球磨の薬指   作:vs どんぐり

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あ、あかんヤツやこれ・・・!
艦これをちゃんと書こうとするなら史実をしっかり調べないと駄目じゃん! と今更ながら思い知りました。
とにかく目の前のパソコンとインターネッツで調べなければと、Wikipediaだけでなく他にもいろいろと当たってみて・・・ダメでしたー!
検索をかければ欲しい情報がピンポイントで手に入るなどと、甘えるな、って感じですよね。
書籍ですか? ははは、家にあるのは鉄砲図鑑くらいですよ。

この話『ヤーナム島の黒い風』、前後編の2構成で終わらせるつもりでしたが、想定外にボリュームが増えてしまったのと、秋イベ【進撃!第二次作戦「南方作戦」】がそろそろ始まるらしいので、いったん中編をはさむことにしました。
つまりは時間稼ぎです。


第73話 ヤーナム島の黒い風(中編)

 発令! ヤーナム島反撃作戦

 第一艦隊、旗艦斑鳩、比叡、翔鶴、瑞鶴、大鳳、那智

 第二艦隊、旗艦球磨、霧島、妙高、夕雲、巻雲、風雲

 空母機動部隊、出撃です!

 

 

◆――――◆

 

 

 艦娘が嫌な予感を覚えたその時、少なくとも空と海は灰色でなければならないと僕は思います。例えば、大破した艦に右も左も肩を貸している困難に足を突っ込んだ後であれば雨雲が空を覆い尽くし、やや強い風が吹いていると良いでしょう。すんごい強そうな鬼姫クラス深海棲艦率いる敵艦隊と対峙した時は、空は、黒色と赤色のステンドグラスが割れている感じが丁度良いでしょう。

 雰囲気重点。

 だというのに、今は空も海もきれいな青色をしています。そんな大自然の何が悪いのか? 情景描写ができないじゃあないですか。僕がいま心の中でモヤモヤさせている、「普通に戦ってハイ任務完了、とはならないんだろうなぁ」という勘をどう表現したらよいものか。十一名の本隊の戦力を預かる部隊旗艦であるため弱音を口にすることもできません。

 僕らヤーナム島反撃作戦機動部隊は現在、索敵を怠らずヤーナム島を目指しています。

 過去、僕が二回ヤーナム島を往復した時は、敵らしきもの一つすらありませんでした。なんというか、警戒し甲斐のない航路だったのです。その理由こそが、ヤーナム島を幻たらしめていた原因なのでした。

 出撃から■時間、何事もなく快速で進んでいると、球磨さんがツイと僕の横に並んできました。他の皆は一発の爆弾で多数の被害を出さないよう適度な間隔を取っています。

 

「なんで球磨だけ、撃沈王からご指名いただいたんだクマ?」

 

 球磨さんの装備は連装砲と偵察機、それと敵が上陸を果たしていると想定してのロケットランチャーです。あと、恐らくいつものナイフも厚着の下に隠しているのでしょう。

 

「同じ軽巡なら矢矧たちの方が喜んでヤル気MAXになってたと思うクマ」

「大和は意味もなく指名したりはしませんよ」たぶん。

「じゃあ、どうしてクマ?」

「どうしてでしょうね。理由は特に言ってませんでした」

「斑鳩オマエ、理由も聞かずに言われるがまま、球磨をコタツから引きずり出したクマ?」

「もうコタツ出したんですか。早いですね」

 

 厚着はナイフを隠すためでなく、ただ寒かっただけのようです。

 

「この急な冷え込みに球磨のヤル気はだだ下がりクマ」

「ヤーナム島までの辛抱ですよ球磨さん。あそこは妙に生暖かいですから」

「ふーん」と言って球磨さんは僕の側から離れ、第二艦隊旗艦位置に戻りました。その後に通信装置(デザイン性を捨てたBluetoothイヤホンのようなもの)で、

《みんなー、寒いのはヤーナム島までの辛抱らしいクマー》

「みなさーん、球磨さんの言うことは気にせず警戒を続けてくださーい」

《警戒してないのは旗艦の二人だけじゃない!》と瑞鶴に怒られてしまいました。《ここまで本当に何もなかったけど、もういい加減、偵察機が何か見つけてもいいんじゃない? 敵艦隊には空母もいるんでしょ》

「瑞鶴、いいタイミングで言ってくれた」

 

 元陸軍人、あきつ丸の眼が腐っていないと……そう信じるとしたら、敵包囲艦隊は泊地を破壊するのに極めて消極的です。あきつ丸が「深海棲艦による上陸作戦?」と推定したことと、電話から聞こえた敵戦艦からの牽制めいた密度のない砲撃。僕はこれら情報より、敵の目標を『ヤーナム泊地から陣地丸ごとと情報の奪取』だと考えました。で、あれば、先んじて泊地に火を放ってしまえば敵(と大和)は作戦目標の半分くらいを失い困ってしまって、後にやることといえば撤退か、反撃に出る人類側への迎撃しかありません。撤退してくれるのならばそれで良し。泊地で待ち構えているか進撃してくるかは――今ここまで僕らの偵察機が何も見つけていないことから前者のようです(僕らとすれ違わない方向へ向かっているとしたら、それはもうただの敵はぐれ艦隊です。好きに漂流させておけば良し)。

