球磨の薬指   作:vs どんぐり

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深海棲艦に成り果てる一歩手前で、彼女は踏み止まった。
どこまでも深く暗い海の底に沈みゆく時、かつての仲間たちの輝きに手を引かれ……
とかそういうわけではなく、よく分からないまま帰ってきた葛城は一ノ傘姫乃提督の下で働くのであった。

※提督が読心術を使っているのは仕様です。人間は案外やれるものです。


第19話 『なりかけ』た正規空母の譚 1

【1】

 

 どうやら僕、正規空母・葛城は『なりかけ』だそうで、作業服や白衣を着た人たちからは色々な目で観察されています。まだ研究は進んでいませんから、最初に採血をされて一ヶ月以上が過ぎても僕のことを、いつ人を襲うか分かったものじゃないと警戒を緩める気が無さそうな人がいるのも仕方のないことです。それが普通の反応だとも僕自身が思います。何せカレンダーを丸々一年分だけ飛ばして人前に現れたと思ったら、お父さんと一緒に鎮守府を襲撃したわけですから。てっきり深海棲艦になってしまったとばかり思い込んでいた僕には元々やる気はなくて、お父さんに言われるがままぼんやり動いていただけですが、それらの悪事より『なりかけ』であることのほうが関心を集めてくれたのは幸いでした。自分は深海棲艦ではないと航空戦艦的理論(?)で判明し、またこうして色々と考えることができるだけ有り難いものです。

 肌や髪が白くなったのは諦めるとして、襲撃の際にインパクトを持たせるためにお父さんが道着袴まで青白いものを用意したのはさすがにどうかと思いましたが、お金がないので今も使い続けています。ええ、ナイフで切り裂かれた部分は補修して、血で真っ赤になった箇所はまだ若干色が残ってます。あの痛みと軽巡の恐ろしさは忘れることができません。

 目に見える危険因子を生かしておくか、深海棲艦の謎に迫るサンプルを処分するか、僕の命の天秤は忙しなく右へ左へと傾いたわけですが、決定的だったのは室内プール(塩素の臭いがする綺麗なプールです)での実験です。深海棲艦であれば10メートルの深度くらいわけもないだろう、試しに潜ってみろというのです。魔女狩りですよね、これ? 10メートルまで潜ることができれば怪しまれ、出来なければ研究者たちを欺いているとやっぱり怪しまれるのですから。ご丁寧にも僕が深海棲艦としての本性を表した時のために、装備を整えた日本屈指の『撃沈王』大和まで待機していました。僕はブランクがあるとはいえ練度は測定不能域に達していますから、武装を取り上げられているとはいえ当然といえば当然です。

 水に飛び込むにあたり道着袴で飛び込むわけにはいきませんが、さんざん嫌がったにもかかわらず潜水艦娘が着るような水着を着せられました。いい年しているのにです。少し自慢に思っているそこそこの体つきを野暮ったい紺色の水着(胸元が苦しい)で隠すわけですから、なんだか研究がしたいのか卑猥な映像を撮影したいのか分からなくなっていました。大和が「……ご愁傷様です」と気遣ってくれたのが余計に恥ずかしいったらありません。この時ばかりは深海棲艦になった気分で、人類よ滅べ、スケベ野郎共はもれなく滅べと密かに念じました。この直後に僕が深海棲艦ではないと大体の検討がなされたので、ちょっと深海棲艦の気分になってみてもそれは思想の自由というものです。

 僕は溺れました。泳げないんです。艦娘が泳げなくて何が悪いんですかとこの日に至るまで開き直り続け、そのツケを払うように手足をバタつかせて必死に沈むまいとしました。戦場で鍛えられただけあってパニックにはなりませんが、泳ぎ方がまるで分からないので、プールの外周から見ていた人たちからするとパニックに陥った人が漫画のように溺れているようにしか見えなかったでしょう。僕の溺れっぷりを見て「うん、少なくともこの子は深海には棲めないな」と太鼓判を押した人もいたくらいですから。

