時空を操るもの   作:旭姫

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九校戦編 第八話

飛行魔法の取り引きの関係で忙しかった達也だが、会場入りは前日までに終わっていた

 

今回、達也はエンジニアの司馬達也の部屋だけでなく、FLT社長椎原辰也としても一部屋借りている

 

さらに、今回は七草対策として泉美も連れてきているし、達也がそばにつかない時は基本的に風間達独立魔装大隊のメンバーに護衛について貰っている

 

部屋も椎原辰也の部屋を使ってもらう事で対策をしっかりとした

 

そんなわけで会場で色々と仕込みをしている時に一高選手団がどこにいるのかを調べようと『時空神の眼』を起動すると、一高のバスの周りに()()()()()を感じた

 

達也はすぐに深雪を呼び出すと、2人で空間を転移した

 

転移した先で見たのは魔法が相殺され乱れたバス内と炎上した車がバスに突っ込もうとしているところだった

 

達也はため息を吐くと右手を車へと向けた

 

「深雪、消火は任せた」

 

「はい。お任せください」

 

達也はまず相殺している想子を巻き戻して失くすと、車の動きを停めた

 

すかさず深雪が冷却魔法で火を消した

 

「間一髪だな。助かったよ、深雪。」

 

「あの程度達也さん1人でも出来たのでは?」

 

「まさか。消火は無理だよ。」

 

「た、達也君!?」

 

「あ、お久しぶりですね、摩利さん。」

 

「お久しぶりです。」

 

「四葉まで!?なんでそんなところで()()()()()んだ!!」

 

摩利が驚いたのは達也達がここにいるのもそうだが、何よりも一番は2人が浮いていること

 

「ああ、これですか。俺の持つ先天的な魔法技術である『重力制御魔法』です。」

 

本当は『時空間操作』で空間に透明な板のようなものを作り出してその上に乗っているだけなのだが、そんなことは教えるわけにはいかないので偽情報を教えた

 

「1人ぐらいならこっちで調整できるのでね、こうして皆さんの助太刀に参りました」

 

「まさか、襲われるとは思いませんでしたけどね。」

 

「そ、そうか。」

 

「それより、先に行っててください。俺達がここをやっておきますので」

 

「分かった。」

 

摩利は余計な詮索をすることなくバスの運転手に声をかけて会場へと向かった

 

「さて、調べるか。」

 

達也が目を閉じると、眼を停めた車へと向けた

 

達也の脳に情報が流れていく。

 

「なるほど。どうやら単なる事故ではないようだ。」

 

「それって…!?」

 

「合計3回。魔法が車内から放たれた回数だ。それぞれ車をスリップさせる魔法、車を隣の道路に飛ばす魔法、車を炎上させる魔法、の計3つ。それも知覚できないギリギリを狙った高度な魔法のようだ。」

 

「つまり、運転手の自作自演…ということですか?」

 

「そのようだ。(妨害工作とは…やってくれたな、〈無頭龍〉)」

 

達也が『時空神の眼』を解除すると、ほぼ同じタイミングで一台の軍用車が達也の目の前に停車した

 

「大尉、遅くなりました。」

 

軍用車から出てきたのは独立魔装大隊に所属する兵士達でそれぞれ階級が曹長2人に少尉が1人の計3人だ

 

「問題ない。さて、隊長には私から報告するのでまずはそこにある工作車の撤去を頼む。」

 

「はっ!」

 

少尉の男性が指示を出すと2人の曹長が事故車の検分を始めた

 

5分ほど経つと、検分を終えて達也の元へと戻ってきた

 

「報告します。車内の工作員は焼死体で、遺体の状況から脳内の記憶スキャンは不可能だと思われます。また、車には魔法の媒体となるものは無く、焼失したか無媒体での魔法の行使だと思われます。そしてこの車ですが、盗難車だったようですので、車の方は後程警察に引き渡しいたします」

 

「わかった。遺体の詳しい調査や車の引き渡しは帰投してから行うことにする。まずはその事故車を連れて帰投せよ。人員が必要なら要請するので言ってくれ。全ての行動が終わり次第持ち場へ戻れ」

