『キリト達が《炎の剣》の仲間になったら』   作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス

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 《テイルズオブアライズ》と《SAO》がコラボしたから衝動的に書いた

 キリト、アスナに加えてアリス、自作品《孤高の剣士》の織斑一夏/桐ヶ谷和人の四人が追加です

 視点は原典キリト(原作18巻)なのでゆるして




異界の剣士達

 

 

 グルル、唸る獣の声。

 それを断つように手に持つ剣を振るう。光を呑むが如き黒の刃は、襲い掛かろうとしてきた獣――狼型の《ズーグル》の顔を切り裂き、悲鳴を上げさせた。

 すかさず踏み込み、更に一撃を加える。

 上段からの一閃。それは狼の頭部を垂直に割り、絶命させるに足る一撃だった。

 

「――これで、最後か」

 

 辺りを見回し、他に制御を外れた”はぐれ”がいない事を確認した俺は、そう呟き、息を吐いた。力んでいた全身から力を抜く。

 それから背中に吊る鞘に剣を収めた。

 

「そっちは済んだようだな、キリト」

「ジルファ。ああ、たった今な」

 

 警戒を解いていると、離れたところで同じようにはぐれを相手にしていた筋骨隆々の大男――ジルファが話しかけてきた。右腕を覆い尽くすほどの巨大な手甲にはズーグルのものと思しき赤黒い液体がこびりついている。彼は己の肉体を武器に戦う闘士なのだ。

 体を解すように肩を回す彼は、やれやれとため息を吐いた。

 

「たっく、最近はぐれが増えてきた気がするな。老いぼれには厳しいものがある」

「アンタが老いぼれって、冗談だろ」

 

 頬に古傷を刻み、短くはあるが髭を蓄えた男は、筋骨隆々の体躯も相俟ってまだまだ若さを残している風体だ。これで老いぼれと言っていては、若い俺の立つ瀬が無いと苦笑してしまう。

 そんな俺に、ジルファも笑みを浮かべた。

 

「若いモンも逞しく育ってるんだ。俺みたいなヤツは、老いぼれも同然さ」

 

 そう言ってから、「ま、まだまだ時代を譲る気は無ぇがな」と続ける。

 

「さて、そろそろレナの装甲兵の巡回時間だ。やる気の無ぇ連中だから早く来るって事は無いだろうが、気が変わって早く来る事もあるかもしれん。足早にウルベゼクに戻るぞ」

「ああ、分かった」

 

 ジルファの促しに応じ、俺達は揃って帰路に就いた。

 行く先には炭色の岩城が見える。

 その城こそ、炎と岩ばかりの国――”オルブス・カラグリア”を統べる領将(スルド)が住まう場所。俺達が壊し、越えるべき”壁”の象徴だ。

 いま一度、それを目に焼き付けた後、俺は歩みを早めた。

 

 

 レナとダナ。

 それは星を冠する名であり、そこに住まう人々の種族を冠する名称でもある。今から300年前に起こったレナ人による”大侵略”を機にダナは奴隷としてこき使われる支配関係を強制された。そのレナ人を統率する者が領将(スルド)と呼ばれる存在だ。

 ダナの地を五つに分割し、それぞれの領土を治める。

 それはレナ人の社会を統治する《王》の選定のために行われる。

 これを《領戦王争(スルドブリガ)》と言う。

 《王》は領将である期間で最も多くの星霊力というエネルギーを集めた者がなれる仕組みらしい。領地毎に集める星霊力は決められており、俺がいる”オルブス・カラグリア”は炎のエネルギーを主として集めているとの事だ。

 だが――その仕組みに、奴隷という人的存在は本来不要だ。

 しかし、レナはダナを奴隷として酷使する。なぜならあらゆる物質には地水火風、そして光、闇からなる六属性の星霊力が含有されており、人体も例外ではないからだ。ダナ人には生まれた時から霊石(コア)を左手に埋め込まれ、動くと共に星霊力を吸い取られていく。生命力すらも、《王》選定のために使われているという訳だ。

 無論、物質を星霊力に変換する事も可能なため、奴隷のダナ人は化石燃料の採掘をさせられている。化石燃料を燃やす事、その労働力として奴隷を酷使する事――一石二鳥という寸法だ。