 大量の水を飲んで力尽きかけた僕を助けてくれた大和とはその後、友達になりました。『撃沈王』が溺れた『深海棲艦になりかけた艦娘』を助けた時の映像や写真がメディアに掲載され、健全な水着がかえって背徳的破廉恥を加速させる姿でメジャーデビューを果たしてしまった僕の愚痴をよく聞いてくれます。検査の都合で顔を合わせる機会も多いので、すぐに親しくなりました。勇ましい姿ばかりが伝聞される大和は話してみると案外ほっこりした感じです。気が合いそう。

「有事の時のためって名目であなたの検査に立ち会ってますが、私にとってはお休みが増えたようなものです。気楽にやりましょうね」

[大和;Lv.150]

 どこかのナイフを持ち歩く危険な軽巡とは大違いです。

 

 

【2】

 

 

 艦隊結成から恒例行事のように資材を全て溶かし、近隣の鎮守府の援助を受けながらこの一ヶ月、コツコツと貯蓄に勤しみました。

「ついに……ついにやったよ、葛城」

 オカッパ頭の提督はエアコンの風が直に当たる所まで椅子を持ってきて座り、得意気に言うのです。

「大和砲っていうの? 46cm三連装砲、やっと完成したよ」

 またやりやがりました、このアンポンタン提督。ちなみにひと月前の資材は甲標的になり、工廠で眠っています。雷巡や水母がいるとかいないとか以前に、この鎮守府には正規空母の僕と椅子に座っているだけの提督、二人しかいません。

「提督、やる気ないでしょう」

「失敬な。鉄ちゃんが命狙われて危ない、って聞く前までは戦争とか早く終わればいいのにって、他人事みたいに思ってたけどねえ――」

 提督は嫌味で言ったつもりはないようですが、一ノ傘鉄子副提督の命を狙いにお父さんに連れられた僕は、その話を出されるだけで尻込みしてしまいます。

「今はけっこう頑張るつもり、だよ? ほら、最初に命令された任務だって、こう、パパーッと終わらせたでしょ」

「ほとんど一ノ傘鉄子副提督の艦隊に手伝ってもらいましたよね。というか、練度が低い艦娘の基礎訓練に利用されただけですよね」

「持ちつ持たれつ、だね」

「一方的に持たれてます」

「葛城ってさあ、隠してるだけで本当は使えるんじゃないの、甲標的? こっそり教えてよ」

 使えるものなら使いたいです。僕が持っている兵装はすべて竹櫛提督・一ノ傘鉄子副提督のところの余剰品です。運が悪いと空母なのに副砲メインで戦う場面すらあり、大和に愚痴ると「高練度空母の無駄使いですね」と笑われました。

「言っておきますけど、あんまり出鱈目なことばっかりしてると深海棲艦に奪われた土地の近くや無人島に飛ばされますからね。僕のお父さんもコネがなかったら港湾棲姫の近くの島で補給所やらされてたと思います。どうします? 敵の勢力圏内に左遷されたら」

 提督は椅子をガタガタ前後に揺らしながら「失礼な!」と言いました。

「鉄ちゃんと竹櫛くんにできて、私にできないわけないじゃない!」

 この一ヶ月でさんざん助けられた二人にものすごく失礼です。

「葛城が仲良くなった大和に来てもらおうかなって、思ってたけど、予定を変更します。ちょっと待ってね……」

 提督はクーラーの風が当たる場所からやっと離れて、開けっぱなしのダンボールが散らかっているところまで行きました。しばらくゴソゴソ漁って、取り出したのはマイクとイヤホン、それにタブレット。それらを渡されました。

「出撃命令が丁度来てたし、ここらで私と葛城の実力を見せときましょう、ね」

「ね、じゃないですってば。素直にまず味方を増やしましょうよ。あと装備も」

「タンカーを待ち伏せる敵艦隊が多数。これを撃破せよ――うん、こういうのを待ってたのよ。日が傾き始めるくらいから作戦始めるから、お昼ご飯食べても昼寝はしないでね」

 この時は、もし大破したらその足で竹櫛提督の鎮守府に亡命しようかと本気で考えていました。また一人で遭難でもしたら次こそ本物の深海棲艦になってしまうでしょうから。

 