 

「はっ!」

 

少尉から頼まれた人数分の応援を要請した達也は受理されたことを確認した後、深雪と共に『時空間操作』の『空間転移』を発動して会場へと戻った

 

「にしても大会前の段階から干渉してくるとは…今回は荒れるな」

 

「ええ。そのようですね。」

 

「まぁ、深雪と泉美は必ず守るよ。」

 

「あまり1人で溜め込まないでくださいね。」

 

「…善処しよう。」

 

達也は深雪を部屋に送ると(部屋はエイミイと同じだった)自室に戻って風間に暗号文で今回の件を報告した

 

報告が終わって部屋で寝ていると、誰かが扉をノックした音が聞こえた

 

扉を開けると外にいたのは深雪だった

 

「達也さん、これから懇親会ですから、一緒に行きませんか?」

 

「構わないが、選手としては行かない。俺には仕事があるのでな。一緒に来るか?」

 

「よ、よろしいのですか!?」

 

「構わないよ。見た目の変装はするし、バレる心配は無い さ。」

 

達也は深雪を連れてもう一つの部屋に向かうとその部屋でそれぞれ着替え(達也はスーツ、深雪は水色のドレス)を済ませて会場の控え室へと向かった

 

「久しぶりだね、達也君。」

 

「お久しぶりです、九島閣下。」

 

「今回は社長としての参加かな?」

 

「ええ、それに一高メンバーとはあんまりいい関係とは呼べないので。」

 

「そうか、そして君の横にいるのは…」

 

「お初にお目にかかります、九島閣下。四葉深夜が娘、四葉深雪でございます。」

 

「やはり深夜の子か。深夜に似て美しい子だ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「達也君はすぐに両親を亡くしている。一色家や真夜、それに私も気にはかけていたが、当時は不安だった。そんな時に君や泉美さんが現れた。今後とも達也君をよろしく頼むよ。」

 

「勿論です!達也さんは死んでも離しません!」

 

「はっはっは、達也君は両手に花か。将来安泰なようだ。これは今後が楽しみだよ。ところで、2人共九校戦期間中のどこかのタイミングでお茶でも如何かな。」

 

「俺は構いませんが、深雪は?」

 

「私も問題ありません。閣下からのお誘いを無碍にするわけにはいきませんから。」

 

「そうか。では、達也君を通じて予定を伝えよう。ところで、真夜は元気かな?」

 

「ええ。今日も私と達也さんが出場すると聞くと会場に向かうと駄々をこねていたと先日使用人の方からお聞きしました。」

 

「そうかい。真夜は昔から変わらんな。」

 

3人の雑談は途中で入ってきた大会委員の移動アナウンスによって終わりを迎えた

 

「…さて、もうそろそろ移動の時間か。深雪君、達也君にも言っていることだが、強大な魔法には責任が伴う。それに君は四葉家という国一番の魔法組織の当主になる人間だ。他の一魔法師よりも断然持つべき責任は大きい。責任の重さに打ち拉がれそうになることもあるだろう。深夜の娘で真夜の後を継ぐというのもその重さの一つだろう。真夜だってあの辛い過去に加えて元造や英作と言ったビッグネームの後を継ぐことに弱気になることもあった。だから、そこまで根を張る必要はない。流れるままにやればいいんだ。それに君には達也君もいるからね。困ったことがあれば彼が助けてくれるさ。次代のトップを担う2人の活躍を期待しているよ。」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「ありがとうございます、閣下。…ではそろそろ向かいましょうか。」

 

「そうだな。達也君には前もって伝えたが深雪君も私のスピーチを楽しみにしてほしい」

 

「はい。」




今回はここまでです

原作との違いは達也が懇親会に参加していないことです

真紅郎や愛梨との再会は後日ということになります。

さて、次回から九校戦が始まります(試合はまだ先だろうが…)

九校戦は基本原作通りでいきますので、お楽しみに

ではまた次回
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