00:30 – シュタージの反撃開始
テレビ塔の制圧に成功し、シモーネ・レージンガーが全国放送を行った直後、シュタージは即座に動いた。
政府側は事態を深刻と捉え、人民警察(Volkspolizei)第9中隊を投入する決断を下した。
第9中隊は、人民警察(VoPo)のエリート部隊であり、実質的にシュタージ直轄の特殊部隊だった。
彼らはベルリン市内での鎮圧戦闘に長け、対テロ作戦や暴動制圧の経験を持つ。
武装はAK-74、RPG-7、閃光手榴弾、装甲車両「SPW-60PB」まで備え、圧倒的な戦闘力を誇っていた。
「目標はベルリン・テレビ塔の奪還。反体制派を皆殺しにせよ」
指揮官の命令が下る。
一方、テレビ塔を守る反体制派は、シモーネ・レージンガー率いる革命軍約50名。
彼らは軽武装(AK-47、MPi-KM、火炎瓶)ながら、タワー内部の構造を利用して防衛戦を展開しようとしていた。
00:45 – 戦闘開始
人民警察第9中隊は3方向からテレビ塔を包囲した。
第一小隊(正面攻撃) → メインエントランスから突入。
第二小隊(側面攻撃) → サービスエリアの裏口から回り込む。
第三小隊(狙撃・制圧) → 付近の高層ビルに展開し、狙撃支援を実施。
00:50 – ロビーの戦闘
「突入!」
ドォン!
閃光手榴弾が炸裂し、人民警察が突入。
革命軍はカウンターから応戦するが、訓練された第9中隊の兵士たちは正確な射撃と手際の良い制圧戦術で前進していく。
「奴ら、精鋭部隊だ!普通のVoPoじゃない!」
シモーネはすぐに察知した。
これは単なる警察部隊ではなく、シュタージの実戦部隊だ。
「ロビーは長く持たない!撤退しながら防衛ラインを再構築する!」
革命軍は火炎瓶と簡易爆弾を使いながら後退。
狭い廊下や通路を利用し、人民警察の進撃を食い止める。
「ここを突破されると、制御室まで一気に制圧される……」
シモーネは無線で指示を出す。
「エレベーターを止めろ!非常階段にバリケードを作れ!」
革命軍は次の防衛ラインを構築し、徹底抗戦の構えを取る。
01:10 – 非常階段での激戦
人民警察はロビーを制圧し、非常階段へ進撃する。
だが、革命軍は階段を封鎖し、上から火炎瓶や即席爆弾を投げつける。
「クソッ、上にいる敵が邪魔だ!RPG、撃て!」
ズドォン!
RPG-7の炸裂により階段の一部が崩れ、革命軍の数名が吹き飛ばされる。
「敵が押し寄せてくる!」
シモーネは拳を握りしめた。
01:30 – 狙撃戦と最終防衛ライン
展望台を制圧していた革命軍の狙撃班が、テレビ塔に迫る人民警察を射撃する。
「敵が屋上から狙撃してきている!」
第9中隊もすぐに対応し、付近の高層ビルから狙撃班を配置。
「対抗狙撃班、敵を潰せ!」
狙撃戦が始まり、革命軍のスナイパーが次々と倒される。
シモーネは放送制御室で、最後の決断を下す。
「全員、最上階まで撤退!DFFの放送を続ける!」
01:45 – シモーネの決断
革命軍は最上階へと追い詰められた。
人民警察はついに制御室の前まで到達し、ドアを破壊しようとしている。
「奴らが来る!」
「火炎瓶を投げろ!最後まで放送を続けるんだ!」
人民警察の突入部隊が爆破ドアブリーチを仕掛ける。
「バリケードを守れ!あと少しで全国にメッセージを送れる!」
01:55 – 最後の放送
革命軍はわずかに生き残ったメンバーと共に、シモーネを守りながら放送を続ける。
「私たちは、最後まで戦う……!」
カメラの前でシモーネが叫ぶ。
「シュタージは恐れている!我々が真実を語ることを!だからこそ、今、全ての国民に伝える!」
ドォン!
