ドールズフロントライン ~ドールズ・スクールライフ~   作:弱音御前

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寒くなってきましたね。なんて言っている間にもう年が明けちゃうんだろうな~、とか、のんびり考える今日この頃。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
どうも、弱音御前です。

新シリーズが始まりましたが、きっと、まだ本題に入っていないのでどんな感じか分からないですよね?
どうせ、最後まで大した内容でもないのでお気になさらずどうぞ。
というわけで、今週もごゆっくりどうぞ~


ドールズ・スクールライフ 2話

「んで、窓際の席はHK416、FAL、G3、G41だ」

 

「ふわぁ~、もうみんなのお名前と席まで覚えたんですか? 指揮官さんすごいです!」

 

 おおよそ、転入生は休み時間にクラスの生徒達から質問攻めにあうと相場が決まっている。例にもれず、怒涛の包囲攻撃を受け続けた指揮官は、お昼を食べ終わるころにはすでにクラスメイトの名前と顔、席順をバッチリ覚えるまでに成長していた。

 

「私なんて、このクラスになってから半年経つけど、まだ覚えきれていない娘がいるのに~」

 

「指揮官はいずれ大勢の部下を率いる立場になるんだから、こういうのはしっかりと訓練されてるんじゃないの?」

 

「訓練っていうほどのものじゃないけど、確かに、物覚えが良くなるように色々教えられたかな」

 

 食堂から教室に戻り、45と9、そして、G41も加え、残りの休み時間をまったりと過ごす

4人。

 

「盛り上がってるところ悪いんだけど」

 

 そんな中に、やや刺々しい口調で割って入る声。

 振り返ると、そこには硬い表情を張り付けた桃色髪の娘が。

 威圧的な表情であるが、担任のSVD同様、小柄な事もあって迫力がやや足りていない感じで

ある。

 

「えっと・・・俺かな?」

 

「そう。話があるから、ツラ貸しなさい。体育館の裏で待ってるから」

 

 返事も待たずに踵を返すと、桃色髪の娘はツカツカと教室から出ていってしまう。

 

「何よアイツ。気分悪ぅ~」

 

「あの娘、確かネゲヴだったよね? 何か悪い事しちゃったかな?」

 

 席は通路を挟み指揮官の左側で、休み時間になっても寄ってくる様子はなかった為、まだ話を

したことは無い娘だ。

 授業中にチラチラと様子を伺ってくる視線は何度も感じていたので、しばらくしたらこちらから話しかけてみようかな、と考えていた指揮官だったが、あまり良くないファーストコンタクトになってしまったものである。

 

「大方、指揮官が人気集めてるの見て面白くなかったんじゃないの? バッくれると後で面倒だから、行ってきた方が良いよ」

 

「そうだね。まだ時間もあるし、ちょっと話してくるよ」

 

 仲良く楽しく生活を送るというのが指揮官の目標である。可能な限り、話し合いで穏便に済ませたいところだ。

 

「念のため、銃は持って行った方がいいよ。無ければ私の貸そうか?」

 

「いや、いいよ。っていうか、決められた場面じゃなきゃ銃火器の使用禁止じゃなかったっけ?」

 

 言いつつも、ちゃっかりと自前の銃は携行して指揮官も教室を後にする。

 1階に降り、昇降口で靴を履き替え、校舎の西側へ回り込む。事前に学園施設を予習していたので、新入りながらも迷うことなく体育館にたどり着くことができた。

 

「体育館裏って言ってたけど・・・裏って、どのへんなんだろう?」

 

 とりあえず、体育館の外周を歩いてみようという結論を出す。

 入り口から右回りにグルリと周り、そして、敷地境のフェンスに差し掛かったところで、さっきの桃色髪の娘の姿を見つける。

 日差しが建物の影に隠れ、ほんのりと暗い一本道には、件の娘を含めた3人が指揮官を待ち構えていた。

 

「ふぅん? てっきり、UMP45がお供に付いてくるかと思ったけど。あんがい度胸はあるみたいね」

 

