黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕) 作:パンダコパンダ
男三人謀ります。
「無敗の三冠へ、状態万全で挑む日本ダービー。本命馬、ズヴィズダツァーリに迫る。ねぇ」
小さなミーティングルーム。予定時刻の少し前だから新しい新聞を読んでいるが、思うことは相変わらずなこと。
「外側の奴らは気が楽ですね」
「まあそんなもんですよ佐崎さん」
| 【日本ダービー】無敗の三冠馬へ ズヴィズダツァーリに死角なし! |
| 4月14日(晴)、第79回皐月賞をズヴィズダツァーリ号(鞍上:打田幸博)が制した。これにより、昨年12月28日のホープフルステークスに続きG1を勝利し、無敗のまま4戦4勝とした。 レースを最後方、シンガリで進めてきたこれまでの3戦までとは異なり、スタートダッシュのままで先行集団の中に入ると、同じくデビュー後無敗のまま皐月賞ダノンキングリーとサートゥルナーリアの間を取る。 後方から先方。違う戦い方もできる器用さを見せたズヴィズダツァーリ号は、坂を飛んでいくように駆け上がり、後続サートゥルナーリアと3馬身半を築き上げ一着となった。 これでGⅠ・2勝目となる。
次走日本ダービーでは400メートル距離が伸びるが、友康道夫調教師は「適正は長距離だから、ダービーと菊花賞は善戦以上をするだろう。ハイペースにならない限り前でも戦える。彼は賢いので、打田騎手も折り合いをつけやすいだろうから、しっかりと仕上げていきたい」とコメントを残した。 ズヴィズダツァーリ号の馬主である佐崎氏は、「走りは父であるオルフェーヴルの血ばかりを見せていたが、ヴィルシーナからの流れがあって安心しました。お互いの弱点を補った上で高い能力を見せてくれる。追い上げに関してはディープインパクトの流れもあって同世代だと言うことないだろう。親バカながら反則級だと思います」
出走を登録している中にはサートゥルナーリア号とダノンキングリー号。ヴェロックス号がいる。この世代のトップクラスにいる馬は、先行戦法を取ることが多いため、長距離のハイペースとなった場合のスタミナに焦点がいくだろう。 特に、サートゥルナーリア号の血統は短距離〜中距離に向いているため、スタミナに関して不安である。 追いかけるダノンキングリー号、ヴェロックス号とは能力差があり、ズヴィズダツァーリ号が同世代では一歩リードしているように感じる。現状の天気予報では、前日が雨であるが、父、母の父がともに重馬場にも対応できるパワーを持つ以上、どんな展開でもズヴィズダツァーリ号の一着は堅いだろう。 |
だってさ」
新潟で行われた新馬戦から約8ヶ月。ズヴィズダツァーリを取り巻く環境は、ティアラ準三冠馬の産駒から史上3頭目の無敗三冠を狙う挑戦者に変わっている。
それは、陣営も気付いている。皐月賞の後に打田騎手が言った通り、三冠という3歳馬の頂に立つ素質と資格があると思っている。
「作戦はある程度決まってるんですか? 友康さん」
「そうですね。特に変なことをする必要はないかと。むしろ、先行で行ってマークされ、周囲を固められる方が危険だと。ですよね? 打田さん」
「はい。皐月賞のための戦い方でしたからねあれは。次も先行で行けば呑まれるでしょう。殿だと、マークのつけようもないですからそっちの方が良いかと」
打田は想像する。佐崎氏が不安に駆られていると言うことを。
自分が愛したヴィルシーナ。その初産駒が同世代のトップになっているのだ。しかも、血統的にも能力的にも、日本ダービーと菊花賞は得意と見ていい馬。ヴィルシーナでは叶えられなかったクラシックの冠を持っていることも要因だろう。
「ケガが一番怖いけど、無茶はしてほしくないけど、勝って欲しい」
「ええ。重々承知です」
| 枠 | 馬 | 馬名 | 脚質適正 | 人気 | 枠 | 馬 | 馬名 | 脚質適正 | 人気 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | ロジャーバローズ | ◁◀︎◁◁ | 13 | 1 | 2 | ヴィント | ◁◀︎◀︎◁ | 17 |
| 2 | 3 | エメラルファイト | ◁◀︎◀︎◁ | 15 | 2 | 4 | サトノルークス | ◁◀︎◀︎◁ | 9 |
| 3 | 5 | ズヴィズダツァーリ | ◁◀︎◀︎◀︎ | 1 | 3 | 6 | サートゥルナーリア | ◁◀︎◁◁ | 2 |
