四葉深雪の衝撃のデビュー戦から少し経ってから行われたクラウド・ボールの準決勝で勝ち進んだ一色愛梨と七草香澄が決勝戦をこれから行う
クラウド・ボール女子だが、準決勝の時点で、一高二人、二高が一人、三高が一人だった
そこから一色愛梨は準決勝第1試合にて一高の里美スバルを負かして決勝に進出し、一方の七草香澄は二高の選手を負かして決勝に進出した
そして、十師族と師補十八家の対決を一目見ようと、会場には多くの観客が押し寄せていた
達也はそれを深雪と共に会場の一番前の席で観戦していた
「愛梨、頼むぞ。」
「達也さん?一応ライバル校の選手ですからね?」
「わかってるよ。でもやっぱり幼馴染を応援する気持ちが勝ってしまったよ。」
「もう…しっかりしてください!」
「そうだな。ところで、深雪はどう見るか?方や七草家の最高傑作、もう片方はリブール・エペーの大会優勝常連の【エクレール・アイリ】だ。」
「そうですね…この競技から考えるに一色さんの方が有利ではあるのですが…。七草香澄さんは七草の【万能】を色濃く受け継いでいます。なので勝つのは七草さんの可能性が高そうです」
「なるほど。たしかに筋は通ってる。」
試合が始まると、愛梨が先制した
そのまま、愛梨は第1ゲームを先取した
「お互いに力を抑制した形か。七草香澄も最初は様子を確認するような感じだ。」
「では、ここからが本当の勝負。」
「ああ。七草香澄の本領はここからだ。」
達也のその言葉通り、第2ゲームは愛梨と七草香澄の接戦の末に七草香澄が取った
第3ゲームが始まってから、愛梨が押されていた
「愛梨がバテ始めたか…。七草香澄は1ゲーム目に温存していたからまだ問題なさそうだ。これはキツイな。愛梨、どうする。」
達也の内なる思い、愛梨の勝利という願いが届いたのかどうかはわからないが、愛梨は点差をどんどんと縮めていった
しかし、それでも最初の温存が効いていたのか、第3ゲームは七草香澄が取ったことで、彼女の優勝が決まり、愛梨は準優勝となった
愛梨は、達也の方を見ながら、少し哀愁を漂わせるような表情をしていた
―――――――――――――――――――――――――
十師族が力を見せつけた新人戦2日目が終わった次の日
新人戦バトル・ボードと新人戦アイス・ピラーズ・ブレイクの本選が行われる
達也の方もアイス・ピラーズ・ブレイクで仕事があるのでそっちの方に意識を割いていた
特にいま現在の達也の知名度は相当高い
新人戦スピード・シューティングで女子を上位独占に導いたその技術は周りからしてみれば異常であり、アイス・ピラーズ・ブレイクでも担当した女子選手が全員揃って予選を突破している
それに、鮮烈なデビューを飾った四葉深雪の『氷炎地獄』や、北山雫の新魔法にも関わっていることが、その知名度向上に拍車をかけていた
ちなみに達也は『能動空中機雷』の〈魔法大全〉入りを大会委員や真由美がしつこく打診してくるので、若干のストレスが溜まっていた
「達也さん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ。」
「ここ最近は魔法大学もしつこいですね。叔母様に相談してみましょうか?」
「確かに、四葉家当主が圧をかけてくれるならありがたいが、そんなことに権限を使いたくはないな。」
「そうですね」
「おっはよ〜!司馬君!深雪!」
達也と深雪が会話をしていると、エイミイと雫が少し遅れて控室に入ってきた
既にいた深雪を含め、出場選手3人は試合用の衣装に着替えていた
「おはよう、二人共。昨日はよく眠れたか?」
「もちろんっ!!」
「さて、今日は雫からだな。準備しよう」
本選に出場しているのは計12人
3つのグループに分かれたトーナメント戦の形で行われる
そして対戦組み合わせの結果、一高の3人は全員違うグループに含まれていた
懸念要素とすれば、エイミイのいるグループに十七夜栞が入っていることである
「お前達は必死に練習を重ねてきたんだ。その努力の成果を他校に見せつけてやれ!」
「「「はい!!!」」」
最初のグループに入った雫は、予選同様に『共振破壊』で勝ち進み、そのままグループ首位となった
続くグループに入ったエイミイは第1試合を勝つと、第2試合で勝利した栞との試合となった
「エイミイ、相手は雫に負けたとはいえその実力は相当のものだ。だから1つだけ伝授しよう。」
「うん。」
「エイミイ、『魔法とは世界に対する願い』だ。」
