アニメ版呪術廻戦の魔虚羅を見た感想
→良くうちの作品の魔虚羅君は神野区だけで被害を留ませることが出来たなぁ!?
禪院家に訪れた時間が昼時ということや、大量にあった慣れない事務作業に苦戦したこともあって伏黒が外に出ることが出来たのは夜間帯となった。
「ここであってんだよな…」
伏黒はミルコから貰っていた連絡先から教えてもらった飲食店にいた。普通であればインターン先のヒーローの事務所で集合することとなっているのだが、残念なことに伏黒を請け負ったヒーロー《ミルコ》はその普通の枠組みからはずれている。なんとヒーローでありながら事務所が存在していないのだ。それどころか特定の場所に居座ることもまずないらしく、サイドキックも持たない日本中を単独で飛び回る変則型の新形態のヒーロー。それがラビットヒーロー《ミルコ》なのである。
伏黒は戸惑いつつも待つだけで店の席を独占するのも悪いと思い、何か飲み物でも頼んでそこで待っていた。そして待機してから10分ほど経過すると「2名様、ご来店…ッて、うおっ!ミルコォ!?」という店員の驚く声が聞こえてくる。ようやく来たかと思うと同時にサイドキックを持たない彼女が誰かと共に行動していることに対して疑問を抱く。少し不思議に思いながらも伏黒は振り返る。そこには白地に紺の縁取りがされたバニー服のようなボディースーツに胸元には大きく黄色の三日月があしらわれ、首元には白いファーのようなものがついており、袖がない代わりに白い手袋をはめているコスチューム。そして靴と一体化した紺色のタイツを着用しており、爪先は兎の脚部のような形状になっているサポートアイテムと思しきものを装着したミルコがいた。しかしそれ以上に伏黒の目線が言ったのはミルコと共にいる人物だった。予想だにしない人物に思わず目を見開く、
「は?なんでお前がここにいる。―――拳藤」
「それはこっちのセリフだ!しばらく会えないと思ってたらなんだってお前が京都に!?」
もはや見慣れたオレンジ色のサイドテールにノースリーブで足の部分が大きく見えるスリットの入ったチャイナ服にマスクというコスチュームを着た拳藤がそこにはいた。伏黒は驚きこそしたが、考えてみれば拳藤の職場体験先がミルコだったのを思い出すと納得する。しかし、拳藤は聞いていなかったのか驚愕した顔で伏黒を見た後にミルコへと目線を向ける。
「ミルコさん!伏黒がいるなんて聞いてないんですが!?」
「そりゃあ言ってなかったからな。それにしてもなんだよお前らもしかして知り合いだったのか?」
詰め寄る拳藤に対してミルコは腰に手を当てながらあっけらかんとそう告げると知っているのか、と聞いてくる。その問いには伏黒が幼馴染であると答える。
「なら、自己紹介はいらねぇなッ!全員集まったことだ!ちゃっちゃとヒーロー活動といくぞ!」
すると特に気にする様子もなくミルコは振り返って出口へと向かうと伏黒と拳藤にヒーロー活動をやるから外に出ろと指示をする。伏黒は店主に告げて飲み物代をそこに置くと、ミルコの後を追うように飲食店から出ていく。そして拳藤と伏黒の2人はその指示に従うように外へ出ると街を散策するように歩き始めた。
「ミルコさん」
「ん、なんだ?」
「俺たちは何をすればいいんですか?貴方のサポートに回ればいいんですか?」
「いや、知らね。適当にやれよ」
「はぁ?」
伏黒が何をすればいいのかと言う質問に対してまさかの指示を下すどころか好きにしろと言うミルコ。これには思わず伏黒は思わずといった様子で呆気に取られたような声を出す。隣にいる拳藤を見ると「あ〜、わかる。私も同じ反応したよ」みたいな顔をして頷くだけでどうやらいつものことらしい。するとそんな伏黒の反応にミルコは上体と顔だけをずらして後ろを向くと呆れたような顔をする。
「なんだよ。他の連中から頭一つ抜けてるって言われてるから気になって呼んでみればただの指示待ち人間かよ。雄英も大した教育をしてるなぁ、オイ」