| 4 | 7 | ダノンキングリー | ◁◀︎◀︎◁ | 4 | 4 | 8 | メイショウテンゲン | ◁◁◀︎◁ | 11 |
| 5 | 9 | ニシノデイジー | ◁◁◀︎◁ | 14 | 5 | 10 | クラージュゲリエ | ◁◁◀︎◀︎ | 8 |
| 6 | 11 | レッドジェニアル | ◁◁◀︎◁ | 12 | 6 | 12 | アドマイヤジャスタ | ◁◁◀︎◁ | 5 |
| 7 | 13 | ヴェロックス | ◁◀︎◁◁ | 3 | 7 | 14 | ランフォザローゼス | ◁◀︎◁◁ | 6 |
| 7 | 15 | リオンリオン | ◀︎◁◁◁ | 7 | 8 | 16 | タガノディアマンテ | ◁◀︎◁◁ | 16 |
| 8 | 17 | ナイママ | ◁◀︎◁◁ | 18 | 8 | 18 | シュヴァルツリーゼ | ◁◀︎◀︎◀︎ | 10 |
「ペースメーカーはリオンリオンでしょう。前走2つで逃げ勝ちしてますから。後は先行集団が形成され、後方集団を形成する馬は少ないかと。縦長の可能性が高いので、なおさら3コーナーの緩い坂がキモでしょう」
「勝算があるなら、何も言いません。ツァーリに乗るのは打田さんですし、レースの知識は中にいるあなたの方があるに決まっています。ただの馬主なだけで素人ですから」
「坂路の調教もいい感じでタイムが出てます。コーナー中の坂路の経験はないですが、問題ないかと」
ダービーは夢だ。僕にとっても、佐崎さん、友康さんにとっても夢だ。
佐崎さんは、初めての東京優駿。ヴィルシーナのように2着で終わる戦いではなくしっかりとした戦いを見せていて、これまで佐崎さんが持った
友道さんは去年のダービー馬であるワグネリアンと、16年のマカヒキを育てていて、三頭目と期待する存在。
そして僕にとっては、エイシンフラッシュ以来。ゴールドシップとは叶えられなかった夢。
もちろん、だれもがここを狙いに来る。馬に人生を賭けている人たちの、ホースマンたちの夢の舞台。
一筋縄ではいかない運の戦い。
「良馬場以外の調教タイムはどうですかね」
「問題ないレベルではありますけど、ヴィルシーナとオルフェーヴルのどっちに近いかっていうと、ヴィルシーナですね。柔らかいとだめかもしれないです。それこそ、皐月賞のゴールドシップみたいなことを狙えなくはないですが、博打に近いっていうのが調教師としての判断ですね。パワーをターフに伝えるのがそれほど上手じゃないですから」
今も多少なりともやらせてはいるが、伸び率的なところは良くない。そこを本格的に調教するのはダービー後になると言われている。
「あとはあの子の気分次第ですかね?」
「見ていきますか? ええ。皐月賞の時とは違って、直前から顔を見れるわけじゃないですから」
当日、ズヴィズダツァーリ以外に3件騎乗依頼が来ている。皐月賞と同じように競争前に何か話せるような時間はない。
「お願いしていいですか?」
「おつかれさん。チビ」
あれ? 大魔神来たの? ってか、先生もおっちゃんも勢ぞろいだし。
「今日も調教お疲れ様。ツァーリ」
先生! ちっすちっす! 今日は厩務員のお姉さんが乗ってくれたけどちゃんとやってやったぜ。調子も良いし、ダービー? また勝っちゃうかもね?
なんて調子乗ってみる。
さわさわと脚の状態を触って確認する先生。大魔神はずっと顔あたりをなでなでしてくれる。
「ツァーリ。もちろん勝ってほしいことには変わりはないんだ。ダービーは、同級生の馬のなかで1番を決める勝負だから。でも、怪我が一番嫌なんだ。俺は」
怪我しない程度に、がんばれよ? そういってはにかんだ大魔神は、めちゃくちゃに優しい顔つきをしていた。それに頷くおっちゃんと先生。と、厩務員のお姉さん。
そうか、この愛情に応えたいっていう覚悟が、皐月賞に勝つ資格。先生の言う通りだな。なんて思う。
「ダービー終わったらノーザンファームに行くか。避暑地だしな。おまえもヴィルシーナに会いたいだろ」
『え? お母さんに会えるの!? ならやるっきゃねえ』
褒めてくれると良いな。と鼻を鳴らした僕を、みんなは声を出して笑った。
日本ダービー有力馬
ズヴィズダツァーリ 4-4
サートゥルナーリア 5-4
ヴェロックス 5-3
ダノンキングリー 4-3
アドマイヤジャスタ 5-2
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