ドールズフロントライン ~ドールズ・スクールライフ~   作:弱音御前

6 / 15
健康診断を控えまして。毎年ひっかかる血中コレステロールが今回も出てくるんだろうな~、と戦々恐々としている今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
どうも、弱音御前です。

戦術人形達の学園生活、まだまだ折り返しにも差し掛かってない段階ですが、長い目でお付き合いいただけたら嬉しいです。
では、今回もごゆっくりとどうぞ~


ドールズ・スクールライフ 6話

 10月5日(土) はれ

 

 

 走る、走る、走る。

 酸素を貪り、稼働限界まで酷使されて悲鳴をあげる四肢に供給し続ける。

 しかし、それでも前を疾走する3姉妹との差は中々縮まらない。そもそも、彼女達と指揮官と

では身体能力からして大きな差があり、この場の地形に関しても詳しい。離されずに食らいついていけているだけで十分に頑張れている方だ。

 チャイムの音が頭上から鳴り響いたのを聞き、更に緊張の糸が張り詰める指揮官。

 

「はぁ! はぁ! っくそ! 階段長すぎだろ!?」

 

 天国にまで続いているのではないか、と見紛うほどの長さと傾斜に悪態をつきつつ、階段を駆け上がっていく。

 もう、45達の姿は階段を上がりきったその先に消えている。

 最後のひと頑張り、と満身創痍の身体に鞭を打って階段を駆け上る。

 階段を上った先、今まで駆け抜けていた地下道とは質の違う、自然の光に目を細めながらも目標地点を確認。まだ入り口は開いている。

 間に合う。一縷の希望を見出し、入り口に向けて駆け寄るが

 

「マジかぁ・・・」

 

 非情にも、後2歩を残したところでドアが閉められる。

 ドアの真ん前で足を止め、荒れた息を整える指揮官。目の前のガラス窓に縋りついている45の姿が見える。

 

「そんな・・・イヤだよ。どうして、こんなことに」

 

 悲し気な瞳で慟哭する45に、苦しさを隠して笑顔を向ける。

 

「はは、ちょっと油断しちゃったみたいだ。詰めが甘いのは俺の悪い癖だな」

 

「なに暢気に笑ってるのよ! 一緒に・・・一緒に行くって約束したのに」

 

 たらればの話をしても仕方ない。この結果は潔く受け入れるしかないのだが、45との約束を破ってしまった事は心苦しい。

 

「すぐに追いかけるよ。また会えるんだから、そんな顔しないで。ね?」

 

「うん・・・待ってる。どれだけ長くても、私、ずっとずっと待ってるから。約束よ」

 

「ああ、今度こそ、約束だ」

 

 ガラス窓の向こうに添えられた45の手に合わせるように、指揮官が手を添える。

 鳴り響くブザー。

 そうして・・・45達を乗せた、11時05分発の上り電車がホームを出発する。

 

 指揮官達の目的地、終点は3駅先で、乗車時間およそ10分といったところである。

 

「あれじゃあさすがに間に合わないよな」

 

 シリアスな雰囲気もどこへやら、電車を見送り、利用客もまばらなホームでひとりごちる

指揮官。

 そも、指揮官が遅れをとったのは、時間ギリギリだと分かっているにもかかわらず、コンビニに買い物に行かされたからである。

 依頼主は言うまでもなく45。結局、コンビニ袋は渡せずじまいで指揮官の手元にあるので、

無駄に疲れただけだった。

 

「ん? 着信か」

 

 チャットアプリの着信音を耳にしてスマホを取り出す。

 

『中途半端な演技ね。60点』

 

「演技派じゃないんだ。頑張った方だよ」

 

 電車に間に合わなかった時の雰囲気がなんとなくそれっぽい感じだったので、45に合わせてそれらしいやり取りをしてみた指揮官。ホームにもっと人がいたら、絶対にやっていなかったお遊びである。

 呟いた言葉そのままを送ると、すぐに返信が。

 

『次の電車1時間くらいあとだから、歩いてきた方が早いよ』

 

「そうなんだよなぁ・・・」

 

