A.昇龍拳のチャンスだ! 波動拳が暴発しても相手の胴はガラ空きだからダメージは大きいぞ!
◆―【「T」の被り物】―◆
獣の病が蔓延し、艦娘はおろか深海棲艦でさえも沿岸より滲む青ざめた赤い血に冒されると言い伝えられている最果ての海域に見える悪夢、その名はヤーナム島。
ごく小さな島の中心部に位置するという、すべての元凶と考えられている廃病院から悲鳴のように鳴り響くナースコールめいた電話が僕のスマホにかかってきました。
『……クマの……クマの信頼を裏切りやがったな』
こういう時に限って執務室に僕を一人残すのが傘姫提督です。昼の会議に遅れるとか言ってさっきまでドタバタしていたため、今の室内がいっそう静かに感じられます。
落ち着け僕。預かったナイフを翌日すぐ長月ちゃんに渡せば、球磨さんからのコンタクトがあって然るべきと分かっていたことじゃあないか。ただ球磨さんの怒り具合が予想の数百倍だってだけの話で。
「…………あのぅ」ひり出せた言葉がこれだけでした。事前に手を考えていたのに自分の声が恐怖で詰まってしまうとは想定外です。
『あ? なんだって?』
球磨さんはキレると語尾が普通になる畑の人のようです。
……落ち着け僕。対応を間違えたら北鎮守府がヤーナム島みたいになるんだぞ。床一面が僕自身の血に濡れた総合棟の廊下を松明を掲げながら歩きたくはないでしょう? 頑張れ僕!
「や、やだなあ人様のナイフを、そんな、理由もなく他人にわた、渡したりしません、よう」
『…………』
「昨晩、長月ちゃんから相談を受けまして。カレンダーズを変質者の魔の手から守れるように球磨さんみたくナイフを扱えたらなーって。ほ、ほら、球磨さんはずいぶん前から叢雲さんに稽古をつけてるって聞きましたよ。長月ちゃんも本当は参加したいんだけど、でも今更になって加わるのも気が引けるらしくて。ずっと固定メンバーで仲良くやってる水雷戦隊の中に新しくひとり入っていくのが気まずい、あの感じですよ。よくありますよねー。僕も天照隊の人たちと出撃する時はけっこう緊張しますし、そういうアレなんでしょうねー。ですから、まずは長月ちゃんに球磨さんのナイフを貸してあげたわけですよ。形から入るのも悪くないと僕は思ってまして。いやー本当に昨日の一昨日でナイスタイミングでしたよ。はい」
完璧な設定です。勿論抜かりなく長月ちゃんにも口裏を合わせるよう連絡を入れてあります。これで球磨さんの怒りを鎮められるはずだったのですが、
『長月も含めたカレンダーズ全員、トレーニングに参加したことがあったが? すぐに飽きて十一本のゴムナイフが無駄になったが?』
ナムサン! 聞いてないよ長月ちゃん!
「えーっと……カ、カレンダーズって十一人で一人みたいなところがあるじゃないですか」
スマホを右の頬と肩で挟みながら喋りつつ、パソコンの方で長月ちゃんに連絡を――アドレスを登録しているスマホで通話中! ナムアミダブツ! なんたるデジタル依存社会の弊害か! どうする僕? 考えろ――天照隊には頼めない――伝書猫では遅すぎるし――仕方がない、武蔵さんに中継してもらおう。鎮守府がヤーナム島化するかしないかの瀬戸際だし緊急事態ですからね。
「だから他の十人に流されちゃうことだってありますよ」
僕の指がかつてないタイピング速度でキーボードを叩き、メール送信! メール一通を武蔵さんがすぐに読んでくれるはずもないので再び送信! 三度送信! 送信! 送信! 送信っ!
