to the beginning   作:ヘルメス・トリスメギスタス

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 「俺の家に行きたい?」

「はい。千枝見てみたいです」

「普通の一軒家だぞ?」

「兄さん。庭に工房を構えているじゃないですか。

私にも勝手に近づかないように言っている」

「工房? 面白そうだな! 見せてくれよ!」

「えー……」

「兄さん、嫌なんですか?」

「危険物もあるし入れたくないんだよな」

「じゃあ千枝勝手に触りませんから」

「……本当に勝手に触るなよ。振りじゃないからね」

「じゃあ行きましょう兄さん」

こうして俺達は俺の家に行くことになった。

 

 「へえ。ここが橘さんの家か」

「ちょっと待って。何故、本田さん達が俺の家に?」

「そりゃ興味があったからに決まってるでしょ! 魔術師の家!

表に出来ない秘密があるに違いない!」

「まあ、あるにはあるけど」

「あ、意外に素直に認めたね」

渋谷さんが驚く。

「というより既に魔術を目にしてるんだけどね」

「えっ?」

「敷地自体を陣地作成スキルで神殿化してるからね。

敷地内なら俺が有利になる補正や、外敵防止魔術が掛かってるよ」

「にゃ!? そうなのかにゃ!?」

「それじゃ俺の部屋に案内しようか」

 

 「ここが俺の部屋だよ」

俺は皆を自室に招き入れた。

「ふむふむ。ギターがあるね」

「本棚は神話や伝説に関する本が多いね」

「あの、質問いいですか?」

「何だい多田さん?」

「外から見た時と比べると、この部屋広い気がするんですけど?」

「魔術で拡張してるからね。外から見た時よりも広いよ」

「そんなことも出来るんですね」

「なあ。それよりも工房を見せてくれよ」

「はあ、わかったわかった」

あまり乗り気ではないんだよなと思いつつ、

俺達は工房へと向かった。

 

 「これが工房だよ」

「ほうほう。見た感じ離れの一軒家って感じだね」

「あれ? 入口はどこにゃ?」

前川さんが疑問を呈する。

傍目からは入口らしきものは見当たらない。

「入口はここ」

俺は壁に触れ、魔力を流し込む。

すると魔法陣が輝き、壁が左右に開いた。

皆からおお~、と歓声が上がる。

「俺の魔力に反応して動く仕掛けだよ。

他人がやっても開かないようになってる」

そう言って皆を中に案内する。

 

 「ここは鍛冶場。ここで刀とかを作ってる」

「うわあ。刀がいっぱい」

島村さんが言う通り壁には刀が飾ってある。

「なあ。あの刀の山は?」

晴が鍛冶場の一角を指さす。

「あれは全部失敗作だよ」

「……失敗してるようには見えねえんだけど?」

「俺の基準では失敗作なんだよ」

「審美基準厳しすぎねえか?」

「俺が使う物だからね。妥協は出来ないのさ。

それじゃ次の部屋行こうか」

そう言って俺は皆を次の部屋へ促した。

 

 「ここは…アトリエですか?」

新田さんが尋ねてくる。

「そう。ここでは主に絵や服飾関連を作ってる。

俺が着てるスーツもここで作った代物だよ」

「へえ。なんだか意外だな」

「渋谷さんがそう思うのも無理はないかな。

ちなみにこの前のありす達の衣装もここで作ったんだよ」

「そうだったんですか兄さん。道理で着心地が良かったと」

「魔力を帯びてるからね。次の部屋行こうか」

 

 「えっ? 何この部屋の扉?」

多田さんが驚く。

皆の目の前には重厚な扉があった。

「ここが魔術工房。ちょっと待ってね」

指紋認証……クリア。虹彩認証……クリア。

最後に俺の魔力を流し込んでと。

物々しい音を立てて扉の鍵が開く。

「ようこそ俺の魔術工房へ。部屋の物には触らないように」

部屋の中には様々な魔術道具や資料が置いてあった。

皆がそれらを興味深そうに見つめていた。

「ここが魔術師の工房……」

本田さんが呟く。

「映画やゲームに出て来るような部屋ですね」

「まあ、あながち間違ってもいないかな」

新田さんの言葉に返事をする。

「あれは何の薬ですか?」

「若返りの薬だよ」

「川島さんが喜びそうな薬にゃ」

「まあ、大人が飲んだら子供まで戻ってしまうけどね」

「兄さん。あの飴玉は何ですか?」

「年齢詐称薬。一種の幻術で姿が変わるのさ。

赤なら+5歳、青なら-5歳分年を取るのさ」

「へえ……」

「さて、俺の工房は今のところこれが全てだよ」

「ちょっと待った!」

本田さんが待ったをかけた。

「あそこにあるここより厳重な扉! アレは何!」

俺は真顔で告げる。

「アレは皆が知る必要の無いことだよ」

俺のこれ以上は立ち入りを許さないという断固とした意志が伝わったのか、

皆それ以上は追及してこなかった。

流石にカルデアスやトリスメギストスを見せる気はない。

その後は家に戻り、クッキー等のお菓子を食べながら午後のひと時を過ごした。

 

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