ドアが爆破され、人民警察第9中隊が突入する。
「武器を捨てろ!」
革命軍は最後の抵抗を試みるが、次々と倒れていく。
銃声が響き渡る。
そして――放送はブラックアウトした。
02:00 – 静寂
人民警察第9中隊はテレビ塔を奪還した。
シモーネは捕えられ、革命軍の残党は拘束されるか、命を落とした。
シュタージはすぐに放送を遮断し、政府のコントロールを取り戻した。
「反乱は鎮圧された。」
しかし――
この戦いが、ベルリン決戦の火種となったのだった。
ベルリン市街は燃えていた。
爆炎が空を焦がし、崩れ落ちたビルが無惨に瓦礫と化している。轟く銃声の中で、紅い機体と鋼鉄の狼が火花を散らしていた。
「テオドール・エーベルバッハ……貴様の機体の実力、確かめさせてもらう!」
ベアトリクスのアリゲートルが突撃砲を構え、ビルの陰から飛び出した。
「その程度の砲撃で止められると思うな!」
テオドールのチボラシュカツヴァイは分厚い追加装甲を展開し、正面から突撃してくる。
「……ッ!」
ベアトリクスは突撃砲を撃ち、同時にスラスターを吹かして後退する。
――バババババッ!!
120mm弾が唸りを上げ、建物の壁を粉砕する。だが、チボラシュカツヴァイは装甲で弾丸を弾きながら、凄まじい勢いで距離を詰めてきた。
「くっ……!」
ベアトリクスは即座に突撃砲を横薙ぎに振る。しかし――
ガキィィン!!
「甘いな!」
テオドールは左腕のシールドで砲身を受け止め、そのまま右腕の突撃砲をベアトリクスの脚部に撃ち込んだ。
――ドンッ!
「ぐっ……!」
アリゲートルは瓦礫に叩きつけられ、火花を散らして転がった。
「終わりだ、ベアトリクス・ブレーメ」
砲口がベアトリクスのコクピットに狙いを定める。
「……フッ、そのつもり?」
ベアトリクスは冷たく笑い、コクピット内のスイッチを押した。
「何……?」
轟音が響いた。ビルの瓦礫が爆発し、隠されていた爆薬が炸裂。無数のコンクリート片がチボラシュカツヴァイを押し包み、その巨体が崩れ落ちる。
「なっ……!?」
「さあ、チェックメイトだ」
ベアトリクスのアリゲートルが膝立ちになりながら、突撃砲の砲口をチボラシュカツヴァイの腹部へ向けた。
「……ドイツの未来のために、ここで眠れ」
引き金が引かれた瞬間、警告音が響く。
「……っ、まだ動けるのか!」
瓦礫の下から、チボラシュカツヴァイの右腕が突き出され、銃口をわずかに逸らした。
――ドガァァァン!!
爆炎が噴き上がり、両機は吹き飛ばされた。
ベアトリクスが意識を取り戻したとき、彼女の機体は大破し、コクピット内は警告音に満たされていた。
「……生き延びたのか」
ふと、眼前に横たわるチボラシュカツヴァイが目に入る。その機体は砲撃の直撃で右腕が吹き飛ばされ、左腕の装甲は溶解していた。
「……まだ、生きてるのか」
やがて、ニコラが率いるヴォルクヴァルテ中隊のチボラシュカが到着し、包囲が完了した。
数週間後
ベアトリクスが勝利し、シュタージ総帥と言う肩書きを持ったと同時に韓国政府は彼女に朝鮮自治区(後の朝鮮民主主義人民共和国)を譲渡した。
ベルリンは新たな秩序のもとに落ち着きつつあった。
テオドールは戦力の要の一人として生かされ、厳重な監視下に置かれていた。ベアトリクスは自ら彼の処遇を決定し、最前線ではなく、要衝の一つであるシュプレーヴァルト基地への異動を命じていた。
「……皮肉なものね」
ベアトリクスは窓から外を眺めながら、つぶやいた。
「私にとって、彼はただの敵じゃない。……だが、これが最善の選択だ」
彼女はふと、紅く染まった空を見上げた。
それから半年後
「――エーベルバッハが逃げた?」
報告を聞いたベアトリクスは、鋭い眼光を部下に向けた。
「はい。監視していた兵士は全員気絶させられ、既に逃走してから半日は経過しています」
「……行方は?」
「いまだ不明です。ですが……北方へ向かった可能性が高いかと」
ベアトリクスはゆっくりと目を閉じた。
「……やれやれ、やっぱり甘くないわね」
その言葉は、どこか懐かしさを滲ませたものだった。