ウマ娘の習性   作:噛み猫

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明けましておめでとうございます!

去年は左腕粉砕骨折したり、PCがとうとう完全死亡したり、年賀状印刷中にプリンターが死んだり、ネットワークがいきなり落ちて復旧にすごい時間掛かったり、父が大晦日に死んだり、資格試験に落ちたり、理解のある上司が海外に異動になったり、ワクチンで無茶苦茶熱出たり、宝くじは相変わらずダメだったりしましたが、私は恐らく元気です。

ゴブスレRTAは大まかな筋は考えてはいるんですが、中々書く時間が取れません。
待っている奇特な人は申し訳ありません。
休みが休みになりませんが、その間にどうにか形にしたいと思います。

それでは、ストレス解消に書いたルナさんです。


シンボリルドルフの場合

 日本ウマ娘トレーニングセンター学園

 通称トレセン学園。

 地方のトレセン学園と区別する場合には中央トレセンと呼ばれる事もある。

 

 

 実に2000人近くの生徒を有し、トゥインクルシリーズでの活躍を目指して鎬を削るウマ娘達が所属する日本で最大・最高峰のウマ娘専用の学園。

 高校生と同等の教育と競争ウマ娘専用トレーニング施設を擁し、ドリームトロフィーリーグまでの……と私は何を1人で呟いているのだ?

 

 

 

 兎に角、これからトレーナーとしてお世話になるのだ。

先ずは秋川理事長に挨拶しに行こう。

 

 

 

 授業中なのか、誰一人見かけない廊下を行く。

おっと、理事長の部屋はこっちだったな。

やはりメガネを掛けないと遠くは見辛いな。

 

 

 

 

 

 お互い見知った顔ぶれではあるものの、手土産を渡しつつ理事長と秘書のたずなさんに挨拶し、少しソワソワしながら指導トレーナーを待つ。

 二人は生暖かい視線を送ってきているが、私だって緊張位する。

 

 事前に伝えてた通り、こちらの希望通りにしてくれるとの事だ。

 此処に来ることは伝えてないから驚くのではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 自己紹介を忘れていたな。私の名前はシンボリルドルフ。

 担当のトレーナー君と二人で必死に戦っていき、トゥインクルシリーズにて無敗でクラシック3冠、春シニア3冠、秋シニア3冠を達成した9冠バ……キュウカンバー、フフフ。

 もとい、絶対無敵(ルナつよーいんだよ!)の皇帝と呼ばれたのも今は昔。

 

 ドリームトロフィーリーグには参加せず、大学へ進学。二年間でスポーツ生理学・栄養学・ウマ娘学の単位を取得し飛び級で卒業。整体師・理学療法士等の資格も取得した。トレーナー試験も一発だ。

 

 ……その原動力はどれもこれもトレーナー君とずっと一緒に居たいからに他ならない。

 

 

 

 

 

 

 トレーナー君は恥ずかしがり屋さんなのか、現役の時に私がずっと一緒にいたいと言ってもなかなか首を縦に振らなかった。

 私以外にも担当ウマ娘が居たから仕方ないが、足で地面を掻くのを止められなかった。

 

 

 

 

 

 押し倒してウマぴょいしようかと少しシットリしながら悩んでいたら、緑之悪魔(理事長秘書)が耳元でこう囁いたのだ。

 

「今は悪魔が微笑m……同じトレーナーならずっと一緒に居られますよ」

 

 

 

 

 

 

 こうして艱難辛苦(ルナさみしいの)を乗り越えて、晴れて母校であるトレセン学園に戻ってきたのだ。

 

 

 足を組んで応接用のソファに腰掛け、紅茶の香りを楽しみながら過去を振り返っていると、厚い絨毯を敷いていても聞こえる位に慌てた様子の足音が聞こえる。

 トレーナー君かな?

 そんなに逢いたかったのか。いや、照れるな。

 

 

 

 ノックの返事も待たずに駆け込んで来たのは黝いボブヘアーの若い女性……女性?

