トータルイクリプスサンダーボルト 外伝   作:マブラマ

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最終回です。


逢いたいシ・ル・シ

私の名前は坂崎都。

世の中と言う荒れ狂う海の中を衛士という小さな船で進む人生の冒険者だ。

学生時代の私は控えめに言ってダメ人間だった。

「坂崎、東ドイツに起きた月光の夜事件で反体制派に加担した軍人の名は?」

「あ、ユル・ブリンナーだ」

「それ、ソ連の俳優…というか荒野の七人に出演した俳優さんがクーデターに巻き込んだら国際問題になるぞ?」

答え:ユルゲン・ベルンハルト

清々しい程に勉強が分からなかったが、何故衛士になれたのか不思議だと思った。

衛士訓練学校卒業してもこんな感じで馬鹿だったが、曲がったことが我慢できない性分だ。

「よいしょ…よいしょ…」

「おいババア!早く上がれや!」

「若者が急いでんだよ!この野郎。腹デカいなら家にいろボケ!」

「おい貴様等…」

「あああん?」

「死にたくなかったら、今すぐ妊婦さんに土下座して走って消えろ」

「あらあら、馬鹿が登場しましたよ。暑いからねえ」

「泣かしちゃう?此奴」

そういうのを見る度に相手を鉄拳制裁にするんだ。

「ガアアアアア!!」

ボガァ

「グエエ!」

――。

「あがが…」

「つぇぇ…え?まさかアンタ、あの”狂犬坂崎”か…」

「土下座してこい」

”狂犬坂崎”なんて妙な異名まで付いて、地元じゃ伝説の”スケバン”扱いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1998年8月末

厚木基地・司令執務室

 

戸狩大佐が机の上の書類を睨みつけながら、電話を手に取る。

「…分かっている、橘司令。だが、これ以上の転属は…」

電話越しの声が、少し厳しく響く。

《戸狩大佐―――佐渡基地の戦力強化は急務だ。君の部隊から坂崎大尉、大倉大尉、小峠中尉の3人をすぐに転属させるように。今後の作戦には必須の人材だ》

戸狩大佐は暫く黙って聞いていたが、やがてため息をついて言う。

「…分かったわ。しかし、あの3人はまだ経験が浅い。特に坂崎大尉は、前線での適応力が高いとはいえ、指揮官としてはまだ未熟な部分も多いで」

《それを育てるのも君の仕事だ。佐渡基地の司令としては、戦局を見据えた人事が重要だ。君が納得していようがいまいが、転属は決定事項だ》

戸狩大佐は電話を切り、書類を片付けると部屋のドアを開けて、私達3人を呼び入れる為無線で渋谷少佐に連絡する

「渋谷、坂崎大尉と大倉大尉、小峠中尉をここに来させろ」

《え?大佐、どうしたんですか?》

「いいから呼び出せ。命令や」

《りょ、了解しました!》

10分後、3人が執務室に入ると、戸狩大佐は重い空気のまま彼らを見つめる。

「大佐、何かお呼びでしょうか?」

「おう、君達3人には、非常に重要な任務を頼むことになった。だが、それにはある決断が伴う」

鈴乃は戸狩大佐に問いかける

「任務…とは?」

戸狩大佐は立ち上がり、窓の外を一瞬見つめた後、再び私達に目を向ける。

「佐渡基地だ。今後の戦局を見据え、佐渡基地に転属してもらう。君が知ってる通り橘司令の圧力で、君たち3人の転属が決定した。今の戦局では、君たちの力がどうしても必要や」

私は戸狩大佐の言葉を真剣に受け止め、暫く考えた後、冷静に答える。

「了解しました。私たちの力が必要だというなら、どこでも行きます」

「佐渡で何をするかは分かりませんが、任務には従います」

「…やるしかないですね」

戸狩大佐は少し満足そうに頷く。

「―――君達の覚悟は分かった。佐渡基地にはすぐに向かってくれ。戦局がどう転ぶか分からない今、君達の力を信じている」

「分かりました、大佐」

「そして、もう一つ言っておく。佐渡基地ではお前たちのこれまでの経験が全てではない。新たな環境に適応し、信頼を勝ち取ってこい」

私達はそれぞれ一礼し、執務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、私達は佐渡基地に到着した。基地の周囲には冷たい風が吹き荒れ、空は灰色に覆われている。戦局が激化している中で、佐渡基地の環境もまた過酷であることがすぐに感じ取れた。