「実際、ナイフを渡した時はかなり喜んでましたよ。『これで仲間を助けられる』っていうあの表情に僕は希望を見出しましたね。この子がいてくれたら世界はなんとかなる、そう思える笑顔でした」
嘘に真実を織り交ぜるのは基本ですよね。
『キモいことを言ってるんじゃあねークマ』
球磨さんの反応が和らいでゆくのを耳にしながら、僕の両手はすさまじい速さで根回しに勤しみます。工作は球磨さんの専売特許ではありません。僕だって『葛城』と名乗っていた頃は処分されないように色々やってきたんですから。
「長月ちゃんだけじゃなくて、僕だって興味ありますよ。陸にも敵が多い立場ですけど鉄砲なんて装備できませんし」
『ふーん……ちゃんとした募集なら、ちゃんと真面目な奴らが集まると思うクマ?』
「それはもちろん」
『一回五百円くらいでも?』
「お金取るんですか?」
『理解されない消耗品が多いクマ。弓道の米俵みたいなヤツと、それ専用の矢みたいなもんクマ。必需品なのに自分で買うなんて想像もしない、みたいな』
「巻藁のことですか。ああ、確かに僕もしょうもないことで揉めた記憶があります。でしたら竹櫛提督にお話してみたらどうです? 球磨さんがスパイみたいに頼られてるってことは、つまりそこに最低でも球磨さんのお給料分のニーズがあることを意味してるんですよ。必要なら必要なだけ要求するべきだとも思います。球磨さんが指導したスキルで天照大艦隊の戦力は増強されて、球磨さん自身の負担も減る。理想的な一石二鳥じゃあないですか」
『――そう上手くいくクマ?』
「球磨さんの頑張り次第では。竹櫛提督の考えは実際に聞いてみないことには分かりません」
『提督は今日の午後からそっちに出張の予定だったはずクマ。交渉上手の斑鳩から話してみればいいクマ』
「えー僕からですかー?」なんて不満気に言ってみますが、ナイフの件を流すのに加えて球磨さんに貸しを作れるのなら、これほどのお安いご用もありません。
今ちょうど武蔵さんからの返信も来ました。
慌ただしい朝でしたが、今日もどうにかこうにかなりそうです。
◆――――◆
だというのに、どうして僕が本隊からの助っ人さん達に囲まれながら、脱衣所のストーブの前で青ざめてガタガタ震えているのかというと、ヤバイ女だと思われたからです。
この季節に泣きながら冷水シャワーを浴びていれば深海棲艦云々の事情がなくてもヤバイですからね。
◆――――◆
ヤーナム島が実在するかどうかはさておき、僕は球磨さんの怒りが有頂天に達することを血みどろの孤島に例えました。ですが所詮は個人レベルのいざこざに過ぎません。ダメコンが発動しない、つまり慢心しようがしまいが運次第では砲弾一発で肉体がネギトロめいた魚のエサになり得る全泊地で今この時も命綱のない綱渡りに興じている存在、洞観者の面倒を見ている武蔵さんにとって死ぬほどどうでもいいエマージェンシーコールほど邪魔なものはないでしょう。
球磨さんとの電話を終えた後、直後に掛かってきた武蔵さんからの電話で、僕はとってもキツい厳重注意を受けました。
怒られて泣くのって、あるいは泣くほど怒られるのって、記憶を遡っても最後の経験がいつだったか思い出せません。電話ですからビンタやゲンコツが飛んでくるわけでもなく電源さえ切ってしまえば簡単に逃げ出せたはずなのですが、恐ろしい大人のような武蔵さんと過誤を犯した子供のような僕の通話は一時間も続きました。電話の向こうの武蔵さんがどんな様子でキレていたかは分かりませんが、僕の方は無意識のうちに木の床に正座していました。涙と鼻水をダラダラ流しながら。
僕は調子に乗っていたんです。傘姫提督が頼りないからって自分が分隊を預かった気になって、ちょっと練度が高くて色々と装備できる航空母艦だからって、偉そうに誰を守るとか面倒を見るとか、ちゃんちゃらなんちゃらです。逆に笑えてきます。笑おうとしたら咳き込みました。
叱責から解放された僕は鏡の中で酷い顔をしていました。深海の空母ヲ級が涙を流す様はさながらヤーナム島のラスボスです。即死攻撃を使ってきそうです。
「………………シャワー浴びなきゃ」
気が付くと竹櫛提督がいらっしゃる時間になっていたので全部洗い流しておこうと浴場に行ったのですが、いざ涙を隠す水を浴びてしまうと――例えるなら傘もささずに雨の中で一人立ち尽くす、あの気持ちです。堰を切ったよう、という表現そのままに我慢できなくなりました。
そして自分を取り戻した頃には、タオルやら毛布やらでぐるぐる巻きにされた状態でストーブの前に座っていたわけです。
身体や髪が丁寧にも乾いていたということは、僕は皆に色々な意味で自分をさらけ出してしまったわけで、もう一生このまま脱衣所から出たくない所存です。