 時刻表を見れば、次の上り電車が来るまで1時間以上ある。

 朝はそれこそ数分に1本の割合だが、休日の昼間はこの有様。周囲を見た限りの利用客の少なさを見ても、そうなって仕方ないと思える。

 

「仕方ない。歩いていくか」

 

 改札まで戻り、入場料だけ差し引いてもらって外へ出る。

 東口から線路沿いに伸びる幹線道路をずっと歩いていけば、目的の駅にたどり着くので、まだ

土地勘の無い指揮官でも迷うことはない。

 予定外だが、街並みを覚える、という本日の大きな目的に対してはちょうどいい状況である。

 綺麗に敷き詰められた石畳の歩道を早足に進む。

 行き交う人の数は進むのに気になるほどではなく、道路沿いの店舗の数もそれに準じたかのような数しかない。

 開発されて間もない事もあって街並みは綺麗だが、落ち着いた静かな街である。

 最近は家に帰ってからが特に騒がしく、神経をすり減らす状況の連続なので、こういう空気は

精神力の回復にちょうどいい。

 ・・・などと浸っている最中であるが、結局、指揮官はそういった星の下に生まれてしまったらしい。

 通りがかった公園の入り口から、ボールが道路に転がり出てくる。

 嫌な予感が脳裏をよぎる指揮官。直後、教科書のお手本かのように、子供がボールを追って道路に駆け出してきた。

 

(っ! マズい!)

 

 ボールを捕まえて安心する子供。その位置は車線のど真ん中で、もちろん、奥から車が走ってきている。

 脳が脚に緊急指令を下し、全力で地面を蹴飛ばす。

 車高の低いスポーツカーはすでに子供に気付いてブレーキをかけているが、明らかにスピードが出すぎている。

 止まらない。そして、子供は恐怖に硬直して動けない。

 

「バレット・フォーム、セットアップ!」

 

 それは言霊。空間に漂う魔力を引き寄せ、組み換え、己の望むカタチへと変貌させるための号令である。

 高密度に圧縮された魔力は、パーソナルカラーである鮮やかな桃色を放ち、たちまちに体を包み込む。

 和装を思わせる、けれども、明らかに今風の短い丈のスカートとストラの裾をヒラリと靡かせ、その場で一回転。

 

「マジカルトリガー ピーキー✡ピンキー! 治安組織に代わって指導よ!」

 

 キラリン、と笑顔でウィンクまでキメたところで転身完了。

 言霊から僅かコンマ秒の早業は、まさに、今、目の前で危機に瀕している子供を救うためのものに他ならない。

 しかし・・・

 

「ケガはなさそうかな。もう大丈夫だからね」

 

 予想以上に早く反応できたという事もあり、寸でのところで子供を抱き上げた指揮官は、飛び

込んだ勢いのまま反対車線を転がり、歩道に滑り込んでいた。

 子供は奇跡的に無傷。大声で泣きじゃくっているのは、恐怖と安心がごちゃ混ぜになってしまったからである。

 

「ああ、俺は大丈夫です。いえいえ、こっちの方こそ、咄嗟に飛び込んじゃってすいませんでした。ほら、お母さんが来てくれたよ」

 

 駆けつけてきた子供の保護者と運転手に上手く対応する指揮官。

 警察沙汰にはならなそうで世は事も無し!

 ・・・な雰囲気を、少し離れた位置から恨めしそうな眼で眺めるピーキー✡ピンキー、基、

ネゲヴ。

 

「はぁ・・・それで、えっと・・・・・・今日は、コスプレのイベントとか?」

 

「~~~~~~~~!」

 

 まず、手近なところから質問してみると、ネゲヴは一気に顔を赤く染め、引き攣った声をあげる。

 直後、指揮官の腕を掴むや、引っ張り歩きはじめる。

 

「ちょっと! どこに行く気!? ってか、力強い! 腕が痺れてるから!」

 

 歩道脇の茂みに指揮官を連行、人目につかないところまで進んで、ネゲヴがやっと歩みを止めた。

 指揮官に背を向け何度も大きく深呼吸。それから、クルリと振り返る。

 