「あ゛ッ?」
ミルコの物言いに対して思わず喧嘩腰になる。そんな伏黒を見てもこれといって反応することはなくミルコは言葉を続けていく。
「あれしなさい、これしなさいでしか動けないんだったらヒーロー以前の問題だろ」
「じゃあ、なんだって俺を呼んだんですか」
「さァな。理由なんて特にねェよ」
「は?」
「ま、強いて言うなら体育祭を見た時に中々生意気そうで面白そうだったからだ!」
勝気に笑いながら最後にそう締めくくるミルコに伏黒は言葉も出なかった。しかしその反面、色々と教えてくれている人間達を侮辱する発言にキレこそしたがミルコの言い分にも正しさはあった。指示だけ待っててどうにかなるなら誰もがそうしている。そんな行動をとっていれば最悪、やってる仕事の内容まで忘れる可能性だってあるのだ。だからこそ自分で動けて初めてその職業における戦力たり得るのだ。拳藤に肩を叩かれて伏黒は前を向くとミルコはすでに前を向いて歩き始めている。
「ま、気にすんなよ伏黒。私もこっち来て早々に似たようなことを言われたさ。だからこそ今あの人を振り返らせるには実績で示すしかないんだ。伏黒もそのあたりはわかってんだろ?」
「―――悪いな、拳藤」
拳藤の言葉にその通りだと納得した伏黒は拳藤に礼を言う。それを聞いた拳藤は柔らかく笑いながら「いいってこと」と言うと歩き始める。伏黒とその後を追う形で歩き始めた。
「あ、そういえば。なんだって伏黒はミルコさんのインターンを受けようって思ったんだ?確かナイトアイからも誘われてたんだろ?」
そして思い出したかのよう拳藤が振り返って何故ここにいるのかと聞いてくる。それに対して伏黒は一瞬だけ躊躇する。不安だったのだ。付き合いの長さが最も長い拳藤に明確な形で拒絶される可能性があるから。それでも首を傾げている拳藤を見て、このまま抱え込んでも埒があかないと判断した伏黒は意を決して話そうとする。
「実は「来たッ!」
しかしそれはミルコの言葉によって遮られた。いきなりのミルコは立ち止まると喜悦が混じった声を発する。何事かと思い回り込んで顔を見ると歯を剥き出しにし、目を爛々と輝かせながら大きく笑みを浮かべたミルコがいた。その異様な様子に思わずといった様子で伏黒は息を呑む。それと同時にミルコはその場で大きく膝を曲げて屈伸する。瞬間、ミルコの姿が消え失せると同時に凄まじい風が伏黒の顔を煽った。一瞬見失って戸惑いはしたが見失うと同時に【嵌合纏】を発動させていた為、強化された聴覚がミルコを捉える。
「速すぎんだろッ」
振り返るとすでに高層建築の屋根部分を飛び移りながら移動しているミルコの姿があった。それを見た伏黒は【嵌合纏】を用いて【玉犬】によって強化された五体を全て使い、拳藤は地面目掛けて平手を放とうとした瞬間、巨大化させることで凄まじい膂力によって生じた勢いを利用して追い縋る。伏黒は友達に緑谷というヒーローオタクがいることもあって以前よりかはヒーローに詳しくなっていた。そして知っているヒーローの中には当然、ミルコも入っていた。
ラビットヒーローことミルコの個性はめちゃくちゃ名前の通りを表している【兎】。兎の能力を発揮する異形型の個性なのだが、第三者曰く兎の能力を兎以上の形で引き出せるらしい。その跳躍力や脚力はかなりのもので、上空からの着地時の風圧と衝撃によってコンクリートが割れるだけでなく相手の炎や水といった不定形な攻撃すらも弾くことがあったほどらしい。その脚力を主体とした戦い方もそうだが、とりわけ有名なのは彼女の移動が"跳ぶ"と表現されるほどの移動速度。その速度は男女を含めた全ヒーロー内でも間違いなく5本の指に入るほど。現在はNo.6ヒーローでこれは女性ヒーローの中でも最も高い順位に位置づけられている。
「速いとは聞いてたがここまで差があんのかよッ!」
「くっちゃべってないでサッサと追いつくぞ!」