「ぶっちゃけますとですね。斑鳩さんの好感度がグーンと上がりましたよ。なんてゆーかこう、人間味みたいなのが見れて」
そう言ってくれたのは阿呆、もとい白露ちゃんでした。本当にぶっちゃけてくれますよね。じゃあ今まで僕に人間味がないと思われていたということでしょうか。「人間味」は人情や温かみを意味しますが、白露ちゃんは明らかに「深海棲艦か否か」を基準に言っていますよね。他の誰も否定しませんし。そう言われるのなら艦娘だって洞観者から見たら――とは言いません。それならそれで僕のイメージアップに繋がったとプラスに考えておきましょう。でないと今後の洞観者としての活動が憂鬱すぎて、また泣いてしまいそうですし。
今後といえばナイフの件にも影響が出ました。
今日は南鎮守府の方にいる球磨さんにも迷惑をかけてしまいました。ヤバイ女が保護される前、恫喝のような電話をしていたところを見られていたらしく、南鎮守府では球磨さんが詰問されるという珍し――くは別にない騒動が起こっていたとか。ついでに誰かのおやつを勝手に食べた食べてないの言い争いになり、ナイフの話は流れていきました。阿呆もたまには悪くないものですね。たまには。
◆――――◆
「あー、その、あれだ。無理をする必要はないのだぞ。少々溜まった仕事など後で傘姫にやらせればよいのだ。むしろ本来そうすべき事ばかりだ」
そう言って下さるのは天照大艦隊の一番偉い人、南鎮守府から定期監査にいらした竹櫛提督です。僕が執務室に戻る前から傘姫提督の机を勝手知ったる他人の席のようにお使いになり、記録を精査されていました。
(以降、面倒なので地の文では尊敬語を省略します)
傘姫提督が頼りないからと僕がいくら頑張っても所詮はイチ艦娘、やっぱり重要な部分は竹櫛提督や一ノ傘副提督に面倒を見て貰わなければ分隊は上手く回らないわけです。
「もう大丈夫ですので」と僕。充血した目で言っても説得力はありませんけど。「すみません、せっかく来て頂いたのにお待たせしてしまって」
「私の仕事は待つ事である。果てしなく広く遠い海に部下を送り出し、帰投を待つ。情けない限りだが待つ事ばかりが上手くなってしまってな」
ドヤ顔で言われても少しも心に響かない台詞ではあるものの、だから普通で良い人なんだと考えることもできます。もやしクズでもブラックでもない、ごくごく普通の提督さんにバンザイです。今日は傘姫提督の出張に付いて行った猫吊さんからすると「普通過ぎて興味無し」とのことみたいですけどね。これはとっても幸運なことです。
「それに――その、なかなか興味深いものをだな。見つけたのだ」
「興味深い? 傘姫提督の悪事の証拠とか」
「私は一ノ傘のような悪趣味は持ち合わせないつもりだ」傘姫提督の苗字も一ノ傘なんですけど、竹櫛提督がそこまで含みを持たせたかは分かりません。「そこで台車に乗せられている大剣のことだ」
竹櫛提督が指したのは昨日、長月ちゃんから預かった猫爪(ネコノツメ)でした。ちょっと台車の位置がズレていて鞘から刀身が少しはみ出ているところを見るに、僕が来るまでに竹櫛提督はウエイトリフティングにチャレンジしたんでしょう。
「あの大剣の用途が気になる。まさか傘姫が携えるわけでもなかろう。では何に使うのだ?」
長月ちゃんが敵を切るのに使うんです、という機密がいささか開放的であっても問題にならない理由を、竹櫛提督は直に体験したんです。大剣で体験したんです(すみません言ってみたかっただけです)。
ふつうの人ならば無造作に置いてあるネコノツメを抜猫(抜刀)することさえ困難です。健康な成人男性であれば鞘の先の方を掴み持ち上げて引っ張れば抜けるには抜けるでしょう。ですが重力により落下する刃は真下にあるもの(例えば床とか足とか)を容赦無く切断します。納猫(納刀)はさらに困難を極めます。車のタイヤ交換をジャッキ無しで行えるか、というレベルの話です。
なので大剣の形状をした超重量物に触れた人は、「なるほどコレは部屋のインテリアか何かだろう」と解釈するって寸法です。いえ別に意図してそんな設計をされたとは聞いていませんが、竹櫛提督の反応の通り、ネコノツメは誰かが装備する兵器とは理解されないのです。
ということで、僕が非常に合理的でいい加減な嘘をつく理由も理解されることでしょう。
「傘姫提督が執務室の飾り物にって、買ったんです」
「普通の掛台では支えられそうにない大きさだが?」
「鞘の模様が可愛いからって何も考えてなかったらしくて」
嘘+真実≒優しい嘘。本当に美しい公式です。『バファリンの式』に似た汎用性があります。
「成る程。傘姫のやりそうなことだ」
竹櫛提督はあっさりと信じてくれて、チェックしていたファイルをドサリと机の上に置きました。
