機動戦士ガンダム ghost chaser   作:凛九郎

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いつも読みにくい乱文、駄文を振り撒いてますが今回はより酷いです。
ホントにすいません。


コバルトブルーの猛襲

宇宙世紀0079 11月16日10時52分

オーストラリア ウォランビン

亡霊部隊長サニー・コールディは連邦軍モビルスーツの姿を確認すると、ミノス・カンパニュラに合図を送る。すると敵モビルスーツを足止めする役のミノスは隊列から離れ、連邦軍モビルスーツの背後に音もなく忍び寄る。オーストラリアの森林がヅダの鋼鉄の体をうまく包み隠している様で連邦軍は気がつく様子なく進軍を続けている。

仕掛けは施し、あとは号令一つでミノスが連邦軍の背後から飛び出す。サニーは周りを一度ぐるりと見渡した。エリカの乗るヅダがサニー機の左にジュリアスが乗るヅダが右にそれぞれ控えている。

 

大丈夫…オレ達ならやれるはずだ。

 

サニーは自分に言い聞かせる様に呟くとミノスに攻撃の指令を下した。歯切れの良い返事の後ミノスは森林から轟音と共に飛び出して行った。ここに連邦の敗残兵とジオン軍亡霊部隊の戦いの幕が上がった。

 

ーーーーーー

 

「皆何かが後ろから来る!!」

 

アイリスが緊迫した声で5人に通信を飛ばす。

部隊の先頭を歩いているアイリスが、背後からの気配を感じることにレインは違和感を感じたがその違和感はすぐに弾丸の音に掻き消された。コバルトブルーのモビルスーツがこちらに向かって突進してきている。一つ目のモノアイと殺意の込められた弾丸がジオン軍所属のモビルスーツであることを雄弁に語っていた。

 

「なんだあのモビルスーツは、ザクでもグフでもない…シボレー、何か知ってるか?」

 

「シトラス!モビルスーツの種類なんて私に聞かないでください!分かるわけないじゃ無いですか!」

 

「アンタ達2人は入隊前に何を学習したわけ?アレ…ヅダよ。機体のフレームが加速に耐えられなくて空中分解するっていうポンコツモビルスーツ」

 

シトラスとシボレーのやりとりを聞いていたチェリッシュがあきれ半分で答える。口調こそ変わらないがその瞳はヅダを憎悪を込めて見つめていた。

 

「ジオンもあんなポンコツモビルスーツを戦場に出さなきゃならないくらい追い詰められてるって事ね。それに相手は単騎、ここで叩くわ!」

 

「待ってくれ、チェリッシュ!相手が単騎で来ているとは限らない。突然現れたという事は伏兵がある可能性が高い!ここは敵を牽制しながら先に進もう。」

 

「レイン…アンタ本当に軍人なの?理由をつけて戦いを避けてる様にしか私には見えないわ!敵が現れてるのに戦わないなんて有り得ない、私は従えないわ。行くよダルタニアン。」

 

「え、ええ…」

 

チェリッシュはレインを悪態を吐くとダルタニアンを連れ、ヅダの方へとガンタンクを走らせる。ガンタンクは本来、中長距離からの砲撃を主とする後方支援機体である。はっきり言って無謀とも言える行動だ。しかし、今のチェリッシュにはそんなことはどうでも良かった。目の前のヅダを必ず堕とす。ただそれだけだった。

 

「おいおい!ガンタンクで敵モビルスーツに近づくバカがいるか!ったく頭に血が上ってんなチェリッシュなやつ。レイン、オレがヅダを抑える。その間にお前達は先に行け。」

 

「シトラス…」

 

「大丈夫、大丈夫。なんとかするからよ。」

 

心配するレインを尻目にシトラスはヅダに向けてマシンガンで迎撃を開始した。本格的な戦闘の開始である。チェリッシュ達も負けじと砲撃を行うがヅダの加速の前では全く有効打になることがなく、レイン・アイリス・シボレーの3機との距離は少しずつ少しずつ縦に広がっていく。ここにミノス・カンパニュラの陽動作戦は結実し、戦況は亡霊部隊長サニー・コールディの思い描くシナリオの通りに動き始める。

 

ーーーーーー

 

「ミノスを囮に使ったのは正解だった、敵を引きつけるのが上手い。やる気ってのはやっぱり大事だな。」

 

「…隊長、なんだか嬉しそうですね?」

 

「ハハハ、いやこうも作戦が上手くいっていると嬉しくもなるものさ。自分の作戦が上手くいく、軍人にとってこれ以上の喜びはない。」

 

「そういう…ものなんでしょうか?」

 

「エリカも戦闘の場数を踏めば少しずつ分かってくるさ。さて、下準備は済んだ…あとは仕上げだ。」

 