「これはコスプレじゃない。魔法少女。本物。おーけー?」

 

 有無を言わさない圧力を放つネゲヴに、コクコクと頷いて返す。

 これは一体どういう状況なのか、指揮官は自分なりに頭の中で整理する。

 そして、ようやく処理できたところで指揮官が察する。

 

「もしかして、あの子を助ける為に変身したけど俺が代わりに助けちゃったから、それで肩透かしくらっちゃったんで怒ってる?」

 

「頭の回転と察しが良いのは流石ね! でも、言いたかったこと全部言われたのはなんかめっちゃ腹立つわ~!」

 

 やり場を失った怒りを発散させるように、ネゲヴがその場でドスンドスンと地団太を踏む。

 まるで、ハンマーで叩きでもしてるように地面がヘコんでいるのを、指揮官は見て見ぬフリをする事にした。

 

「アナタ、私が魔法少女って言ってるの信じてくれてるの? それとも、イタイ娘だとか思ってのノーリアクション?」

 

「信じてる。言われてみると、トンデモ展開なのは確かだけど。うん、なぜか信じられる」

 

「そ、そう。そんならいいんだけどさ」

 

 俯き、組んだ手をモジモジとしている仕草は、指揮官が知っているるネゲヴそのまま。

 ただ、制服ではなく、漫画やアニメでよく見かけるようなキャラクターらしい服装に、髪型まで変えている彼女はとても可愛らしい。

 いつもツンケンした態度なので、その反動もあって余計である。

 

「んで、もう変身している理由はないんでしょ? 戻らないの?」

 

「この姿、保証時間があるの。それを過ぎないと解けない」

 

「時間って、どれくらい?」

 

「1時間ちょっと」

 

「かなり長いけど、そういうもの・・・なのかな?」

 

 現実というのは、なんでもかんでも都合よく運ばないもの。それは例え魔法少女といえども例外ではないらしい。

 

「人目につくのは良くないから、それまでここで隠れてるのよ。アナタにも付き合ってもらうから」

 

「なんでさ!?」

 

「アナタのせいで無駄に転身させられたんだもの、責任とりなさいよ。・・・もしかして、これから何か用事あるの?」

 

「あ~、うん。まぁ・・・」

 

 今日は45達と街を見て周る為に外出している。電車乗り遅れでただでさえ時間が押しているのに、さらに1時間も遅れるとなると、遊べる時間はだいぶ削られることになってしまう。

 

「じゃあ行きなさいよ。ちゃんとあの子を助けてくれたみたいだから、今回は不問にしとくわ」

 

 その場で1人、膝を抱えてしゃがみ込むネゲヴ。

 どこか寂しげなその横顔が、指揮官の選択を決定づけた。

 

「時間はどうにでもなる用事だから、俺も付き合うよ。これ、ミルクティーとコーラ、どっちが

いい?」

 

「気が利くじゃない。それじゃあ遠慮なく」

 

 買いに行かされたコンビニ袋の中から迷うことなくコーラをとるや、蓋を開けてボトルを煽る。

 炭酸飲料だというのに、一気に半分近くを空けたネゲヴの飲みっぷりに、指揮官はつい見入ってしまった。

 

「ふぅ~・・・この姿になっている間はカロリーの消費が激しいの。ちょうどいい補給だったから大量に飲んだのであって、そんな目で見ないでちょうだい」

 

「ご、ごめん、つい・・・」

 

 決して、変なモノを見るような目で見ていたつもりはないのだが。ネゲヴにはそう映ってしまっていたのかもしれない。

 素直に謝って、それから、心の内に抱えている幾つもの疑問解消にとりかかる。

 

「あの~、つかぬことをお聞きしても?」

 

「何よ、そんなあらたまって。気持ち悪いから普通に話してくれない?」

 

 それでは、と咳払いを一つ。

 

「魔法少女って、普段どんなことをしてるの?」

 

「街の治安維持、って言えば聞こえはいいけど。ちょっとした人助けよ。それだって、年がら年中やってるわけじゃないけどね。転身したのだって2週間ぶりだし」

 

「それにしては、あまり話題になっていないっていうか・・・もしかして、この街の人たちにとっては慣れたものだからかな?」

 