基地内に足を踏み入れると、予想以上に多くの兵士たちが忙しそうに動き回っている。緊迫した雰囲気の中、私達は司令室へと案内された。

司令室に入ると、そこには新たな司令官と思われる人物が待っていた。年齢は中年で、鋭い眼差しを持ち、すぐに私達に目を向ける。

「君達が戸狩大佐から転属されてきた坂崎、大倉、小峠だな?」

司令官は冷静に言った。

「私は佐渡基地の司令官、橘雅清中将だ。これから君達には、この基地での役割を果たしてもらう」

私は静かに敬礼し、答える。

「坂崎大尉、参りました」

橘司令は少し黙ってから続けた。

「うむ…君達にはすぐに実戦に入ってもらう。新たな戦局に対応するため、君達の能力が必要だ。しかし、戦局だけではなく、この基地内の規律や環境にもすぐに慣れてもらわなければならない。慣れるまでは、まずは基本からだ」

鈴乃が少し緊張しながら質問した。

「戦局について、具体的な指示はありますか?」

橘司令は少し笑みを浮かべながら言った。

「今は言えない。君達のような新しい顔を迎えて、私達もすぐに動き出す。だが、私が言いたいのは、ここでの任務はただの戦闘ではない。状況によっては、政治的な判断や戦略的な計画にも関わることになるかもしれない。それを乗り越えるためには、全員が信頼し合い、協力し合わなければならない」

その言葉に、私達は暫く沈黙した後、改めて自分たちの任務に向き合う決意を固めた。

「では、すぐに配置を決める。今はまだ疲れているだろうが、君達の力を見せてもらおう」

橘司令が最後にそう言って、私たちに向かって軽く手を振った。

私達は再び敬礼し、部屋を後にした。新たな環境での最初の試練が始まる――。

私達が去った後、橘司令は側近である岩城副官と密談していた

「司令、宜しいのですか?」

「……坂崎大尉はA中隊。大倉大尉にはB中隊を編成させそれを率いて貰う。何、簡単な事だ――日本は安保条約がある。万が一のと気になった場合は米軍が助けてくれるさ」

凄みある笑みを浮かべ、岩城副官に向けた。

「……司令、実行するのですね?」

「帝国軍は反社の人間を徴兵させたが、ここまでだ。暴対法を利用しヤクザ共を衛士界隈から追放させる」

橘司令はとんでもない事を言ってしまった。

岩城副官は彼の言葉を聞いても動じない……。

「つまり極道を衛士界隈から追放して健全なる環境を変えると」

「そうだ。BETA大戦初期から当時の司令官は反社の人間を受け入れた。彼の死後、ここの基地司令官は何度入れ替わった?」

「……」

「もう彼らは必要なくなったのだ。仁義?任侠?そんな概念は、私には通用しない。ヤクザ共は衛士界隈の膿なのだ。ならばそれを排除せねばならない!」

橘司令にとってはヤクザ―――極道は衛士界隈には不要と深く思い込んでた。

岩城副官は橘司令に対しこう答えた。

「お言葉ですが司令…仮に実行したら半グレの衛士しかいないかと」

「知らん。そんな奴等は、更生すればどうにかなる」

「それは…更生しない半グレの衛士はどうなさるのですか?もし事件が起きたら…責任取れるんですか?」

岩城副官の言葉に対し、橘司令は真顔でこう言い返した。

「……大丈夫だ。岩城君――私がその半グレ共を利用しコントロールする。責任は私が取る!」

岩城副官は何も言い返せなかった。そして……。

「ヤクザ共を一人残らず衛士界隈から消えさせる――――いいな?」

「りょ、了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後、私達は早速佐渡基地内での訓練や実戦に取り組んでいた。基地内での規律や環境に慣れながらも、どこかで不穏な空気を感じていた。

特に私は、任務の中で何かが違うと感じていた。基地内での兵士たちの動きには、どこか不自然さがあり、無駄に強い威圧感を放つ者も少なくなかった。彼はそれを何度か同僚たちに伝えたが、誰も気にしていない様子だった。