「実はこの私も軍刀を持っていたのだ」
そして唐突に始まる自分語り。
「『丑の刻摩天楼』は名刀だった。今でも惜しんでいる程で――」
無駄に長い話だったので要約すると、頭のおかしい空母たちに真ん中から折られた上、僕のお父さんが襲撃時に奪って破れかぶれで振ったところをゲームキューブで迎え撃ちされて刀身が綺麗サッパリ消失したと。
つまりお父さんが悪いようですが、意味不明です。なんですかゲーム機に負ける名刀って。
「あ、あの……僕は」
「いや気にするな。私は斑鳩を非難する考えを一切持たず、また分隊に欠かすことのできない空母であると高く評価している」
「はあ……ありがとうございます」
「ところでだ。話を聞いて貰った通り、結果的に今の私には腰に下げるものがないわけだがな。うむ。腰回りが実に寂しい」
「はあ――……あの刀でよければ持っていかれます?」
「おお、いいのか!?」
言ってみただけだったんですが、まさか食いつくとは――持ち上げられもしない刀をどうするつもりなんでしょうね? 大きな武器は持っているだけでもカッコイイ的な心理でしょうか? いえいえ僕にだってそういう感性はあります。機能美あふれる大口径砲カッコイイ。でも持たされるとなるとウンザリするのが現実でしょうに。ネコノツメは粗大ゴミにも出せませんよ。
「さすがは斑鳩だ。話が早い」
「ですが注意事項がいくつかあります。まずですね、実はこの刀――猫爪という銘があるのですが、実は入手するために傘姫提督ったら、天照大艦隊の艦娘にもコッソリ協力をあおいでいまして」
今日の僕の口からは事実と異なることばかり出て来ます。
「特にカレンダーズがよく知ってるはずです。加えて、見ての通り非常に特別な刀でして、何処の誰が管理しているのか、それだけでも問題の火種になりかねません」
「なるほど」と竹櫛提督は知った風に頷きます。
「ですので、執務室に飾るくらいに、なるべく人目には触れないようにして頂いて、もし本隊の誰かに指摘された場合は、『これは君が知るものとは別の個物だ』として切り抜けて頂けると面倒がなくなります」
「分かった。そうしよう」
「それと――たいへん申し上げにくいのですが、この刀はあくまで借用品という形でここに置いておりまして」
僕の真の目的、それはネコノツメを遠ざけてしまうことです。
……だって長月ちゃんから預かった極小の欠けがあるネコノツメ、研ぎ直すのか交換するのかそのまま使えと言われるのか、どうしたって武蔵さんと連絡を取る必要があるんです。ええそうですとっても嫌です。深海棲艦に似ているからって感情がないと思わないでください。誰が激怒させた相手に平気で電話できましょうか。
「もしかしたらですけど、軍の偉い人から返却やメンテの要求がある場合もあります」
「軍刀の借用とは情けない話になってしまうな」
「ま、まあまあ。お飾りですから。詳細は改めて後日ご説明させてください」
「そうだな。私も運び出すために一ノ傘から車を借りなければならないようだ」
お分かり頂けるでしょうか、僕の自己嫌悪。自分の命を救ってくれた兵器を何も知らない人(関係者ではありますが事情を知らない人)に、恐怖の武蔵さんから逃れるために預けちゃったんです。
……球磨さん、こういう事の処理が得意なんでしたっけ? 話だけでも聞いてもらえないでしょうかねえ。
◆――――◆
「さて今日の用事とは別にだな。傘姫に持たせに来た物がある」
ずっと気になっていたんですが、竹櫛提督の横に四十リットルくらいの大きなダンボールが置かれています。竹櫛提督は南鎮守府から電車とバスでここまで来ていますから艦娘の誰かに海路で運ばせたものでしょう。見た限りではダンボールに企業ロゴなどは入っていません。
「中身は何でしょう?」
「うむ。これは私が斑鳩を信用しなければ達成できない任務だ。そして同時に斑鳩にも私を信用してもらう必要がある。つまるところが相互理解だ。分かるか」
「はあ」
「私は模範的行動により天照大艦隊を指揮し、邪念という障害は我が愛刀で――いや今は刀を持たないが、そう弓だ。我が愛弓で困難を排除してきた」
「はあ」
「間違ってもこの箱の中にあるような唾棄すべき下劣な道具を使おうなどと考えた事はない。断じてない。いや、人間としての性を捨てたという意味ではなくてだな、理性こそ人間だと私は考えている。何事も理性的であるべきだ。そうだろう」
「……はあ」
球磨さんから聞いたことが思い出されます。この人、盗撮映像を入手していたんでしたっけ? どの口が理性を語るんでしょうね。叢雲さんは知っているんでしょうか。
