時空を操るもの   作:旭姫

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九校戦編 第十六話

 

医務室

 

「…り、ま…、摩利!!」

 

「ん…なに…」

 

「良かった…無事なのね…」

 

「無事って…はっ!?そういえば試合は!?…ってて」

 

「もう、安静にしてないと駄目じゃない。」

 

「すまんな、真由美。」

 

「焦る気持ちはわかるわ。でも今は安静にしててね。幸い、摩利のおかげで七高選手は無事よ。でも二人ともフェンスに直撃したことで骨にヒビが入ったみたいだから少なくとも一週間は運動禁止ね。」

 

「それじゃあ…」

 

「試合に関してはあの試合は二人棄権による無効試合で三高選手の不戦勝。もう一つの試合で小早川さんが三位決定戦に回ったわ。」

 

「そうか…小早川なら大丈夫だ。緊張で空回りしなければいいんだが…」

 

「そうね。ちなみにここまで摩利や七高選手を運んだり指示を出したのは司馬君だから」

 

「達也君か…」

 

「随分と手慣れていたみたいね…」

 

「なるほど…後で感謝しなければな」

 

「彼、摩利の試合のデータを受け取って検証してるみたいよ。」

 

「あれは明らかにおかしかったからな。流石に調べるだろ。」

 

「私はその時アイス・ピラーズ・ブレイクの方に行ってたからよくわからないのだけど…」

 

「まぁ後で達也君から検証結果を聞けばいい。それでだいたい理解できるだろう。」

 

「ところで話し変わるけど、おかしかったってどこがおかしかったの?」

 

「そうだな…七高選手の加速もそうだが、あの時水面に、詳しく言えば私のいた場所に不自然な揺らぎを感じたんだ。本来ならばあの程度でバランスが崩れることはなかったんだが…」

 

「あ、今司馬くん達から連絡が来たわ。」

 

――――――――――――――――――――――――

 

一方、その頃、達也は自分の部屋で検証をしていた

 

その時、扉の方からコンコンとノックする音が聞こえた

 

「泉美、出てくれ。」

 

泉美が達也の指示に従って扉を開けると、一組の男女が部屋の前にいた

 

「五十里先輩に千代田先輩?」

 

「ああ、俺が呼んだんだ。すみませんね、千代田先輩は試合終わりだったっていうのに…」

 

「気にしなくていいよ。それほどまでにあの事故は無視できないものだったからね。」

 

「そうですか。こんな状況で言うのもなんですが、千代田先輩、優勝おめでとうございます」

 

「ありがとう。でもこんな状況だからあまり喜べないわね。」

 

「さて、始めようか、司馬君。」

 

達也と泉美、それから五十里と千代田の4人で検証を始めた

 

ちなみに深雪は普通に部屋に戻っている

 

検証開始から数十分がたった頃

 

「うーん、これは難しいな…」

 

「どうして?」

 

「何者かの妨害があったと考えるのが妥当なんだが、会場の警備は厳しくて人による妨害工作は難しいんだ。」

 

「それって司馬君が間違えてるだけじゃないの?」

 

「それはないよ。司馬君の検証は完璧だ。だけど、妨害のトリックがわからない」

 

「では、人以外の可能性を探ってみましょうか。」

 

示し合わせていたかのようなタイミングで部屋にノック音がしたところで、達也が泉美に視線で指示を出した

 

泉美がそれに察して扉を開ける

 

「紹介しましょう、泉美のクラスメイトの吉田幹比古と柴田美月です。吉田は精霊魔法の大家吉田家の人間で、柴田は霊子に対して有効な察知能力を持っています」

 

「精霊魔法…まさか!?」

 

「ん?どういうことだい、達也。なんにも話が浮かび上がらないんだが…」

 

「順序を立てて説明しよう。まずはこの映像を見てくれ」

 

達也が示したのは摩利と七高選手が衝突するシーン

 

「ここで不自然な揺れが起きてる。幹比古、精霊魔法には()()()()()()()()()()を仕掛けることは可能か?」

 

「達也はこの事故で精霊魔法を疑ってるのかい?」

 

「五十里先輩の言うとおり、九校戦は規制が厳しく、常に妨害を防ぐための係員が導入されている。魔法を使えばまず気付かれるだろう。しかし、予め仕掛けられていてそれを時間とタイミングが合うようにすれば、気付かれずに妨害することが可能になる。というのが俺の考えだ。」

 

「なるほど…確かに精霊魔法には遅延発動式の術もある。だけど、それには充分に土地を理解した上でタイミングを完璧に合わせなきゃならない。それに、術のみでは渡辺先輩の体勢を崩すことはできない。」

 

「そう、普通ならな。じゃあ、次はこれを見てくれ」

 

達也が次に示したのは七高選手がカーブで加速し始めたところだった

 

「本来ならば、ここで一回減速をしなければならないのだが…」

 

「九校戦に選ばれる選手がそんなヘマをするはずがない!」

 

「俺はこの七高選手のCADに細工が施されたと思っています」

 

「じゃあ七高選手団の誰かに裏切り者が!?」

 

「いえ、疑うべきは選手団ではなく大会委員会の人間でしょう。」

 

「しかしどうやって…?」

 

「競技用CADは一度回収されます。タイミングとすればここでしょう。しかし、手口がわからないのが厄介です。というわけで五十里先輩も気を付けてください。それと、この件はどうか内密にお願いします」

 

「わかった。」

 

「じゃあ私達は戻るわ。吉田君達はどうするの?」

 

「僕達も戻ります」

 

「そう。じゃあまた明日。司馬くんは明日から頑張ってね。」

 

話が終わり、4人が部屋から出ると達也が準備を始めた

 

「達也兄様、どこへ?」

 

「老師のところだ。用事ができた」

 

「私もご一緒します」

 

「そうだな、部屋に一人で残しておくのは少し不安だし。じゃあ行くぞ。」

 

 





今回はここまでにします

次回から新人戦スタートです

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