トータルイクリプスサンダーボルト 外伝   作:マブラマ

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大震災

九一六作戦から2年後

私と都、華太は松本駐屯地に転属し様々な戦地へと赴いてたが、その裏でBETA大戦真っ只中で宗教絡みの犯罪が幾度も多発していた。

宗教絡みの事件が多発してる中、兵庫県でマグニチュード7.3の地震が発生

松本駐屯地の豊田司令は兵庫県南部に災害派遣を送る

尾崎中隊もその災害派遣任務を遂行し私達は現実を直視してしまった。

人口350万人余が密集する大都市の直下で発生した「都市直下型地震」であったため、甚大な被害を齎した

その光景を見た私はただ絶望に陥った

「酷い……何でこんな…」

認めたくない、これは夢なんだ

私はそう思い込んだ

その時、私の手を優しく握った女性がいた

その女性は都だった

「鈴乃……辛いのは私も同じだ」

市街地の被害は甚大

建物の崩壊はあちこち見られ、道路・鉄道・電気・水道・ガス・電話などの生活インフラは寸断されて、広範囲において全く機能しなくなった。

「日本は地震大国だ。必ず経験する事もあるし、いつ大震災級の大地震が発生し被災するかも分からん。備えは必ず必要だ……BETAと戦ってるのと訳が違う」

「都…」

BDUを着用してる都は私を抱きしめる

「!」

「大丈夫だ……住民を避難誘導しよう。とりあえず尾崎大尉の指示に従えばいい」

災害対策は心得ている

他の部隊は待機状態、私達がいる中隊や伊丹駐屯地の第36普通科連隊が阪急伊丹駅へ近傍派遣(災害派遣)を行ったが神戸市中心部への災害派遣は直ちにはなされなかった。

そう各都道府県知事の許諾を得ないと赴けないのだ。

尾崎大尉が近づいてくると感付いた都は早急に抱きしめるのやめ私に話しかけてきた

「大倉、小峠。住民の避難誘導は他の者に任せた。重症者がいる収容避難場所に行け!場所は神戸総合病院。俺は食料と水を確保する!」

「了解!」

私と都と共に尾崎大尉の指示に従い指定の収容避難場所である神戸総合病院へ向かった。

数分後、そこにはとんでもない光景になっていた

「うお……」

建物の中は被災者が寿司詰めだ

どんどん希望を奪っていく……。

「アンタ等、軍の人間か!?いつまで待たせるんだ!俺達を何だと思っている!?」

「…」

「……国は何やってるんだ!食料と水はまだなのか!!」

まだって…私は政治家ではない

「怪我が軽い者だけ先だ!」

「はい!」

火傷を負っている者、ガラスの破片に飛び散り刺さった者、骨折してる者も多数いた

「おい、鈴乃…これは放っておけねぇだろ!」

「華太…」

「赤十字の人間もいる。彼らの手伝いをしろ!」

私は華太の進言で赤十字の人達の手伝いをし始めた

意識がある人なら服を入院着に着替えさせて湯たんぽや布団で温めればいい

「こ、この人意識がないぞ!」

「すぐ重症の処置室に運んで!」

意識のない人には着替えから何から多くの人手が必要だ!