 

「失礼します!ポラリスのトレーナーがゴールドシップさんに連れ去られました!」

 

 その瞬間、私は持っていたティーカップ()()()()()()()()を叩き割っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレーナー君はどこだ?」

 

 開いた扉の横で腰を抜かして脅えてる小娘の胸ぐらを掴むと、そのまま顔の高さまで吊り上げる。

 顔がみるみるうちに赤くなっていくが、口をパクパクするばかりで喋ろうとはしない。

 後ろで白毛のウマ娘がオロオロとしている。

 

 

 

 

 ゴールドシップ。

()()()()()()()()と私が作ったチームにノコノコと入り込んで来た寄生ウマ。

 すべてのウマ娘が幸福な世界が私の目標ではあるが、ヤツだけは例外だ。

 

 

 

()()()()()()()()にドロップキックをかましたり、抱きついたり、拉致監禁(釣りに行こーぜ!)したりと()()()()()()()()()への乱暴狼藉(ゴルシる)には慷慨憤激(無礼るなよ)の念を禁じ得ない。

 必ず抜本塞源(トレーナー君どいて!そいつ殺せない!)せねばなるまい。

 

 

 

 いつの間にか顔が紫に変色した小娘を、腕に縋りついてくる白毛のウマ娘と共に放り投げ、掛けていたメガネを放り投げて足に力を込める。

 

 どこだ!?トレーナー君!返事をしてくれ!

 迅速果断(作戦:差し)に解決せねば!

 

 

 

あっ!?カイチョォォォォ──……ァι?

 

 生徒会長(厄介事)を引き継いでもらったテイオーとすれ違った様な気もするが、気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

 一方、理事長室(被災現場)では、こんな会話があったとか無かったとか。

 

「なあ、たずな」

「どうしました?理事長」

「後は頼む。……腰が抜けてしまった」

「えっ!?理事長もですか!?」

「たずなもか……もう我々では止められないぞ。折角あの皇帝の指導を受けられるということで色々と無理を通したのだが」

「だから言ったじゃないですか。ウマ娘の情動を操るなんて無理なんですよ。……後はトレーナーさんに祈るしかありませんね」

「忸怩。結局彼に頼るしか無いとは情けない」

「あ、応接机は経費で落ちませんので、理事長の自費で買って下さいね」

「絶望!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴールドシップの思考とトレーナー君の匂いから体育倉庫(シリウスの秘密基地)付近と目星をつけて先回りする。……いた!

 

 

 

 最初は()()()穏便に済まそうかと思ったが、ずた袋に詰められて縛り上げられ、お米様抱っこで運ばれるトレーナー君、そして呵呵大笑(バカ笑い)しながら走っている芦毛のウマ娘を目にした瞬間なにかが切れてしまった様だ。

 

 

 

 怒髪衝天(屋上へ行こうぜ)とはこの事か。体から紫電立ち上るのを抑えられない。

 その衝動のままに、左腕の袖を少し引っ張りサポーターを直す様にシワを伸ばすとその腕を横に真っ直ぐ肩まで上げてヤツへ向けて走り出す。

 

 

 ゴールドシップは斜め前方からトップスピードで向かって来る私にようやく気づいたか、避けようと体を捻るがもう遅い。

 

 

ボグシッッッゥ!!

 

 

 青空に、黒いテンガロンハットを被った、口ひげの似合う白人の大男が人差し指と小指を立てた手を胸の前に掲げニッコリ笑うのを幻視しながら私も同じ様に指を立てて左腕を高々と上げる。

 

 

「ウィー!!」

 

 

 

 

 はっ!?私は何をしていたのだ?……取り敢えずトレーナー君を解放せねば!

 

 

 

 

 

 

 

 後に不沈艦を沈めた女と詠われたウマ娘、シンボリルドルフ。

 彼女とライバル兼タッグパートナーであったエルコンドルパサーの三冠ヘビー級のベルトを巡るウマ娘マット界の一大叙事詩はここから始まった。

 但し、それは今回とはまた別の、あったかもしれないお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 今私はゴールドシップと並んで正座させられ、トレーナー君に説教を受けている。……解せぬ。

 尻尾が校庭のごく一部を力無く掃き清め、耳がションボリと垂れ下がる。

 なんだか等身が縮んでしまい、顔の造りも変わって、まるで別の生き物の様な気がしてくる。そう、言うなればたぬk……。

 トレーナー君はそれを見たのか、タメ息をつくと解放してくれた。やっぱりトレーナー君は優しいな!

 

 ゴールドシップはというと、正座こそしているものの、白目を剥いて舌を出し上半身はぐにゃりと前に倒れている。まるで反省していない様だ。

 またの名を意識不明(そのまま寝てろ)とも言う。

 

 他には私がいない間に新しくチームポラリスに入ったウマ娘、サイレンススズカが居た。

 此方はトレーナー君の後ろに隠れて冷たい目で見ているので、ゴールドシップの奇行は変わっていないのだろう。

 トレーナー君の苦労が忍ばれる。

 ……ん?何か飛んできたかな?

