時空を操るもの   作:旭姫

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入学編 第十六話

特別閲覧室の扉が外側から綺麗に切り取られた

 

この部屋の重要性とその為の扉の状態を理解している男達はその現象に驚いていた

 

「馬鹿な!?」

 

「扉が!?」

 

一方、紗耶香はそれをやった犯人を見て驚いていた

 

「四葉さんと司馬さん!?」

 

それと同時に泉美が右手を男達へ、正確にはハッキング用ツールに向けて伸ばしていた

 

泉美の手から想子光が出ると、ハッキングツールが部品ごとに分解された

 

「これで貴方達の企みは潰えましたね。」

 

「司馬さん…。」

 

驚き固まっている紗耶香の横で、〈ブランシュ〉の実行犯のうちの1人が拳銃を泉美に向けた

 

「ふざけるな!!」

 

しかし、次の瞬間には拳銃ごと腕が凍った

 

「ぐわっ!?」

 

「おやめなさい。私がそんな見え見えの殺気に気付かないとでも思いましたか?」

 

「……して……どうして!!私は差別を無くそうと思ってやったことなのに!」

 

「壬生先輩、確かに貴方は差別撤廃の為に動いたのかもしれません。ですが、これはただの犯罪行為です。」

 

「司馬さんは悲しくないの?兄や四葉さんとかと比べられて」

 

紗耶香は同じ二科生(ウィード)である泉美を取り込もうと、疑問を問いかけた

 

「冗談じゃありません!!」

 

しかし、それを泉美は一喝した

 

「確かに、私はこの力のせいで普通の魔法が使えません。それで見下されることもありました。でも、達也兄様は言ってくれました。『お前には誰にも真似できない力がある。それを上手く生かせば、普通の魔法なんかよりずっと大きな価値がある。』と。

確かに、この言葉がなければ、〝平等〟という言葉につられてしまうでしょう。自分の持つ本当の価値に気付かずにね。

壬生先輩にはそういう方はいらっしゃらないのですか?自分を心配してくれる人、認めてくれている人は。」

 

「えっ!?…私には…」

 

突如帰ってきた疑問に紗耶香は答えることができずに、固まってしまう

 

それを現実に戻したのは非情にも〈ブランシュ〉の仲間だった。

 

「壬生!指輪を使え!」

 

紗耶香はその声で我に返って中指につけていた指輪に想子を流す

 

〈キャスト・ジャミング〉による魔法阻害のジャミング波

 

そして、声をかけた男が投げた煙幕によって辺りは煙に包まれ、〈ブランシュ〉は逃走を図った。

 

しかし、

 

「グワッ!」

 

「うわっ!」

 

泉美の体術によって紗耶香以外の賊が床に倒れた

 

そこに深雪が『収束』魔法によって煙を収束して消した

 

「さて、仕事終了ね。壬生先輩は…エリカに任せましょうか。」

 

「そうですね、深雪さん。」

 

「あら、深雪姉様でもいいのよ?」

 

「駄目です。達也兄様は私のですから。」

 

「いいえ、私のよ。なぜなら知り合ったのは私の方が先だからね。」

 

「でも、長く一緒にいたのは私です。」

 

いいムードの筈が、やはり馬が合わない様だ。

 

―――――――――――――――――――――

 

その頃、壬生紗耶香は走っていた

 

あのまま残っていれば良かったものを…

 

無心で走っていると一階で通せんぼに合った

 

「せ~んぱい!」

 

「…貴方は?」

 

「1-Eの千葉エリカで~す。」

 

「どきなさい!じゃないと痛い目見るわよ。」

 

「交渉決裂かな?」

 

その瞬間、エリカが()()()

 

否、高速で動いたのだ。

 

「……渡辺先輩と同じ?」

 

それを直感で受け止めた紗耶香は〈アンティナイト〉を起動した。

 

剣道部として魔法を使わない技の面では目の前の少女より上であるという自信から守りから一転攻めへと切り換えていった

 

「……はぁ…はぁ…。」

 

いずれ、相手よりも先に自分の方がバテてしまった

 

それに加えて目の前の少女は〈キャスト・ジャミング〉を受けたにも関わらず息がまだ持っている

 

気付けば、持っていた脇差は刀身が半分で折られていた

 

「拾いなさい!あの女の幻影を私が断ち切ってあげる。」

 

紗耶香はその辺に落ちていた刀を持って、〈アンティナイト〉をその辺に捨てて呟く

 

「私には分かる。貴女の剣は渡辺先輩と同じ」

 

目の前の少女、千葉エリカは微笑みながら脇差しを折った伸縮警棒を向けた

 

「私の剣はあの女とは一味違うわよ。」

 

掛け声はなかった

 

しかし、踏み込むタイミングは同じだった。

 

2人が交差すると、次の瞬間、紗耶香の刀がこぼれ落ちて右肩を抑えて姿勢を崩した

 

「……鎖骨にヒビが入ってるわね。まぁ、いいわ。手加減できなかったってことでしょ。」

 

「そうね。それに貴女は誇っていいわ。()()の女に本気を出させたんだから。それはあの女、渡辺摩利でも出来なかったこと」

 

「貴女千葉家の人間だったのね…」

 

「ちなみに、渡辺摩利はうちの門下生。剣の腕は私の方が上」

 

「そうなのね…。」

 

気が抜けたのか、紗耶香はそのままここで倒れた

 

それと同時に達也達が入ってきた

 

「どうやらもう終わったみたいだな。」

 

「終わるの待ってたくせに。まぁいいわ。達也君、彼女運んでくれない?」

 

「構わないよ。」

 

達也は紗耶香を担ぐと合流してきた深雪達と共に保健室へと向かった

 

 





次回、入学編最終回です。

〈ブランシュ〉の破壊方法はどうしようかな…

ってな感じで、次回をお楽しみに

では、また次回
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