ある日、私は訓練後、無意識に基地内を歩いていたとき、偶然にも岩城副官と出くわす。

「坂崎大尉、どうだ、訓練の調子は?」

岩城副官は冷ややかな目を向けながら言った。

私は警戒心を抱きつつ答えた。

「順調です。ただ…何か、基地内の雰囲気が、少しおかしい気がします。」

岩城副官は一瞬、私をじっと見つめた後、口元に微かな笑みを浮かべた。

「お前のような敏感な女がいると、ちょっと困るな。だが、それが生き残るコツだ」

彼は少し間をおいて、続けた。

「だが、気をつけろ。基地内には、いくつか見過ごしてはいけない動きがある。」

その言葉に私は興味を引かれた。

「見過ごしてはいけない動き?」

岩城副官は視線を周囲に向けると、低い声で言った。

「この基地には、まだ暗黙の力が残っている。今の司令がどんなに言葉で変革を訴えようとも、それを受け入れない者がいる。君達のような新顔がいくらがんばっても、変わることはない」

彼は私の目を見て言った。

「だが、君にとっての試練は、そうした暗い部分をどう乗り越えるかだ。」

――暫く黙って考えた後、決意を新たにした。

「わかりました。どんな試練でも乗り越えます。」

その後、私は基地内で徐々に暗黙のルールや権力構造を理解していく。しかし、同時に彼は、新たなリーダーシップを発揮する必要があることを痛感し始める。

その頃、橘司令はさらなる変革を進める中で、基地内での秘密裏の動きがますます深刻化していく予感を抱えていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練を終えた後、ふと基地内の様子を観察することが増えていった。かつては単なる任務の一環として思っていたが、今ではそのすべてに何か不自然さを感じ取っていた。

訓練中、いつもより厳格に規律を守る兵士たちが目立つ。だが、彼らの動きに、規律の裏に隠された異常さを感じ取る坂崎大尉。周りの兵士たちは、やけに目を合わせず、無駄に威圧的な態度を取る者が多かった。それは、彼女が感じる「基地内での不穏な空気」に対しての反応の一つの兆しだ。

訓練後の食堂でも、いつもは賑やかな会話が少なく、兵士たちがまるで何かを隠しているような雰囲気だった。坂その雰囲気を不快に感じるが、同僚たちはいつも通りで、誰もその異変を指摘することはない。

私が基地内で一人歩いていると、ふと岩城副官と再び遭遇する。彼は何かを見透かすような目を坂崎大尉に向けると、冷徹に言った。

「坂崎大尉、お前はますます周囲に敏感になってきたな。」

その言葉に、坂崎は思わず警戒の色を見せる。しかし、岩城副官の冷徹な表情と、どこか挑戦的な眼差しが彼女の心に不安を呼び起こす。

「基地内の空気を感じ取っているのか? それが君にとっての試練だ。だが、君にそれを乗り越える力があるかどうかはわからない。」

その言葉を胸に刻み、さらに周囲の動きに注意を向けるようになる。岩城副官の言葉は、単なる警告ではなく、私への挑戦でもあった。

その後、夜間勤務中に偶然、基地内での奇妙な動きを目撃する。規則正しい夜間パトロールに従っている兵士たちが、ある部隊の行動に違和感を覚える。

その部隊は、通常の任務の一環でない場所に出向き、何かを運んでいるようだ。私はその行動に疑問を持ち、目撃したその人物に話しかけるが、その兵士はわざとらしく話をそらす。

私はその出来事を深く掘り下げることに決める。何か隠された目的があると直感し、それが基地内の「暗黙の力」に関連しているのではないかと考え始める。

数日間にわたって密かにその兵士たちの動向を監視し、少しずつその背後にある秘密のネットワークに接近していく。次第に、信頼できる仲間、同じように何かを感じ取っている兵士と接触し始める。

その仲間は、基地内での不正や陰謀に気づいていたが、それを公にすることに恐れていた人物であった。しかし、私の鋭い直感と決意に共鳴し、次第に情報を共有し始める。この仲間との協力によって、坂崎はより深い部分にアクセスし、基地内での不正な動きがついに明らかになり始める。

翌日、私はそのネットワークの核心に近づくが、その過程で危険な人物と遭遇することになる。岩城副官が言っていた「暗黙の力」の正体が少しずつ見え隠れし、その力が基地内に深く根を張っていることに気づく。

