時空を操るもの   作:旭姫

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九校戦編 第十七話

 

九校戦4日目

 

この日をもって一時的に本戦を中断し、一年生のみの新人戦が行われる

 

スケジュールはほぼ本戦と同じなので、この日は新人戦のスピード・シューティングとバトル・ボードの予選が行われる

 

達也はこの日のスピード・シューティングから仕事が始まることになる

 

余談だが、昨日は烈のいるVIP専用の部屋に向かうと、そこにはなぜか会場入りしていた真夜と深雪の言い争っている現場に遭遇した

 

そこで少し真夜と話をしたあと、本命となる烈に向き直り、妨害工作の件の相談をして、この日が終わった

 

そんなわけで迎えた新人戦

 

達也は最初からエンジニアの仕事のため、スピード・シューティング用の一高控え室にいた

 

「さて、調整が終わったぞ、確認してみてくれ。」

 

「ん。……家のより完璧。やっぱり雇われn…」

 

「断る。」

 

「むぅー。どうして?金額が足りなかった?」

 

「それは関係ない。そもそも誰かの元につく気はないからな。(そもそも一大企業の社長を自分のCAD調整用にヘッドハンティングするか!?やっぱりその辺の豪胆さは潮さん譲りといったところか。)」

 

「やっぱりだめ?」

 

「だめだ。どう転ぼうとも契約はしない。」

 

「……ケチ。」

 

「知らん。…さて、冗談話はこのくらいにして、雫の実力なら優勝はほぼ確実だろう。」

 

「別に冗談じゃなかったんだけど…。でも、たしかに達也さんの調整のお陰で勝てそう。達也さんの調整は最強だから」

 

「そうか…そう言ってもらえると嬉しいな。さぁ、行ってこい」

 

ちょうど呼ばれたところで雫を送り出すと、達也は次の人の調整を始めつつ、モニターの方に若干意識を向けた

 

——————————————————————————

 

一方、達也が他のメンバーとモニター越しに観戦準備をしていた時、スタジアムの方では真由美達が席を取って観戦しようとしていた

 

なぜ、絶対安静の筈の摩利がいるのかというのは長年培った友情から大体察していて、呆れつつも流しているようだ。

 

「これが達也くんの初めての九校戦か…何をしてくるか楽しみではあるな。」

 

「そうね…ここで彼の実力を測って見せるわ!」

 

「そうですね…秘密に包まれた彼の実力は私も素直に脱帽するレベルですから、楽しみですね。作戦立案なども担当してくださってますから、そこも見所ですね。」

 

雫の試合が始まると、ライフル形態のCADを構えて引き金を引いた

 

そこには大きなキューブ状の領域が現れた

 

飛んできたクレーが領域を通過するタイミングで引き金を引くと、クレーが全て破壊されていく

 

「あれは空中を大きな箱と見立て、その箱の各頂点と箱の中心点を震源地とした9つの10m四方のエリアに分けます。このエリアに関しては変数化されているので、標的が侵入したエリアの番号を入力すると、入力された空間内にある固形物に対して仮想的な波動を送る事ができ、仮想的な波動をうけた固形物は疎密波が引き起こされることで中から破壊される、という魔法です。」

 

「そんなのよく思いつくな…」

 

「この魔法の名前は『能動空中機雷(アクティブ・エアー・マイン)』。司馬君のオリジナルだそうですよ。」

 

 

「すごいな…真由美のやつとはまるで真逆だ。」

 

「本当ね…。でもこれって精密というよりかは大雑把に位置を把握して使う魔法よね。それってこういう個人戦ならともかく、対戦形式じゃあ意味ないんじゃない?」

 

「そこに関しても聞いています。が、それはその時までのお楽しみで。」

 

「むぅー。リンちゃんのケチ!少しくらい教えてくれたっていいじゃない!」

 

「だめです。司馬君にも口外しないようにと釘を刺されていますから。誰であろうと教えることはできません。」

 

「そんなぁ…」

 

「しかし、こんなとんでもない新魔法を開発するなんて…流石だな。」

 