 

「ほんと、よく考えられた仕組みだ」

 

 そう呟いた俺は、ホロホロになるまで崩れた肉と野菜のシチューをスプーンで掬った。固形物は無いに等しいが、しっかりとした栄養素が胃に入っていく感覚を覚える。

 

「ん、旨い!」

「そう言ってもらえて何より。まぁ、それも食材あっての事だけどね」

 

 俺の賛辞にそう答えたのは、栗色の髪を纏め、真鍮色の軽鎧と細剣を纏った少女。

 彼女の名はアスナ。長らく苦楽を共にし、数々の死闘も潜り抜けてきた戦友であり――俺の、愛する人だ。また俺の胃袋をガッシリと掴んでいる人物でもある。

 その彼女が頬に指を当てながら横目で見る先には、長い黒髪の少女――――に、見える少年がいた。

 

「料理人の腕も重要だと思うけどな」

 

 そう言って、少年は肩を竦めた。

 彼の名は――なんと、俺と同じキリト。

 俺と彼の間には、レナとダナの関係よりもややこしい事情が存在していた。

 

 

 ”異世界”という概念がある。

 自分達が住まう地、あるいは星、宇宙とは別の概念を内包する場所を指すその言葉は、現代人の誰もが一度は聞いた事があると思えるほどポピュラーな単語だった。自分達の常識外の概念と遭遇した時に使う表現としてこれ以上のものはおそらくないからだ。

 たとえば、ゲームの世界に飛び込んだりとか。

 たとえば、宇宙に飛び立ったりとか。

 生きる環境そのものがガラリと変わればそんな所感を覚えてしまうのは当然と言える。

 

 ――そういう意味では、俺達にとってこのレナとダナの世界は、”真の異世界”だった。

 

 俺達は、レナ人でもダナ人でもなく、別の星、あるいは宇宙の生まれだった。何れも”地球”――太陽系第三惑星の水と緑の星に生を受けた。

 しかしややこしい事に、俺とアスナは同じ世界出身だが、もう一人のキリト――美少女然とした少年――は、また別の地球出身だというのだ。概念で言えば”平行世界”。辿った歴史のどこかで枝分かれした、似て異なる地球の生まれだった。

 そして、彼と俺は”同位体”に近い存在だという。

 同位体とは、Aの世界とBの世界に於いて、同じ立場、人間を指す暫定の呼称らしい。要するに二つの世界を比較した時に同一と取れる存在という事だ。

 俺達の場合は”立場”がそれにあたった。

 俺の本名は”桐ヶ谷和人”。本当の両親は事故で亡くなっていて、母親の妹家族が幼い俺を引き取り、育てたという背景がある。妹――厳密には従妹――が一人いる。

 

 この関係に限りなく近いのが彼――もう一人のキリトだ。

 

 B世界の同位体たる彼は二つの名を持っていた。生まれた時の名を”織斑一夏”、紆余曲折を経ていまの家族に拾われつけられた名が”桐ヶ谷和人”だという。俺にとっての妹は姉に変わっているが、それ以外は大体同じだ。

 名が同じになる前の出来事に関しては、歴史が分岐する転換期の有無が関わっているだろうと彼は語った。

 彼の世界にあって、俺の世界には無いモノ――宇宙にはばたくための科学技術だ。それを作り出す人物が生まれたのが二十数年前であり、その更に前から変化があったとすれば、俺と彼の生まれ年が異なるのにも説明がつく。同時、本来桐ヶ谷家に引き取られる筈だったB世界の”俺”がいない事も。

 ともあれ、俺達は揃って真の異世界に来てしまった訳だが、その原因は定かではない。

 俺とアスナは、俺達の世界で日本政府が極秘裏に開発を進めていた真性人工知能の住まう仮想世界《アンダーワールド》にログインした後、気付けばこのカラグリアに降り立っていた。

 実はあと一人、金色の女性騎士も共に降り立っているのだが、所用により席を外しているためこの場には居ない。ともあれ確かなのは《アンダーワールド》へログインをしようとした三人が揃って巻き込まれてしまったという事だ。

 

