時空を操るもの   作:旭姫

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達也のビジネスネーム、椎原達也のたつやの字を“辰也”に変えています

全話に対応させているつもりですが、変更されてない回がありましたら、誤字報告又は感想にて指摘してくださると助かります




九校戦編 第十話

九島烈のスピーチをステージ脇で聞いていた達也達も烈の偉大さに尊敬の意を示していた

 

「これが日本魔法師界を引っ張る【老師】か。」

 

「四葉家次期当主として見習わなくてはなりませんね。」

 

そこへスピーチを終え、ステージ脇に烈が戻ってきた

 

「どうだったかね?なかなかに面白いスピーチだっただろ。」

 

「ええ。しかし、あのスピーチをしっかり理解できた人間は何人いたでしょうかね?」

 

「魔法科高校生にそこまでは望んでおらんよ。社会に出れば嫌でも分かる。」

 

「確かに。現在の魔法師達の就職状況は工夫して魔法が使える者の方が就職して成功する確率が高いですからね。」

 

「そういうことだ。さて、次は君の番だ。準備はできてるかね?」

 

「もちろんです。」

 

達也は自身と深雪にとある細工を施すとステージへと歩き始めた

 

――――――――――――――――――――――

 

『続きまして、今回の九校戦の開催にあたりまして、毎年競技用CADの提供をしてくださっております、FLT社の社長、椎原辰也様よりお言葉を頂戴いたします。』

 

九島烈の次に行われるスピーチは、こちらもビッグネームの1人

 

2092年9月に就任してから、元々トップクラスであったFLTをCAD産業一位に押し上げ、さらに国内シェアナンバーワンも達成させた敏腕社長

 

見た目は僅か二十代前半のような感じだが、その経営力は五十代の社会慣れを迎えた大ベテランのようである

 

そんな、人によっては尊敬の念を抱く人もいるであろう人物だが、この人物は滅多なことがない限りなかなか表に出ないことで有名なのだ。

 

普段の新商品発表や会見、株主総会であろうとも顔を出さず、出るのは外部担当の本部長

 

唯一顔を出すのは他の企業の社長との会合の時のみ

 

ついにその若い社長はこの時を持って秘密のベールを解き放った

 

――――――――――――――――――――――

 

達也と深雪は変装状態でステージ上を進む

 

周りには大柄で若い黒髪の男とその後ろにブロンドヘアーの若い女性がついて歩いているように見えているが、中身はしっかりと達也と深雪である

 

「諸君、はじめまして。私がFLT社長の椎原辰也だ。今回は九島閣下にお声をかけていただいたので、スケジュールの合間を縫ってスピーチをすることになった。…しかし、大体のことは閣下に言われてしまったのでな。何を言おうかと考えたのだが、魔法科高校に通う君達に向けて少しだけ話そう。」

 

「先程の閣下の言葉に工夫を凝らした小魔法という言葉があったな。小魔法とは魔法に関わる人なら殆どが無条件に使うことのできる魔法だ。つまり、閣下が仰られた言葉を私的に解釈して伝えるとするならば、『大きな魔法をただ使うよりも、簡単で小規模な魔法を極める方が社会では重宝される』と言うことだ。一方で、力の誇示のために大きな魔法を使うこともあるだろう。それがしっかりと制御できていて見るものにもその凄さが大いに伝わるものならそれで結構。しかし、力の誇示のためにわざわざ低レベルでろくに制御できていない大魔法を使われるよりは、高レベルでかつ、制御が完璧な小魔法を使う方が我々一社会人にとっては好印象だ。これは我がFLTが求める就職希望者の条件の一つでもある。果たしてこの中の何人がその条件を満たせるかな。」

 

「さて、では最後に私達は()()()()()だろうか?」

 

会場がはてなに包まれた

 

どう見ても目の前にいるはずなのに

 

すると、椎原辰也が右手を上にあげて指を弾くと同時に椎原辰也とその付き人の女性が消えた

 

そして会場の人間がその場で目をキョロキョロしながら探しているところを見ていたとある男に一つの視線が届いた

 

その視線に気付くと、男は静かに微笑み返した

 

――――――――――――――――――――――

 

一色愛梨はスピーチが始まってから1人違う方向を眺めていた

 

それはステージの近くにある司会席の方向

 

勿論、横にいた栞や沓子はそれに疑問を抱きながら話を聞いていたが、ついにその意味に気付くことになる

 

『私達はどこにいるだろうか?』

 

愛梨の向く方向には司会者とその後ろの少し下がったところに2人の人影があった

 

それも注視して見なければわからない程に影が薄い

 

「まさか、愛梨最初から…」

 

「彼のことだもの。そのくらいはすると思ってたわ。」

 

『さて、答え合わせだ。』

 

舞台に向けていたスポットライトが消え、次の瞬間には司会者の斜め後ろにスポットライトが当てられた

 