 

【3】

 

 

 タブレットに接続したイヤホンとマイクで提督の指示を受けながら、僕は海の上で一人、四方八方の敵艦隊に喧嘩を売って回りました。タブレットに表示された海図に敵の詳細位置が記録されていきます。

 なけなしの索敵機を飛ばして敵の位置を知らせ、提督が記録を終えると同時にこちらに気付いて向かってくる敵から逃れ、振り切ったところで再び敵を探しました。総指揮艦と思われる敵を発見しても同じです。敵戦艦からバカスカ撃たれる砲弾やしつこく追いかけてくる雷撃機をヒイヒイ言いながら躱し、

「ああ……綺麗な夕焼けだな……」

 なんて現実逃避を始めた頃には隙間なく敵に囲まれていました。タブレットの海図上で赤い点が円を作っていて、その円の中心座標に僕がいます。

『ちょっとー? 今あきらめたみたいな声が聞こえたんだけどー?』

 イヤホンから緊張感のない声がします。クーラーの効いた部屋で呑気に指示しているオカッパを想像すると腹が立ってきます。轟沈して深海棲艦になったら真っ先に一ノ傘姫乃を襲おうと思います。

『襲うなら鉄ちゃんのところにして。そうじゃなくて、これからが本番なんだから、気合入れてよ』

「空母が日没後にどう気合を入れろと……? というかもう残ってませんよ、艦載機も僕の気力も」

『怪我はない?』

「通信切っていいですか、最後に大和とお話がしたいので」

『作戦が終わったらタブレットは好きに使っていいから。太陽が完全に沈んだら教えて』

「鎮守府からでも見えるでしょう。あと何分かで沈みますよ。……僕も」

『葛城って、ブラックジョーク好きねえ。北北西に進路を取って』

 深く考えず言われたまま進んでいると、左舷で海に輝く道を照らしていた太陽が水平線の下に引っ込みました。すべてが影になる時間の始まりです。夜戦では的にしかならない空母ですが、今の私にはそもそも艦載機が残っていないので、昼夜の区別なくただの的です。

「日が落ちましたよ」

『よし、じゃあ今の方向のまま最大速力! なるべく姿勢は低くして、タブレットの明かりは隠してね』

「暗闇に紛れて突っ切る作戦ですか? いくら空母でも駆逐艦には追いつかれますよ」

 せめて低速で進んで鼠輸送ならぬ鼠逃走でも試したほうがマシです。それも不可能なくらい敵の包囲網がぐっと狭く私を囲んでいるわけですが。提督の何がしたかったのかサッパリ分からない浅知恵に、付き合ってしまった私も私だと一人自嘲的に笑いました。

『余計なこと考えてないで早く速く! 急がないと作戦が台無しになるから』

「はあ、作戦ですか」

『名づけて【ワレアオバ・トリガー作戦】!』

 僕が最大速力で進んだ真正面には、軽巡を旗艦とした小規模部隊がいました。陣形を組んでこちらに向かってくる懐に、勢いに任せて飛び込みます。敵が泡を食っているうちに僕はお守り程度の気持ちで装備していた副砲を、飛び込んだ敵部隊の艦――ではなく、他の敵部隊に何発か放ち、砲撃した方向に背を向けてすぐに離脱しました。当然ながら敵が追ってきますが、僕に魚雷を向けようとした敵駆逐艦が飛来してきた砲弾により吹き飛びます。僕がしょぼい砲撃を加えた部隊が、こちらの部隊を敵だと勘違いしたのです。敵は馬鹿な空母が一人だけで迷い込んできたと日中に捉えていましたから、夜になって砲弾が飛んで来れば別の増援でも来たと思い込んだのでしょう。

