏黒も一瞬固まった。

 

『どうしたあ!?実践じゃ「《玉犬》!」カウントなんざねえんだよ!走れ走れぇ!賽は投げられているぞ!』

 

 試験官の言葉を言い切る前に伏黒は反応して、二匹の玉犬を影から呼び出す。少ししてから他の受験生も動き出したのを後ろから聞こえる振動でわからされた。伏黒が曲がり角を曲がった瞬間。

 

『標的補足!!ブッ殺す!!』

 

 カタコトな日本語で話しながら建物をぶち抜いてきた1pヴィランが現れる。が、

 

「《玉犬》。噛みちぎれ」

 

 伏黒の前を走っていた2体の玉犬に噛みちぎられた。完全に壊れた仮想敵に近寄ると伏黒は素手で全力で叩いてみる。

 

「なるほど、本気で殴れば2、3発もあれば壊せる程度か。工夫すれば一撃で壊せそうなあたり、脆いって言ったのは案外嘘でもなさそうだ」

 

 そう判断した瞬間、伏黒の中で策は決定した。

 

「《玉犬》。お前らは率先して2、3Pの仮想敵を壊しまくれ。生身の俺じゃ無理そうだからな。わかったな?じゃあ、行ってこい」

 

 そう言った瞬間、二つの白と黒い影が伏黒の元から飛び出す。伏黒は近くに落ちてた棒状のスクラップを握る。

 

「……意外にしっくりくるな」

 

 そう呟くと伏黒は前を向き仮想敵と受験生の群れへと突っ込んでいった。

 

 

「これで12体目」

 

 ショートした1Pヴィランを尻目に手持ちのスクラップを器用に払い続ける。現状、伏黒()壊した仮想敵の数は1Pヴィランが10体、2Pヴィランが2体と通常であれば不合格が確定するほど低いものだった。しかし、

 

(確か雄英のヒーロー科入試の実技試験の合格の平均は大体30後半から〜40P程度だと聞いてる。一旦、情報をまとめるか)

 

 それはあくまでも伏黒恵のみが獲得したポイントを言えばの話だ。玉犬の持つ能力。それは『共有』。玉犬に下した命令が履行されるたびに伏黒本人にうっすらとだが伝わるように出来ているのだ。現状、伏黒が分かっているだけでも玉犬・白が壊した仮想敵は2Pヴィランが5体、3Pヴィランが6体。玉犬・黒が壊した仮想敵は2Pヴィランが8体、3Pヴィランが5体と伏黒自身のポイントと合わせれば73P稼いでいるのだ。それでも伏黒は油断することはなかった。万が一、億が一にでも落ちる可能性があるその可能性を少しでも潰すために伏黒はスクラップを払い続ける。残り時間も2分を切った頃に、

 

 ゴオンッ、ガゴンッ、ズドンッ

 

 という強い地震が起こったのかと勘違いするような地鳴りが響いた。伏黒を含む全ての受験生は一斉に強い地鳴りの発生源に目を向けた。するとそこには周りの建物を優に二回りほど超える大きさを誇った4体目の仮想敵がそこにはいた。

 

「デカすぎんだろッッ!」

 

 そう伏黒が悪態を吐きたくなるほどにその仮想敵はデカすぎた。多くの受験生が悲鳴を上げ、一斉にその場から逃げ出した。正直、受験生を殺しにきているとしか思えなかった。壊す方法は無いこともないがはっきり言ってこの試験の場ではなんのメリットもないことはここにいるすべての受験生が理解している。伏黒もその場から離れるべくその場から離れようとする。すると、

 

「ケロ……」

 

 蛙のような、しかし、どこか女子特有の高めの声が聞こえた。目線をやるとそこには瓦礫に足を挟んだのか身動きの取れない蛙のような見た目をした女子生がそこにはいた。それを見た伏黒は、

 

「《玉犬》!」

 

 気づけば個性を自身の元に戻していた(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。そして再度、玉犬を呼び出して瓦礫を破壊する。

 

「ケロ、あなた……なんで?」

 

 目を見開く女子生を見た伏黒は「知らねぇよ」と答えると両膝を引き寄せて抱え込み、傷病者の手首をつかんで——ようはおんぶをして——全力でその場から離れた。0Pヴィランは巨体故か愚鈍だったためあっさりと逃げられた。ある程度離れた場所に着くと蛙に似た女子生を他の受験生に預ける。そして、0Pヴィランの元へと向かっていった。後ろから声が聞こえてくるがガン無視を決め込んでパルクールの要領で建造物の屋根を伝って0Pヴィランへと近づく。伏黒が0Pヴィランを仕留めようとする理由はある。まず一つ目にあのヴィランがあのまま———流石にあり得ないと思うが———市街地で暴れて受験生の元に向かっていったら尋常じゃない被害を被ると判断したから。二つ目にまだ避難しきれていない人間がいると思えたから。そして最後は、

 

「ここまで来たら、最後までやった方がッ、いいだろッ」

 