 ならばもう一人のキリトもそうなのかと思ったが、まったく違っていた。

 

 彼の場合、まず《アンダーワールド》という名の仮想世界は知らないし、真性人工知能の事も初耳のようだった。ややそれに近い事は聞き知っていたが、明確に《プロジェクト・アリシゼーション》に関与してはいないらしかった。

 とは言え、それは仕方ない話とも言えた。

 俺とアスナがこの世界に来る前の地球は2026年8月だが、彼の方は2025年8月だった。俺が明確に《プロジェクト・アリシゼーション》に関与したのが翌年5月末からなので、いくら宇宙開発方面を中心に科学が進んでいたとしても、魂の解明とも言える技術の進歩が何年も速まる事は無いらしかった。

 無論、そこには仮想世界の創造主たる男”茅場晶彦”の存在が深く関わっているのは間違いない。茅場がナーヴギアと《ソードアート・オンライン》の二つを発明しなければ、あのプロジェクトも始まりを迎えなかったのだ。あの出来事は2022年11月6日――彼の世界は7日――に起きた。そこを基点に仮想世界の全てが始まったのだから、変化が小さめなのは当然だった。

 とは言え、こちらとあちらの歴史は、仮想世界の側面だけを切り取ってもかなりの違いが起きている訳だが……

 

「――君、キリト君!」

 

 思考を回していると、隣に座るアスナに片を揺さぶられた。

 

「お、おう、なんだアスナ?」

「なんだじゃないよ、もう……また何か考え込んでたでしょ」

「ああ……彼の事をな」

「彼って……オルタ君のこと?」

「俺?」

「そうそう」

 

 キョトンと首を傾げる少年に頷く。

 彼の呼び名の《オルタ》は、同名だと解り辛いため《オルタナティブ》――『もうひとつの』という意味の英単語から取ってきている。本来は『代案の~』や『主流から外れた』などの経済理論で使われる事の多い単語だが、一昔前からキャラや別人格を冠する名称として使われる事が増え、ネットでも度々目にした事がある程度にはサブカルチャー業界でもポピュラーな名称だ。

 それを知ってか知らずか、彼も自身に付けていた。

 その名を考えた時、一瞬俺を意味ありげに見つめてきたのは気になったが、結局聞けずじまいで終わっている。おそらく今後も聞く事は無いだろう。アバターネームと同様、人の名前に意味を見出そうとしても意味は無い事が多いのだ。

 

「俺の何を考えてたんだ?」

「君の世界の歴史についてだよ」

「あぁ、ナルホド……私達の世界じゃ、次元跳躍なんて言葉は聞いた事ないもんね」

「あー……」

 

 言わんとする事が分かったらしく、オルタが胡乱な声を上げた。

 彼の話が真実だとすれば、彼の世界の宇宙技術は劇的な進歩を遂げており、試験段階ではあるが空間跳躍を可能としている。遠からずそれを利用した宇宙航行も可能になるだろうと聞いた俺は、少なくとも彼がこの世界に来てしまった原因はその技術にあるのではないかと睨んでいた。

 そう考えたのも、彼がこの世界に来た時にその空間跳躍技術を使っていた事に起因する。

 俺とアスナ、そしてもう一人のA世界はそんな技術無いし、そもそも俺達は《アンダーワールド》にログインするための特別な機械――《ソウル・トランスレーター》を使っていた。アレに空間跳躍なんてトンデモ技術が搭載されたとは聞いていないので、同じ事が起きようは無い。

 しかし現に起きた事に、彼はある推論を出している。

 それが彼と俺という同位体の共鳴現象だ。彼が空間跳躍で次元の壁に接触した時、偶然俺の存在と共鳴し、引き合った結果、近くにあった別次元のこの世界に転がり込んでしまったのではないか――というのが彼の推論だった。この論法だとアスナと残る一人は貰い事故という形になる。

 

「いや、その……ホント、ごめんなさい」

「ああ、いや、別に責めるつもりで言ったんじゃなくてだな……」

 

 肩を落として謝罪する少年に、俺は慌てて言葉を返した。仮にその推論が正しいとしても、彼も被害者側なので俺達に彼を責める気は無いのだ。

 