 

 

 

 

 

「さて、ルn……ルドルフ。何でこんなところに居るんだい?」

 

 

 いま、ルナって言いかけた!

 尻尾がバタバタと振られるのを抑えるのに苦労しながらそっと立つと、呆れ顔ながらも口元に微笑みを湛え、その目は笑っていた。

 

「はい!シンボリルドルフ、此よりチームポラリスのトレーナーの元でサブトレーナーとして帯同させて頂きます!」

 

 ペコリと頭を下げると、頭をポンポンと撫でる様に軽く手を載せて来る。いつも私がレースで勝った時にしてくれた事そのままだ!

 頭を下げているのでバレないとは思うが、思わず目が潤みそうになるのを堪える。

 やっとトレーナー君の下に帰ってこれたのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 それからは将に激動の毎日だった。

 

 引退こそしたが、トレーニングは欠かしていないので、現役の頃と遜色ない走りは出来る。

 なので、チームポラリスのサイレンススズカとの併せウマやレースに向けた実戦的な作戦指導(独占力)などの高度な指導もこなせる。

 

 トレーナーのついていないウマ娘達に基礎を教えるのは生徒として所属していた頃からやっていたので特に苦労もない。

 

 今では自分が生徒会長(権力者)なのに、カイチョー、カイチョーと懐いてくるテイオーも懐かしさを感じる位だ。

 なぜかエルコンドルパサーが「カイチョーはワタシデース!」と張り合って来るが。

 

 書類仕事(デスクワーク)も、生徒会に比べれば、トレーナー君と二人きりというだけで私にとってはご褒美と変わらない。

 私の書類は捌き終わり、ヒイヒイ言いながら申請書を書いているトレーナー君の隣で、彼のレポートを手遊びに代筆してると「ルナはやっぱりエラいな」だって!

 頭を撫でられてる間、顔がニヤけるのを止められない。

 

 

 料理も栄養学を学び、元々好きだったのも合わせてかなりレベルアップしたと自負している。

 得意料理(必殺技)はトレーナー君大好物の肉じゃがだ。

 後はサラダ……サラダの皿だ。うん上手いんじゃないかなフフフ。

 

 

 

 それでもトレーナー君の様にウマ娘のコンディションを的確に判断して当意即妙(高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変)にメニューを入れ替え、やる気を上げてキープさせるのは一苦労どころの騒ぎではなかった。

 

 

 

 しかも、折に触れではマスコミが「皇帝の帰還」「次はトレーナーで無敗の三冠」「そんなことよりおうどんたべたい」などと騒ぎ立ててはインタビューをするため、貴重な練習時間(トレーナー君といっしょ)がどんどん削れてしまった。

 

 

 しかも、その間サイレンススズカと仲良さそうに練習しているトレーナー君を横目に見ながらというのは皮開肉綻(血涙)にも等しい拷問だった。

 

 

 一応……遺憾ながら……チームポラリスのエースであるゴールドシップはと言うと、ジャスタウェイと共にトーセンジョーダンを追いかけまわしている。

 あいつらは何をしているんだ?

 あ、ジャスタウェイが爆発して、ゴールドシップとトーセンジョーダンの髪の毛が立派なアフロになった。

 本当にあいつらは何をしているのだ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで数ヶ月が過ぎ、私も少しはトレーナーとして成長したかな?と自画自賛(どや顔ルドルフ)していたところ、サイレンススズカのメイクデビューが決まった。

 

 デビュー戦は7月第1週の京都第2レース、芝1600。

 天気は晴れ。気温は高めだが、湿度が低く走りやすい良バ場だ。

 特に要注意の対抗バもいない。

 トレーナー君も流してても勝てると太鼓判を押している。

 負ける要素は一つもない。……ハズだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ここにもない……、こっちにもない……どうしよう」

 

 今レース前のインタビューを受けているトレーナー君とサイレンススズカを余所に、控え室で私は鞄をひっくり返してサイレンススズカのレース用耳カバーを探していた。

 普段付けているものだとそこまで丈夫ではないので、レースに使いなどしたらゲートを出た瞬間に破れてしまう。

 昨日の朝の時点では確かに入れたのを確認したのだが……。

 