そこにいたのはスーツとドレスを着ているが、とある一団にとってはとても見覚えのある人物達だった

 

「今のは先程の閣下の使った精神干渉魔法よりも遥かに使いやすい単なる光魔法による幻影を使った手品だったのだが。我々がここにいることに気付いた人間はたったの1人だけだった。」

 

「魔法を習う魔法科高校生の諸君。魔法とは何かをする為の手段にしか過ぎない。それは大魔法だろうが、小魔法だろうが同じこと。そして魔法を使うものには魔法を使うことに対しての責任がある。人とは違う力、それが意味することを理解するのも責任の一つだ。君達がこれを機にどう行動するのかは知らないし興味もない。だがこれだけは忘れないでほしい。」

 

『君達が魔法を使う以上、責任から逃れることはできない。』

 

「これを心に留め、この九校戦を楽しんでほしい。以上で私椎原辰也のスピーチを終わる。諸君の活躍を楽しみにしている。」

 

スピーチが終わると会場を大きな拍手で包み込み、達也はそれに口角を上げると深雪を連れてステージ脇へと去っていった

 

「さすがはFLTの社長、説得力が違う」

 

「そうね。それでこそ日本魔法師界を引っ張る人間だわ」

 

「一色家のご令嬢にそう評価されるのは光栄だな。」

 

「なっ!?」

 

「にしても、俺を見つけるとは、成長したな愛梨。」

 

「た、達也!?」

 

「俺はあのいたずらに気付いてくれた幼馴染みがいることを誇りに思うよ。」

 

「何度も何度も似たようなことをするからでしょうが!」

 

「あれ?そうだったかな…?」

 

「あなたね…はぁ…もういいわ、それよりもやっぱり来てたのね。」

 

「ああ、うちの会長がうるさくてな。別で来るつもりではいたんだが、結局エンジニアとして来ることになった。」

 

「そうなのね、一高の会長といえば達也が嫌ってる七草家の人間ね。」

 

「そうだな。七草ってだけで関わる気は一切無いからな、本当なら今頃は会社で仕事か、九重寺で修行だったのにな…」

 

突然現れた見覚えのある男と愛梨が仲良さげに話しているのを見て栞と沓子は驚くと同時にどうやって?と疑っていた

 

「なぁ栞、今の男って確か…。」

 

「ええ、椎原辰也としてスピーチしていたわね…。」

 

「ステージ脇にはけたように見えたのだが…」

 

「まさか、光魔法で?」

 

「正解だ。もう1人は実際に戻ったのだが、俺は視線を受けたのでね、もう一回幻影を使って周りを騙してみたという事だ。さて、改めて挨拶しよう。はじめまして十七夜栞さん、四十九院沓子さん。俺の名前は司馬達也。椎原辰也としてFLTをまとめる若き社長であり、愛梨の幼馴染みだ。よろしく」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「よ、よろしくなのじゃ」

 

「それよりも何で名前を?」

 

「ああ、九校戦の競技用CADを出しているのはうちの会社だろ。だがら気になる選手またはエンジニアは事前にチェックしているんだ。まぁそれとは別に愛梨から君達のことは聞いていた。俺の調整したCADを使う愛梨を追い詰めた先読みの天才と古式魔法と現代魔法を使いこなす天才がいるってね。月並みな言葉しかいえないけど、これからも愛梨をよろしく頼むよ。」

 

「うむ。任されたのじゃ」

 

「勿論です。」

 

「さて、そろそろ俺は戻るよ。時間が合えば会えるかもね。じゃあまた。」

 

今度こそ達也はステージ脇へと戻っていった

 

「にしても最初は無名と言っていたがこういうことか。それなら愛梨の言葉も理解できる。」

 

「FLTでは社長につく人間は椎原というビジネスネームを使うの。だから司馬家としては無名の一般の家なのよ。」

 

「そういうことね。だから愛梨は無名の家って表現したのね。」

 

「そうなんだけど彼の後ろにいた人はどういう関係なのかしら…。」

 

「案外彼女だったり…おお、顔が怖いぞ、愛梨。」

 

(後で会いに行っても…怒らないわよね?)///

 

「なぁ栞。愛梨が乙女な顔しておるぞ」

 

「あの【エクレール・アイリ】といえど1人の女の子、というわけね。」

 

「ちょっと2人とも!!なにこそこそ話してるのよ!」

 

「初めて見た愛梨の乙女な部分に驚いてただけよ」

 

「なっ!?」///

 

「さて、戻るぞい。懇親会も終わったことだし」

 

 




なんか愛梨が達也のせいで魔改造超人みたいになってますが、あんまり気にしないでください。

一応今回の達也の言葉なんですけど、オリジナルで考えてみました

大変でしたが、なんとか作りきることが出来ました

次回はこの表舞台にたった達也がどの方向へ動くのか

お楽しみに
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