「――まったく、昼餉(ひるげ)の団欒がやけに辛気臭いと思えば、またその話ですか」

 

 そこで、やや冷たい感じのする声が場に上がった。

 それはこの場に新たに入ってきた人物――俺とアスナと共にこの異世界に迷い込んだ、最後の仲間だった。長い金髪を編み込み、黄金の甲冑と空色のマントを翻す女性騎士――アリス・シンセシス・サーティである。

 彼女は《アンダーワールド》で生まれ育ち、真性人工知能として完成した存在として元の世界では知られていた。また、超一流の剣の使い手であり、アンダーワールドだと神聖術の扱いも超一流という非の打ち所のない騎士である。かつては敵だったが、刃を交え、分かり合った今では頼もしい味方だ。

 そんな彼女は呆れた様子を隠さず、空色の瞳をオルタに向けていた。空いている席――オルタの隣の椅子にガシャリと腰を下ろした彼女は、そのまま続ける。

 

「仮にお前の行動に責があるとしても、私達はお前を責めない。そう決着を見たではないですか。だいたい時空を超える技術に関する造詣を私達は持っていない。そんな私達に、日夜研究を続けているお前を責められはしませんよ」

「……ありがとう」

「分かればよいのです」

 

 そう言って頷いたアリスは、手を合わせて「いただきます」と言ってから、アスナ特製のシチューを食べ始めた。

 ――異世界人だけの奇妙な食卓。

 日々、苦役に喘ぐカラグリアの地で、それでも俺達は生きていた。

 

 

 キリト。オルタ。アスナ。アリス。

 異世界で生まれ、剣と共に数多の死地を潜り抜けてきた俺達は、その出生をカラグリアの人々に伝えていない。異世界などの概念を伝える危険性、それの立証も難しいからでもあるが、必要性を感じなかった点が一番大きかったと言える。

 なぜなら、ダナ人はダナ人同士で寄り集まっており、非常に排他的なコミュニティを形成している事が窺えたからだ。

 もちろん、それは自分達を隷属させるレナ人達に向けたものだろうが、突き詰めて言えば『ダナ人以外』の全てを拒絶しかねないと思えたのだ。ダナ人でもレナ人でもない異世界人。そんな異物を果たして極限状態の彼らが受け入れられるかは甚だ疑問だし、十中八九無理だろうとも考えていた。

 そんな俺達がカラグリアのダナ人達に混ざって暮らせているのも、全ては最初に出会ったダナ人――ジルファのお陰だ。

 彼はウルゼベクをはじめ、カラグリアの各地に隠れ家を築き、レナ人の統治に反旗を翻す機を狙う抵抗組織《紅の鴉》を率いる人物だ。俺達は魔獣――もとい、レナ人により作られた後、制御から外れたはぐれズーグルと戦っている時に彼らと出会い、仲間に引き入れてもらった。

 当然、生まれた土地はおろかレナ人、ダナ人についての知識もないため、相当怪しまれた。簡素な黒コート姿の俺とオルタはともかく、真鍮の軽鎧と黄金の甲冑という派手な出で立ちのアスナ、アリスの二人に関してはレナ人かと勘違いもされた。なにせ彼女達は怪我をしていた《紅の鴉》の人達を神聖術――《アンダーワールド》の魔法――で治癒したからだ。彼らが星霊術と言った魔法相当のものはレナ人にしか扱えないものだと知ったのもその時だった。まぁ、レナ人疑惑は『術を使った時に目が光らなかった』という点から、ジルファの擁護を受けられて事なきを得たが。

 結局、自分達はダナ人の魔法使いの一族だが、隠れ里をレナ人に襲われ、身寄りなく放浪しているところというオルタが即興ででっち上げた話を展開し、争いは避けられた。

 隠れ里だから誰も知らない。襲撃後だから場所の確認も不可。魔法使いの一族とすれば神聖術も使える。文化の違いや常識の欠如も多少は補えるという、あらゆる問題を解決するいい言い訳だった。

 ちなみに、俺達が神聖術を使えるのはアンダーワールドにログインしようとして、そのアバターごとこちらに来てしまったからだと推測された。その点でリアルの体ごとこちらに来たオルタは神聖術はおろか、《アルヴヘイム・オンライン》の魔法も使えないが、発展した科学技術でソードスキルや魔法を再現するため俺達の能力に大差はない。