しかし聞いていた話は全く傍聴したものではなく、寧ろ見てみると聞いてた話が不足しているのではないかと言うぐらいには速い。伏黒は【嵌合纏】を【玉犬】から速度が今持っている式神の中でも最速の【鵺】に切り替え、拳藤も空中に飛んだかと思うと掌を拡大させてまるで空気をかき分けるようにして移動していた。伏黒は速度こそ拳藤に勝っている為、ぐんぐんと引き離しているがミルコとの空いた距離は一向に差が縮まらない。拳藤、伏黒の両者共に走っている車を置き去りにするほど速いにも関わらず、だ。
そしてミルコが建物の屋根を飛び移っていたか思うと急に下に降りた。すると、次の瞬間には伏黒の強化された聴覚が複数回の殴打音と悲鳴、そして少ししてから歓声を聞き取る。伏黒が下に降りてみるとそこには力無く倒れ伏すヴィランと思しき男性たちと歓声を上げる民衆に対して片手をあげて勝気に笑うことでファンサービスをしているミルコがいた。すると、伏黒の着地音を察知したのか側頭部から生えているミルコのウサギのような耳がぴくりと動いたかと思うと振り返る。
「お!思いの外、速ェじゃねぇか!」
「アンタに言われても嫌味にしか聞こえませんよ」
「褒めてんだよ甘んじて受けいれとけッ!それよりお前、ヒーロー名はなんだ?」
そして近寄って来たミルコの言葉に伏黒は学校側から把握してないのかと少し疑問に思ったが、考えてみればナイトアイの時もヒーロー名を聞かれていた為、知らないのだと理解するととりあえず名乗る。
「シャドウシュピールです」
「長ェ!ダセェ!今日からお前はシャドシュピなッ!」
「マジで辛辣だな、オイ」
「ちょっ、2人とも速い!」
ミルコは伏黒の名乗りにブハッ!と笑ったかと思うとまぁまぁ辛辣なことを言って略称で呼ぶことを宣言する。すると、少し間を置いてから拳藤が疲れた様子で建物から2人を見下ろしてくる。少し遅かったことに対して疑問に思っているとその答えは巨大化した手に握られている人間でわかった。どうやら拳藤は道中で犯罪を行おうとしていた人物を見つけた為、それが理由で遅れたらしい。
速度では勝っていても視野の狭さでは劣っていたという事実に伏黒は悔しく思いながらも倒れ伏したヴィラン達に近寄って縛り上げる。そして警察が来るまでの間、ミルコにつけられた打撲跡や骨折したと思われる場所を呼び出した【円鹿】を用いて治癒していく。すると伏黒のやってることに気がついたミルコが寄ってくる。
「なんだよシャドシュピ。お前、治癒なんて出来たのかよ!」
「私も初めて知ったわ……」
「拳藤は兎も角として。ミルコさん、マジで資料を読んでないんですね」
「私は字面よりも私が見たものを信じる口だからなッ!それにしてもこれはありがたい!最近は弱っちい奴らが多くて困っててな。これなら多少手加減ミスっても問題は無さそうだ!」
「多少は加減してください」
驚いている拳藤とそれを聞いて喜ぶミルコを見て伏黒は軽口を叩いているとパトカーが3台ほどやってくる。何人かの警察がパトカーから降りたのを見たミルコはうち1人の警察の方へと足を運ぶ。
「これやったのアンタら?」
「おう!ぶちのめしてやったぜッ!」
ヴィラン達を倒したのが誰なのか中年の警察が聞いて来たのに対してミルコはそうだと肯定する。するとそんな様子を見た警察は深くため息をつく。
「あのねぇ、何余計なことしてくれてんのよ」
「はぁ!?」
「禪院家の仕事をぶんどるなよ」
そして面倒くさそうな顔をしながらヴィラン達を仕留めたことを咎め始める。この反応に拳藤は驚愕を含めた声で反応する。そんな拳藤を見た中年の警察はハッと鼻で笑ったかと思うと説明し始める。なんでも金を払ってここいらの平和を維持しているのは禪院家である以上はその騒動を勝手に止めること自体、威力業務妨害に当たるのだと説明し始める。そして一通り話したかと思うと署まで同行するように指示する。それに対して拳藤は絶句し、ミルコは明確に不機嫌になっていく。
「ちょっと待ってください」
「あぁ…?…ああ、雄英の伏黒君じゃないの」