「では、見せるぞ」と竹櫛提督がダンボールにカッターナイフを入れて開き、その中から取り出したるは……黄色い「T」の形をした何かでした。テトリスのブロックの中に「T」形のものがありますよね、あれを一体成型で作った感じです。そして梱包していた大きなダンボールに入っていただけあって、「T」は人の頭ちょうど四つ分くらいのサイズがあります。その割には随分と軽そうで、抱えている竹櫛提督の両手にはほとんど力が入っていません。
……などといった描写も非常に阿呆らしいので言ってしまいますと、いえ賢明なる読者さんならば既にお察しでしょうが、軍服の上から「T」字の頭を生やした妖怪なのかロボットなのかヤーナム島の異形なのか、噂には聞く存在未確認の司令官、それからもぎ取られた頭のようでした。
僕がだいぶ引いているのを察した竹櫛提督は「大丈夫だ、見ろ。ただの被り物だ」人間でいうところの首に該当する部分に開けられた穴を僕に見せました。中は空っぽのようです。
「あ、あはは、ですよね被り物に決まってますもん。宇宙人か何かが艦隊の責任者やってるなんてあり得ないですよね。根も葉もない噂ですよね」
「………………」
「どうして黙るんですか」
「知りたくもない闇と隣合わせなのだ、我々軍というものは。斑鳩の言う噂には本当に根も葉もないだろうか? この被り物は誰が何の目的で作り、我々の元に送っている? マスクで顔を隠した者がインターネットで注目を集める程度は理解し難くとも人間の範疇だ。しかしこの「T」を被って脱がない者を艦娘が何の疑問も持たず慕うのだ。これが狂気でなくて何だというのだ」
「で、でも被り物なんですよね? 理解できなくてもいろんなファッションがありますし、少なくとも頭が「T」字のミュータントは実在しないんですよね?」
「………………」
「どーして黙るんですか!?」
「これは噂だが――「T」字男(?)が艦娘にセクハラ行為をはたらいていたらしい。見かねた勇敢な警備員は「T」の端部に拳を叩き込んだ。すると重く鈍い音と共に「T」字男は頭(?)の殴られた箇所に内出血(?)を作って倒れ、セクハラされていた艦娘は親の仇を始末せんが如く警備員を襲い始めたそうだ。――信じるかどうかの判断は任せる。この情報を持ち帰ったのが一ノ傘だということも付け加えておく。頭を隠せるついでに男装していたのが幸いだったそうだ」
「そ、そんなまさか……僕だってそれなりに経験を積んできたのに、そんな狂った世界が……?」
「斑鳩は頭を撫でられる行為について、どう思う?」
「頭ですか? よほど気を許した相手でもない限り正直、格下扱いされてるみたいで怒ると思いますけど」
「悪夢のような艦隊に所属する艦娘はだな。司令官に頭を撫でられると喜ぶそうだ」
「アイエエエエエ!」
頭を撫でる行為は海外の特定の地域ではタブーとされていますが、『叢雲の薬指』の世界でも異なる理由でタブーです。もちろん、例えば叢雲さんが竹櫛提督に撫でられる分にはツンツンデレデレするだけでしょう。なんでか僕に対して無駄に忠誠を誓っている潜水艦たちも褒める時は頭を撫でるとよいみたいです。――が! 普通の感性を持つ艦娘ならば頭に触れられた時点で「よし、こいつは右肘を逆方向に曲げられるよう改造されたいんだな」と極めて冷静に判断&鉄槌を下します。僕が身体検査を受けていた時、汚い手でペットを扱うように頭に触れやがったハゲ共……深海棲艦の次は貴様らだ……!
「つまり、この被り物はだ」と竹櫛提督はまとめました。「仮面舞踏会めいた暗黒懇親会の招待状なのだ。ブラック艦隊運営をやっていた一ノ傘には以前から届いていたようだが、天照大艦隊も大きくなったために私の元にも、そして一時的にでも大和を預かることがある傘姫にも送られてくるようになった、というわけだ。分かったか」
「……分かりません」
「では傘姫にこれを渡しておいてくれ。頼んだぞ」
「失礼ですが絶対にやめておいたほうが良いと具申します。あの人ああ見えてけっこう繊細ですよ?」
「短い付き合いではない。知っている」
「一ノ傘副提督は男装されて潜入なさったんですよね? つまり『そういう危険』を想定されて、実際その予感が的中したんですよね? もし傘姫提督がセクハラされたら――」
「分かっている」
「発砲騒ぎになりますよ!? 階級とか立場とか考える前に躊躇無く拳銃抜く性格の持ち主ですよ!?」
「分かっている! だから参加させろとは言ってはいない!」
息を荒くして上官と睨み合う僕らはまるでハリウッド映画の1シーンの中にいるようでした。我に返った執務室の扉の外からゴソゴソと音が聞こえてきました。セクハラ云々の発言が盗み聞きされて誤解を招かなければいいのですが。
「すまない。私の説明不足だった」
「いえ。僕の方こそ出過ぎた発言でした。申し訳ありません」