「世界に対する願い?」
「そうだ。これは俺の魔法の先生の受け売りでな。意味を理解するまで時間がかかった。だが、エイミイならばすぐに理解できるはずだ。」
「司馬君が時間かかったのに私じゃ無理だよ〜。」
「エイミイがこの言葉の意味を理解した時、間違いなくエイミイの勝ちは確定する。」
「?」
エイミイは理解できないまま試合に駆り出された
「達也さん、先程の言葉は?」
「ああ、俺の魔法の先生である英作殿が言っていたんだ。」
「大叔父様の!?」
「魔法というのは想子がイデアを経由することで発動される。これは教科書にも載るような当たり前な内容だ。そして想子の量は多ければ多いほど威力の高い魔法が放てる。」
「それはもちろん。」
「なら想子の量はどうやって増減させる?」
その言葉に深雪も雫も答えられなかった
雫の場合は達也の魔法の先生の名前に驚いていたというのもあるだろうが、それでも答えられなかった
魔法に対する想子の量など考えたことがないからだ。
自分の保有想子量から放てる魔法を考えることはあれど、その逆を考える人間などほとんどいない
「答え合わせはエイミイの試合でやろうか。」
櫓に立ったエイミイと栞は開始と同時にCADを操作した
エイミイは予選と同様に氷柱を移動魔法で相手の氷柱へと飛ばした
そして、その氷柱が栞の氷柱にぶつかると、その氷柱は壊れずに後ろへと滑り、後ろの氷柱と重なって固定された
「失敗した!?」
「なるほど…氷柱の摩擦係数をゼロにしたな。摩擦係数がゼロになることで慣性を無くし、氷柱による破壊を防いだということか。こんな短時間でこんな作戦を思いつけるのは、やはり【カーディナル・ジョージ】か。」
「このままだとエイミイが…」
二本目も同じように移動魔法で飛ばすが、やはり同じように重なって固定された
「さて、エイミイ。あとはお前の願い次第だ。願いの、
達也の呟きから少し経って、エイミイの疲れ切った顔が吹っ切れたようになった
――――――――――――――――――――――――――
予選から使っていた作戦が不発に終わり、エイミイは試合を諦めかけていた
―自分に戦う力はもうない
―もう疲れてしまった
どんどんとマイナス思考に陥ってしまった
その隙にも栞の魔法でエイミイの氷柱はどんどん破壊されていく
―嫌だ…負けたくない!
―勝って、深雪に認められたい!
しかし諦めきれず、思考がだんだんと回復してきた
その時、エイミイは昔、母国にあるゴールディ家で暮らしていた時のことを思い出した
当時から魔法の才能があったエイミイはある日、友達と勝負をしてその子を負かした
その友達は負けて泣き始めてしまった
笑顔でいることが大好きなエイミイにとって人の涙は辛いものだった
そこで、エイミイは無意識のうちに手加減をするようになった
全ては相手の笑顔が見たいから
そんなとき、エイミイの祖母がとある言葉をかけた
―いいかい、エイミイ。魔法はね、
昔はよくわからなかったこの言葉も、達也の先程の言葉の意味もすべて理解できたエイミイはその言葉のとおり、自分の
突如飛ばされた氷柱は意表を突く形で栞の氷柱を破壊した
「行っけぇぇぇぇ!!!!」
2発目も同様に氷柱を破壊していく
「深雪、雫。先程の答え合わせをしようか。想子の量は、発動者の思いの丈で増やしたり減ったりできるんだ。『絶対に勝ちたい』という思いがあればその意志が人知れず魔法に反映されて、強い魔法になる。今のエイミイの様にな。」
「ですが、エイミイはさっきまで疲れているような顔つきでしたけど。」
「エイミイはとある厄介な癖を持っていてな。それが、無意識に手を抜くことなんだ。どうしてかは知らないが彼女は今まで本気を出せていなかった。それを解き放ったんだ。そしてエイミイの勝ちたいという願いが、魔法を強くした結果、戦況は一気にエイミイ側に傾いた」
そして、飛ばされた氷柱が重なって強度を上げた氷柱と衝突して、その結果、エイミイの氷柱が競り勝った
それと同時に試合終了のブザーがなった
エイミイの氷柱が残っているのに対して、栞の氷柱は全て破壊された
つまり、第2グループの首位にエイミイが輝いた
次回で新人戦3日目を終わらせます
予告というか投稿予想になりますが、モノリス・コードに関しては少し話数が増えるかもしれないです
多分結構刻むことになるか、一話分の文字数が増えるかの二択だと思います。
では、また次回