 そう言うとあらかじめ索敵兼、万が一の時のために上下で旋回させていた鵺(・・・・・・・・・・・)を呼び戻す。そして、指示を出して再度飛ばす。伏黒はもう一度だけ前を見る。あんまりな質量差に軽く笑うと、軽く助走をつけて片手に持っていた棒状のスクラップを全力でセンサーらしきところに投擲する。スクラップは運良く深々と突き刺さった。当然、それだけでは当然0Pヴィランは止まらない。

 

「行け《鵺》。最大出力だ」

 

 伏黒は不敵に笑いながらそう言うとバチバチバチと空気が震えるような音共に黄色い電気を帯びた鵺がスクラップ目掛けて突っ込む。スクラップはアースとしての役割を持って鵺の電気が0Pヴィランに侵入。たちまち電子回路を破壊して0Pヴィランは沈黙した。

 

『試験終了ーーー!!!!!』

 

 こうして雄英高校ヒーロー科の入試は幕を閉じた。

 

 

 雄英高校ヒーロー科の入学試験が終わり、一週間が過ぎた。実技試験の後、受験生はバスで雄英高校まで運ばれ、そこで解散となった。入試の結果は一週間後くらいに手紙で通達すると言っていたので、今日か明日くらいには結果が分かるだろう。正直な話筆記の面では伏黒は落ちる気は全くしてなかった。しかし、実技の面では最後の最後で甘さが出たと少しだけ悔いていた。あれから拳藤とともに筆記の解答をともにしたり、周りから雄英の試験はどんなもんだったかと聞かれることで時間を過ごしながら日々を送っていた。

 

 そんなある日ポストを見ると「雄英高等学校」という文字が書かれている手紙が届いていた。それを見た瞬間、伏黒はフーッとため息を吐くと手紙を持って部屋の中で開ける。すると中からメダルのようなものが出てきた。なんだこれは、と訝しげにそれを見ていると、メダルから急に映像が映し出された。そして

 

『私が投影された!!』

 

 人気No.1ヒーロー《オールマイト》が映し出された。突然の出来事に呆気に取られたがそれでもオールマイトの会話は続いた。

 

『なんで私が投影されたのかって?実は今年度から雄英で教師として働くことになってね!!』

 

 世間話をする要略でとんでもないことを喋り続けるオールマイトに思わず伏黒は。

 

「マジかよ」

 

 と、本気で驚いていた。これは流石に予想外だった。かの有名な海外からですら平和の象徴と名高い存在であるオールマイトが教鞭を払うのだ。驚かない方が無理があるだろう。

 

『んじゃあ、巻きで後もつっかえてるから結果を発表しよう!まず、筆記試験!476/500!やるじゃないか、少年!筆記面は問題なく合格さ!次に実技試験!こっちもとんでもないよ!敵P73!これだけでもすでに君は今年度のトップ層だ!』

 

 伏黒はそれを聞いた瞬間、一気に全身の力が抜けて倒れ込み達成感が身体中を巡った。そして少しだけ涙腺が緩んだような気がした。そこまでなってあることに気がつく。

 

「ん?『これだけ』?」

 

『恐らく画面越しの君は『これだけ?』って思ってるんじゃないかな?』

 

「はい、言ってますね」

 

『先の入試では判断材料は敵Pのみにあらず!そう!それが救助P!』

 

 そこまで聞いた瞬間、胸が高鳴った。

 

「救助p?」

 

『それは他人を助けるために自らの身を犠牲にする心意気さ!!これは審査制でね、最後の最後で自身の試験よりも少女の救助と周りの救助を取った!素晴らしいよ伏黒少年!救助P48!!合計、121P!ぶっちぎりの1位だ!』

 

 そこまで聞いた瞬間、あの時あの女子生を助けたのは無駄ではなかったことを遅まきながら悟り、伏黒は手で目を覆った。

 

『来いよ!ここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

 最後にそう言い残して映像は消えた。本気で嬉しかった。生まれて初めて何かを全力で取り組んだ。自暴自棄にならずになりたいものをちゃんと見れた。そして努力の末にヒーローへの第一歩を踏み込めた。そう自覚した時には伏黒は上を向いて拳をギュッと握りしめていた。すると、

 

「伏黒!」

 

 外から聴き慣れた声が扉を押し開けて自身の部屋に乱入する。彼女の拳藤の目には希望とやる気に満ち溢れていた。恐らくだが拳藤も合格できたのだろう。だからこそ、伏黒も不細工な顔になりながらも笑って答えた。それを見た瞬間、拳藤は伏黒に全力で抱きついた。普段であれば伏黒は弾いていただろうが喜びのあまり抱きしめ返していた。

 

 大きめな仏壇に飾られていた一枚の女性の笑った顔の写真は普段よりも嬉しそうに笑って見えた。




玉犬の『共有』は作者の考えたオリジナル能力ですので気にしないでください。

少しだけ伏黒くんのキャラ崩壊が過ぎましたかね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。