その力を支配するのは、意外にも橘司令の側近の一部であり、司令の改革を進める一方で、その影響力を維持しようとする勢力が存在していることがわかる。

坂崎はこれらの情報をどのように扱い、どうしていくべきかを考える。次第に彼女は、基地内でのリーダーシップを発揮し、その試練に立ち向かう準備を整えていく。

基地内で密かに集めた情報をもとに、ついにその不正の中心に近づきつつあった。私は、仲間の兵士から得た証拠の一部をもとに、ある夜、施設内で何かが隠されている場所を突き止める。

その場所は、通常は立ち入り禁止となっている旧倉庫の一角で、定期的に暗い時間帯に兵士たちが集まっていた。坂崎は、この倉庫が何かを隠している場所であることを確信していた。

その夜、再びその場所に向かい周囲の警備に気を配りながら、慎重に進んでいく。途中、見張り兵士とすれ違うこともあったが、巧みに身をひそめて回避する。

次第に倉庫の入口に到達した私は、そこから得られる証拠を見逃すまいと、慎重に扉を開ける。

倉庫の中は薄暗く、古びた箱や機器が散乱している。しかし、坂崎が奥の方まで進んだとき、そこには予想外の光景が広がっていた。中には、基地内で使われるべきではない密かに取り扱われている武器や機材、そして軍事機密に関する書類が並べられていたのだ。

そして、さらに驚くべきことに、その中には、基地内のトップに関わる人物の名前が書かれた文書があった。それは、橘司令に近しい人物によって取り交わされた不正取引を示すものだった。

「こ、これは……!?」

その証拠を手に取ると、顔色を変えた。これが基地内で進行中の秘密の動き、そして橘司令が無意識に巻き込まれている可能性があるということを示していた。

その証拠をどう扱うか決断を迫られる。自分が握っている情報は、単なる不正ではなく、基地の全体を揺るがすほどの深刻な問題を示していた。もしこの情報が外部に漏れれば、基地全体が混乱し、さらなる圧力がかかる可能性がある。

その時、ふと後ろから足音が聞こえる。振り向くと、そこには岩城副官が立っていた。彼の冷徹な目が私に向けられる。

「お前、何をしているんだ?」

岩城副官の声には、これまでにない威圧感があった。私は一瞬、言葉を詰まらせるが、すぐに冷静を取り戻し、証拠の書類をしっかりと握り締める。

「この基地に隠された真実を暴く。それが私の任務だ」

岩城副官は一歩踏み出し、坂崎の前に立ちはだかる。その目には、ただの警告以上のものが込められている。私は、彼が暗黙の力の象徴であり、この基地内で一番の障害であることを理解していた。

「お前がどれだけ頑張っても、こうした力には逆らえない」

岩城副官は静かながらも力強い言葉を投げかける。

私は毅然と立ち向かう。彼女の決意が強く、そして冷徹に感じられるその一瞬、岩城副官の目にも一瞬の迷いが見えた。しかし、すぐにその迷いを消し去り、冷ややかな笑みを浮かべる。

「本当にその情報を持って、外に持ち出すつもりか?」

その問いかけに、私は少しも引かずに答える。

「もしそれが基地を守るための戦いなら、私は引き下がらない」

その後、私は岩城副官に対して、基地内の改革を進めるための力強い発言をし、基地内で巻き起こる戦いを予感させる。何かを選び取らなければならない時が迫っている。

基地内の真実を掴んだ私は、ついにその証拠を橘司令に届けることを決意する。しかし、その道は決して平坦ではない。彼女は、試練と立ち向かうための最終的な決断を下し、物語はさらに壮絶な展開を迎えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は証拠を手にして、橘司令に届けるべく執務室へ向かっていた。基地内の不正が深刻であることを証明するその証拠は、今や私の手の中で光を放っていた。信念を持ってその証拠を司令に渡し、基地の改革を進めるべきだと強く思っていた。しかし、執務室に近づいたその時、偶然にも橘司令と華太の声が聞こえてきた。