「流石ですよね、調整ができて、さらに新魔法まで開発できる。今日も彼のところに私物のCADを調整してもらおうとする女子生徒が沢山押しかけていたそうですよ。」

 

「ふぅーん。」

 

「どうしたんだ、真由美。あれか?自分は構ってもらえないのに他の人は構うんだって、嫉妬してるのか?(笑)」

 

「ち、違うし!何を言ってるのよ、摩利ったら。」

 

「そんなことをしている間に北山さんがパーフェクトで試合を終わらせましたよ。」

 

「流石だな。」

 

「まずは順調な滑り出しね。」

 

「達也君を入れれたのが結構大きいな。」

 

「そうですね。どうやら司馬君は三高に幼馴染みがいるそうですから敵になっていた可能性もありますね。」

 

「考えただけでも恐ろしいな」

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「お疲れ様、雫。」

 

「なんか拍子抜け」

 

「そうだな。意識の隙間を縫うようなクレーの出し方を予想していたんだが…」

 

「考えすぎ。新人戦だよ?」

 

「そうだったな。(それに、CADへの細工に関しても杞憂に終わって良かった。)」

 

「ねぇ、達也さん。Bグループ見に行きたい」

 

「目的は…ああ、三高の十七夜選手か。」

 

「そう。同じ優勝候補だから、見ておきたくて。」

 

「なるほど、じゃあ行こうか。」

 

Bグループの会場では、丁度目当ての選手が試合を始めていた

 

「ナイスタイミングだな。」

 

「間に合った。」

 

お目当ての選手、十七夜選手は雫同様パーフェクトで予選を突破した

 

「流石だな…これは想像以上だ。」

 

「移動魔法…かな?」

 

「そのようだな。砕いたクレーの破片を他のクレーに飛ばす。それを連鎖的に行っている。狙ってやってるとしたら彼女は結構な強者だ。」

 

「そう言ってもらえるとは、光栄ですね。」

 

「十七夜選手、それと愛梨か。」

 

雫と話していると背後から聞き慣れた声がした。

 

その声の方向に向くと、いたのは先日会った幼馴染みとその友達だった

 

「懇親会以来ですね。」

 

「2日ぶりね、達也。」

 

「そうだな。ここにいるということはさっきのも聞かれていたわけだ。」

 

「そうですね。まさか、貴方にそこまで言われるとは思ってもみないことですが、やはり来て正解でした。」

 

「なるほどな、目的は雫で、内容は宣戦布告か。」

 

「流石です。よくわかりましたね、というほど難しい内容ではないですが。ちなみに愛梨はただついてきただけです」

 

「だろうな。愛梨だし」

 

「そうですね。愛梨ですから」

 

「ちょっとそこの二人!私がなんだって?」

 

「なんでもないぞ。さて、雫。お目当ては雫のようだから、少し話してくるといい。」

 

「わかった。」

 

達也は愛梨を連れて少し離れると、雫と十七夜選手が向き合った

 

「北山さん。私は貴方に勝って優勝します。だから()()()()会いましょう。」

 

「こっちも負けない!」

 

「楽しみにしています」

 

「確か十七夜さんは第一研の所属だったな。」

 

「やっぱり私の目に狂いはなかったわ。」

 

「何故愛梨が得意げなんだ…」

 

「それはね。私が栞を第一研に誘ったからよ。」

 

「間接的には関わっていたというわけか。」

 

「司馬君。お願いがあるんだけど、聞いてもらってもいい?」

 

「ものにはよるが…」

 

「そんな難しい話じゃないわ。今後私のことは苗字じゃなくて名前で呼んでほしい」

 

「名前で?」

 

「そう。栞って呼んで。」

 

「わかった、じゃあこれから宜しくな、栞。」

 

「よろしくおねがいします、達也君。」

 

「さて、そろそろ予選が終わる頃だ。対戦形式の準備をしよう。」

 

「うん、わかった」

 

「じゃあ、愛梨、栞。また会おう。」

 

「ええ、ではまた。」

 

 

 




切りどころがわからん…

とりあえず、こんなところで

次回で新人戦一日目、終われば嬉しいなって思ってます(多分終わらない…)

次回もお楽しみに

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