進撃世界に人類最強として生まれたけどエレンがうるさい 作:ちゃっぱ
地下街で妙に喧しいガキがある商人に気に入られたのか、週に何度か市場で顔を見かけるようになった。
あのガキは大人に負けず劣らず強い。その証拠に、いつも大事そうに懐にしまい込んでいるナイフを使わず素手で大人をぶっ飛ばしている様子がよく見えた。
だから護衛の仕事かと思いきや、どうやら物置の整理を任されたらしい。
ただのガキに、商人が大事に保管している品がたくさんある物置にだぞ。本当に気に入られたのか分かりはしないが、何かきな臭いとは思った。
地下街に住むただのガキに任せるような仕事じゃないと。
そう思いはしたが、それを止めようとは思わなかった。
あのガキはいろいろと地下街で騒がしくし過ぎたからな。
もしかしたらこれで見納めになるかもしれない。そう思うと少しばかり寂しいが……。
まあそれも、弱けりゃすぐ死んじまう地下街では仕方のないことだ。
あいつは目立ちすぎたんだ。だから目を付けられたんだろうよ。
・・・
朝からエレンがうるさい。
今日からやる仕事に何か引っかかっているのか。
まあ俺としても今回の仕事の意図に思うことはあるが……。
「……本当にやるんですか、リヴァイさん」
「うるせえエレン。今は外なんだから話しかけるんじゃねえよ」
俺以外にも全員、エレンのことが見えていると思って地下街の何処を歩いていても普通に話しかけていたのが致命的だったのか。なんか俺について「頭が狂った妙に強いガキがいる」と噂になってしまっていたのだ。
だからちょっとした仕事を任されるときに「今日は独り言少ないのね」とか「ぼそぼそ変なこと言うガキ」とか……あと「薬やるんじゃねえぞガキのくせに! そんな金あるなら俺に寄越せ!」と襲い掛かってくる輩もいるぐらいだ。
それにキレてエレンに暴力をふるったがすぐに避けられた。クソっ、やっぱりガキの足じゃ小さすぎてすぐ避けられるか。
絶対にいつか仕返ししてやるから覚えてろよ。
「リヴァイさん? なんか変なこと考えてません?」
「あぁ? 知りてえなら俺の頭の中でも見たらどうだ」
「見ていいんですか?」
「見るなよ気色悪い。プライバシーゼロかよぶっ飛ばすぞ」
「兵長ほんとそういうところですよ!」
「あぁ? ってか前世の記憶見たお前に言われたくねえよ。プライバシーとかそういう外界的な単語覚えてくる程度には俺の記憶を何度も見てきたんだろうが」
「…………」
「……おい、おいこっちみろエレン。おいこら」
いやいや待て。その反応一度見たって程度じゃねえな。そんなに俺の記憶何度も見てきたのか?
本当にプライバシーのプの字もねえぐらい見たんだなこいつ?
そっぽを向いたエレンに苛立ってついそこらにあった瓦礫をぶん投げた────ら、エレンにではなくその奥にいた厳つい男の顔面に直撃しぶっ飛ばしてしまったようだ。
「兄貴ぃぃ!!!」
「てめえこのチビガキ!! アニキに何しやがるんだ!!」
「あー。……ぶん投げた先にいたてめえが悪い」
頬をポリポリと掻いてエレンを睨んだ。
エレンは俺が喧嘩をしてもどうでもいいのか、ただ呆れたような目で壁際へ移動してくる。こいつのせいだっていうのになんだよその立ち姿。格好良いとでも思ってんのか。壁に背を付けて俺をじっと見つめるのやめろ。後方彼氏面かよ。
エレンを睨んでいると不意にピリッと空気が揺れるのを感じて身体を右斜めに移動した。そうして見えたのは男がこぶしを握り俺にぶん殴りかかってきた姿だった。
「やんのかゴラァ!!」
「避けんじゃねえよ殴らせろ!!」
面倒くさいな。これから仕事だって言うのに汚れちまうだろうが。
そう思いつつ男どもを見ると、何故かそのうちの一人がハッと俺の顔を見てきた。
「おい待てこいつゴロツキのリヴァイだ!!」
「はっ、まさか……頭がおかしいって噂のガキか!?」
「ひぃ!? こいつに関わると俺達まで頭おかしくなるかもしれねえ!」
「変なものが見えるようになるのか!?」
「頭がおかしい病に感染するかもしれない!」
「やべえ逃げるぞ!!」
「いや待ておいゴラ!!」
ちょっと待ってなんか噂が変に捻じれてるような気がする。
エレンが「ぶふっ」と笑って口を手で押さえて笑いをこらえているが、つまりそういうことだよな。
「エレンお前やっぱりぶん殴らせろ!!」
そうやって怒鳴ったら、通行人がヒィと悲鳴を上げて俺から逃げていく。
それを呆然と見送ってしまい、エレンへ向ける殺意が強まったのを感じた。
「エレン!」
「いや今のはリヴァイさんの顔が凶悪すぎたからですよ! その顔ほんと悪人どころじゃないですから止めた方が良いですよ幼児のくせに!!」
「誰が幼児だゴラァ!」
とりあえず一発はお見舞いできたから良しとしよう。巨人の力を持つこいつにとっては怪我なんてすぐ治っちまうけれど……。
さて、仕事でもしようか。
「待ってくださいよリヴァイさん。本当にあの仕事やるんですか?」
「二度目の会話止めろ。引き受けたもんはやるに決まってるだろ……たとえそれがどんなものであってもだ」
まあ何かしら罠が仕掛けられていても、それを潜り抜けるのが人類最強ってもんだろ。
そう思う俺にエレンは何を考えているのか、ただ無表情で俺を見下ろしてきたのだった。
地下街編を多めに書いてもいいでしょうか?
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いいぞ、いっぱい書いてくれー!
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調査兵団からが本番だろ早くしろよ