進撃世界に人類最強として生まれたけどエレンがうるさい 作:ちゃっぱ
『────さて、話を軽くまとめよう。君から手紙を貰った時は驚いたよ。私は君の事を知らない。だがリヴァイは私の事を知っているように書かれていた。誰かに調査を依頼したのかと思ったがそうじゃないみたいだ。これ以上書くと万が一の場合もあるため、直接会って話がしたい。そのために君も調査兵団にならないか? リヴァイ、君の実力ならすぐさま調査兵団に入れるだろう。だが君の情報を読む限り特例で兵団へ行かせるわけにはいかない。遠回りにはなるが、目を付けられないよう気を付けるんだ。訓練兵として必要な根回しはしておこう。その後にじっくり話をしようじゃないか』
いつもの崖っぷちの場所。
立体機動装置を使ってでしか来れない、ハンジと出会ったあの大穴が開いた場所で俺は月明かりを頼りに手紙を読んでいた。
エルヴィンからの手紙には率直に「会って話がしたい」という言葉と調査兵団への勧誘。訓練兵にならずとも調査兵団に入れると書かれていることはつまり、地下街で広がる俺の噂を知っているということだ。
俺がエルヴィンを知っている理由が分からないと書いてあるから、ある程度の調査はしたのだろう。
もしかしたらあの変態商人が起こした事件については、エルヴィンが俺に対してある程度調査したのがきっかけかもしれないな。分からねえけど。
「……エレン、もしも俺がエルヴィンに原作について全てを話したらどうする?」
「その時は現時点で不必要な記憶だけを消しますよ。当然でしょう?」
まあ、そうだろうなとは思う。
エレンが進撃の巨人を受け継いでいない状況でエルヴィンに全部を話してしまうとする。きっとあいつはグリシャ・イエーガーに話を聞こうとするだろう。もしくは何かしら根回しをする可能性が高い。俺としてはその方が都合がいいが、エレンがそれを許すわけがない。だから俺が動くしかない。
(意地を張ると言っていたのもきっと……俺が調査兵団以外に行く未来があったからかもしれねえな……)
俺としてはこのままエルヴィンの元へ下らなくてもいい。
エレンを止めること。エルディア人の人権問題を解決するために、マーレへ向かっても構わない。憲兵になってもいい。アルミンに全部話してもいい。
選択肢はたくさんあるけれど、それら全部をエレンが阻止してくるというだけだ。
きっと俺が話せばこいつはすぐに記憶を消すだろう。最悪────話した人の記憶だけじゃない。頭を何か弄るかもしれない。
なんせ意地を張ると言った直後にハンジが来たんだ。
あれは絶対に狙ってやっていた。そういう未来だから直前に話したともいえるけれど、なら何でハンジが俺と偶然この地下街と地上を繋ぐ大穴の傍で出会うことが出来たのか。
これはきっと、エレンの根回しのせいだろう。
俺を調査兵団に入れさせるために。それ以外にも、何かしら都合のいいようにするために。
────つまりエレンは、ある程度人を動かす力があるということだ。
(いやでも、それなら何で俺を動かそうとしねえんだ?)
前世の記憶があるせいか?
それとも変に動かしたせいで変わった未来があるのか?
……まあ何にせよ。エレンにとっては俺は邪魔なだけだろう。でも切り捨てることはできない。だから無難な方向に進ませようとしている。
(エレンの都合のいいようにさせてたまるか)
エレンは俺の背後でじっとこちらを見つめているだけ。
空を見上げれば星空が輝き、そよ風が頬を冷たくさせる。手紙を懐に戻し、エレンと向き合った。
「……エレン」
「何ですかリヴァイさん」
「もしも俺がこのまま地上に向かうとして……まだ生きているグリシャ・イエーガーに会ったらどうする?」
ピリッとした殺意がエレンから発せられた。
目が細められ、俺に近づくエレンはキレた様子だった。
「かつて……まだ始祖ユミルと協力する前の俺とジークが傍に居るかもしれませんね。父さんが何をしているのかを見るために」
「俺が邪魔したらどうする?」
「させねえ。そんなことさせてたまるか。リヴァイさんが父さんの前に出ようとするなら、俺はアンタの記憶を消しますよ。そんなくだらねえ思い付きごと全部」
「くだらないかどうかは試してみたらわかると思うがな、エレンよ。つまりそれは決定的に変えてはならない未来の一つってことだ」
「どう思おうと構いません。何があろうとも絶対に阻止してみせますから────」
敵意、殺意。そしてくだらない夢のため。
本当にこれは、くだらない争いだ。エルディア人の自由。ハッピーエンドという共通の目的でありながらどちらも違った結末へ進もうとしている。俺達の意地の張った戦いなのだ。
「なぁにしてんのリヴァイ! また独り言? 好きだねぇ~!」
