トータルイクリプスサンダーボルト 外伝   作:マブラマ

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Ende der Revolution

1983年3月28日。

 

革命終結直前、ハインツ・アクスマンは、自らの運命を変えるために計画を実行に移していた。東ドイツの政権が崩壊寸前、彼はアイリスディーナを拉致し、アメリカへの亡命を果たすつもりだった。しかし、その計画は予期せぬ形で破綻することとなる。

「アクスマン、逃がさないわよ!」

突如、現れたアネット・ホーゼンフェルトの声に、アクスマンは思わず立ち止まった。拳銃を構えた彼女は、冷徹にアクスマンを見据え、すでに動き出していた。

「君は確か、666のアネット・ホーゼンフェルト少尉か。活躍は聞いてるよ――リィズ・ホーエンシュタインの拷問尋問の感想を聞かせて貰いたい」

「……ふざけるな」

「ん?」

「ふざけるんじゃないわよ!アンタは自分のことしか考えない自己中よ!他人を傷付けて自分だけ逃げようとする臆病者よ!よくもベルンハルト大尉を……」

アネットの声は静かだが、鋭く鋭利な刃のようにアクスマンに迫る。彼が反応する前に、アネットの銃口から火花が飛び散り、弾丸は容赦なくアクスマンの額に命中した。

「ぐっ……」

アクスマンの体が崩れ落ち、その命はあっという間に尽きた。その後、ベアトリクスの命令で、アクスマンと共にシュミットも処理されることとなった。二人の遺体は、BETAの餌として消し去られ、再び誰の記憶にも残らなかった。

ミヒャエル・ゾーネは奇跡的に生き延びたものの、その後の行方は誰も知らなかった。彼がどこへ向かったのか、何を思ったのか、それは永遠に謎のままだった。

そして、コンラート・エックハルト大将は最後の時を迎えた。

「これが、私の選んだ道か…」

彼は静かにそう呟きながら、最後の決断を下す。政権を握ったベアトリクスに向けて、心の中で遺言を残すように、自らの拳銃を手に取った。

「私の死が、きっと新しい時代を切り開く。」

そう言い残し、コンラートは自身の命を絶った。

その瞬間、革命の終焉とともに、冷徹な新時代の幕が静かに上がった。

 

 

 

 

ベルリンの戦いが終結し、新たな秩序が生まれようとしていた頃。

ひとりの影が、混乱の中で静かに姿を消していた。

 

イングヒルト――革命の裏側で動いた工作員。

彼女は、反体制派の戦略を潜り抜け、ドイツテレビジョン放送(DFF)に潜入。

ウルスラの演説を封じ、政府の情報統制を支えた。

だが、革命が成功した今、彼女の役割は終わったのか――?

戦後処理の中で、の幹部たベアトリクスが選出した議員達は次々と新政権の中枢に就いた。

だが、イングヒルトの名が公に語られることはなかった。

彼女はどこへ行ったのか?

政府の新たな諜報機関に参加したのか?

あるいは、自らの意志で表舞台から去ったのか――?

だが、そうではなかった。

驚いたことにイングヒルトは表舞台から出ることは激減したが、その裏で将来、指導者になるため必死に勉学を学んでいた。

 

ベルリン・ミッテ地区。――――瓦礫の中に埋もれた廃ビルの一室。

そこには、放送局の職員用IDカードと、

古びたライターが静かに置かれていた。

 

彼女の関与を知る者たちは、それを見つめながら、

ひとつの結論にたどり着く。

 

「イングヒルトは、もういない――だが、何処かへ生きている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1983年7月28日、平壌。

革命から4ヶ月、シュミット率いるシュタージ政権からの解放を果たした東ドイツの指導者、ベアトリクス・ブレーメが、朝鮮自治区――後の朝鮮民主主義人民共和国の首都・平壌に凱旋した。

この日、「東独朝鮮合同歓迎平壌市民大会」が大々的に開催され、平壌の広場には数万人の市民が詰めかけていた。東ドイツと朝鮮の旗がはためき、人民軍の儀仗兵が整列する中、ベアトリクスは壇上に立った。

彼女は一呼吸置くと、力強く語り始めた。

「同志達よ! 私達は長きにわたる抑圧と闘い、自由を勝ち取った!」

彼女の言葉に、群衆から歓声が湧き上がる。

「エーリヒ・シュミットの支配のもとで、多くの同志が命を落とした。しかし、我々は屈しなかった。祖国を奪われ、誇りを踏みにじられながらも、立ち上がったのだ!」

ベアトリクスは、ベルリン決戦を戦い抜いた戦友たちの名を挙げ、彼らの勇気を称えた。

「そして今、我々は東ドイツと朝鮮の同志たちと共に、新たな未来を築くためにここにいる!」

東西冷戦のただ中、社会主義陣営の結束を訴える彼女の演説は、平壌の民衆に強烈な印象を与えた。

「我々は分断を乗り越え、共に歩む。同志たちよ、団結しよう! 未来は我々の手の中にある!」

彼女の最後の言葉と同時に、群衆は歓声を上げ、旗を振った。

この演説は、東ドイツと朝鮮民主主義人民共和国の関係をより深める歴史的瞬間となり、後の国際情勢に大きな影響を与えることになる――。

この日、平壌の空には、革命の勝利を祝う歓声が響き渡った。

一方その頃、東ドイツ反体制派の残党はベアトリクスが朝鮮の指導部と会談を進める中、東ドイツ国内では反体制派の残党が密かに動き始めていた。

 