「その2人を捕まえるのは許可しない。ぶちのめしていいと許可を出したのは俺だ」
「ハッ!『許可しない』ときた!なんの権限があってそんなことが出来ると言えるんですかねぇ!?」
伏黒の言葉に嘲笑うかのような反応を示す警察に伏黒は近寄ると耳打ちをする。するとその言葉に対してもう一度鼻で笑うとスマホを出して連絡をする。伏黒は接続先が容易に想像できる中、中年の警察は下卑た笑みを浮かべながら伏黒を見ている。すると次第に笑みが消え失せると真顔になり始め、最終的には顔を真っ青にしながら伏黒を見ている。そして連絡を止めるや否や慌てふためきながら倒れ伏すヴィラン達をパトカーに押し込めると他の警察官達に戻るように指示を出す。先ほどまで申し訳なさそうな顔をしながら見ていた警察は上司の反応に戸惑いつつも拳藤、ミルコ、伏黒の3人に深々と申し訳なさそうに頭を下げた後、パトカーに乗る。そしてパトカーは逃げるようにその場を後にした。そんな様子に伏黒は鼻で笑うと同時に辺りからワッ!という感性が湧き出た。
「だーーっはははははは!!」「よくやったぁーー!!」「見たか!?あのビビりよう!」「ザマァ見ろポリ公!!」「うちあいつが好かんかったさかい、えらい気分がええわ!」「わしらはあんたのこと気に入ったぞ!」「応援するぜ、3人とも!」
夜の街並みを照らす灯りのような明るさが澱んでいた空気を晴らしていく。そんな様子に伏黒は呆気に取られていると今度は後ろからミルコによって肩を組まれた。
「よくやった、シャドシュピィ!ヒーローを守るとは中々に生意気じゃねぇかッ!!」
先ほどの不機嫌さは何処へいったのかと聞きたくなるほど満面の笑みを浮かべながら肩を組んで自身の胸元に引き寄せるとガシガシと頭を乱暴にだが撫で始める。少し照れ臭そうに伏黒は目線を逸らすと拳藤が歩み寄って来た。伏黒はミルコのヘッドロックじみた組付を解くと拳藤と向き直る。
「なんだ」
「あの時はミルコさんが跳んでったから聞けなかったけど、今は違う。説明して。あなたに何があったの?」
拳藤は先ほどの警察よ尋常ではない様子に伏黒が週末の間、会えなかった原因と関わっていることを察する。それに対して伏黒は仕事が終わってからだと言うと歓声を上げる民衆に対して拳を高く上げると再度、歓声が沸いた。そして皆に見送られながら伏黒と拳藤はミルコと共に4件ほどの事件をヴィランをぶちのめしていくこと解決していった。
◇
「はぁ!?伏黒が、禪院家当主ぅ!?」
「……あんまり大きな声を出すなよ」
今、ミルコはインターン生である伏黒と拳藤と共に誰もいない廃墟にいた。あの後、「ある程度事件を解決したし夕食にするかぁ!」と言いながら露店で飯を買っていたミルコを他所に伏黒は露店を経営しているおじさんにここいらで誰もいないところを知らないかと聞いていた。そしたらここから少し山を登っていくと誰からも忘れ去られたという神社があるらしく、それに従うように伏黒は談笑しているミルコと拳藤を呼び出すと教えられた場所へと足を運ぶと早速といった様子で今の自身の役職を説明して今に至る。
伏黒の声を抑えろという言葉に拳藤は口を両手で軽く押さえながら「わ、悪い…」といって謝る。そしてその後すぐにミルコのほうへと目線を向ける。露店で買っていたケバブサンドを口に含んでいるミルコは拳藤の視線の意図を察したのか首を縦に振るった。
「嘘でしょ…なんでそうなるのよ…」
拳藤は思わずといった頭を抑えると様子でふらつきながら手入れのされていない石段の上に座り込む。そしてどうしてこのような状況に陥ったのかを伏黒は説明していく。仮免試験を取得してから3日後に禪院家の屋敷に招かられ、禪院家邸へと赴いたこと。そしてその中で先代の禪院家当主の遺言状が理由で第27代目禪院家当主が自身となったことを。そこまで聞いた拳藤は押し黙る。そしてそこまで食べながら話を聞いていたミルコが喋り始める。
「ングッ…しっかし、不思議な話だよなぁ」
「何がですか?