エリカと談笑していたサニーは目を2機のガンタンクに移した。まさかモビルスーツでもない後方支援機がのこのこと出てくるとは思わなかった。ヅダの速度に後方支援機が勝てるはずもないというのに。連邦軍の戦術論もモビルスーツでの戦い方も大したことはない。サニーは侮蔑を込めてコクピット内で鼻を鳴らし、ジュリアスとエリカに指示を出す。

 

「狙いはガンタンクだ。一気に叩くぞ。」

 

サニーは鋭い犬歯を光らせ微笑むと、強くヅダの操縦桿を握ると一気に加速させた。それに続く様にエリカとジュリアスも2機のガンタンク目掛けて猛然と突撃を開始、完全に虚を突かれた連邦軍は浮き足立ち、まともな応戦が出来ない。そんな状況の中、ダルタニアン・クレベルの搭乗するガンタンクにジュリアス・ヴァルトロ機のヒートホークが迫っていた。

 

ーーーーーー

 

ダルタニアン・クレベルはサイド6にあるごく普通の家庭に育った。食うに困ることもなく、無学になることもなく良く言えば平穏な日々を悪く言えば張り合いのない日々を過ごした。そのせいかダルタニアンは、人生における目的意識が希薄な男であった。何の為に生き、何を自分がしたいのかが彼には分からなかったのである。

そんな彼の人生の転機は2歳上の兄、ロシフォールの連邦軍への入隊だった。ダルタニアンは自分と違い、利発で聡明な兄に憧れを抱いていた。彼と同じ道に進めば、自分も兄の様になれるかもしれない。それがダルタニアンが連邦軍人となった理由だった。

そして兄ロシフォールは、ルウム戦没で戦死した。ヨルムンガンドの砲撃での呆気ない死だった。兄を死を知らされた時、ダルタニアンは初めて自分のいる世界の残酷さを理解した。通信一つ、手紙一つで命が受け流されていく。戦争の中で人の命は記号の一つに過ぎなかった。では、自分の命は…自分の命はどうなのだろう。おそらく同じだ。何の意味も意義も持たずに消えていく。

 

ーーーボクは一体ここで何をしたかったんだろう、何をすれば良かったのだろう。ボクは…

 

ヅダのヒートホークが眼前に迫る中、ダルタニアンは虚な瞳のまま自問した。その問いの答えは永遠に出る事はない…

そして、ヅダのヒートホークがコクピットを貫いた。その刹那ダルタニアンとその機体はこの世界から爆風と共に消え去った。

ダルタニアン・クレベル 戦死

享年 21

 

「ダルタニアン〜!!!」

 

チェリッシュの絶叫がこだまする。しかしそれも戦闘音に掻き消され、後には何も残らなった。

 

ーーーーーー

 

「こちらジュリアス、ガンタンクを1機撃墜」

 

「報告はいい!こっちは奇襲仕掛けるんだ、早期決着が最優先事項だ!残りも早いところ堕とすぞ!」

 

サニーは律儀に報告をする部下を諌めながら、ミノスと自身の機体に狙撃されても器用に避けている連邦の陸戦型ジムを苦々しく睨みつける。奇襲を仕掛けている以上、時間のロスは最小限に抑えなければならないというのに、残りのガンタンクとジムはちょこまかと動いて邪魔くさい事この上ない。ならばいっそ、近接戦闘で切り捨ててやろうかと思った時、エリカから通信が入った。

 

「隊長!連邦です、陸戦型ジムが3機こちらに向かってきます!」

 

「なにっ!?」

 

早い、早すぎる。まだ奇襲を仕掛けて3分と経っていない。分断した部隊同士の距離は十分に離れていたはず。それなのに何故、連邦はすぐに踵を返してきたのか。理由が全く分からない。しかし、ここで思考を止めれば自分達は死ぬ。故に今思い浮かぶ最善の策を講ずるほかない。

 

「ジュリアス、エリカ、向かってくるジムを堕とす!オレと共に来い!」

 

「了解!」

 

亡霊部隊の奇襲作戦は、総力戦へと形を変え戦況は目まぐるしく動き始めた。

 

ーーーーーー

 

シボレー・リンスは自身の搭乗機陸戦型ジムをヅダ目掛けて走らせながら大変驚いていた。ジオンの伏兵にではない。今自分とレインの前を走っているアイリスにである。

 

(まさか本当に伏兵が来てるなんて…アイリスさんあなた一体何者なんですか!?)

 

事の起こりは、シトラス達と別れてからほんの数分の事だった。先頭を歩いていたはずのアイリスが突然機体の方向を反転させて、全速力で逆走を開始したのだ。勿論シボレーとレインは困惑し理由を問いただす。しかし、アイリスは急いだ様子でこう言って通信を切った。

 

「シトラス達の周りにジオンが来てる!早く助けに行かないと!」

 

シボレーには何が何だか全く分からなかった。しかし、ここでアイリス1人を向かわせる訳にもいかなかった為、慌ててアイリスの後を追う事にした。するとどうだろう、本当にシトラス達がどこから現れたかも分からないヅダに囲まれてしまっていたのだ。アイリスの通信の通りだった。何故彼女にそんなことが分かったのか…正直今のシボレーには状況を冷静に判断することが出来なかった。ただ言えることはジオンを退け仲間を助ける、ただそれだけだった。

 

(今の私に出来ることは、何としても生き残る、それだけなんだ!)