「やかましい早く降りてこい」
「はいはい。全く仕方がないんだから!」
エレンが俺から離れ、壁際で座り込む。
それとは逆にロープを垂らし降りてきたハンジが疲れたように笑って俺を見てきた。
「私はまだ新兵なんだよ。そう何度も抜け出しちゃキース団長に怒られちゃうからね!」
「そん時はエルヴィンに頼まれたとかなんか言っとけ」
「大雑把だなぁリヴァイは」
「うるせえ。オラ、綺麗にしといたぞ」
「あっ、ありがと!」
袋に入れたものを投げ渡す。
それに入っていたのはイザベル達が綺麗に洗濯し乾かしたハンジが来ていた服だった。あの時着せたファーランの服はこちらに返してもらっての交換である。ハンジが袋から服を取り出しフンフンと匂いを嗅いで「いい香りがするね。なんか使ってる?」と余計なことを聞いてくるので無視してやった。
「……ハンジ、訓練兵になるために俺は何をしたらいい?」
「えっ! 入ってくれるんだ!?」
「このままこの地下街でのんびり暮らすつもりはねえからな。それにエルヴィンと話すためには調査兵団に入った方が良いらしい」
「あはは! エルヴィンらしいや。つまり煽られたからそれに乗ってやろうってことかー!」
「うるせえ」
またも爆笑するハンジの頭を叩いてやった。そうすると少し痛みに悶えつつ「相変わらずの暴力で変わってないな本当に!」と睨んできた。
涙目になりながらも頭を擦るハンジがふと地下街の方を見た。
崖から見える地下街は薄暗い。しかし明かりが所々で灯っているせいか、まるで星が点在するかのように輝いている。
この地下街で、どこかで誰かが死んでいるのだろう。いつものように。
「……私ね、この前初めて壁の外に出たんだ」
「ああ」
「本当に怖かった。吐いたよ。しばらく寝られなかった。一人になるのも怖かったんだ。眠ろうとして横になっても、悲鳴が耳から離れないんだ。もう壁の中にいるのに。……隣にいた上司が食べられて、同期すら犠牲になってしまう。外はそういう厳しい世界だってわかったから」
顔を伏せたハンジは壁の外での悲劇を思い出しているのだろう。
助けられるはずだった人が死んでしまう恐怖。ついさっきまで会話していた人ですら、あっけなく巨人に食われる光景。
「エルヴィンはまだ若い。私たちより年上だけど……なのにもう分隊長だ。ねえ、分かる? 上司がすぐに食われて死んでしまうから昇進が早いんだよ。だから調査兵団は入れ替えが早いんだ。……だから私も、次に壁の外に出たら死んじゃうかもしれない。いつもの日常が無くなるって思うと寝られなくてね」
「……そうか」
身体を震わせ、血の気がゼロのハンジはいつもの楽し気な雰囲気はない。
巨人に対し恐怖を抱いている様子だったが────。
「だから思ったんだよ。なんであんなにも怖い巨人が人を食べるのか。それ以外の動物は欠片も興味を抱かず、食べようとしないくせにって……ねえリヴァイ、貴方は最後にここでいろいろ話してたよね? 巨人について何か知ってるってことだよね?」
「…………」
エレンの方を見るが、奴はじっとこちらを見るだけである。
ハンジは俺が見た方向へ顔を向けるが、何もいないことに眉をしかめていたようだった。
「……俺が今言えるのはこれだけだ」
「なに?」
「俺が調査兵団に入るまで死ぬな。エルヴィン達と話をする時にお前もその密談に入ればいい。いいな?」
「……なにそれ。当たり前の事じゃん! でもやだなー! これでマジで死んだらリヴァイのせいだなー主に何も話さないせいで気になり過ぎて!!」
「うるせえクソが。死にたくないなら自分で調査しやがれ!」
「────ん? ああそうか!」
何かを思いついたかのように立ち上がってきたハンジが、興奮した顔で俺を見てきた。
「そうだよね、調査だよね!! 巨人について何も分からないから怖い。どうして人間を食べようとするのか怖い。なら知ればいいんだよ! 巨人と人間、分かり合えばきっと何かが変わるはずだ!!」
「おいクソ野郎頭をぶつけすぎて脳みそもクソになったか?」
「クソって言う方がクソなんです~!」
「んなわけあるか」
「んー。とりあえず、ちょっとは頑張れそうな気がするよ。ありがとうリヴァイ。……それと、あの赤毛の子は大丈夫?」
赤毛の子と聞かれて思い出すのはイザベルの事だった。
きっと最後に泣きながら「リヴァイさんと離れるのはヤダー!」と駄々をこねた様子が気がかりなのだろう。深夜の時間帯に選んだのも。イザベル達が寝ているからっていう理由が付く。
ハンジが離れていったあと、チビ達は俺から離れようとせず引っ付いたまま夜まで過ごす羽目になったからな。少しでも離れたらきっと泣き叫ぶだろう。