壮絶な忙しさから病院で一夜を明かすしかなかったその翌朝

「また患者が運ばれてきました!」

「大倉中尉と小峠少尉は対応してくれ!こっちは手が離せん!」

軍医の一言で行動を移す

怒涛のように運ばれてくる患者で建物の中は野戦病院のようだ

負傷者やその付添人、災害で薬を紛失した人に家族の安否を確認しに来た人

「こんなに人は入らないぞ」

「とにかく患者の受け入れが優先だ!」

本当に様々な人たちが途切れることなく押し寄せてきた

病院のキャパシティには限界がある

「重症の方を優先に建物の中にお連れしてください」

「分かりました」

「おい、テメエ!」

集まる全ての被災者に対応するなど到底不可能だ

被災者もここなら助かると思い辿り着いた者もいる

「薬を取りに来たのにいつまで待たせる気じゃ!」

「すいません、この状態なので暫くお待ちください」

「アンタ、それでも軍人か!」

私達の対応にそこら中で怒りの声が上がる

「どのような薬が必要でしょうか?」

「はて、何じゃったかの?名前まで覚えとらんわ」

このジジイ…!こちとら死ぬ気で異星起源種と戦っているのに国を守る立場の衛士が助けに来たんだ

少しは感謝しろ

……と思っているがここで怒鳴っても意味はない。

込み合う安否情報の掲示場所でクレームも受けるところもあった

この状況でクレーム受けるのは仕方がない

家族の安否が知りたいからだ

何よりキツかったのは助からなかった人を見守る事だ

まだ小学生の男の子を亡くした母親とお婆さんがいた

「お前が目を離したから悪いんだ!孫を返せ!」

「やめてください!お母さんも辛いんです!!」

何とお婆さんが母親にやり場のない怒りをぶつけた

衛士になったばかりの息子を喪った老夫婦はずっと嘆き自分を責めていた

「老い先短い私たちが生き残って何で息子が死ぬのおおおお!?」

「すまない…すまない…」

子供を喪った親がいれば親が喪った子供もいる

家族でたった一人の生存者…その顔をよく見ると表情が失っていた

「グウウ……!」

華太は拳を強く握りしめて悔やんでいた

「……」

BETA大戦の真っただ中で……私は華太の気持ちを理解した

親を喪った子供の辛さを

夜になると…

「私の印鑑と通帳が入ったバッグがないの!誰かが盗んだんだわ!」

「お、落ち着いてください!警察には連絡しますので…(通報しても無意味だ。今それどころじゃない)」

「今、警察なんて意味ないわ!」

窃盗など問題が多発した。

混沌とした院内…それでも私と華太を含め医療関係者は必死に戦い続けていた

「集中しろ!まだ助かる命がある!」

自分の家族の安否がわからない者もいた。

それでも私達は……自分の責務を全うし続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝になると病院へ避難してきた人の数の多さに私は内心驚いた

「これって治療とか大丈夫なんですか?」

「完全にキャパオーバーだよ……」

すると神戸総合病院の副院長が訴えた

「怪我の無い方や軽傷の方はこれより別の避難場所に移って頂きたい!」

「え…?拙いですよ…あんな事言ったら!」

「だが必要な事だ。これ以上増えたら病院としての機能が出来んよ」

当然、周囲から非難が続出!

「出て行けって…一体何処へ行けって言うんだ!」

「お前等は医者だろ!困ってる人間を見捨てるのか!?」

けれど副院長は負けなかった。

「これからは皆さんより困った人が大勢来ます!彼らを治療するには場所を空ける必要があるのです!」

こうやって怪我の軽い被災者を説得して見せた。

それからも日々訪れる被災者や怪我人を救う為必死に働いた

「小峠、大丈夫か!?」

「さぁな…そんなこと考えていたら動けなくなるぞ。手を動かせ!休んでる暇はねぇんだ」

殆ど不眠不休でいつ休んだのか――――全く記憶にない。

都は今何してるだろう?

恐らくまだ建物に生き埋めされてる被災者を戦術機で瓦礫を退かせ一人一人救助活動してると思う。

地震から数日経つ頃…職員の身内や安否も分かり始めた

「婦長、お父さんが…お父さんが…」

「うん…うん…少し休みなさい」

多くの人達が身内を亡くした

そして私も祖父と祖母を喪った

余震が来る度に不安を抱き、身内を亡くした悲しみに蓋をして

「薬を早くくれ!何モタモタしてんだ!!」

「…すみません」

疲労でボロボロの身体を無理に動かし、時に被災者から怒声を浴びる

でも私達が折れずに頑張れたのは助けてくれる人がいたからだ

「手伝ってくれてありがとう…」

「困ったときはお互い様ですよ」

あの日、被災者の中にいた柔道部の青年は率先して力仕事を手伝ってくれた

ある日取材に来たテレビ局に対して

「今不足しているモノは何ですか?」

「水と食料です!当院は四百人の患者と八百人の職員がいます」

医療スタッフの一人がこう言ったが、何気なしにこう答えるしかなかった

すると全国に農家や企業の方々が食料や飲み物を送ってくれた

「美味い……涙が出てきたわ」

「力が湧き出てくるな…!」

この時噛み締めた味、そして全国民の思いやりを私は一生忘れない

他にも患者を運んでくれる帝国軍や斯衛軍の兵士…全国から駆け付けたボランティア…

「私達も手伝います!」

「ありがとうございます!助かります!」

応援に来てくれた医療スタッフがいなかったら私達は破綻していた。

そして何より励みになったのは被災者からの励ましや感謝の言葉だった

「ありがとうお姉ちゃん」

「まだ大変だけど頑張ってね」

「うん!頑張る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから1ヶ月後、7つの宗教団体が食料や飲用水の供給・便所・風呂・避難場所の提供などの積極的な支援を行った。

その中に後に2ヶ月後に地下鉄サリン事件を起こす雄武真理教も含まれていた

私達は任務を完遂し松本駐屯地に戻った

兵庫は少しずつ着実に復興の道を歩み神戸の街も大きく変わった。

けれど私達が取り巻く状況は決して明るいとは言えない

BETA大戦真っ只中、皆が力合わせればBETAが来てもきっと乗り越えられるだろう

「今日は星空が綺麗だな」

「ああ、そうだな」

そうやって私達はあの震災を乗り越えた。




物語終盤にオウム真理教という名前をそのまま出そうと思いましたがネタがブラックすぎるので別の名前に差し替えました
次回は中隊の長が裏切ります
誰かは……それは見てのお楽しみに
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