かつてベルリン決戦で敗北したズーズィ・ツァプ、シモーネ・レージンガーらの勢力は崩壊し、多くの指導者が捕らえられたか処刑された。

1年後、東西ドイツはBETAの侵攻によって陥落され、民間人は南アフリカ共和国、アイリスディーナを支持する幹部や衛士達はアイルランド、その他はグリーンランド、イギリスへと租界した。

だが、すべてが終わったわけではなかった――

カティア・ヴァルトハイム―――ウルスラ・シュトラハヴィッツが革命の女神としての象徴が未だに存在したからだ。しかし彼女はアメリカのニューヨークに軟禁され身動きが取れない状態に陥った。

だが、現実は非情でそれを喪失する悲劇的な結末を辿った。

 

 

1987年3月某日、ウルスラはフィラデルフィア事件でテロリストに襲撃され死亡してしまった。

列車でユニオン駅に向かいアメリカ合衆国議会議事堂で大統領との会談する予定であり、東西ドイツの平和的統一を成し遂げる為に赴いた――――この事は全世界に知れ渡り、特にズーズィ率いる強硬派は哀しみで涙を流し悔やんでいた。穏健派も同様だった。

ウルスラと共に歩んだテオドールもこの場にいたが、彼は軽傷で済んだが、リィズの死に続いてウルスラまで喪った彼の心境は絶望感を味わった。

彼女は最期にテオドールに向け遺言を送った。

「……おねがいです、テオドールさん……だ、れも……恨まないで……。生きて下さい……生きて、私たちの分まで、この意志を……」

救助が来るまでの間、テオドールはただ彼女の血まみれの手を握り締めたままで泣き叫び続けた。本当に夢ならば早く醒めて欲しい。そう願えど、その夢はいつまでも終わることは無かった。

そして彼は――――――喪失が無い世界の創造を。誰も奪われることの無い世界の実現を。ウルスラの遺志を受け継ぐテロリストに変貌しキリスト教恭順派や日本赤軍等の各国のテロ組織を纏めるテログループのリーダーとなった。

ウルスラの死から1年後、東欧州社会主義同盟を設立し、ベアトリクスが盟主となりアイリスディーナでの連立政権を成立。東ドイツと朝鮮自治区を統治するベアトリクスは4月の日朝全欧州連席会議で、人類の平和的救済のための最初の試みがなされた。 しかし、ズーズィは、強硬派の反体制派を率いて会議の妨害工作を行い、要人暗殺未遂や破壊工作、さらには欧州の反共勢力との連携を通じた情報戦を展開した。この結果、和平への道は大きく阻まれ、東ドイツ政権と反体制派の対立はさらに深まることになった。

1988年5月10日、「国連臨時朝鮮派遣師団」(United Nations Provisional Korean Deployment Division, UNPKDD)の指示のもと、一部の日本帝国軍の将官が不正融資を行っている事実を隠蔽しながら、東ドイツおよび朝鮮自治区の北半部に対する武力侵攻の準備を強化していた。

この不正融資は、日本帝国軍内の強硬派と欧州の反共勢力が資金を流用し、軍事作戦の準備を加速させるためのものであった。ズーズィ・ツァプ率いる反体制派の強硬派とも連携し、東ドイツ政権に対する武力的な打倒を画策した。

ベアトリクス・ブレーメ政権はこれを察知し、5月中旬には「北半部防衛強化令」を発動。

国境沿いの防衛体制を強化し、敵対勢力の浸透を防ぐために国内の治安維持を厳格化することとなった。

1994年、東ドイツの国家人民軍の指揮権はアイリスディーナに譲り、ベアトリクスは朝鮮軍(後の朝鮮人民軍)の指揮権を握る。

1995年6月25日、各戦線の全域にわたって朝鮮自治区に対する「BETA駆逐」を名目とした全面攻撃が開始された。

しかし、朝鮮軍は敵の侵攻を迎え撃ち、激戦を展開。戦場の至る所でBETAの攻撃を挫折させ、戦線を防衛することに成功した。

この情勢を受け、朝鮮自治区は戦況を綿密に検討し、朝鮮軍に対し「断固たる反撃戦を開始し、敵の武力を徹底的に掃討せよ」との命令を下達。

朝鮮軍は、東欧州社会主義同盟の指示のもとで反撃作戦を開始し、中韓国境付近の敵勢力を撃退。

さらに、朝鮮軍は中韓国境へと10~15キロメートル前進し、甕津、延安、開城、白川などの主要都市と多くの村落を解放することに成功した。

朝鮮自治区は、平和的方法でBETAという地球外起源種を根絶することに全力を尽くしてきた。

しかし、これに対し、一部の帝国斯衛軍の衛士たちは朝鮮軍の指揮権を持ってるベアトリクスに背き、戦線を混乱させ、朝鮮人同士の内乱を引き起こした。

これにより、朝鮮軍の戦闘に新たな障害が生じ、BETA殲滅という目標達成が一時的に遅延する結果となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2002年、アイルランド某所。

 

霧深い港町の廃倉庫に、暗い影が集まっていた。

「長かったな……テオドール・エーベルバッハ。」

ズーズィは鋭い目で男を見据えた。

かつて"要塞級殺し"と恐れられた伝説の戦士は、今やテログループの指導者へと変貌していた。

「ベアトリクスの独裁は続いている。アイリスディーナでの連立政権も、結局は奴の傀儡に過ぎない……。」

シモーネ・レージンガーが低く呟いた。

「パレスチナ解放戦線も我々と共に戦う。今こそ、打倒の時だ。」

武装した反体制派の強硬派が静かに頷いた。

新たな戦いが始まろうとしていた――。

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