だからどうにかしないといけない。
それにファーラン達にやってほしいこともあるし……。
「まあ、何とかする」
「そっか。じゃあ……また今度。調査兵団に来てからだね!」
「ああ」
ハンジが上へあがり、「またねー」と軽く挨拶して地上へ出ていく。
それに軽く手を上げて見送った俺は、空のてっぺんに満月が浮かぶ夜空を眺めながらも、これから先の事を考えていた。
そろそろファーラン達と別れるよう、準備を進めないといけない。
new人物設定
リヴァイ(成り代わり青年の姿)
前世の記憶を持つせいでいろいろやらかしまくってる現在。中学生から高校生に入るぐらいの年齢。おそらくきっと。ケニーが来るまで、あの餓死しかけていた頃の記憶が曖昧のせいで実年齢がわからないだけである。これももしかしたら前世の記憶を持つせいかもしれないなと思っている。
ちなみに身長は小さい。平均より小さい。原作でまだ訓練兵だった頃のコニーより小さいはず。身長が少しコンプレックスであるが、それを表に出して言おうとはしない。せいぜいが舌打ちと足蹴りの暴力のみである。
人を生かすという選択が出来るのかはきっとこれから先。調査兵団に入ってからが本気で頑張らなきゃいけないだろうと理解している。だからリヴァイはエルヴィンに手紙を出してやったが、それがどうなるのやら。ちなみにこの先でアルミンやミカサと出会うルート。ケニーと再会するルートはまだ残されている。エレンがそれらのフラグを粉砕しているが、リヴァイはその事実に気づいていない。
リヴァイが動くたびに未来が一気に変化してしまうし、原作はもうボロボロ。虫の息に近いが、それをエレンが必死に軌道修正して何とか繋げている状況である。それすらもリヴァイは気づかない。背後にいるエレンではない、まだ何も知らず巨人を駆逐することしか考えていないエレンに出会ったらどうしようかとも考えている。悩める年頃。思春期だからね。
ちなみにリヴァイのせいである程度彼と関わった人も影響され、未来が変わるようになった。ただしリヴァイのように大掛かりな変化ではない。小さなものからちょっとやばいなっていうものまでである。流石に最初から最後までぜーんぶ変わるわけじゃない。変態商人の件はその影響力のせいでもある。
エレン(ちょっと疲れたけど意地張ってる姿)
リヴァイが派手に動きまくってるせいでマジでいろいろ変わりまくってる未来に疲れ気味。だって切り替わるたびに最後の結末まで未来を見通して何が悪いのか考えて何処を軌道修正しなきゃいけないのか考えなきゃいけないからね。RTA走者であれば一時間以上やってたのに荒ぶる乱数のせいで最初からを繰り返しやらされているような状況。それを何十回、何百回と繰り返しているのでちょっと疲れてガバをしてしまい、変態商人が爆誕しちゃった様子。しかしそれでもめげず挫けずエレンは己が目指す目標のために頑張っている。最悪の最後がどうなるのかも知っているため、こんなところで折れてたまるかという意地もある。
ちなみにリヴァイが辿る未来によっては過去の己に出会う可能性もある。グリシャ観察の旅に出ているジークや過去の自分に出会う可能性も分かっているため、そこも注意している。
彼が本格的に動くとしたら原作からが本番であるが、まだまだ先の未来だしリヴァイが本当にいろいろ(自分の目標的な意味で)やらかすので困る。もうキレるのも疲れましたよリヴァイさんちょっとは落ち着きましょうよ。そう言ってても未来は変わるだけである、クソが。
最近リヴァイを見ているだけでなく、影響を受けたファーラン含めたチビ達のことも観察している。あいつらの口癖が「クソ」になっているので呆れつつ、大丈夫かなと若干心配している。ちなみにこいつも内心では「クソが」とか影響されて言いそうになっている。
リヴァイが訓練兵で出てくる同期はだれがいい?(訓練兵について時系列に矛盾が生じてると思います。すいません。アンケートの中の数人を出します)
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エルド・ジン
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サイラム
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モブリット・バーナー
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イルゼ・ラングナー
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リコ・ブレツェンスカ