士郎さんの主治医が去り、完全に病室が完全に身内だけとなった
恭也さんと桃子さんは士郎さんのベッドに佇み、安堵の表情を浮かべている
忍さんは落ち着いたようで、私の状態を教えてくれた
なんでも結構な勢いで轢いたはずなのに身体的異常が無かった為
検査入院という形でここに入院させたということだった
確かに痛いところはどこもない、身体は少々動かしづらいが
眠っていたためだろうと結論付けた
(それで、これから私はどうすればいいですか?)
そう話かけようとしたところで忍さんの携帯電話が振動した
緊急の連絡のようで、私に一言断ると病室を飛び出した
残されたのはすずかと私だが、私はまだすずかとの距離を測れないでいる
原作にはすずかはいないから、どう接すればいいかわからないのだ
ただ時間が過ぎていき忍さんが戻ってくるのを待っていた時だった
「伊織おにいちゃん、お話しよう?」
すずかの方から話しかけてきてくれた、ちょっとうれしい
「うん、いいよ。何の話をしようか?」
「さっきおねえちゃんとなんかこっそり話してたけど、何の話だったの?」
ピンポイントで聞かれたくない話を振られた
でもまぁ、これくらいの子なら大丈夫かと思い話すことにした
「ボクはね、超能力が使えるんだよ。すずかのお姉さんと同じようにね」
「うわぁ、そうなんだ・・・え?おねえちゃんも使えるの?知らなかったなぁ・・・」
知らなかったのか、まずいことをしたかもしれないと思ったが
すぐ忘れるだろうと気にしなかった
「それでね、ボクが超能力を使える事は他の人には黙っていてほしいんだ
もちろん、お姉さんが超能力を使えることも誰にも言っちゃだめだよ」
一応能力が使えることを秘密にしてもらえるようお願いしておく
人は異端な力を避ける、自分に被害が向くのを恐れる為だ
それは歴史が証明している。
すずかは何で黙ってなきゃいけないかよくわかっていないようだったが
わかった、私と伊織おにいちゃんだけの秘密ね!とうれしそうにはにかんだ
・・・正確には私とすずかと忍さんの秘密なんだが、すずかがうれしそうなので
特に訂正はしなかった。バラされなければ問題ないし。
あと、すずかのはにかんだ顔がとても可愛らしかった
・・・シスコンになってしまうかもしれない
そんなような話をしていると忍さんがやけにうれしそうに病室へ戻ってきた
「伊織、退院許可下りたから一旦家にもどるわよ
士郎さんはもう大丈夫そうだから、恭也も戻らない?」
「ふむ・・・医者の話だと肉体的には完治したと言っていたな伊織君の話も
聞きたいし俺も同行しよう。母さんはこのまま父さんについているのか?」
恭也さんが桃子さんに話しかけると、桃子さんは士郎さんが起きたときに
誰もいないと寂しがると思うからと言って、同行を辞退していた
――――そんなことで月村家まで案内してもらった
といっても、病院から家まで移動しただけなんだが
ゲームでやったことがあったので月村家が豪邸だというのは知っていた
・・・知っていたが、ここまで広いとは思っていなかった
あまりの広さに門の前で口をひらいたまま間抜け面を披露するハメになった
それもそのはず、ゲームの背景描写では一部分しか表示されないのだ
前世の家は普通の一戸建てだったし・・・
「何呆けてるかわからないけど、早く入りましょう伊織」
促されるままに門をくぐると見事な庭園が目の前に広がっていた
そしてまた呆ける
結局応接間に通されるまで場所が切り替わるたびに
間抜け面を晒してしまった、正直かなり恥ずかしい
それを見て忍さんがしてやったり!風な顔をしていたのと
すずかは何に呆けるのかわからないような顔をしていたのが
とても印象に残っている
応接間に通されたらそこには2人のメイドさんが佇んでいた
「「おかえりなさいませ、忍お嬢様、すずかお嬢様」」
「ただいまノエル、ファリン。士郎さんは問題なさそうだから帰ってきたわ
それと、この子新しくうちの子にしたから面倒見てあげてね」
「はい、存じております。上ヶ瀬伊織様ですね、私は月村家全体の管理と
忍お嬢様専属メイドを兼任しているノエルと申します。これからよろしくお願いいたします」
そう言って私に対して深々とお辞儀をした
「これはどうも、上ヶ瀬伊織です。こちらこそよろしくお願いします」
礼には礼をの精神で私もノエルさんに礼を返す
「私の隣のメイドは私の手伝いとすずかお嬢様、それと伊織様の兼専属メイドも行う
ファリンと申します、合わせてよろしくお願いいたします」
「ファリンですぅ~、おねーさまと一緒に覚えてもらえると助かります~」
ちょっと間延びした口調だが、これはこれで親しみをもてていいかもしれない
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」
無難に挨拶を返す、原作にファリンさんはいないがすずかがいたことで
忍さんに対するノエルさんのようなキャラがいるんだろうと思い
特に不思議には感じなかった
「さぁいつまでもここに突っ立っててもしょうがないし、ノエルお茶をいれてくれる?
これからの話をしましょう」
忍さんの言葉で全員が席についた
そして現状を含め、これからどうするのかをみんなで話し合うことにした
次は状況説明的ななにかになります