「話を聞く限り、シャドシュピは今の今まで禪院家とは無関係だったんだろ?なのにあの引きこもり共が何だって伏黒を名指して指名して来たのかねぇ」
膝に置いてあった焼きそばを食べるべく割り箸を割っていたミルコが心底不思議そうな顔をしながらそう呟く。それに関しては伏黒も同意見だった。いきなり当主が死んで、その遺言状からは『今日から見知らぬ奴が当主になります』などと言われたら反感を買うし、何だったら内輪揉めが勃発することなんて目に見えているのだがら。すると押し黙っていた拳藤が立ち上がると伏黒の脳天に拳を叩き込んだ。
「〜〜〜〜〜ッッッッ!!??何すんだ!」
「お前。黙ってた理由ってもしかしなくても私がお前を見る目が変わるかもしれないからだろ」
伏黒は殴られたことに文句を言うが、次の言葉を聞くと思わずといった様子で顔を背ける。そんな伏黒の反応に拳藤は大きくため息を吐くと伏黒の胸ぐらを掴んだ。
「高々、家柄が変わった程度でお前との今までを否定するとでも思ったのかよ」
「…可能性はあんだろ」
「巫山戯んな。なに悲劇のヒロインぶってんだ。そんなんで見捨てるくらいなら出会ったあの日の段階で見捨ててたわ」
まっすぐな拳藤の目線に耐えきれず伏黒は目を逸らす。そんな様子に拳藤は再度深くため息を吐いたかと思うと胸ぐらを離して頭を何度かかく。そして伏黒と再度向き直った。
「他人が苦しんでんの見て憤れるお前のことを私は強いと思ったことはない。憤れるってことはその痛みを理解できるってことだからな。だから私はお前を見捨てない。何度突っぱねられても対等な面してお前に話しかけてやる。―――だから一緒に頑張って行こう。強くなっていこう。これからもずっと」
「――――――」
拳藤は勝気な笑みを浮かべて伏黒に向けて指を指すとそう宣言する。あまりにも眩しい笑みも声に伏黒は一度唖然とした顔をした後に顔を伏せ、ミルコはヒュー♩とからかうように口笛をふく。チラッと顔を上げるとそこには不思議そうな顔をしている拳藤がいた。そんな反応を見て伏黒は過去最長に深々とため息を吐く。
「お前、それ告白のつもりか?」
「へ?」
「ククッ。青くていいねぇ」
伏黒の言葉に拳藤は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。そして続いて自然と聞くことになったミルコの言葉に今さっき自分の言っていたことを咀嚼していくとどんどんと顔が赤くなっていく。
「私高校生んときは女子校だったからなぁ。この手の話はあんま聞かなかったから新鮮だわ。いやー、甘酸っぺぇー!」
「ちょっ!違っ!そういう意味じゃないですからね!?」
慌てふためきながら否定する拳藤に対してミルコはそう言うなってとケラケラと笑いながら揶揄っている。慌てふためく拳藤を見て伏黒はしまんねぇな、と思いながらも先ほどまでの自身の考えが杞憂であると同時に考えすぎていたという事実に対してアホくさく思えて来た。そうして伏黒は珍しく声に出して笑った。
「どうなるかなんてわかんねぇわな。お前の言う通り、悩むのは俺らしくねぇな。お望み通り、足掻き続けてやるよ」
伏黒は心に誓うようにそう宣言する。そうして夜は更けていく。その後に落ち着いた面々が軽く見回りに出かけるとその日は解散する。そして禪院家本邸に戻るとパソコンを開いてあらかじめ配られていた今日の授業のオンデマンドを見て課題を提出する。最後に偶然居合わせた甚壱と共に風呂に入った後、敷かれた布団の上で就寝する。こうして、伏黒の禪院家暮らしの初日が終了した。