 サイレンススズカは少し気難しい所があり、バ群に囲まれたり、大きな音で取り乱したりすることがあるので耳カバーは必須だ。

 

 そんな大切な物を忘れてたなんて……。

 サイレンススズカがそれで負けたりしたら、私のせいだ。どうしよう。

 何度も見直して、もう探す所の無いハズの鞄の中をひっくり返しては詰め直すという動きをもう何回しただろうと思いながらも止められずにいると、

 

 

ガチャ

 背後からドアが開く音が聞こえた。

 

 まるで処刑台の準備が整った音の様に聞こえるのは私の罪悪感のせいか。

 インタビューを終えて帰ってきたトレーナー君とサイレンススズカが入ってきた。

 

 二人ともメイクデビューの直前だと言うのに軽く談笑しているのを見ると、情けなさが増してくる。

 しかし、このままにする訳にもいかない。

 

「……誠に申し訳ないが、サイレンススズカの耳カバーを忘れてしまった。本当にすまない」

 

 恐る恐る声を掛けると、サイレンススズカは明らかに動揺しだした。

 彼女にとっては唯一と言って良いほどの精神安定剤。

 それが無いなら不安にもなるだろう。

 

 私もトレーナー君が急に居なくなったら、トレセン学園を半壊させる自信がある。

 

 

 と、慌てている二人を尻目にトレーナー君は控え室に散らばっている荷物からテーピング用の粘着包帯を手に取った。

 

 何をしているのか頭に?マークを幾つも浮かべていると、サイレンススズカをパイプ椅子に座らせ、トレーナー君がサイレンススズカの耳に丁寧に包帯を巻いていく。

 

 粘着包帯で即席の耳カバーを作ってるのだ!

 流石トレーナー君だ!

 私には少しも思い付かなかった!

 

 

 しかし、恋ウマでもないウマ娘の耳をあんなに触るなんて、サイレンススズカは嫌がらないのだろうか?

 

 サイレンススズカの顔色をこっそり窺ってみると、少しくすぐったそうにしながらも、なんだか少し嬉しそうにしている、何だか胸がムカムカしてきた。

 

 ……いけない、いけない。

 私のミスでこの様な事になったのに。

 

 

 しかし、包帯を巻き終わったサイレンススズカが、頬を染めながらトレーナー君をチラチラと見ているのを見ていると、嫌な予感をひしひしと感じた。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 サイレンススズカのレースは勿論余裕の大差勝ち。

 

 ウイニングライブのセンターで耀かしい笑顔を見せるサイレンススズカ。

 

 ほっとした虚脱感と、勝てたと言う喜びと、もうそこには立てないと言う僅かばかりの羨望、そしてトレーナー君へのあの目に感じる焦燥感。

 

 

 フッ、サイレンススズカか。

 私と同じ頂にいるようだな。

 すべてのウマ娘が幸福な世界が私の目標だが、ことトレーナー君に関しては決して譲らんぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 メジロマックイーン?(CV:上田某)

 

 ウマ娘を誘導して思い通りにしようなんて、理事長さんも何てバカな事考えたのでしょう?

 そんなこと出来ないなんて事は自分が良くお分かりだと思いますわ!

 

 それにしてもこのチョコ堪らないですわ!

 パクパクですわ!

 

「ちょっと!わたくしの真似をして何をやってるんですの!」

「やべっ!バレちまったかー!……あばよっ!」

「待ちなさいまし!」

 

 マックイーン?はその葦毛の耳に緑色の耳カバーを着けていたとか、いないとか。

 

 

 後日、雷にでもやられたのか、全身丸焦げのゴールドシップが校庭に頭から突き刺さっていた模様。

 どんなことがあったのかは誰も知らない。

 

 

「お、おい!トレーナーが担当に暴力振るうのはいけないんじゃないかな!?」

「なに、教育的指導と言うヤツだ。問題ない」

「救いはないのですか~!?」

「皇帝が校庭で肯定する。……クスクス」

「おもしろくねーぞ。そのダジャレ」

「ピキピキ 皇帝の神威をみよ!」

「ギャー!!」

 

ウマ娘の恋路を邪魔するヤツはウマ娘に蹴られて死んじまえ

ウマ娘と言う生き物の恋に対する情念の深さはなまなかには行かない様ですね。




最後がウマく書けませんでしたが、まあ、肩慣らし程度と言うことでお許し下さい。

しかし、ゴルシって便利ね。
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