「傘姫にはコレを受け取らせて、参加・不参加の連絡だけは必ずしろと伝えてくれ。受け取り拒否は本件の性質上、許されん。対象となった時点で強制参加という雰囲気があるのは否定しないが、天照大艦隊の最高責任者は私だ。当然、分隊についての責任もこの私にある。そう伝えてくれると助かる」
「了解しました。お心遣い感謝致します」
竹櫛提督から「T」の被り物を、勲章のように神妙に受け取りました。明日は傘姫提督に四の五の言わさず片付けさせましょう。
……こんな阿呆らしいことをやっているから深海棲艦が無念を怨念に変えて人類を根絶やしにしようとしているんじゃあないか。洞観者としての僕は尚更そう思わずにはいられませんでした。
◆―【愁いの髪飾り】―◆
真実と対話せよ。
昨晩の武蔵さんとの電話は僕にとって新たな目覚めでした。彼女ほど、このおかしな戦争と真面目に向き合っている艦娘を僕は知りません。猫はきっと、だからこそ、最初に呼びかける相手に戦艦武蔵を選んだのでしょう。
昨日あれだけ悩んでいたのが嘘のように僕の頭は澄みきっています。近いうちにまたハングド・キャットにカレーを食べに行きたいですね。傘姫提督の部下となってすぐにカレー鍋に大穴を開けてクビになったという磯風の武勇伝にも興味があります。
いつか戦友として僕が暗雲を蹴散らし、武蔵さんの砲弾が敵を貫く日が来たならば――おっと死亡フラグをたてるところでした。
意気込むのは程々に、しかしさて、今日も真面目にお仕事です。夜が明ける直前まで話し込んでしまったのでちょっと遅刻してしまいました。傘姫提督が僕より早く執務室を開けている珍しいパターンです。
「ぐっもーにん。斑鳩が寝坊なんて、珍しいねえ」
「ごめん。深夜に長電話しちゃっ――……」
傘姫提督は、左手に「T」の被り物を、右手にカッターナイフを持っていました。
「動クナー! 左手ノカッターカラ手ヲ放セ!」
【斑鳩:Lv.150+1 → 150+2】
「あ、あれ? 斑鳩さん? そんなに怒るの予想外、だよ?」
「椅子カラ降リテ跪ケ! 両手ハ頭ノ後ロダ! 早クシロ!」
「ねえ落ち着いて? 分かったから。冗談だから。私が読心術を使えるの――」
「早クシナイトブチ殺スゾ糞提督ガー!」
「斑鳩に何があったの!?」
◆――――◆
取り乱しました。
【斑鳩:Lv.150+2 → 150+1】
「ここ数日の斑鳩、ちょっと変だよ。何か曰く付きの装備とか、開発して、ないよね――いま『提督に心配されちゃお終いだ。そして今、心配されてる僕はお終いだ』って、考えてる、よね? すっごい失礼なこと、考えてるよね?」
「心を読まれるのには慣れたから、せめて口に出さないでもらえる?」
傘姫電探を装備した球磨さんと長月ちゃんのトリオで無敵の部隊を編制できそうです。敵の最深部まで一気に叩けるんじゃあないでしょうか。
「敵がいる海域まで、ずーっとドラム缶の中に? たぶん開けた時には、衰弱死してるよ」
「今からでも艦娘になってみたら?」
「残念だけど、私には竹櫛くんに連絡、しに行く任務があるから。ちゃんと直接、『NO!』って言いに行くから」
「そこまでしろとは言ってないよ。電話でいいよ」
「斑鳩の疑念を、完全に払うために私、頑張るから! じゃ、後はよろしく、ね」
南鎮守府までは陸路で三時間。会議と称した雑談と食事で三時間。帰ってくるのに三時間。ただ竹櫛提督に「NO!」と言うだけでヤツの本日の業務は終了です。天照隊の助っ人のおかげで僕が使う機会が減った便利アイテム、いつでもどこでも仕事ができる非人道的タブレットを常備させようかと考えています。
◆――――◆
デスクワークをお願いできて、しかも嫌な顔ひとつせず引き受けてくれる万金を積んでも欲しくなる艦娘、その人こそ航空戦艦・山城です。本日は傘姫提督の替わりに執務室に籠ってもらうことにしました。
「この部屋――扶桑姉さまの匂いがする?」
【山城:Lv.91 → 94】
海と机はシームレスだと本物のモノノフは言います。文房具も立派な兵装だと。「ペンは剣よりも強し」ではなく「戦闘の前後に記録を残せ」という意味です。その言葉を残した重巡洋艦は仲間が怠ってしまった戦果確認のために出撃し、奇襲を受けたとの通信を最後に帰らぬ者となってしまいました。僕たちが胸に留めておくべき有名な話です。
「このへんかしら……姉さま!?」
竹櫛提督が可能な限り多くの艦娘に仕事を覚えさせようとしているのも、そういった理由からだそうです。天照大艦隊ほどの文字通りの大艦隊ならば叢雲さんら数人を秘書に専念させれば捗るんじゃないか、そんなアホな事を言う人もいたそうです。
「ここじゃない……姉さま? 姉さま!」