ーーーーーー

 

サニー達は連邦の陸戦型ジム3機と交戦を始める。こちらのモビルスーツの数と敵のモビルスーツの数は同数、ならば機体スペックとパイロットの腕がものを言う。サニーは亡霊部隊のメンバーが連邦に遅れを取るということはないと確信を持っていた。それは自身と相対している陸戦型ジムを見れば明らかだった。

相手から闘志が、殺気が感じられないのだ。その様な奴らが部隊の多くを占めているのならば自分達は負けるはずがない。

ふと、サニーはマラド・アルタナから聞いた話を思い出していた。

 

ーーーーおそらく連邦のパイロットはわざとモビルスーツのコクピットを狙わずに攻撃を行なっていたのではないかと思います。

 

まさか、目の前にいるパイロットがそうなのか。サニーは自身が相対しているモビルスーツパイロットに通信を試みた。

 

「オレはジオン軍ゴールドコースト基地所属亡霊部隊隊長のサニー・コールディ少尉だ。お前に手短に聞きたい。連邦軍のパイロットにはコクピットを狙わない奴がいるらしいが…それはお前か?」

 

「オレはレイン・ウォーミング伍長。それはきっとオレのことですね。」

 

「何故、そんなことをする?戦場は慈善活動や人命救助をする場所ではない。殺し合いの場だぞ?」

 

「では人に殺し合いを強いる戦争そのものが間違っていると言うことではないんですか!」

 

「ふん、だからお前は殺さないと?全ての命を1人で守り切ろうとでもいうのか?思い上がるな青二才が!犠牲なき戦いなどこの世にあるものかぁ!」

 

「なら貴方は戦争を肯定するっていうのか?国の為に戦う、その名のものにどれだけの人の命が…」

 

「くどい!ありもしない理想に取り憑かれた盲信者め!貴様の様な理想論などゴミ箱にでも捨てろ!現実を知らぬ理想論に、痛みを知らぬ理想論に何の意味がある!?」

 

ーーーーサニー、私は信じているんだ。サイド3は必ず独立出来る。戦争もなく…話し合えば必ず成し遂げることが出来ると。引いてはそれがコロニーに住む人々の為にもなるのだと。

ダイクン様と共に私はその道を進みたい。

 

サニーの頭の中に父親の言葉がリフレインしていく。何が戦争もなく独立が出来るだ!コロニーの人々の為になるだ!何も何も出来なかったじゃないか!ジオン公国は独立する為に戦争を仕掛け、挙げ句コロニーに毒ガスをばら撒いて落としたじゃないか!!このオーストラリアの地に!

 

「お前みたいな奴が…無責任に出来もしない理想を語る奴がいるからなぁ…お前みたいなやつがいるからなぁ!!」

 

サニーのヅダはまるで鬼でも乗り移ったかの様に容赦なくレインの陸戦型ジムを斬りつけようとヒートホークを振り回す。隊長機の証のブレードアンテナが鬼の角の様だ。この父によく似た理想論者だけは必ず殺さなければならない。サニーの妄執にも似た殺意が彼を突き動かしていく。

 

そして、それは相対する相手レインを大いに困惑させた。

 

(この人は…一体何といや、『誰』と戦っているんだ?)

 

刺々しい言葉をレインは受けながら、その言葉に込められた並々ならぬ殺意と憎悪、それらが自分だけではない何かに向けられている様な感覚をはっきりと覚えた。サニーという男は自分を理想に取り憑かれた盲信者と言った。では今の彼は一体何に囚われているのか。レインは狂った様に打ち付けてくるヒートホークを受け止めながらサニーの心中を慮ろうとするが、何も見出すことができなかった。機体と機体を挟んだ厚さ以上の壁が自分と彼を隔てているのだとレインは思った。

 

「それでもオレは負けるわけには…いかないんだ!」

 

レインは果敢に向かっていく。ヅダのブレードアンテナを見る限り相手は間違いなくエースだ。それでもここで引くわけにはいかない。死力を尽くして戦う、しかし相手は殺さない。それがレインにとっての戦場での生き方だった。

 

サニー達、亡霊部隊の猛攻によって戦闘はあと10分もすれば大勢が決まることは明らか程ジオン軍が優勢で進んでいた。

しかし、その潮目は突然変わることとなる。

宇宙世紀0079 11月16日 午前11時17分の事である。

 




私事ですが、今月1歳年を取りました。何歳の手習という奴でこれを書いていますが去年の誕生日の時は想像もしてませんでした。
オリーブドラブ先生の作品との出会いに感謝ですね。

この作品を見てくださっている方々にも改めて厚く御礼申し上げます。
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