 指揮官の常識で考えれば、街に魔法少女が居るとなればもっと話題が出ていてもいいくらいである。暮らし始めてから数日間、その存在を耳にしなかったというのは不思議だと思える。

 

「私の存在に気付いていないから、話題になんかならないわ」

 

「存在に気付いていない・・・?」

 

 ネゲヴの言っている事が指揮官はすぐに理解できなかった。

 今、指揮官はネゲヴの事を見ているし、学校でもネゲヴはクラスメイトや先生と会話を交わしている。

 難しい顔をしている指揮官をジッと観察するように見つめ、それからネゲヴが言葉を続ける。

 

「この姿になっている時は、傍に居る人の知覚を誤魔化して私に気付かないようにさせているのよ。長い時間そばに居なければ、視認されることはない」

 

「でも、俺はさっきからネゲヴに気が付いていたよ?」

 

「アナタが助けた子供もそのお母さんも、車の運転手も私の事を全く気にかけていなかった

でしょ? よく思い出してみなさい」

 

 言われてみれば、これだけ派手な格好をした少女が傍に居たというのに、指揮官以外の人達は

全く気にしていなかった。それこそ、ネゲヴが見えていないかのように。

 

「なのに、なんでアナタには私が知覚できるの?」

 

 少しのウソも見逃さない。真っすぐに指揮官を見据えるネゲヴの瞳が、無言でそう語っている。

 思わず気圧されてしまいそうになるほどの真剣さである。

 

「俺にも分からないよ。霊力だか魔力だか知らないけど、そんなものとは無縁の生活を送ってきたつもりだし」

 

 納得のいく答えを出してあげたいのは山々だが、分からないものは分からない。

 情けないのは承知で、正直な答えを返す指揮官。

 

「ん~・・・確かに、アナタからは魔力の気配は感じ取れない。でも、なんか引っ掛かるのよね。なんだろう、この違和感。すっごい腹立つわね」

 

 ネゲヴがこれだけ頭を悩ませているという事は、この件には相応の問題があるということである。

 その渦中の人な指揮官も少なからず不安を感じてしまう。

 

「変身してるネゲヴが見えてるのって、もしかして、ちょっとヤバかったり?」

 

「ヤバくはないし、私が困る事でもないからいいんだけど。ただ、納得がいかない点があるのは確かね」

 

 身に危険が及ぶようなことではなさそうなので、そこは一安心。

 しかし、異常なのは確かなので手放しで喜ぶわけにはいかなそうだ。

 

「アナタからは、トラブル巻き込まれ体質な香りがするのよね。他に何か不可思議な事とかなかった? ・・・今、暮らしている家とかはどう?」

 

「特に気になる事は無い・・・かな。45の家もみんな優しくて良い人ばかりだから問題なく暮らせてるよ」

 

「ふ~ん? それならいいけど」

 

 なぜ、ネゲヴは45の家を引き合いに出したのか?

 仲が悪い(良いともいう)から、自然と出てきたのか? それとも、他に何か思うところがあるのか?

 聞いたところで、ネゲヴが素直に答えてくれることではないだろう。

 

「何か気がかりがあったら力になってあげるから、遠慮なく私に言いなさい。それと・・・」

 

 言葉をきって、ネゲヴが手を差し出してくる。

 掌を上に向け、何かくれといった感じのジェスチャーだ。

 

「あ、あぁ・・・そうだね。ボランティアでやってるんじゃないだろうし、手数料は払わなきゃね」

 

「違う違う! どこの世界にお金をせがむ魔法少女がいるのよ!? 連絡先! 緊急で連絡とりたい時に困るでしょ!?」

 

「ご、ごめん、連絡先ね。えっと・・・はい、ここに表示されてる番号」

 

 財布を取りだした指揮官を慌てて制止するネゲヴ。

 ちゃんと連絡先交換したいと言わないネゲヴもネゲヴだが、それを金の無心だと理解する指揮官も指揮官である。

 

「着信入れておいたから、ちゃんと登録しておきなさいね」

 