僕の目の前では山城がドラえもんでも探しているのか傘姫提督の机を引っ掻き回していますが、あのように必要なものを見つけられないのも常日頃からしっかりしていないために生ずる問題です。……たぶん。問題です。
「姉さま? どこに隠れているんですか?」
「あのー……ねえ山城?」
「姉さま!? 違う、もっと奥の方から?」
「ねえ山城? ねえ!?」
「姉さま!? 姉さまー!!」
「うるさいよ!!」
◆――――◆
提督の机は泥棒に荒らされた後のような様相を呈しています。すべて解放されて中身をかき乱された引き出しや、机の上から落っこちた液晶一体型パソコンは無事でしょうか。あまり自分というものを見せない人が机に飾っている猫の写真が入った写真立てを床から拾い上げると、悲しい出来事を象徴する遺品めいて割れちゃっていました。ほとんど怒らないタイプの傘姫提督もこれはさすがに……ああ昨日も今日も胃が痛い。
そんな惨状も瑣末なこと、倒壊させた家具を粉微塵も気に留めない猫のように山城は室内をキョロキョロと見渡しています。
「姉さまぁ……どうして出て来てくださらないんですかぁ……」
「お願いだから僕をこれ以上幻滅させないで。航空戦艦に対する不信感がすごいんだから」
サラッと流されちゃいましたが秋のミサイル事件(36話「秋空を翔ける阿呆」参照)、もし僕が青い炎の力を扱えていなかったら傘姫提督と仲良くネギトロめいた肉片になっていましたからね。
「斑鳩にも妹さんがいるんだから私の気持ち、分かってくれるでしょ」
「いや姉妹がどうとかじゃなくてね。意味が分からな――ちょ、ちょっと僕の匂いをかがないで! まず説明をプリーズ!」
「この部屋から微かに扶桑姉さまの優しい香りがしたの。つまり姉さまがいらっしゃるか、あるいは姉さまに繋がる何かがある。OK?」
「NO」僕と傘姫提督はノーと言える日本人です。
「隠し扉とか無いわよね。空襲に備えてのシェルター」
「ここは総合棟二階の、薄い壁と床と天井に囲まれた、スキマ風をDIYで防いでる執務室です。復旧作業の時に見てるでしょ」
「一週間前に入った時は特に何も感じなかった――つい最近、扶桑姉さま本人が来たり関係する品物が届いたりしたはずよ。どんな些細な事でもいいから教えて」
「そう言われても、ねえ……」
特別なことといったら、球磨さんからナイフを預かり、そのナイフを渡す替わりに長月ちゃんからネコノツメを預かり、竹櫛提督にネコノツメを預けた後に渡された「T」の被り物が手元にあるくらいです。
傘姫提督がカッターナイフで切り刻もうとした「T」のゴミをホラ何もないでしょと言う代わりに渡したら、まあ驚き、山城は匂いをかいだ後に被り物をギュッと抱きしめて「ああ、姉さま……山城はついに追いつきました」ヤーナム島から回収された遺骨でも扱うように感傷に浸り始めました。竹櫛提督と一緒にさんざん罵倒した「T」提督を胸の中で慈しむ光景が再現されています。ドン引きです。
「姉さまの温もりを忘れた日は一日としてありませんでした」
「あ、あの……山城?」
「この日を待ち続けて……やっとここまで……!」
「ねえ仕事はじめようよ」
「姉さま……姉さまぁー!!!!」
「うるさいってば!!」
◆――――◆
僕だって楽しくて山城を蔑ろにしているわけではありません。
イギリスが第一次産業革命で労働のカタチを変えていた時代、ロンドンのとある酒場ではこんな騒動が勃発していたそうです。
『あの店は酒も買えない浮浪者が近づくと扉を閉めるんだ。分かるか? 金を持ってない奴は酒を目で見る権利すら無いと言う。不幸者の視線が酒を腐らせると言う。なあ、店主や店の中で笑ってる商人共こそせっかくの酒を腐らせるクズだと思わないか? だったら俺たちで、店の扉や窓が二度と閉じられないようリフォームしてやるのが世のため人のためってもんだろう』
こうして幸運の星を見つけられない人々を蔑ろにしてきた酒場は荒ぶる匠たちの手により日本家屋めいた開放的空間にされ、改装賃として様々なものが強奪されていったといいます。
嘘です。いま考えた作り話です。ごめんなさい。
それはさておき、「仕事のできる艦娘が抱える悩みをほったらかしにすることは天照大御神が許しても空母斑鳩が許さない」をモットーとする僕がすっとぼけているのには当然それに足る理由があります。
大本営直属の大戦艦、撃沈王・大和はあまりに有名ですが、憧れる子供の夢を壊さない言い方をするならば、彼女だって一人で戦っているわけではありません。当たり前です。いかなる未知の脅威が棲んでいるか分からない海域にも臆さず旗艦として超攻撃的な偵察作戦を遂行できるといっても、仲間のフォローなくしては少々頑丈なだけの鈍足艦は四方八方からの飽和攻撃を受けて轟沈してしまうのが戦場というものです。なので撃沈王とは即ち随伴艦の存在があってこそ華やかであり続けられるのであり、大和本人も運命を共にする仲間を誇りに思っているといつも語ります。ただ残念ながら艦隊の性質上その編成は決して公にはされません。大規模作戦を練るための情報収集隊が壊滅してしまったらアウトですからね。脚光を浴びる大和の背後には決して姿を表に出さないニンジャめいた艦娘がいるんです。
