to the beginning 作:ヘルメス・トリスメギスタス
「兄さんに質問があります」
ありすがいきなり質問してきた。何だろう?
「何?」
「兄さんは何者ですか?」
「普通の人だよ」
「普通の人は空飛ぶ道具を持ってません!」
「それな。俺も疑問に思ってたんだ」
晴が同意する。
「千枝は見たことないですけど、プロデューサーが普通じゃないことはわかります」
俺はため息をもらす。
まあ、そうなるか。
「わかった。とりあえずグラウンドに行こう」
俺達は部屋を出ると、グラウンドに向かった。
346プロ付属のグラウンドに着いた。
俺は三人に向き直る。
「さてと三人は俺のことをどの位知ってる?」
「杏さんが言ってたことが私達の知ってることですね」
「千枝達が知らない面があるということですか?」
「千枝は賢いなあ。その通りだ」
俺が指を鳴らすと、あっという間に土壁が出来上がる。
その光景に三人は驚く。
「俺はいわゆる魔術師という人種だ。見ての通りこんなことが出来る」
「マジかよ・・・」
晴がうめき声をあげる。
「話を続けるぞ。この前の空飛ぶ道具は宝具と呼ばれるものだ」
「宝具?」
「物質化した奇跡と考えてくれればいい。例えば・・・」
俺は『王の財宝』を起動させる。
黄金の波紋が複数現れ、そこから武器が顔をのぞかせる。
それらを土壁に向けて発射する。
次々に着弾して土壁を破壊した。
「まあ、こんな風に俺は宝具を複数持っている」
「兄さん・・・」
「まあ、言いふらすことでもないからな。黙ってた訳だ」
その時、こちらに猛スピードで走ってくる人物がいた。
「魔術師だったんですか!」
神崎さんだった。普段の熊本弁も忘れ、素の状態だ。
「あー、まあ、一応」
「我に術を授けよ!(私に魔術を教えてください)」
「無理」
「何故か!(何故ですか)」
「神崎さんに魔術回路がないから」
「兄さん、魔術回路って何ですか?」
「血管や神経と同じさ。これがないと魔力が流せない」
「あう・・・」
神崎さんがガックリと肩を落とす。
「まあ、方法がないわけではないけど」
「それは真実か!?(本当ですか)」
「一番簡単な方法は儀式を行い、純潔を捧げることだ」
「じゅっ・・・!?」
神崎さんの顔が真っ赤になる。
「うん。そういう反応になるよね。お勧めしないし、やる気もないけどね」
「兄さんは他人に教える気はないということですか?」
「マーリンみたいになりたくないからね」
「他に隠してることはないんですか?」
千枝が聞いてきた。
「あるよ。でも、これ以上は今は教える気はない」
「そうですか・・・」
「宝具って俺達も使えるのか?」
「本来の力は真名解放しないと使えないぞ」
「真名解放?」
「そうだな例えばこれだ」
俺は蔵から一振りの剣を取り出す。
「なんだそれ?」
「エクスカリバーと言えばわかるかな」
「伝説に謳われし剣か!(聖剣ですか)」
「本物だ。これは真名解放してない状態だな。これを真名解放すると・・・」
エクスカリバーが光始める。
「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるがいい!『約束された勝利の剣』!」
エクスカリバーから出る極光を空に放つ。
「・・・とまあこういう風に本来の力が発揮されるわけだ」
「今のもしかしてヤバい威力?」
「正確にはこれでも全力じゃない。十三拘束がかかっているからな」
「マジかよ・・・」
「今、話せることは話したよ。そろそろいいかな?」
「はい。兄さん、ありがとうございます」
俺達は部屋へ戻っていった。
「兄さん。兄さんはどういう魔術を使えるんですか?」
「ん? ルーン魔術、エジプト魔術、宝石魔術、他色々と」
「誰に習ったんですか?」
「秘密」
「何でですか?」
「基本魔術は秘匿すべきものだからね。今回みたいに人に見せるなんてことはやらないんだ」
「私達に見せて大丈夫なんですか?」
「俺はグランドキャスターだし、早々遅れは取らないよ」
「グランドキャスター?」
「グランド・・・冠位はその時代最高峰の者に与えられる称号さ。
セイバー、ランサー、アーチャー、キャスター、ライダー、アサシン、バーサーカーの七クラスにそれぞれ送られる。
俺はランサー、アーチャー、キャスター、アサシンの冠位を持ってる」
「もう驚かなくなってきたぜ」
「まあ、冠位は面倒なんだが・・・その辺は割愛するよ」
「兄さんが杏さんの言う通り、万能の天才だとはわかりました」
「まあ、今後ともよろしく」
俺はそこで話を締めくくった。