ゲームつよつよ系Vtuberはレティクルの向こうに何を見るのか【完結】   作:畑渚

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エピローグ

 私は初配信の反応を見ながら、コーヒーを啜る。今日はマスターがブラジル現地まで行って仕入れてきたシークレットブレンド。独特の苦味とキレのある味が舌を滑る。

 

「随分と機嫌が良さそうだね」

 

「そういうララちゃんは、これでもかというくらい怒ってますね」

 

「そりゃそうでしょー!」

 

 ララちゃんはより一層頬を膨らませながらコーヒーカップを置く。

 

「ほんとに何も相談せずにいなくなって、かと思ったらなんか突然デビューするし」

 

「ご心配おかけしました。すみません」

 

「ふーん。その口調も気に入らない」

 

「口調?前となにか変わりましたっけ」

 

「そうじゃなくてさ、筑紫ちゃん。いやez」

 

「……あーこっちのこと?」

 

「急に目の前で切り替わるとウゲッとなるなぁ」

 

「リクエストされたから答えただけなんだけどなぁ」

 

「それで、さ?」

 

 ララちゃんはケーキをつついていたフォークで私を指し示す。そういうの行儀よくないからやめたほうがいいと思いますまる。

 

「どっちが素なわけ?」

 

「どっちが……どっちもですよ」

 

 別に私は二重人格でもなければ、ezや筑紫みやを『演じていた』わけでもない。

 

「外行きで客人と会うような礼儀正しい私が元筑紫、そしてそうでもない、ただゲームをしているだけの私がezですかね」

 

「じゃあ私は客人扱いってこと?」

 

「というより、ezの方は人前では出さないだけです。これまでも一人でゲームをしているときだけの存在でした」

 

 ezの方が出ていたのは、配信外のソロゲーム中くらいだった。vcで聞いたことがある人すらいないはずだ。

 

「うーん、でも納得いかないよ、VeGじゃなくなっちゃうなんて」

 

「それは、すみません」

 

「まだ筑紫ちゃんといろんなことしたかったのに」

 

「いろんなこと……ですか?」

 

「一緒にゲームしたかったし、雑談配信とかさ、オフコラボもあるし、あとは……一緒に大会に出るとかさ」

 

「……そうですか」

 

 

 転生したVtuberに対しての世間のあたりはそれほど甘くない。もしezとララちゃんがコラボだなんてしてしまうと、ララちゃん、ひいてはVeGにまで迷惑をかける事態になる。

 だから、転生した人は元の事務所がNGになることが多い。顔出ししていると尚更だ。

 

「まあでも」

 

「……ん?筑紫ちゃん、今度は何を企んでるの?」

 

「企んでるだなんて酷い言われようですね」

 

「あ、ごめん」

 

「気にしないでください。むしろそのくらいがezらしいですし」

 

 我が道を行くこと。それがezとして活動するときに決めたルールだ。

 

「私に策があります」

 

 用は、コラボ配信じゃなければいいのだ。

 

 

❍✕△❑

 

 

「さぁ始まってまいりました、第3回ストリーマー大決戦!いよいよ最後のイベントです!」

 

 司会進行の声によって、今回の目玉である企画マッチが開催される。

 

「まあ、時の運次第だね」

 

<ezなら誰と組んでも最強よ>

<誰と組みたいとかある?>

 

「うーんと、そうだな。なかなか絡めない人?」

 

<大御所狙ってけ>

<新規参戦の俳優勢も>

<ここでVを一摘みっと>

 

「Vはさすがにまずいね。燃やしちゃう自信がある」

 

<火炎放射器かよ>

<というより火だるまで突っ込んでくほうが近い>

<ホント害悪>

 

「おいおい言いすぎじゃない?さすがのezでも泣いちゃうわ」

 

<草>

<きっつ>

<涙言い値で買います>

 

「さて、と」

 

 今回のストリーマーカップ。参加者は有名配信者やVtuber、それに別ゲームのプロや元プロ、はたまた有名俳優まで、豪華勢揃いというわけである。

 そしてその一大イベントが、シャッフルトリオ即席戦だ。ルールは簡単で、完全ランダムなチームを組み、そのチームでバトロワを勝ち上がれというものだ。

 

 この企画の利点はもちろん、『今まで関わったことのないビッグネームとつながるチャンス』があることだ。もちろん私ことezも、この企画には大賛成で出資した。

 

 ああ、ちなみに配信界隈でノーネームな私が出場できているのは、出資者権限を使ったからである。コネと金は使わないと腐るからね。

 

「さて、いよいよチームの発表です。今回のマッチの組み合わせは……このようになっています!」

 

 不正などしない。むしろするなと私が主催に掛け合ったくらいに、ランダムなはずの組み合わせだ。

 

<あっ>

<Vかぁ>

<ほんとにランダム?>

 

「ランダムじゃないと面白くないでしょ?私が保証する。でも……まあ疑う気持ちはわかるけど」

 

 私は運営からの指示のとおり、ボイスチャンネルに移動した。

 

 

❍✕△❑

 

 

「ねえやばいよチーム1!プロ3人はやり過ぎじゃない?」

 

「やっぱりそうですよね。一応武器の制限はあるらしいですけど」

 

「いやいやそれでもだよー?本当にランダムなのかなこれ」

 

「そうだと思いますけどね……」

 

 すでにチームメイトの2人が話している。会話の切れ目を狙って、私は喉に空気を通す。

 

「コホン、よろしく、鐡さんと真柴さん」

 

「……初めまして」

 

「あっ、ez……ホンモノ」

 

「初めまして、よろしくね」

 

 コメント欄がザワつくものの、私たちはゲーマー。一度マッチが始まってしまえばもう、ゲーム画面しか見えない。

 

 プロ3人の無双状態かと思われたシャッフルトリオ即席戦は、1つのチームが速攻でプロを狩りきったことで大きく揺れ動く。

 

 

 




まずは感謝を
ここまで読んでくださりありがとうございます

こんな需要もへったくれもないようなVモノもどきに最後まで付き合ってくださりありがとうございました。まだまだ書き足りない部分もありましたが、当初の30話の予定を大幅に上回っての完結となります。皆様の温かい感想のおかげでここまで筆を進めることができました。本当にありがとうございました。

もし感想や疑問等あれば感想欄や作者twitter、マシュマロ等にどうぞ、存分にレスバしましょう。

最後に、もし少しでも良かったなと思ってくださる方がいらっしゃれば、評価欄で★9をポチッとしてくださると今後の活力になります。
それではまた、次の小説でお会いしましょう。
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