そして山城によく似た薄幸美人、航空戦艦・扶桑もそのニンジャめいた一人なのです(ニンジャではありません)。
僕がスクール水着を着せられて溺れていた頃に見張り番をしていたり、また僕の目から青い炎が出た時なんかは大和と一緒にこの鎮守府を砲撃したりと、実はけっこう接点があったりします。積極的に歩いて棒に当たりにいくスタイルの妹とは違って扶桑はおっとり不幸ですが、枝垂れ桜が似合うイメージは瓜二つな感じがします。
山城の鼻を信用するとして、これは僕の想像ですが「T」の被り物を製作・発送させられている不憫な艦娘が扶桑なのでしょう。怪しげなパーティと極秘扱いの艦娘はとても相性がよさそうですからね。
「この黄色い物体、誰のもの? というか何なの?」
山城は「T」の被り物を手放す気がなさそうに深く抱きしめ、子供が玩具の所有権を主張するみたいに僕の視線からも隠すよう背を向けました。
「傘姫提督のもの。さっき出掛ける前に捨てようとしてた謎のオブジェクト」
本当のことを詳しく説明すると山城自身が匿名暗黒懇親会に参加しかねません。いえ恐らく「T」の中で素顔を惜しげもなく晒しながら「扶桑姉さまー!!」と叫んだりするに違いありません。
「山城の言う扶桑某さんの事は分からないけど、それ欲しいなら持ってっていいよ。だから仕事しよう?」
「――斑鳩から隠し事の匂いがするわ」
「お風呂にはちゃんと入ってます。そんな匂いしません」
「叢雲や雷電姉妹よりも秘書艦慣れした斑鳩が執務室に持ち込まれた、こんなに目立つモノの出自を把握してないのはおかしいじゃない」
「僕は山城が言ってることの方がおかしいと思う」
「私のヘソクリ三式弾を賭けてもいい。斑鳩は何か知ってるわ」
「知らない。知らないったら知らない」
この後の一時間にも及ぶ睨み合いの末(一時間もの間、ずーっと山城の濁った瞳を鼻息荒く堪能し続けました。目を逸らしたら負けですからね。途中で誰かが執務室に入ってきても熱い視線を途切れさせることはありませんでした。声だけじゃ誰だか分からなかった触らぬ神に祟りなしを実践した誰かさん、とても賢明な行動だったと評価しますが、できれば仲裁に入って欲しかったなあ……)、山城はようやっと折れてくれました。
山城が視線を外してくれたと同時に二人して眼球の乾きに悶え苦しみました。阿呆なことをやっています。
「い、斑鳩がここまで強情だとは知らなかったわ。いいわ、なら作戦を変えるまでよ――これを預かってて頂戴」
「なに? ごめん見えない」あと五分は目を開けられそうにありません。
「私の髪飾りよ。ほら」と言いつつ山城も見えない僕に向かって腕を振り回したのか、左肩をベシッと殴ってきました。
ジャラジャラした物体は山城の頭に生えている墓石のような艦橋の根本に付けていたものでしょう。受け取ったが最後、僕の運のパラメータが13ほど下がった気がしました。静かなる狂気と不幸をもたらす装備はまるでヤーナム島廃病院の手術室で入手できるアイテムです。島の特殊イベントを進めるために必要となる重要なヤツですきっと。目が見えないので匂いをかいでみました。――普通です。何をやっているんでしょうね僕は。
「で? 僕にこれをどうしろと?」
「聡い斑鳩なら分かるでしょ」
「評価はありがとう。でも分からないから聞いてるの」
「その髪飾りが扶桑姉さまの手に渡れば、姉さまの方から私を探してくれるわ」
「だから扶桑某さんについては何も知らないって――」
痛みを我慢して右目をうっすら開くと、ちょうど山城が執務室から逃げていくところでした。
「みなまで言わなくても私は斑鳩のこと信じてるから! この黄色い何かはありがたく貰っていくわ! 本当にありがとう、それじゃ!」
まだ山城も目があまり見えていないようで、廊下の色々なものに体当たりする音を響かせながら去ってしまいました。
執務室には僕だけがぽつんと残りました。よく見えませんが傘姫提督の机は荒らされたままです。
「……せめて片付けていけよコンチクショウ」
今日はもう執務室を封鎖してしまって、ヤーナム島のイベントでも攻略しに行こうかしらん。
自分で言うのもアレですが僕はヤーナム島で死んだら怨念がエリアボスに昇華する類の艦娘ですからね。その時は今度こそ人類の敵になろう、駆逐艦を見逃すかわりに航空戦艦を執拗に狙う怨念になろう、そう決意しました。
つ づ く