 

「なら僕らはいつ攻勢に出るべきか――翔鶴、瑞鶴、大鳳、攻撃隊発艦準備をお願い」

《いつでもいけます》と翔鶴。

《待ちくたびれたわ》と瑞鶴は弓を引き絞りました。

《攻撃隊、発艦準備完了》と大鳳はクロスボウを構えました。

 

 さすがは練度が初上限に到達しているだけあって、三人とも頼もしいです。

 

「全攻撃隊、発艦!」

 

 

◆――――◆

 

 

「す、ストップストーップ! 攻撃隊全隊、攻撃中止! 繰り返す、攻撃中止! 敵対空射撃を警戒しつつ触接を続けて!」

 

 僕を含む空母四人以外にはわけが分から……いえ、僕らもわけが分かりませんでした。

 

「皆も微速……いや今の陣形のまま停止。作戦タイムに入らせて」

 

 当然、球磨さんは第二艦隊を代表して訝しみます。

 

《斑鳩、なにごとクマ?》

「あ……ありのまま、今起こってる事を話していいですか」

《ポルナレってんじゃあねークマ。分かりやすく説明するクマ》

「五秒待ってください。……――泊地地上で艦娘らしき者六名、恐らくあきつ丸提督と神風型駆逐艦五名が……えー、鹵獲? 捕虜? にされてます」

《はあ!?》《そんな!?》と何人かから懐疑の声が返ってきました。まあ、そんな反応になりますよね。

 

 ですが僕は逆に安堵していました。なぜ、逃げたはずのあきつ丸と神風ちゃん達が捕まったのかはわかりませんが、今、生き残っているということは、

“普通ならばとっくにもたらされている死”

 を免れていることを意味します。

 しかし航空機からの観測ですから、近づいてよく見れば、それは屍を生きているように見せる案山子だったという…………考え過ぎです、僕。吐きそうになるくらいなら考えるな。

 

「ケホッ……地上には敵戦艦2、空母2、重巡1。たぶん足がしっかりしてる系の深海棲艦が上陸したんだと思う。泊地付近の海上には空母2、軽巡2、駆逐艦11」

 

 あきつ丸が見た数より一体足りず、しかもその一体は鬼姫クラスの可能性のあった個体です。神風ちゃん達の決死の集中攻撃で倒してしまったのでしょうか。

 

「こっちの航空機には、ただ見てるだけで迎撃してくる様子なし。あと泊地の建物から火が出てるけど、これはあきつ丸提督がやったものだから……いやどうだろう。命令通りやれた可能性が低くなってきたから敵に攻撃されたのかも」

《深海棲艦が、捕虜を取るんですか?》と霧島が、皆がシンプルに思っていることを代表して口に出しました。《創作戦記ではたまに見かけますが》

《斑鳩、そこのところどうクマ?》と球磨さん、なぜか僕にパス。

「え、なんで僕が知ってる風に聞くんです?」

《だってオマエ、深海棲艦になりかけの奴クマ》

「あーなるほど、そういえばそうで……いやいや、分かるわけないですよ深海棲艦の考えることなんて」

 

 とは言ったものの、部隊の旗艦が『知らない分からない判断できない』ではいけません。

 

「翔鶴、瑞鶴、大鳳。もう一度、攻撃隊の妖精に確認してもらって。感覚的でいいから、艦娘らしき者六名は捕虜のように扱われているか、って」

 

 残念ながら僕と一緒に働いてくれている妖精は、このような曖昧な指示を聞いてくれません。

 妖精は『洞観者』に対してとても冷淡なのです。

 航空機にどれだけ乗っても機体に慣れようとせず熟練度は上昇しません。艦砲を構えても最低限しかエイムをアシストしてくれません。上陸用舟艇(大発動艇など)だけは楽しいらしく、小さな舟艇に飛び乗ると、満足するまで海上を走ったのちに帰ってきます。応急修理要員に至っては艦娘の被害甚大と見れば「ダメなものはダメ」と諦めてしまいます(うちの潜水艦たちによって狂気の実証済み)。

 

《――攻撃隊より》と大鳳。《まるで強盗立てこもり事件の人質のよう、とのことです》

《こちらも同じように見えています。艦娘たちは膝をついて両手を頭の後ろに回して、それに敵戦艦と重巡が砲を向けています》

《私も大鳳と翔鶴姉とほぼ同じ》

 

 翔鶴と瑞鶴もそう報告してくれました。

 久しく流していなかった脂汗。さっき吐きかけた時からの胃痛。おお、我らが慈母アマテラスよ。これが僕らが足を踏み入れる戦場ですか。

 

