to the beginning   作:ヘルメス・トリスメギスタス

12 / 23
12

 「飲み会ですか?」

「はい。橘さんいかがですか?」

ちひろさんが笑顔で尋ねてくる。

「うーん……」

「?。何か問題でもありましたか?」

「ちなみにメンバーは誰ですか?」

「私に武内さん、それにアイドルが数名です」

俺は顔をしかめる。

「俺が女性が苦手なのは知ってますよね?」

「ええ。だからこそです」

ちひろさんは力を込めて語る。

「苦手克服も兼ねてです。今後も女性と関わる職業なんですから尚更です」

「……わかりました。ただ、お酒をあまり飲ませ過ぎないで下さい。

俺は一定量を越えると性格が変わるので」

「それじゃあ出席ですね」

「場所は俺に任せてもらえますか? いい場所を知ってるんで」

「じゃあ橘さんお願いします」

 

 数時間後俺や武内さん達は居酒屋に来ていた。

「オーナー。ようこそお越しくださいました」

「オーナー?」

武内さんが尋ねる。

「ここは俺が出資しているお店なんです。

個室もあって秘密の会合とかに便利なんですよ」

「そうなんですか」

「今日は個室の予約を取ってありますので、そちらの方へ」

店員に案内されて個室へ通される。

「俺は日本酒を頼みますけど、武内さんはどうします?」

「ビールをお願いします」

「私も武内さんと同じ物で」

ちひろさんもビールと。

「鷺沢さんは未成年だからソフトドリンクだね」

「はい。ウーロン茶でお願いします」

他のアイドル達もめいめいに注文していく。

 

 「それじゃあ乾杯!」

川島さんの音頭と共に皆飲み始める。

皆が盛り上がる中、俺は静かに日本酒を飲み始めた。

極力関わり合いにならないように気配遮断を高めてと。

あっ。サバの味噌煮美味しい。

「橘さん。飲んでますか?」

「ちひろさん。ええ。飲んでますよ」

「ほらもっとみんなと話しましょう」

うう。また難題を。

「そうそう。橘さんは野球だとどこが好き? 私はキャッツ!」

姫川さんがビール片手に話してきた。

「俺は野球を見ないですね。ルールは知ってますけど」

「そうなの? じゃあキャッツを応援しよう!」

姫川さんは笑いながら応じた。

酔いが回っているせいか明るいな。

他のメンツは談笑しながら飲んでるな。

静かに飲んでるのは高垣さんと鷺沢さんか。

あっ。高垣さんが武内さんにしなだれかかった。

ちひろさんは対抗するように、反対側から腕を回した。

武内さん。困っているのはわかるけど、俺に助けを求めないで下さい。

 

 ……俺もそろそろ飲むのを止めるか。

これ以上はまずいな。

俺がそう思っていると、川島さんが声を掛けてきた。

「橘君。飲んでる?」

「飲んでますよ。もうそろそろ飲むのはやめようと思いまして」

「ちょっと! まだまだこれからよ! 注いであげるわ」

俺のコップに日本酒を注いでくる。

「川島さん、俺は一定量越えると性格が変わるので……」

「何? 私のお酒が飲めないっていうの?」

川島さんがギロリと睨む。

うう。やっぱりこういうことに。

まだ大丈夫のはずだ。

俺はそう思い直しお酒を飲んだ。

「いい飲みっぷりね。男の子はそうでなくっちゃ♪」

そう言って川島さんはまたお酒を注いだ。

もう一杯飲んだ時、俺の意識は消失した。

 

 「…………」

「あの…橘さん?」

急に黙り込んだレイジに心配になる文香。

レイジは黙って日本酒をコップに注いで口に含む。

そして、文香にいきなりキスをした。

レイジの思わぬ行動にフリーズする文香。

そんな文香にお構いなく、お酒を口移しするレイジ。

レイジは文香の唇を充分に堪能した後、唇を離した。

「た……橘さん……」

「レイジだ」

「え?」

「レイジって呼べ。俺も文香と呼ぶ」

「レ……レイジさん」

「それでいい文香」

「ちょっと! 何やってるんですか!?」

ちひろが止めに入る。

「黙れ」

レイジのその一言で強烈な圧が全員に襲ってきた。

皆が動けなくなる中、レイジは文香を抱き上げる。

「文香は俺がいただく。会計は済ませて置いてある。じゃあな」

そう言ってレイジ達は店から出て行った。

 

 「……ん」

知らない天井だな……。

ここどこだ? 現状を確認しようか。

まずベッドで何故か裸で寝ているな。

そして横から寝息がするな。俺は横を見て凍り付いた。

そこには鷺沢さんがいた。しかも全裸で。

そしてシーツには白と赤が混じった後が……。

よし、落ち着け俺。昨日なにがあった。

最後の記憶は川島さんに薦められるままお酒を飲んだ記憶だ。

恐らくここで性格が変わったんだ。

そしてここは恐らくホテルで俺が鷺沢さんを連れ込んだんだな。

それで致してしまったと……。

「………………」

やってしまったあーーーーーーーーー!!

どう考えても俺が無理矢理やったとしか考えられない。

どうする? 宝具やスキルを使う? いや、身体は癒えても心の傷は消せない。

その時、鷺沢さんが起きた。

「あ、…レイジさん」

「すいませんでしたーーーーーーーー!!」

俺は全力の土下座を敢行した。

本来なら熱々の鉄板の上で土下座敢行しても足りない位だ。

鷺沢さんは全力で土下座した俺を見てオロオロしていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。