私は一瞬、立ち止まる。しばらく耳を澄ませると、二人の会話が徐々にクリアに聞こえてきた。その内容に驚愕の表情を浮かべる。

「小峠、どうしてもあの男を見逃すわけにはいかん。私たちの計画にとって、あの者の存在は邪魔だ」

橘司令の声は冷徹で威圧的だった。

「はい、司令。すぐにでも…」

華太はその言葉を続けようとしたが、橘司令の声が一層強くなった。

「違う!今すぐにあいつを排除しろ!もしお前ができなければ、私が手を下す。」

橘司令の口調は、完全に支配的で強圧的だった。

私はその言葉を聞いて驚愕した。小峠華太という名前を口に出した橘司令の意図がわからなかったが、何か重大な決定がなされようとしていることを感じ取った。

「私が命じた通り、あいつを追放しろ。それが基地内での規律を保つための唯一の方法だ。」

橘司令の声に、強い決意が込められていた。

私はその会話を聞きながら、どうしても自分の立場とこの証拠をどう扱うべきかを考え続けていた。彼女はその証拠が、橘司令が知らぬ間に悪しき権力に絡め取られている証拠であると確信していた。だが、もしこれを持ち出すことで橘司令が本当に裏切られたことを認識すれば、全てが崩れ去る可能性があった。

その瞬間、華太が自分の意見を述べようと口を開いた。

「私が追放されるのは…理解できます。しかし、他の者たちもそれに従わなければならないのですか?」

その問いに、橘司令は冷笑を浮かべて答えた。

「もちろんだ。あいつが退役すれば、次に追放するべきは…あのヤクザ衛士たちだ。あいつらも基地の秩序を乱している。あの連中も何とかしなければならない」

私はその言葉に心の中で震え上がる。彼女が知らずに見つけた証拠が、単なる一人の兵士を超え、基地全体の腐敗の核心を明らかにすることに繋がるかもしれない。それと同時に、橘司令の真の姿が暴かれることになるのだと感じた。

「ヤクザ衛士も含めて、次々に退役させろ。私がいなければ、この基地は立ち行かない。」

橘司令の言葉には、力強い決意と共に冷徹な支配力がにじみ出ていた。

私はその場で息を呑んだ。華太の退役と、さらに他のヤクザ衛士たちや不正を働いていた将校たちが次々に追放される運命に繋がることを聞き、どうしてもこの一部始終を目撃することができた。

私はその後、立ち聞きした内容を反映させて冷静に判断を下す決意をする。証拠を持って橘司令のもとに向かうべきか、それとも今こそ橘司令の指示通りに行動すべきか。しかし、この機会に全てを暴露する決意を固め、再び動き出す。

その後、私は司令室に踏み込む決断をする。ドアを開けると、橘司令と華太がまだ話し合っている最中だった。

「坂崎大尉か…来たか」

橘司令は、予想していたかのように冷徹な目で私を見つめる。

その証拠を橘司令の目の前に差し出しながら、言い放った。

「これが、あなたが関わった不正の証拠です。これを暴露すれば、基地内の権力構造は一気に崩壊します。」

橘司令は一瞬、顔色を変えたものの、すぐにその表情を隠し、冷静に返答した。

「なるほど、坂崎大尉…よくぞここまで来た」

橘司令は冷徹な笑みを浮かべ、私をじっと見つめた。

「だが、君も知っているはずだ。どんな証拠があろうと、何がどう転ぶかは、結局最後は私の手の中だということを。」

私はその言葉に少しも動揺せず、冷静に言い返した。

「あなたが言う通り、この証拠がどれほど重大なものであっても、私はもはや引き下がりません。基地の秩序を乱しているのは、他でもないあなた自身だということを理解してください」

橘司令はわずかに目を細め、その表情にわずかな冷たさを帯びた。

「そうか…君も覚悟を決めたということだな。」

その言葉に、私の心は確信に満ちていた。橘司令があれほどまでに冷徹に権力を操る理由は、私たちの存在を脅かす者に対して容赦しないという、その独裁的な姿勢にある。しかし、彼の言葉が続くたびに、私はもう後戻りできないと感じていた。