 僕を囲んで輪状になった敵艦隊を全速力で駆け巡り【ワレアオバ・トリガー作戦】を繰り返しました。作戦名がおかしいことに突っ込みを入れる暇もなく、正体不明の艦になりすまして提督の指示した方向へと、次々と深海棲艦の同士討ちを誘いました。僕の副砲が引き金となり、あちらこちらで敵が前後不覚に陥っていきます。

『上手くいってる?』と提督の声が敵の砲撃音の合間から聞こえてきました。

「大規模作戦でもないと見られない光景です」

 戦域から離れて、真っ赤な砲弾がやけくそ気味に夜空に飛び交うのを花火大会のように眺めました。風に流される黒煙が夜の帳をいっそう黒くして、敵はいっそう未知の相手に攻撃を激しくします。海上で夜風に吹かれながらぼんやりと敵を眺める事があるなんて想像もしたことがありません。さんざん動き回ったせいか、無性にかき氷が食べたくなりました。

【ワレアオバ・トリガー作戦】をゲームに例えるなら、普通は定められたルートに従って進みながら攻略するところを、提督はルートを勝手に弄ってスタートとゴールを繋ぎ、ウロボロスのように敵を自滅に追い込む、といったところでしょうか。「戦術」と言うより「裏技」……いえ、「バグ技」と言ったほうがしっくりきます。一歩間違えば僕もそのウロボロスの輪から抜け出せなくなってしまうのが甚だ不服ですが、空母一隻で一度に敵の大艦隊を壊滅させるという何気に聞いた覚えがないことを自分でやってのけたのですから、それほど悪い気がしないのも事実です。

『ふふん。私のこと、見直してくれた?』

「……まあ、少しは」

『うんうん、素直でよろしい。敵が引っ込むのを確認したら、今日はお終い。ピザ頼んでおいたから、早く帰ってきてね』

「頼んでおいたって、ちょっと、僕が帰投した頃には冷めてるじゃないですか。お風呂にも入らないといけないのに」

『じゃあ今日は一緒に、入ろっか、お風呂』

 砲撃や魚雷が炸裂する音がピタリと止み、深海棲艦が同士討ちに気付いて撤退したか、全滅したようでした。音を立てないように煙のない風上に廻り作戦海域を見て廻りましたが、敵の姿はありませんでした。僕と提督が他の艦隊に頼らず自力でやってのけた、初めての勝利です(正規空母らしいことを全然していないのは納得できませんが)。

 鎮守府では温かいお風呂と冷めたビザが僕の帰投を待っていました。

「私も待ってた、よ?」と言う提督の口元にはチーズが付いていました。いいんです。この人はそういう人です。

 

 

【4】

 

 

 たった一人で敵の大艦隊を片付けたのですから、僕が人類の味方か否か、その疑いの天秤は大きく傾くに違いないと、意気揚々と研究所へ向かいました。ですが出迎えてくれたフル装備の大和の引きつった笑顔で、ああこれは何かやってしまったなと悟ったのです。研究所の自動ドアをくぐった直後、さらに背後に、どこに隠れていたのか二人の戦艦が付きました。

 いつもの座り心地の悪い椅子に座ったまま、いったい僕は何について喋らされようとしているんだろうと、多数の研究員――怖い顔や怯えた顔の様々なおじさんに囲まれてしばらく呆然としました。そんな僕があんまり不憫だと思ったのか、大和がこっそり近づいて耳打ちをしてくれました。

「あなたが深海棲艦を操れるんじゃないかって疑われてるんですよ。ほら、この前のタンカー進路確保の件。あんなこと、その……言いづらいんですけど、深海棲艦でもないとできっこないって」

 結果を出せば報われるとは限りません。それはまあ世の中の厳しさというものですから甘んじて受け入れるのもイチ艦娘の義務というものです。しかし僕は提督立案の【ワレアオバ・トリガー作戦】に忠実に従って動いただけの忠誠心に溢れる清く正しい正規空母であって、深海棲艦の仕業と疑うのであれば私の提督・一ノ傘姫乃をこそ此処に連れて来るべきでしょうに。

