時空を操るもの   作:旭姫

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入学編 第十七話

保健室に入るとそこには真由美達学校トップ陣が揃っていた

 

達也は紗耶香をベッドに寝かせると、しばらくして彼女が起き上がった

 

それから真由美の取り調べにポツポツと話し始めた

 

「ー今思えば、つけあがっていたんですよ。全国で2位になって。だからあの時渡辺先輩に断られた時に放心状態みたいになって…」

 

「摩利、そんなことしてたの?」

 

「うーん、確か、去年の新歓のことだったか?」

 

「はい。あの時は『お前とは釣り合わないから断る。』って感じで断られちゃって…」

 

「待て壬生。それは違うぞ。私は『私では実力的に釣り合わないから断らせていただく。』って言ったはずだ。決して壬生よりも強いからとかそんな理由では無い。むしろ、純粋な剣技のみだったら私の方が負けていただろうからな。」

 

「嘘っ!?それじゃあ、私は今まで勘違いを…。」

 

「壬生先輩は悪くありませんよ。」

 

「達也くん?」

 

「エリカが言ってました。『2年前に見た時よりも強くなっている』と。あの千葉家の令嬢が言ったんです。それは誇ってもいいことだと思いますよ。それに、貴方のその記憶違いの検討もついています。」

 

「記憶違い?」

 

「ええ。壬生先輩も含めた同盟メンバーには1つの共通点があります。」

 

「共通点だと?それって腕に巻くリストバンドじゃないのか?」

 

「それもありますけど、メインは違います。彼らは共通してマインド・コントロールをされています。」

 

「マインド・コントロールですって!?」

 

「おそらく使わらた魔法は精神干渉系系統外魔法『邪眼(イビル・アイ)』。相手の網膜に催眠効果のある光信号を送り、精神を支配すると言う精神干渉系魔法の中ではおそらく一番簡単な魔法ですね。まず、映像媒体でも再現できますし。まぁ、それが偽物ならの話ですが」

 

「偽物だと?」

 

「ええ。あの魔法はベラルーシあたりが積極的に研究していた所謂手品のような魔法でして、本物の『邪眼』には劣るもののある程度の効果を保障した物となっています。本物には精神干渉系と光波振動系に適性がないと使えませんから。」

 

「なるほど、つまり今回の件は壬生は操られていただけで、悪いのは〈ブランシュ〉だけだと言いたいわけだな?」

 

「その通りです。さすがは風紀委員長、理解が早くて助かります。」

 

「私は、悪くないってことなの?……司馬くん。少しこっちに来てくれない?」

 

達也の言葉に気が少し楽になったのか、紗耶香が達也を近くに立たせた

 

そして、達也の服を掴むと、そこに顔を押し当てて、涙を流した。

 

それを、達也は黙って見届けた。

 

涙を流し終え、落ち着いた紗耶香は達也に一言礼を言うと、達也はそれを受け取って離れた

 

「待って!どこに行く気?」

 

「それを聞いてどうするつもりですか、七草会長?」

 

「事によっては止めるわ。」

 

「そもそも俺が本当に言うとでも思っているんですか?」

 

「もしかして、〈ブランシュ〉を叩く、なんて言わないよね?」

 

「……。」

 

無言を肯定と捕らえた人のうちの1人、壬生紗耶香は達也を止めようと声を出した

 

「ちょっと待って!」

 

達也は動き出した歩みを止めた

 

「何でしょう?」

 

「私のためならやめて。」

 

「貴方のため?」

 

「私は然るべき処罰を受ける。その覚悟がある」

 

「それは貴方がご自分で行うことであり、俺がどうこう言うものではありません。そして、これは貴方のためではありません。俺は当事者であり、被害者ですよ?やられたらやり返す。当たり前の話じゃないですか。」

 

「それでも、それは危険すぎるわ!」

 

「では、俺が〈ブランシュ〉殲滅をやめて警察を招き、壬生先輩を家裁送りしますか?」

 

達也の言葉に一同が黙るが、1人、十文字克人は言葉を発した

 

「確かに警察の介入は好ましく無い。だが、当校の生徒にそこまでやってもらう必要はない。」

 

「そう言うことなら問題ありませんよ。俺1人で行きますから。」

 

「なっ!?」

 

「何を考えてるんだ、達也君!危険すぎるぞ!」

 

「わかってますよ。わかってるからこそ俺が行くんです。」

 

「ならば俺もついて行こう。この学校の生徒として、そして十師族十文字の人間としてこの状況は好ましくない」

 

「そうね…十文字君なら安心できるわ。司馬君も十文字君についていっt…」

 

真由美の言葉を達也は遮りながら、少し機械的に言葉を放った

 

「その必要はございません、()()()()()殿()。ここから先は()()()の仕事です。十師族だろうが、何だろうが()()()()である貴方にはここから先に関わる資格はございません。」

 

それは克人の参戦を事務的に、そして機械的に却下する言葉だった

 

さらに、この言葉にはこの場を一瞬にして支配する別の空気があった

 

「どう言う意味だ?」

 

「そのまんまの意味ですよ。〈ブランシュ〉はもともと我々がマークしていた組織。そして、ついに今日大義名分ができた。ただそれだけです。第一民間人に殺しなんて作業させるわけないじゃないですか。」

 

「俺は師族会議に所属する人間としての責任の為に言っている。」

 

「はぁ…。」

 

「ちょっと司馬君!その態度はないでしょ!」

 

達也の態度に物申したくなった真由美が口を挟む

 

「どいつもこいつも、師族会議だろうが何だろうが関係ない。確かに魔法師関連の事件に関する解決は師族会議が背負うもの。だが、これは違う。」

 

「どう違うと言うんだ。」

 

「これは国防に関する問題。そして、国防に関する問題を解決するのは師族会議でも魔法師でもない。」

 

達也は普段抑えている殺気を少しだけ解放した

 

()()()、軍人だ。」

 

その殺気に、慣れている泉美と深雪以外が足を震わせて、人によってはその場に膝をついているものもいる。

 

「すでに本件は政府からの要請に従い、我々国防軍が行うことになっている。お前たち一般人が関わる問題ではない!手を出すな。」

 

達也が指を鳴らすと、その空間でフラッシュが焚かれ、光が消えるとそこからは達也と泉美と深雪が居なくなっていた

 

そして、そこには達也たちの消えた空間と無作為に開け放たれた保健室の扉があった

 

「達也君!?」

 

「おい、泉美も深雪さんもいねぇぞ。」

 

「まさか、あの短時間で移動を…?」

 

「……司馬達也…何者なんだ…。」

 

達也たちの消えた部屋には何とも言えない空気が漂っていた

 




散々今回で完結させるって言ってたのに、次回で入学編が完結になります

字数平均2000文字を目標にやっているせいで、中途半端な切り方が多く、恐らくは前作『星々の王と妃』よりもスローペースだと思います

本当に申し訳ございません。

次回こそ入学編を完結できると思いますので次回をよろしくお願いします
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