 アンダーワールド大戦を経て超性能アカウントに成長した俺のアバターと、出来る事がほぼ大差ないという点を鑑みると、彼の世界の科学技術の恐ろしさが垣間見える。

 

 そんな俺達は、その実力を買われてカラグリアの外にちょくちょく出張る。

 

 基本、ダナ人の食糧は集落の人数分だけ配給される形だ。

 なのでカラグリア出身でない上に、そもそも奴隷でない俺達の分の配給は無い。

 ちなみにそれは《紅の鴉》も同じだ。生命力もとい星霊力を吸い上げる霊石(コア)を自ら剥がした彼らは、死を偽装した面々が構成員である事が多いらしく、レナ人が把握している以上のダナ人がカラグリア各地に潜伏している。

 そんな配給を得られない俺達が外に出ると言えば、食糧調達や武器調達、情報収集など多岐に渡る用事のためだ。

 元世界の科学技術で光学迷彩――もとい、隠形が出来るオルタは多方面で活躍しているが、アンダーワールドの仕様でハイディングスキルを喪っている俺やアスナ、隠れるには見た目が豪華なアリスは、主に食糧や武器調達、そしてはぐれズーグルの始末などを中心に日々の仕事をこなしていた。

 乾いた土地のカラグリアでは水源も食物も少ないが、それでも枯渇しないのは、炎の星霊力が潤沢であるが故らしい。炎の属性を強く受けているので大地も空気も乾いているが、星霊力が豊富なのには変わりないため、植物の育ちは悪くないのだと言う。ただそれが長続きしなかったり、豊作とならないのが欠点なのだとか。

 そして、”はぐれ”となったズーグルは、生き延びるためにその数少ない食物を喰らう。

 

「だから”はぐれ”は定期的に狩らなきゃならない、か」

「襲って来れば、だ。全てを相手にしてちゃこっちが持たん」

 

 言いながら、ジルファは離れた位置にいる敵――地中に潜っている不自然な岩塊の主ゴーレムを避けるように迂回する。その後を続く味方を見て、俺は言った。

 

「分かってるよ。こう熱い中で動き回っちゃ、すぐ喉が渇くもんな」

「そう言うくらいなら、その真っ黒な服装はやめておいた方がいいだろう。夜ならともかく、昼でその恰好は日光を集めて熱くなるだけだぞ」

「仰る通りで……でも、黒以外は着る気が起きないんだよなぁ……」

 

 超近接型故にジルファと共に列の前を進む俺は、ギラギラと照り付ける陽光を遮るように片手を翳す。

 その気になれば水や氷の神聖術で涼を取る事も出来そうだが、そんな事をすれば「神聖なる術をそんな事のために使うとは何事ですか」とお堅い騎士様に叱られてしまう事請け合いなので、したいと思っても、しようとは思わない。背中に吊るもう一本の愛剣をそんな事のために使う気なぞ更に無かった。

 そんな俺に、部隊の一人――情報通と名高い男ネアズが笑い掛ける。

 

「まったく、だらしないぞ。兄貴なんだろ? シャキッとしろよ」

 

 そう背中を叩かれて、俺は何とも言えない気持ちになった。

 兄貴――それが誰の兄貴分なのかは、最早言うまでもないだろう。俺とアスナが恋人である事、アリスは友人か愛人かと噂好きの間で囁かれているのだが、オルタに関しては俺の弟ポジションに自然と収まっていた。彼から話したわけではなく、噂好きの間で挙がっていた推論を利用した形だと聞いた。

 見た目は俺とアスナの娘――もちろん、産んだ子供ではないが――ユイとほぼ同じ体格の子供なので、俺とはかなりの年の差になるのだが、その辺の違和感は無いらしい。

 アスナ達も、オルタが弟分という点に異論を示していなかった。

 かく言う俺も然して異論はない。

 

「あのな、ネアズ、それ兄貴かどうか関係あるか?」

「弟は兄の背中を見て育つもんだろ」

「ま、当の弟の方は偵察のために先行してんだがな」

「おいおい、兄貴が背中見せつけられてんじゃ世話ねぇな!」

「ちげぇねぇや!」

 