「あなたのところの提督が提出した報告書に『正規空母・葛城が敵艦隊を思うがまま操り~云々』って書いてあったからこの騒ぎなんですけど……本当?」

「違う!」

 僕が急に叫んだので、研究員たちは驚いて僕から飛び退きました。尻餅をついた人が僕を化け物のように見るので胸がチクチクと痛みます。

 つまらない脚色ばかりされて肝心なところが書かれていない報告書など忘れてもらうべく、僕は【ワレアオバ・トリガー作戦】を微に入り細に入り身振り手振り説明しました。研究員の何度も繰り返すような質問にも根気強く答え、いかに私が深海棲艦と無関係であるか、いかに提督が練った戦術が怪しげであったかをこれでもかと語ったのです。僕の弁明は数時間にも及びました。

 

 

【5】

 

 

「本日より監視役として着任しました、戦艦大和です。よろしくお願い致します。……あの、監視といっても私は葛城を怪しんでるわけじゃありませんから、そう気を落とさずに……」

「どーせ僕の話を聞いてくれるのなんて大和だけだもん。あーよかったー大和が来てくれて。どこかの提督と二人っきりにならずに済むもんなー」

「着任早々で悪いけど大和、この口が悪くなった子、どうにかしてくれない、かな?」

 僕が何度説明しても【ワレアオバ・トリガー作戦】を信じてもらうには至らず、僕の科学的評価は

『深海棲艦になりかけた艦娘』

から

『深海棲艦になりかけ敵を操れる可能性がある艦娘 ※泳げない』

に改められた。僕の存在を危険視する声はいっそう大きくなり――深海棲艦を操るのなら例えば港湾棲姫のような強大な敵になる可能性があるとかどうとか――不用意に処分することもできず、次善の策として僕をいつでも消し飛ばせるようにとこの鎮守府に、世に名高い『撃沈王』大和が配置された。味方としてこれほど頼りになる艦娘は世界に存在しないはずなのに、その主砲のうち一基は常に僕の方向に向けられている。大和の意思に関係なく、自動照準で僕を狙い続ける便利機能なんだそうな。エアコンのセンサーみたいなお手軽さで命を狙われ続ける僕の気持ちなんて誰も考えてくれないんだ。

「私は考えててるよ、葛城? ねえってば、そんなにヘソ、曲げないでよ。大和着任祝いに、さっきピザ、頼んでおいたから」

「またピザ……」

「ピザ!?」と大和が素っ頓狂な声を上げた。

「あ……いえその、私、まだピザを食べたことがなくて、つい、すみません…………じゅるり」

 生まれてこのかた上品なものばかり食べてきた大和にとって、とろけるチーズの上でベーコンやエビ、オリーブなどがこんがり焼けた円盤は大和の奥底に眠っていた欲求を目覚めさせたらしく、おっかなびっくり一切れを手て摘んで頬張ったが最後、その手と口は止まらなかった。提督が注文したラージサイズの三枚のうち二枚と半分くらいがあっという間に大和の腹の中へと姿を消し、

「ああ……こんなに美味しいものを今まで知らなかったなんて……!」

大和はコーラを飲みながら恍惚としていた。言うまでもなく僕と提督はドン引きしていた。

 僕を牢に閉じ込めておくのではなく大和の監視下に置くという案は、実は大和の提案だったらしい。それはもう大真面目な顔で最強の戦艦としての勘が告げているとか云々、説得力だけはある空論で渋る管理者たちを言い包めてしまった。国が抱える秘密兵器とも言うべき大和がそこら辺の鎮守府に赴任するなどあり得ない、しかも赴任先は深海棲艦になりかけた挙句、破廉恥な水着姿で深海棲艦のイメージアップを図ろうとした艦娘がいる鎮守府であるなどいったい軍関係者は何をやっているんだとしばらく世間を騒がせた。しかし大和はそんな事など意に介さず、ずっとテレビ越しに見るだけで憧れていたジャンクフードの味わい浅い魅力に取り憑かれ、いかにも健康を度外視した風のハンバーガーを念願叶って幸せそうに頬張るのだった。

 

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