「君の言う通り、この証拠が暴露されれば、基地の全ての権力が崩れ去るだろう。そして、私もまた、今の地位を失うことになる」

橘司令は少し間をおいて、低い声で続けた。

「だが、それで終わると思うなよ、坂崎大尉。」

その声には、冷徹でありながらも深い危機感が滲み出ていた。私を試すように、彼はさらに続ける。

「君は、この証拠を使って私を追い詰めるつもりだろう。しかし、もし君が本当に基地の秩序を守りたいのであれば、この証拠をどう扱うか慎重に考えたほうがいい」

橘司令の目が鋭く私を貫くように見つめてきた。

私はそれに対して、一歩も引かずに答えた。

「基地の秩序を守るためにこそ、私はあなたに立ち向かう覚悟を決めました。この腐敗した権力を打破し、正しい未来を作り上げるために。」

その瞬間、橘司令は一瞬だけ黙り込んだが、すぐに冷徹な笑みを浮かべ、再び私を見据えた。

「君がそう決めたのなら、全てをかけて戦うことになるだろう。だが、覚えておけ。私を敵に回すということは、君自身も道を踏み外すことを意味する。」

私はその言葉をしっかりと受け止めた。しかし、私はもう一度証拠を確かめながら、冷静にこう告げた。

「私が何を選んでも、あなたのような人物が今後この基地を支配することは許しません。」

その言葉が、私と橘司令との間で決定的な断絶を生むことになるとは、その時は思ってもいなかった。

橘司令は何かを考え込みながら、最後に低い声で言った。

「ならば、君の覚悟を試させてもらおう。君がこの証拠を持って進み続ける限り、私もまた、君に対して全力で立ち向かうことになるだろう。」

その瞬間、私はその後の展開を見越して、橘司令の支配を覆すために戦う決意を強く胸に刻んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が握っていた証拠は、橘司令によって手のひらで軽く扱われ、すぐに隠蔽された。証拠が公開されることはなく、橘司令の冷徹な手腕で全てがもみ消された。それでも、少なくとも一部の衛士たちに関しては、追放という形でその不正は取り締まられた。しかし、その背後に潜む腐敗の根は深く、決して完全に取り除かれたわけではなかった。

城戸や浅倉、戸狩大佐ら天王寺組の武闘派ヤクザたちは、戦線から退き、裏で影響力を持ち続けた。だが、華太を含む久我、里中、北岡などの衛士たちは、追放されることとなった。橘司令の支配がいかに強力であろうとも、どんな権力者でもその支配が永遠に続くわけではない。

そして、BETAの侵攻が始まり、佐渡島はまさに壊滅の淵に立たされた。A中隊は壊滅し、私の部下である草野や村田も戦死を遂げ、私の戦友たちが次々と命を落としていった。戦闘の中で、駒木咲代子は奇跡的に生き残り、B中隊もまた壊滅するが、その中隊長である鈴乃は生き延びた。鈴乃はその後、唯一の中隊指揮官として生き残り、戦局を指揮することになる。

橘司令は、最終的に自らの命運を決めることになる。岩城副官や他の兵士、将校、民間人には避難指示が出されたが、彼は最後まで基地に残り、一人でその命を絶った。拳銃を手にした橘司令は、その死に際しても冷徹な決断を下した。その姿勢は、彼が支配する力と権威に依存していたことの象徴でもあり、最期に彼自身がそれを放棄したことを示していた。

私は、殿を務める覚悟を決め、最後の突撃を命じた。突進級の兵器を駆使して、最前線へと突っ込んでいく。その戦闘の中で、私は命を落とし、戦死という形でその生涯を終えることとなった。

1998年9月24日、佐渡島は陥落し、後に北陸地方はBETAの手に落ちた。累計死者・行方不明者、日本帝国全体で約3600万人

そして佐渡島には21番目の巣、佐渡島ハイヴが建設された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またひとつ窓の灯り

溶けはじめた星空

キミがいる その街では

どんな風に 見えるの

 

まるで積木のよう

今日も増えるメール

ふたりだけにわかる

優しさは結ばれているよ

 

逢いたいシ・ル・シ 心に並べて

離れてる距離を 埋められたらいい

夢 追いかける キミを守りたい

時の彼方(長さ)も きっと越えてゆくから

 

さみしくて かけた電話

繋がらない 週末

信じてる 気持ちの糸

ほどけそうになる夜

 

でもね 無理をせずに

いつも思われたい

あふれそうな涙

いつかは受け止めて欲しい

 

逢いたいシ・ル・シ 心に並べて

足りない言葉は 笑顔に代えるよ

夢 追いかける キミを見つめてる

ほんとの思い つよく抱いているから

 

心に響く メトロノームは

優しい音で 聴こえていますか

輝いている キミの一番に

なれたらいいな ずっとなれたらいいな

 