 スマホを受け取り、早急に番号登録をすませる。

 

「深夜にこっちから呼び出すかもしれないから、ちゃんと起きること」

 

「なぜ俺を呼び出すの!?」

 

「私の事が見える貴重なサンプ・・・知り合いだもの、有効活用しないと。スペシャリストは常に効率化を図るものよ」

 

 やや物騒な言いっぷりのネゲヴに、反論の一つでもしてやろうかと考えて、そこで言葉が止まる。

 

(この姿が見える唯一の知り合い・・・今まで、一人っきりだったってことか)

 

 学園では友達がいるだろうネゲヴだが、その人たちは今のネゲヴを見る事は出来ない。たった

一人で街の手助けに奔走するのは、きっと寂しいものだったに違いない。

 

「お手柔らかに頼むよ。出来れば、ド深夜は勘弁して」

 

「それは私に言われてもね。〝妖〟はこっちのことなんてお構いなしだもの」

 

「すごい不穏な言葉を聞いた気がしたけど、それマジ・・・?」

 

「ふふ、さて、どうかしらね?」

 

 そうして、とりとめのない会話を交わしているうちに時間が過ぎていく。

 もうすぐ時間になるから、ということでネゲヴが元に戻るのを待たずに解放された指揮官は、

45達が待つ場所へと大急ぎで向かう。

 本来の予定から50分遅れ。待ちくたびれた様子で3人は駅前ロータリーの胸像の傍に立っていた。

 

「遅~い。駅からここまで一本道でしょ? なにやってたのよ?」

 

 予想通りというか、まずつっかかってきたのは45。電車に乗り遅れた元凶だというのも、どこ吹く風である。

 

「いや~、道に迷ってる人が居たから、一緒に地図見ながら歩いてたら道を外れちゃって。連絡しなくてごめんね」

 

「わぁ~、困っている人を助けていたのですね? 指揮官さん、スゴイです~」

 

「ここに向かってる最中に? 道に迷っている人を見かけた? そんなタイミングの良い事があるの?」

 

「事実は小説よりも・・・って言葉があるだろ? 俺だって、タイミングが良すぎて驚いたくらいなんだからさ」

 

 内容こそ違えど、困っている人を助けたという事実には変わりはない。

 完全な虚偽を報告しているわけではないので、なにも後ろめたさを感じる事はないのである。

 

「まぁまぁ、やっとみんな揃ったんだから、早く出発しようよ。この時間だと、まずはご飯かな? 駅の反対口にある中華料理のお店に行かない?」

 

「私もそこがいいです~! チャーハンがとっても美味しいお店なんですよ!」

 

「じゃあ、遅れた罰として、指揮官の奢りということで、意義はないかしら?」

 

「仰せのままに、裁判長」

 

 9と41がはしゃぎながら先行して、45は指揮官の手をとって歩き出す。

 ・・・と

 

「? くんくん・・・・・・」

 

「な、何やってんの?」

 

 突然、45は指揮官の身体に顔を寄せて匂いを嗅ぎ始める。

 まるで犬のように、戸惑う指揮官もなんのそのである。

 

「別に、何でもないわ。ほら、9と41に置いて行かれるわよ」

 

 気が済んだのか、再び45が歩き出す。

 指揮官をからかうのが日課みたいな彼女なので、特に深い意味はないのだろうと、そう指揮官は判断する。

 

「困っている人・・・ねぇ」

 

 周囲の喧騒に紛れた45の呟きを耳にして、言いしれない違和感が残る。

 気がかりがあったら相談してと、そう言ってくれたネゲヴの言葉が、焼き印のように指揮官の

脳裏にこびりついて離れなかった。




ネゲヴが魔法少女。
・・・・・・思いついちゃったからやってみたものの、どうなんでしょうか? 楽しかったので
後悔はしていませんが。
名前はお気づきの方もいるかもしれませんが、とあるバンドの名前に酷似しちゃってますね。思いついてから似ている事に気づくも、もう手遅れだったのでそのままにしちゃった次第です。

次回も同じ風に緩く進んでいくお話なので、気軽にお付き合いくださいな。
以上、弱音御前でした~

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。