to the beginning 作:ヘルメス・トリスメギスタス
「橘さん。お客さんが来てますよ」
「お客さん?」
「兄さんはお客さんの予定入ってましたか?」
「いや。誰だろう?」
俺は部屋のドアを開けた。
そこにいたのは……。
「ふむ。お邪魔しているぞ」
おっぱいタイツ師匠だった。
すぐさまドアを閉める俺。
「よし。ありす。今日は休みにしよう」
「えっ。兄さんどうしたんです?」
逃げ出そうとした瞬間に、ドアからゲイ・ボルクが突き出された。
「ちひろさん! パス!」
俺はありすをちひろさんに投げる。
さらにゲイ・ボルクが突き出され、それを俺は避ける。
ここでの戦闘は不味いと判断。
窓ガラスを割って外に飛び出す。
それを追うスカサハ。
俺は地面に着地しつつ、『
しかし、スカサハは二槍を使い、弾き飛ばす。
くそ。この程度ではやはり無理か。
「来い! ゲイ・ボルク!」
俺がゲイ・ボルクを取り出すと、獰猛な笑みを浮かべるスカサハ。
そこからは槍の戦いとなった。
突き、薙ぎ、払いと今までに培った技術をフルに活かしているのに対し、
スカサハも二槍を巧みに操り、こちらに対抗する。
パワーとスピードはこちらが上。技量と経験はスカサハが上。
「くっ!?」
真名開放が出来ない。それほどにスカサハの槍は巧みだ。
何とか間合いをとらないと……。
「油断したな」
「!?」
さっきよりスピードが上がった!?
スピードをわざと抑えていた!?
ズバッ!
「……くっ!?」
脇腹を抉られて鮮血が滴る。
「兄さん!」
ありすの悲鳴が上がる。
一旦距離が開く。
くそ。完全に見誤っていた。
その時後ろから声が聞こえた。
「お姉ちゃん。あれ何なの!?」
「私にも分からないわよ!?」
城ヶ崎姉妹!? なんでこんなところに。
「ふむ。避けるなよ。後ろの子達が死ぬぞ?」
スカサハはそう言ってさらに距離を取る。
まさか!?
「行くぞ。この一撃、手向けとして受け取るがいい!!」
そう言うとスカサハはジャンプし、投擲の構えを見せる。
「刺し穿ち……突き穿つ! 『
二本とも投げてきた!
回避…ダメだ! 避けたら二人が死ぬ。
「
7枚の光の盾が花弁のように展開する。
「ぐ……!?」
1枚1枚と割れてゆく。
オリジナルのグングニルを遥かに上回る威力だ。
「うおおおおおお!」
衝撃波が周辺にまき散らされる。
二本のゲイ・ボルクがスカサハの元に戻る。
……右腕は使い物にならないか。
「ふむ。良く防いだ」
「戯言を。アイアスを全て壊し、右腕を使用不能に追い込んでおいて」
「まだやるか?」
「……後ろの二人狙った時点でスカサハ、あんたを殺すと決めたんだよ!」
「ひっ!?」
俺の怒りの表情を見てありすが怯える。
俺の怒った所など見たこともないから当然か。
魔力が全身から立ち昇る。
俺は即座に魔術で回復する。
「全力だ。悪く思え」
俺の全身を外骨格が覆う。
「全呪解放。 加減はなしだ。 絶望に挑むがいい……」
「ちひろさん。兄さんどうしちゃったんですか!? 禍々しい」
「ありすちゃん。私にも分からないわ。でも、私も怖い」
「クリードの外骨格を纏ったか……面白い」
「……いくぞ」
あっという間にスカサハとの距離を詰める。
「!?」
予想以上のスピードにゲイ・ボルクでガードするも先端が僅かに刺さる。
「予想以上だな」
「いや。終わりだ『
先端が伸び枝葉のように別れてスカサハに突き刺さる。
「が!?」
「これでお終いだ」
俺は外骨格を解除し、ゲイ・ボルクを投擲態勢に入る。
「『
自らの肉体の崩壊も辞さないほどの全力投擲だ。
勝った。俺は勝利を確信したが……。
「ふう……」
スカサハのため息と共にゲイ・ボルクはすり抜けた。
「何!?」
「時間切れだ。時間が来てしまった。ああ、お主なら私を殺せるだろうに」
そう言うとスカサハは消えた。
「もう二度と来ないでくれ。……疲れた」
バタンと倒れる俺。
それを見てありす達が駈け寄ってきた。
「兄さん大丈夫ですか!?」
「何とか。しかし、俺もまだまだ弱い。修行しないとな」
「橘さん、さっきの人って何なの!?」
「美嘉さん。あれは影の国の女王スカサハだよ。不老不死の女傑だ」
「スカサハ…アルスター・サイクルに出て来るあのスカサハですか?」
「そう。何らかの方法でこちらの世界に短時間ながら来れたようだな。
本来は不可能のはずだがな」
そう言って俺は意識を失った。
「兄さん!? 起きてください兄さん!」
次に目を覚ました時、俺は自室のベッドで寝ていた。
「兄さん! 目を覚ましましたか!」
「ありす。心配かけてごめん。あれからどうなった?」
「気を失った兄さんを武内さんに家に運んでもらったんです」
「後で武内さんに礼を言わないとな」
「…………」
「ありす?」
「……もうあの人と戦わないで下さい」
「と言ってもな……」
「今日だって死にそうだったじゃないですか! 兄さんが死ぬのは嫌です!」
ありすは泣きながら訴える。
「悪いが相手が望む以上無理だ。俺が戦わないと周囲の人間を巻き込みかねない」
「でも……!」
「何とか戦わないようにはするよ。向こうは時間制限もあるみたいだしね」
ありすの頭を撫でつつ考える。
スカサハがいるならマーリンは? ゼルレッチは?
英霊召喚は可能なのでは? 様々な考えが頭をよぎった。