逢いたいシ・ル・シ 心に並べて

二人の未来を 探してゆきたい

夢 追いかける キミを守りたい

時の彼方(長さ)も きっと越えてゆくから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橘司令の自殺から3年が経過し、その後の暴露された事実は、彼がどれほど深刻な不正を働いていたかを明らかにした。彼の悪事は、まさに基地全体にわたる腐敗の象徴となり、軍内外で彼の評価は最底辺にまで下がった。彼が支配していた時期の数々の悪行が次々と明るみに出る中で、その影響を受けた者たちの多くもまた、その後を生きるために必死に戦うこととなった。

岩城副官はその後、消息が途絶えたままであり、MIA(行方不明)として扱われた。彼が何処にいるのか、どうなったのかは不明で、元部下たちの間でもその行方については語られないことが多かった。彼の失踪は、ある意味でその冷徹な支配から逃げることができたとも解釈できるが、彼が生きているのか、死んでいるのかもわからないままで、その存在は不気味なままに消えていった。

早乙女まどか少尉は、戦闘中に行方不明となり、その後の消息は全く不明のままだった。彼女が生き延びたのか、それとも戦局の中で命を落としたのか、その後の真相は誰にもわからなかった。しかし、彼女の存在は基地内で依然として深い印象を残し、同僚たちの心の中にあの少尉の勇気と戦いの記憶が生き続けている。

一方で、無事に生き延びた鈴乃は、その後の軍での評価に冷遇されることはあったものの、次第にその実力が認められ、佐渡島同胞団設立と同時にリーダーとして、またムーア中隊の中隊指揮官に任命された。鈴乃の指揮の下で、同胞団は再編成され、戦闘の現場で力強く活躍を続けている。

彼女のリーダーシップは、過去の冷遇や困難を乗り越えてきた経験から来るものであり、その強い意志と戦闘能力によって、周囲の衛士たちからの信頼も集めるようになった。彼女は、ただの生き残りではなく、戦い続けるための意志を持ち、仲間たちを支える指導者として、現役の衛士として今もその任務を果たしている。

鈴乃が指揮するムーア中隊は、かつての腐敗した体制から立ち直るための重要な役割を果たし、今や新たな未来を築くために日々戦い続けている。彼女の戦いは、ただの生存を超えて、基盤となる正義と秩序を取り戻すためのものとなり、同胞団の強い結束と誇りを生み出している。

鈴乃は、橘司令がもたらした混乱と腐敗の後に、再び希望と秩序をもたらす存在として、基地内外で新たな道を切り開いている。そして、彼女が引き継いだその道を、これからも歩み続ける決意を持ち、現役衛士としての使命を全うし続けている。

鈴乃の指導のもと、ムーア中隊は確実に再編成され、戦力としての実力を急速に高めていった。彼女が指導する中隊は、もはや過去の腐敗した体制や無秩序を象徴する存在ではなく、新たな秩序と目的を持って前進する存在として再認識されることとなった。

鈴乃はその戦闘能力だけでなく、人を引きつける強いリーダーシップを発揮し、仲間たちを一つの目的に向けて団結させた。戦闘の現場でも冷静に指示を出し、指揮官としての資質を証明した。彼女の姿勢は、過去に冷遇された者たちにとっても大きな励みとなり、再び信頼できるリーダーとして彼女を支える者が増えていった。

一方で、彼女の活躍には、過去の経験に基づく強い意志と成長した指導力が確かに見て取れた。彼女は単に自分の戦いだけではなく、仲間たちの安全や未来を守るために、常に冷静かつ果敢に戦い続けた。その姿勢が、周囲の衛士たちに対しても強く影響を与え、戦局の厳しさに直面しても決して挫けない心の強さを植え付けた。

鈴乃の指導のもと、ムーア中隊は新たな希望と誇りを背負い、他の部隊との連携を深めながら、日々戦闘に挑んでいった。彼女の決意と信念は、その指揮下で戦うすべての兵士たちに伝わり、彼らもまた鈴乃のために戦う覚悟を持つようになった。

これからの未来において、鈴乃とムーア中隊は、佐渡島を取り戻す為、そして腐敗した過去を乗り越えるために、戦い続ける使命を背負いながら歩み続ける。過去の犠牲や試練を経て、今の彼女には新たな未来を切り開く力が備わっていた。そして、彼女の強さと意志が、佐渡島同胞団を引っ張り、再生への道を歩ませるのだ。

 

 

 

 

fin

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