進撃世界に人類最強として生まれたけどエレンがうるさい   作:ちゃっぱ

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第十三話、人間賭博場 前編

 

 

 

 ハンジが訓練兵として志願し、別れてから数日。流石に訓練がきついのか地下街よりかはいろいろ興味を持つものがあるのかは分からないが、とりあえずハンジが宿舎から抜け出してこちらへ遊びに来る様子はない。

 

 調査兵団になるまでまだ時間はかかるだろう。数年は会えない可能性を考え、その間に俺はこのまま地下街に居ていいのかと考える。そんな時だった。

 

 

 

「立体機動装置を使った金稼ぎ?」

 

「ああ! 俺達はリヴァイのおかげで生き方を学んだけど、それ以外の皆は違うだろ? 死んでる奴らだっているんだ」

 

 

 ファーランが息荒く俺に向かって話していく。

 それは地下街での現状を変えていきたいというもの。少しでもいい暮らしになれるようにしたいという熱意。ファーランが持つ社交能力の高さを考えてより経験をといろんな場所で仕事をさせてたくさんの人間たちと交流させたせいだろうか。

 

 地下街は厳しい環境しかない。

 きっと巨人に襲われてからも、その後も────。

 

 もしかしたら、エレンがパラディ島以外の全てに攻撃をと行った後の未来でも、地下街という闇は残されたままかもしれない。

 商人たち、住処を持つ人々。それ以外は生きる気力すら失ったものが多い。夢を無くしたものが何もできずたどり着く人。頼れる身内を失って路頭に彷徨う子供が行きついた地獄。そういう場所だからだ。

 

 ファーランは優しい。

 自分の事しか考えてないこの地下街で、他人の事を考えて行動する。だから人をよく観察し、その心にするっと潜り込むことが出来るのだから。

 

 地下街での闇をずっと見てきた彼には耐え切れないのだろう。

 武器を手に動こうとする姿は、エレンに似通っているかもしれない。

 

 

「娼婦たちの住む区域で生まれた子供たちが飢え死にする。俺達がこうやって立体機動を手に入れたんだから、これを利用して彼らに食べ物が渡るようにしたい!」

 

「駄目だ」

 

「なっ────リヴァイ!」

 

「立体機動だけは使うな。それ以外なら構わない」

 

 

 紙に書いた情報を思い出す。

 立体機動装置を使って移動を繰り返していたから、調査兵団に目を付けられたはず。だから壁の外へ行く羽目になった。そのせいでファーランは巨人に食われて死んだはずだ。

 

 ならばその状況自体をなかったことにすればいい。

 立体機動装置を使わなければ調査兵団に目を付けられることはない。俺はハンジを通じて入るつもりだから、何があろうとも問題はない。

 

 しかしファーランは俺の言葉に納得していないのだろう。

 

 

「立体機動装置を使わずにどうやって……飢え死にする奴らは多い。今こうやってる間にも死んでるかもしれないんだぞ!」

 

「物理的な手段に出るんじゃねえって言ってんだよ」

 

「どういう意味だよ、それ……」

 

「俺は今までお前に何を教えてきた? 地下街でどうやって生きていけばいいのか、食べ物の増やし方を教えたのは俺だろう?」

 

 

 流石に病気になってしまったら俺には何もできないが、餓死を防ぐことは出来る。

 食べ物を分け与えるだけがすべてじゃない。地下街という限られた場所だが、食べ物を増やしていけばいい。それ以外にも子供でも働ける場を教えて、ファーランのように自立させること。

 

 俺達がずっと守れるわけじゃない。

 立体機動装置を手にしたからと言って、それで全部うまくいくわけじゃないことをファーランに教える。

 

 

「誇れ、ファーラン。お前の社交性は俺より優れている。人と接する方法。危険かどうかを見分けるやり方。喧嘩を回避する仕方。全部を教えてやれ」

 

 

 それこそ教師のように地下街で子供たちに常識を根付かせてやればいい。

 俺がやるのではなく、ファーランがやれることだと思う。俺は喧嘩や殺し合いの仕方。立体機動装置などの運動方法についてしか教えられない。

 これから先地下街へ出向くのも難しくなるだろう、きっと。

 

 ちょうどよかったのだ。 

 俺としても地下街をこのまま放置していくわけにはいかなかったから。

 

 

「……リヴァイより優れてる、だって? 俺が?」

 

「喧嘩は弱いがな、人と接する行動は俺より出来ている」

 

「ハハッ、まあリヴァイは凶悪面で判断されちゃうことあるからね。あと毎日掃除しまくってる神経質な面もあるから」

 

「うるせえクソが」

 

「そういう口が悪いところも……そっか、俺にしか出来ないこと、か……」

 

「お前自身が動いて人を救おうとしても、それは限られるだろ。なら自分の手で動けるように教育すりゃあいい。お前ならできるはずだ……もちろん俺も協力する」

 

「……ああ、ありがとう。リヴァイ」

 

 

 ついでにファーランに文字を教えることにした。彼を通じて学校のように子供たちが集まって勉強する場所を作っておけばいい。

 大丈夫かなと思える子供だけ、仕事を提供してやってもらうのだ。最低賃金であろうとも、金さえあれば果物一つぐらいは買えるだろう。

 

 

 そうやってファーランの言葉をきっかけに学校……いや、寺子屋のようなものか? 

 路上でも何でも、生きたいと思える子供達。大人も交じっていたが、悪意ある奴らは俺が追い出してやりつつ、彼らに生き方を教えた。

 

 それはケニーが俺に教えてくれた時のように。

 俺が教わった全てをファーランが活かした。そうして次にファーラン自身が子供たちへ教える番なのだ。

 

 

(……ああクソっ……なんか、ケニーに会いたくなるな)

 

 

 もう数年も会うことのできない叔父。

 今は何をやっているんだか。元気に飲んだくれになってたらいいが……。

 

 再会したら本気でぶん殴ろう。それだけは譲れない。

 

 

 

 現在時刻は深夜、だろうか。

 地下街は太陽が出る場所が少ないから分かりにくい。

 

 子供たちは眠っている。

 ファーランは自立できそうな子どもの面倒を見て仕事をするため外にいる。

 

 

 そんな状況で、一人の男の声が聞こえた。

 

 

 

「……リヴァイさん」

 

「あぁ?」

 

 

 最近は何も言わなかったエレンが、珍しく俺に声をかけてきた。

 それに警戒しつつ彼を見ると、じっとこちらを観察するように顔を向けてくる。

 

 

「何だよエレン。何か言いたいことがあるのか?」

 

「……そうですね。この後の選択次第によっては、ですけど」

 

「はっ?」

 

 

 意味が分からず目を細めると────不意に、扉が乱暴に開かれた。

 

 

 

「ごめんなさいリヴァイさん! ファーランさんが!!」

 

「おいなんだ。どうしたチビ助、何かあったのか?」

 

 

 涙をこぼすチビの肩を叩く。

 そうして彼は嗚咽を漏らしながらも、必死に言葉を紡いだ。

 

 

 

「ファーランさんが俺の代わりに捕まってしまったんです。あのクソな金持ち共に……!!」

 

 

 

 俺の口癖を覚えてしまったチビが、悔しそうにそう呟いた。

 

 

 

 

 





追記
今週はちょっと忙しいので毎日投稿は出来ないと思います。なのでじっくり続きを書くつもりです。最低でも今週の土曜日までには仕上げて投稿します。
そのため、なるべくボリューム多めに書けるよう頑張ります。よろしくお願いします。

おや、エレンの様子が……?

  • このまま進化しろ!
  • BBBBBBBBBBBBB
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