時空を操るもの   作:旭姫

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九校戦編 第四話

『飛行術式』の実験終了後、達也はそのまま帰らずに、本社の中の自室に戻っていた

 

何故ここにいるのか、

 

それは達也がこの日のうちに会ったり、電話したりする予定があるからである。

 

そして、社長室に籠って30分程経った後、遂に待ち人が現れた

 

「お待ちしておりましたよ、真田大尉。」

 

達也を訪ねた客人の正体は達也と同じ所属で同じ階級で同じようにエンジニア気質な人間。

 

名前を真田繁留という。

 

「しかし、突然連絡を入れてきて、プレゼントとは。一体何をくださるのでしょうか?」

 

「まぁまぁ、達也君。いや、椎原社長にピッタリの新しいCADを入学祝いにプレゼントしようと思って作っていたのですが、最近遂に出来ましたので、渡しに来ました」

 

「なるほど。」

 

真田大尉が取り出したのは、全長45cm程の小さめなスティックだった

 

「初めて見るCADですね。」

 

「これは達也君の異能に合わせて作った特注品でね。それに想子を流してみてくれ。」

 

真田大尉の指示で想子を流した達也は驚きを隠せなかった

 

達也の想子を取り込んだこの特注CADはなんと、達也の身長程ではないが、ざっと見積もって150cm程の大きさへと変わった

 

「これは…『空間魔法』に特化しているのか…」

 

「その通りです。達也君の異能『時空間操作』には専用のCADが無く、〈シルバー・ホーン・トライデント〉を専用に見立てて使っていました。ですが、このCADは完全思考操作型デバイスとなっていて、達也君の異能にピッタリなんです。それに、このスティックがあることで、『時空間操作』の効率が良くなり、少ない想子でいつも以上の実力を出せるでしょう。」

 

達也の持つ異能『時空間操作』はその魔法の性質上、とても燃費が悪い

 

それも、泉美の持つ『分解』と『再生』に並ぶ程、いやそれ以上に

 

そこで、真田大尉が思い付いたのが完全思考操作型CADだった。

 

完全思考操作型は汎用型や特化型とは違い、完全に自分の脳で魔法を思考し、その思考をCADが読み取って操作無しに魔法を発動させる新たなCAD

 

現在でも多くの魔法関連の企業が研究を進めている未だ市場に出回っていないCADである。

 

「まさか、完全思考操作型CADを完成させているとは…やはり貴方は世界でもトップクラスの技術者ですね。」

 

「おほめに預かり光栄です、椎原社長。それと、そのCADのソフト面はご自由に書き換えて下さい。これは貴方のCADですから。」

 

「ちなみに、これはどれくらい耐えるんだ?」

 

「完全思考操作型なので、術者の脳によります。汎用型のような起動式制限はありません。まぁ、恐らくは戦略級魔法にも耐えられるのではないかと踏んでいます。」

 

「素晴らしい!是非とも使わせていただきます。」

 

「ふふふ…。喜んでくれて嬉しいです。さて…最後に、隊長から伝言があります。」

 

喜びムードから一点、険しい表情になった真田大尉に緊急性を察して達也は気持ちを切り換えた。

 

「『富士演習場南東エリアで侵入者を再び確認。犯人は〈無頭龍〉だと思われる。よって司馬大尉には九校戦前に一度、出頭を命じる。』だそうです。いつにしますか?」

 

達也はすぐに自身のデスクから予定表を取り出して、空いてる日を確認した

 

「今週の…土曜日ですかね。午前は『飛行術式』の調整があるので、午後から出頭します。」

 

「了解です。場所は追って連絡するのでそちらを確認してください。」

 

「わかりました。わざわざありがとうございます。」

 

「いえいえ、日頃の感謝の気持ちですよ。それと、『飛行術式』の完成に向けてラストスパート、頑張ってください。」

 

「ありがとうございます」

 

「はい。じゃあ、九校戦の会場で会いましょう。では」

 

最後に次に会う約束を結びつけて、真田大尉は社長室から出て行く

 