 腕を組み、ふてぶてしい態度で言い放つネゲヴ。

 

「ネゲヴ、初対面の方にそんな偉そうな態度をとるのは失礼なのでは?」

 

 ネゲヴの右に立つのは、白みがかったブロンドに澄んだ青い瞳のクラスメイト。

 まだ話したことは無かったが、今の会話の様子だととても常識のある娘のようだ。

 

「偉そう、じゃなくて偉いからいいの! この学園じゃあ私のが先輩なのだから!」

 

「朝のホームルームでドラちゃん先生も言っていましたでしょう? 指揮官さんも私達と同期だと。仲間なのですから、上も下もありませんわよ」

 

 対して左側、サラリと揺れる青い長髪に、気品を感じる佇まいの娘も同じくクラスメイトで

ある。

 

「ネゲヴさんと、ファマスさん、タボールさん、だったよね? まだ直接挨拶してなかったから、これからよろしくね」

 

「まあまあ! もう私たちの名前を憶えていただいて嬉しいですわ! こちらこそ、お困りごとがあったら遠慮せずに相談して下さいまし」

 

 表情を輝かせながら歩み寄ってくるタボールと握手を交わす。

 とても女性らしい、小さくて柔らかな手の感触が伝わってくる。

 

「申し遅れてすみません。こちらこそお世話になります、指揮官殿」

 

「あはは、そんな堅苦しい呼び方をしなくてもいいよ」

 

 互いに笑いながら、ファマスとも握手を交わす。

 タボールと同じく、可愛らしい手の感触は同じだが・・・

 

「ん・・・」

 

「ふむ・・・」

 

 思うところがあったのは2人ともに同じ。小さく声を漏らして、でも、何事も無かったかのように手を離した。

 

「ちょっと、私を差し置いて何やってんのよ! そいつを呼び出したのは私なのよ!?」

 

「あら、ゴメンあそばせ。では、ネゲヴも指揮官にご挨拶をどうぞですわ」

 

 怒りの抗議をサラリと流され、ネゲヴの顔が仄かに赤くなる。

 

「そもそも、指揮官と挨拶がてら仲良くなりたかっただけなら、わざわざこんな所に呼び出す必要もないでしょうに」

 

 まさに、ファマスが言った通りの事だったのだろう、ネゲヴはもう耳まで赤くして身体をわななかせる。

 

「そうだったんだ? 席もすぐ横だし、色々と教えてくれると嬉しいな」

 

 ナチュラルに微笑み、指揮官が右手を差し出す。

 

「~~~~~~! んもぉ~~~~っ!」

 

 絞り出すような声と共に指揮官の手を握ると、乱暴にぶんぶんと二振り。そして振り払うように指揮官の手を放し。

 

「これで私を手籠めに出来たと思わない事ね!」

 

 そんな捨てセリフを残し、ネゲヴは1人で走り去ってしまう。

 今の一連のやり取りの意味がよく分からず、呆気にとられる指揮官。

 

「今のは、ネゲヴなりの友好の証だと思っていただければ、と」

 

「あの娘、へそ曲がりですので。ああ見えて、きっと指揮官の事を気に入っているに違いありませんわ」

 

「そ、そうなの? それならいいんだけど」

 

 ファマスとタボールが指揮官にフォローを入れたところでチャイムが鳴る。昼休み終了5分前の予鈴である。

 

「積もる話は戻りながらにでもいたしましょう。差し当たって、指揮官はどのような女性がお好みですの?」

 

「タボール、いきなり攻めすぎですよ。こういうのはまず、趣味とか好きな食べ物とか、当たり

障りない情報から切り崩していくのが適切かと」

 

「んもう、ファマスさんは慎重にすぎるのですわ。ちんたらやってると、横からあっさり持ち逃げされてしまいましてよ?」

 

 姦しい会話に挟まれながら教室へ戻る。そんな、初めて経験する温かさを心地よく思いながら、でも、ネゲヴとはすれ違いだったことが少し心残りな指揮官なのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一日の授業を終え、帰り支度に取り掛かる。