「この中で誰か、人質事件に詳しい人、いない……よね?」

《オマエが昔、提督と叢雲を人質に取って天照隊を襲撃してきた事ならあったクマ》

「今は勘弁してくださいよぅ。…………ん、攻撃隊から新しい打電(ハイテク)です」

 

 僕だけでなく他の空母三人も、ほぼ同時に報せを受けているようです。

 

「『地上の敵空母が本隊に向けて両手を上げたり広げたりしている』――んん?」

 

 これを正確に判読できたのは瑞鶴の妖精でした。

 

《『手旗信号を送ろうとしてるように見える』ってよ》

「瑞鶴、助かった。応信お願い」

《了解。――――『コノモノタチノイノチガオシケレバブソウヲホウキシタノチココマデコイ』……以上》

 

 この者たちの命が惜しければ武装を放棄した後ここまで来い。

 

 僕は腕を組み、空を見上げました。日はてっぺんをとうに過ぎ、あと■時間くらいで綺麗な夕焼けが見られることでしょう。相も変わらず自然は空気を読まな……いえ、このタイミングで嵐に見舞われようものなら部隊の士気はガタ落ちしてましたね。「一度撤退しよう」と誰も言わないでくれるのは有り難いです。

 とりあえず、あきつ丸たちが “人質”なのは確定しました。

 

 つまり、今ここで、僕らで、何とかしなくっちゃあいけないということです。

 

「球磨さん、天照隊に状況連絡と増援要請をお願いします」

《増援を待ってから動く作戦クマ?》

「いえ。僕らがしくじった場合のためです。早まるなと言われても無視してください」

《りょーかいクマ。斑鳩のそういうトコは嫌いじゃあないクマ》

「瑞鶴、敵方に向けて送信――できるかなぁ? 妖精の小さい手で、しかも高く飛んでる航空機の上から」

《気合でやってもらうよ。何て言い返す?》

 

『ファッキュー』とか『人質を取る卑怯者のくせに手旗信号と日本語だけはお上手ですね』と煽りたい気持ちはグッと我慢です。

 

「シンプルに『そちらの目的を問う』とお願い」

《分かった》

「次は、ええと――」

 

 矢継ぎ早に指示を出そうと、頭よりも口が先走って回ります。部隊の皆が今のこの状況を、冷静を通り越して深刻に考え込みすぎないように。……というのは建前で、僕自身が挫けないように。

 

「夕雲ちゃん、巻雲ちゃん、風雲ちゃん。装備してるソナーはアクティブだっけ? パッシブだっけ?」

《みんな漁支援で使っていたものをそのまま持ってきたから、当然アクティブソナーよね》

 

 夕雲ちゃんがそう言うと、《ふぇ? なんでですかぁ?》と首を傾げる巻雲ちゃん。

 

《巻雲のはパッシブソナーですよ? でも~このソナー、ちょっと壊れてるかも。お魚の音がぜんぜん聞こえないんです》

《えっ……巻雲姉さん、漁支援は得意だって、えっ?》

《えっ?》と巻雲ちゃん。

《えっ? えっ?》と風雲ちゃんは巻雲ちゃんと夕雲ちゃんを交互に見やりました。

《巻雲さん、今までどうやって漁支援を……》

「い、いやナイスだよ巻雲ちゃん。もし本当に武装を全部放棄することになっても、音バレしないパッシブソナーだけは捨てずにこっそり使い続けてね、ってお願いしようとしたんだ」

 

 だから間違ってくれて逆に助かったよ、とは皮肉っぽくなりそうだったので言いませんでした。

 

「それから比叡」

《難しいことはご勘弁!》

 

 金剛型戦艦に容赦など不要です。

 

「僕か球磨さんか、あるいは両方か。部隊旗艦を引き継いでもらうかもしれないから、心の準備をしておいて」

 

 僕はてっきり「ひえ~っ!?」と返されるものと想像していたのですが、比叡は、

 

《マジ? 斑鳩と球磨、デコイになって死ぬの?》

 

 僕より遥かに酷い想像をしたようです。

 

 

◆――――◆

 

 

 その頃、ヤーナム島にひとつの黒がありました。僕らの知りようがない黒です。

 黒は、鮮麗な五色と混ざり合う時を、今か今かと待ち続けていました。

 

 この世界には深海の闇ですら消せない炎が存在する。

 




まっっっったく関係無い話なのですが、先日からのスカディ復刻ガチャのおかげで、うちのカルデアに孔明・玉藻・マーリン・スカディが揃いました。
でもまあ、無課金&そこまで時間を割かない勢なので、特にスカディなんて全然スペックを活かせないんですけどね。宝の持ち腐れとはまさにこのこと。加えてエリクサー症候群なので聖杯はおろかスキル強化素材も使えません。
(艦これでもダメコン使えません)
ちなみに現在の進捗は2部4章途中で長いこと先に進んでいません。1.5部?そんなものはない。
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