達也はその背中が部屋から見えなくなるまで、その場を動かなかった

 

―――――――――――――――――――――――

 

真田大尉が去ってからしばらく経ち、今度は電話があった

 

『社長、本日予定のあった方から連絡が来ました。』

 

「わかった、繋げてくれ。」

 

『はい。』

 

そして、内線を経由して達也の元に通話がつながった。

 

ビデオ通話でモニターに映ったのは、高齢のご老人だった

 

「お久しぶりです、()()()()。ここでは【老師】とお呼びした方が?」

 

電話の相手は一般的に【老師】と呼ばれたいる日本魔法師界の第一人者にして元九島家当主で元国防陸軍少将の九島烈

 

第三次世界大戦において世界から【トリック・スター】という異名で恐れられ、現在も十師族をまとめる役割を行う御歳90を超えてもまだ現役で活動するご老人である

 

そして、四葉真夜、四葉深夜、七草弘一の魔法の先生でもあり、達也が魔法を教わっていた四葉英作やその兄で【死神】という異名を持つ四葉元造の友人でもある

 

そんな関係もあって達也と九島烈は顔見知りである

 

『そこまでかしこまらなくて大丈夫だ。そして久しぶりだね、達也君。いや、私の方が君を椎原社長と呼ぶべきかな?』

 

「いえいえ、私なんてただ経営ができるだけの若輩者。閣下相手にフランクに話せだなんて無理な話ですよ。」

 

『昔は随分と孫のように可愛がったんだがね。まぁ、今でも孫のようには思っているよ。』

 

「それはとてもありがたい話ですね。閣下にそう思ってもらえるなんて。ところで、突然予定を入れてこられましたが、どのようなご用件でしょうか?」

 

『これはいつも言っていることだが、改めて七草には気を付けなさい。弘一が何を考えているのかは予想できるが、()()()()()()()()ことがないようにな。』

 

「分かっております。すでに私と関係のあるもの達に頼んであります。泉美の特尉としての国防軍入隊、四葉家や私の所属する旅団、九重寺所属の九重流忍術使い達などによる影からの護衛、七草からの刺客の撃退などをまかせております」

 

『うむ。その調子で進めてくれ。これ以上魔法師を道具として使わせるわけにはいかない。今の弘一は魔法師道具にしてしまう危険を孕んでいる。』

 

烈は日本魔法師界を仕切るようになってから()()()()()の魔法師の利用を防ぐことを目標としている

 

そしてそれはここ十数年でその想いはどんどんと強くなっている

 

『話は変わるが、達也君。君にも九校戦の最初の懇親会に出てもらいたい。と言っても君は会場にはいそうだが。例えば選手とか、エンジニアとか、FLT社代表としてとか』

 

「そうですね、一応エンジニアとして参加することがほぼ確定みたいなので。それに最近どうやらきな臭い動きがあるとかで、そちらの方もありますから、今年はどのみち、最初から最後まで会場入りするつもりです。」

 

『そうかそうか。君がエンジニアか、知らないとはいえ他校の生徒は可哀想じゃな。』

 

「言わないでくださいよ、それ私も思っていたのですから。」

 

『じゃあ会場で直接会える機会を楽しみにしているよ。』

 

「はい、その時は一緒にお茶でも致しましょう。」

 

『ああ。楽しみにしているよ。では、会場でな。約束、違えないでくれ給えよ。』

 

そうして九島烈との通話は終了した

 

そして、翌日。

 

真由美からの報告通り、九校戦の出場者名簿が貼られ、案の定達也のエンジニア入りに賛否が湧き上がった

 

 




というわけで、今回はここまでです。

今回、達也の今後のメインウェポン、追加要素である達也と九島烈の関係を書かせていただきました。

達也のメインウェポンについては名前が決まってないので、案待ってます。

それから前回行ったアンケートの結果は下の通りです。

また次回、多分これが一時的に最後になると思われるので、あと一回アンケートに付き合ってください

では、また次回

優等生キャラを出すかどうか

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