 

「ねぇ、あの・・・さ・・・」

 

 と、左隣のネゲヴが指揮官に声をかけてきた。

 手早く支度を済ませていたようだが、その場でしばらく佇んでいるな、と思えば、声をかける

タイミングを図っていたようである。

 

「? どうしたの?」

 

 組んだ手をモジモジと動かし、落ち着かない様子のネゲヴ。俯き気味の顔でも、頬が赤いのが

伺える。

 

「さっきの事・・・なんだけど。乱暴な言い方してゴメ・・・」

 

「し~きか~ん!」

 

 そんなネゲヴの言葉を見事にカットインして、背後から45が抱き付いてくる。

 首に両腕を回して、身体を密着させてくるそのやり様は、この場ではかなり恥ずかしい。

 

「い、いきなり何をする!?」

 

「背中がお留守なのがいけない。これが戦場だったら、指揮官もう死んでるよ?」

 

「今は戦場じゃないでしょ? やるべき時にちゃんとやればいいの。ごめんネゲヴ、話の途中で」

 

 肩越しに45に向けていた視線を正面に戻すと、そこにはもうすでにネゲヴの姿は無し。早足に教室から出ていく後姿だけ、かろうじて捉えることができた。

 

「あ~あ。・・・45とネゲヴって仲悪いの?」

 

 本人に聞いたってロクな答えが出て来やしないのは分かっているので、妹分の9に尋ねてみる。

 

「ん~、そうでもないよ? 言い争いは日常茶飯事だけど、取っ組み合いのケンカはたまにしかやらないし。銃を使ったことは一度も無いから、全部ノーカンだよね」

 

「俺はこの学園の常識をちゃんと学ばないとダメみたいだな、うん」

 

 もう、郷に入りては郷に従えの精神である。

 

「あんなのは放っておいて、4人で一緒に帰りましょう。指揮官、まだ私の家知らないでしょ?」

 

「いや、確かに知らないけど。俺、こっちに移転したばかりで、荷物の整理なんかもしなきゃいけないし。それに・・・」

 

 会って初日の女の子の家に行くのもどうなんだろう? という気恥ずかしさに駆られてしまう。

 こういうのは、もう少し時間をかけて仲良くなってそれから、というのが指揮官の信条なのである。

 

「だから、私の家を知らないとマズいでしょ、って言ってるの」

 

「? だから、なんで45の家を知らないとマズいの?」

 

「??」

 

 お互い、頭の上に?マークをいくつも浮かべながらお見合い状態に陥ってしまう。

 そこへ助け舟が2隻。

 

「指揮官、もしかして、自分が暮らす場所わかってない?」

 

「今日から私たちのお家で指揮官さんも暮らすって、そう聞いてますよ?」

 

 9と41の話を聞いて、頭の中でこんがらがっていたヒモがするりと解けてくれた。

 この学園に居る間は、クラスメイトの家にホームステイするという話だったのだ。

 そんな重要な事を忘れるとは、自分もいよいよだな、と呆れて言葉も忘れてしまう。

 

「なに? そんな重大な事を忘れちゃってたの? まったく、見かけによらずなドジっ子さんね」

 

「ぅ・・・ごめんなさい」

 

 さっきのネゲヴと同じくらい顔が赤くして頭を下げる指揮官。

 そんな指揮官の腕を掴むと

 

「じゃあ、そんなドジっ子さんがはぐれないように手を繋いで案内してあげるね」

 

 柔らかく微笑んで、指揮官を引っ張っていく。

 非常に恥ずかしい状況だが、完全にイニシアティブを取られてしまった指揮官は大人しくついていくしかないのである。




いかにもギャルゲーちっくな内容になってまいりました。
ギャルゲーは好きなんですけどね。書くのはあんまり得意じゃないので、今回はお試しということで、こんなのになってます。

それでは、指揮官と人形達の学園生活、来週もお楽しみに。
以上、弱音御前でした~

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