 ジルファに続き、ネアズ、更に他の男勢がワハハと笑う。

 

「こ、こいつら……!」

 

 ブルブルと俺は拳を震わせた。この作戦が終わったら必ず一発ずつぶん殴ってやると心に誓いながら、俺は隠れ家の一つ――ジオーネ廃坑道へと歩いたのだった。

 

 

 

 ――そして、後に《炎の剣》と称されるダナの男と、《茨姫》と揶揄されるレナの女と出会う事になる

 

 

 







 1700円余りしたのにプレイアブルにならなかった哀しみの衝動がコレだよ!


 コラボ発表された翌日から徹夜2日で全クリ(動画・攻略板頼らず)してプレイアブル化に備えたのに……裏ダンクリアもしないといけないかもと思って異界もクリアしたのに……魔装備未強化でも頑張って上級時間内クリアしたのに……


 私はかなしい……かなしい……


 なので『もしプレイアブルになったら』な夢小説を書いちゃったのです


 プレイアブル化を希望しなかった人だけ本作を罵倒するがよい(迫真)


・キリト=桐ヶ谷和人(18歳)
 《SAO》原作主人公
 18巻最後にアンダーワールドへログインした時点でアライズに乱入した
 星王スペックを持っており、心意だけで空を飛んだり素因を開放したりやりたい放題出来るが、普段は一刀状態など自重モード
 『異世界の問題に首を突っ込んで放り出すのはな……』と考え、まだ首を突っ込んでいない
 片手剣、二刀流のアインクラッド流剣技と神聖術攻撃を得意とする
 武器は神器【夜空の剣】と【青薔薇の剣】
【サポートスキル:継星(けいせい)の二刀】
 二刀による急襲を仕掛け、ガード状態の敵をブレイクし、殆どの敵をダウンさせる



・アスナ=結城明日奈(19歳)
 《SAO》原作ヒロイン
 アンダーワールドの創世神ステイシアのアカウントスペックそのままでアライズの世界に乱入。過去視術を含め、素因の扱いはキリトより上
 《無制限地形操作》はチート(怒)
 アインクラッド流の細剣技と神聖術による支援・回復を得意とする
 武器は神器【ラディアント・ライト】
【サポートスキル:閃光の一撃】
 閃光の如き突進攻撃を行い、回避行動を暫く封じ、ダウンさせる


・アリス・シンセシス・サーティ(18歳)
 アリシゼーション編ヒロイン
 原作ヒロインズで唯一アスナとバチバチする女性
 アンダーワールド・ヒューマンエンパイアの秩序を保つための30番目の整合騎士であり、自ら上位権限者に歯向かうため封印を破った真性人工知能の一人
 剣技はアスナ以上、神聖術は光属性に於いてアスナ以上、他同等レベル
 人界剣術、アインクラッド流の片手剣、両手剣技と神聖術による攻撃・回復を得意とする
 武器は神器【金木犀の剣】
【サポートスキル:金木犀の旋花(せんか)
 神器の力を解放して斬撃の渦を放ち、空中の敵をダウンさせ、暫く飛行できなくする


・オルタ=織斑一夏/桐ヶ谷和人(12歳)
 拙作《孤高の剣士》の主人公
 本作では原典キリトの弟分扱い
 SAOキリトの同位体に近いが、生い立ちをはじめ、歩んだ歴史や年齢が大きく異なる。科学技術が発達した地球で、リアルでも剣士として戦っていた。空間跳躍の実験の最中にアライズ世界に来てしまった経緯から、四人の中で唯一アバターではない(全員血は流れる)
 光学迷彩機能、飛行機能などを暈しているが伝えてはいるため、斥候として活動する事が多い
 アインクラッド流の他、ジルファ直伝の闘気による自己強化・回復を体得している
 武器は【エリュシデータ・レプリカ】
    【ダークリパルサー・レプリカ】
    その他、槍、斧、弓、銃など
【サポートスキル:抑止の一撃(カウンター)
 二刀による急襲を行い、ほとんどの敵をダウンさせ、且つ相手の鋼体をしばらく無効化する



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