時空を操るもの   作:旭姫

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連続投稿です


両親無きその後

2092年8月上旬に起こった沖縄防衛戦

 

日本側の戦死者は殆どいなかったが、達也の両親は亡くなった

 

その報告を聞いたFLT社員達は嘆き悲しんだ。

 

そして、達也がその後を継ぐと宣言すると社員達は大喜びし、それと同時に両親を失った達也がそれを受け入れ前に進もうとしているのに自分達が落ち込んでどうすると、気持ちを入れ替えた

 

ここに3代目FLT社長椎原辰也が正式に誕生した

 

ちなみに、FLTは達郎の父、つまり達也の祖父に当たる人が起業した会社だった。

 

最初は小さな町工場のような規模であったが、2代目社長となった達郎によって規模も拡大し、CAD産業界で一二を争う程の大企業へと成長した

 

そんな達郎を達也は尊敬しているし、そんな父を見ていた達也だからこそこの会社に対する思い入れが強かった

 

達也が就任して2年後にはFLTは日本で一番のCAD会社へと成長することとなる

 

――――――――――――――――――――――

 

一方、沖縄防衛戦を経て、正式に軍属となった達也は未成年でありながら、沖縄防衛戦での功績を認められて少尉での配属となった

 

それから数日後、佐渡にも新ソ連軍からの侵攻を受けた

 

達也が配属された部隊はすぐにそこへの援軍に向かった

 

そこでは一条家が率いる義勇軍が応戦していた

 

達也はその持てる力を駆使して敵を追い払い

 

その功績から中尉へと最速での昇進を果たした

 

さらに、2092年11月には少将へと昇進した佐伯広海が第一○一旅団を設立

 

少佐へと昇進した風間玄信を隊長とする独立魔装大隊が作られ達也もそこへと配属になった

 

それから1年経ったある日、達也はFLTで想子が続く限り同じ魔法を停めること無く永続的に使える新たなシステム〈ループ・キャスト〉システムを発明した

 

そして、FLTと国防軍(第一○一旅団)の業務提携の一環として達也の所属する隊に〈ループ・キャスト〉システムを搭載したCADをいち早く導入した

 

その点もあり達也の階級は気付けば大尉となっていた

 

―――――――――――――――――――――――

 

早速だが、司馬家と四葉家の関係について

 

四葉家とはとある民間企業が運営していた〖『精神干渉』魔法を利用した精神改造による魔法能力の付与・向上〗を生み出す研究をしていた魔法技能師開発第四研究所から生まれた一族である。

 

その研究所から生まれた四葉家だが、四葉家という正式な一族として活動を始めたのは3世代目の四葉元造の時からである

 

ではその前はどうであったか。

 

四葉という苗字を使い始めたのは2世代目から

 

では、初代は?

 

初代、現在では長老と呼ばれるのは2名のみ

 

司馬空哉と東雲真彩

 

この司馬空哉という男は当時の司馬家の次男であり司馬家の元祖とも言える司馬洸哉の弟に当たる

 

そして、司馬家は四葉家独立の手助けもしたことから四葉家のスポンサーの1人として四葉家と密接な関係を持っている

 

2093年某日

 

達也の姿は四葉家にあった

 

「お初にお目にかかります、四葉真夜殿。亡き父に変わりまして、FLT社社長に就任いたしました椎原辰也こと司馬達也にございます。以後龍谷とお呼びいただけると幸いです」

 

「お顔をお挙げください、龍谷閣下。亡き達原閣下のことは聞いています。よくぞ耐え抜いてくれました」

 

「いえ。私の尊敬する父に言われたのです。『明日を生きろ』と。その言葉が活力になりました。…しかし、死とは、悲しいものなのですね。お世話になった英作お爺様の死も父から聞かされて、さらには自分の両親まで」

 

「それはさぞお辛いでしょうね。私も先月、姉を亡くしておりまして…。」

 

「これ以上大切な人を失うわけにはいかない。だからこそ私自身が国防陸軍に入りました。今の私には大切なものが沢山あります。FLTの社員達や所属する部隊の仲間達。」

 

「私は、いや我々四葉家はこんな今こそ龍谷閣下に、いや達也さんに全力で協力いたしましょう」

 

「…ありがとうございます。」

 

達也は宣言の中に隠した感情を押し止めていた

 

しかし、精神関係を研究テーマとしている四葉家の当主にはそれが気付かれていた

 

「その年齢でそこまでしっかりして…今は私しかいないのですよ。」

 

その言葉がきっかけになり約1年程溜めた感情が爆発した

 

およそ1時間程経って感情を押さえると、若干頬を染めつつも離れた

 

「…お見苦しい所をお見せしました…。」

 

「いいんですよ。可愛い1面も見れましたし。あ、そうだ。姉さんの娘さんで達也さんと同い年の女の子を紹介しましょうか。」

 

そういって真夜は四葉家筆頭執事である葉山忠教を呼び出して、指示を出すと葉山が部屋を出る

 

それから数分のうちに扉がノックされる

 

「御当主様。深雪様をお連れしました」

 

「通しなさい」

 

扉が開かれると1人の少女が部屋に入ってきた

 

「失礼いたします。叔母様、御用件はなんでしょうか?」

 

「紹介しましょう。私の姪に当たる四葉深雪です。今は四葉との関係を隠すために偽名を名乗らせていますが。」

 

「なるほど。はじめまして深雪嬢。司馬達也と申します。」

 

「深雪さん。こちらは司馬達也さん。私の友人の息子よ。」

 

「そうでしたか。はじめまして、四葉家直系、四葉深夜が娘、四葉家次期当主候補の東雲深雪と申します」

 

「よろしくお願いします、深雪嬢」

 

「こちらこそよろしくお願いしますね。」

 

「達也さんはあのFLTの社長であり軍人なのよ」

 

「ちょっと真夜さん!!」

 

「あのFLTですか!?」

 

「はぁ…確かに私はFLTの社長をしています。秘密ですよ。」

 

「も、勿論です」

 

「ところで深雪嬢は私と同い年だそうですね。高校はどうする予定で?」

 

「私としましては、魔法大学附属第一高校を受けようと思っていまして」

 

「そうですか。では、私も第一高校を受けましょう」

 

「あら、軍やFLTの方はいいのかしら?」

 

「あの人達も俺には学生生活を送って欲しいみたいで…」

 

「そうですか。では、試験頑張りましょう!!あ、それと私のことは深雪と呼んでください。敬語の必要もありません」

 

「……わかった。ならこれからもよろしくな、深雪。」

 

「はい!これからよろしくお願いします、達也さん!」

 

 




今回はここまでです

今回は達郎が亡くなってからの達也の動きを書きました

FLT内部でのこと、国防軍内でのこと、そして四葉家のこと

一応、これをきっかけに真夜は達也の親代わりとなり、今後あらゆる面で達也は真夜と関わっていきます

そして、深雪とも仲良くなり、(ここは本編では書くかわかりませんが、)深雪の入試のための家庭教師もしています。

次回は、メインヒロイン、七草泉美が登場

ちなみに、年齢操作のタグが適用されるのは七草の双子です

では、また次回

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