黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕)   作:パンダコパンダ

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 二冠目。日本ダービーに挑みます。

 いつも誤字報告ありがとうございます!!
 なんなんすかね。「ちちあなな」
 パクパクモグモグと同じ気配を感じる。

 当作品はこれから、2500以上を長距離としていきます!
 アンケートありがとうございました!


競走馬ー7:二つ目の冠 東京優駿 東京2400M

『先日まで降っていた雨はカラッと晴れわたり、ここ。東京競馬場上空には見事な青空となりました。心配していた馬場状態も良馬場とのこと。第11レース。第86回東京優駿。始まります』

 

 こつこつと足音が響く地下馬道。この道を通ったのは東スポ杯2歳ステークスの時以来。

 あの時、初めて響く足音に驚く馬が多かった。汗をぼたぼた垂らして疲れているような馬もいた。

 

 たしかに、この空間に上がってこないのはどうかと思う。でも、それでスタミナが無くなってしまってはそれまで。

 務めて冷静に。自分に言い聞かせた僕は、地下馬道を出て、青い空と、眩しい太陽の光を浴びる。

 

 カラッと乾いた。とは足の感触的に言えない。少しだけ湿っていて、常脚程度なら何も感じないが、さっきの返し馬の時踏み込むとほんの少しだけ沈んだような気がした。

 まあ、気に留める程度のことでもないだろう。先生も、何も言わないし、大丈夫だろう。

 

 今日の僕は、3枠5番。右隣に入る6番は皐月賞で戦ったサートゥルナーリアだし、その横にはダノンキングリーがいる。

 って何? なんで2頭ともこっち来るの? え? え?

 

「ツァーリ。今日はオレが勝つ」

「いや、勝つのはボクだ」

 

 顔を近づけて来るこの子たちを気にせず、三人の騎手はそれぞれ軽く言葉を交わしている。

 気合十分といった二頭の勝利宣言。でもイレ込んでいるわけではない。皐月賞のときの僕に似た感じ。そんな二頭も、騎手が手綱を引っ張って離される。黒鹿毛の二頭。サートゥルナーリアとダノンキングリー。

 

 今日の敵はあの二人かな? なんて思っていたら、懐かしい顔を見た。

 新馬戦の時、僕が4馬身差をつけて引きちぎった馬。

 

 ねえ、あの脚やばくないかい先生さんや……。

「仕上がってるね。1番」

 あら同意見。

 

『さあもうすぐゲートインとなります。2016年生まれ。約7000頭の頂点を目指す、東京競馬場2400メートル。さあ、一頭目のロジャーバローズが入りました。続いて何頭か枠入りします。

 

 今日の注目は何と言ってもこの馬。1番人気、3枠5番となったズヴィズダツァーリ。エイシンフラッシュ以降2度目のダービー勝利を、鞍上の打田ジョッキーにささげられるのか。無敗、五連勝です。

 惜しくも皐月賞4着ダノンキングリー。4番人気からの逆襲を狙ってゲートに入ります。

 3番人気、ヴェロックスは7枠13番。リオンリオン、ナイママが入り偶数枠が入っていきます。

 

 さあやってきた、ズヴィズダツァーリ最大の障壁であり対抗。3枠6番に入ります2番人気のサートゥルナーリア。ズヴィズダツァーリ一強のこの状況を塗り替えることができるのか!!

 

 ここ近年は1000メートル1分0秒5をペースにしています。これまでのレースもペースが速く勝っているのは先行馬。追い込みの足は伸びない状況ですからね。試合展開。それと時計にも注目です。さあ、大外18番シュヴァルツリーゼがゲート入り。収まって

 

 第86回日本ダービースタートしました!!』

 

 ガコンと開いたゲート。隣が騒がしい気がしなくもないが、僕は飛び出した。

 

『おっと、サートゥルナーリア少し立ち上がったか出遅れだ! その分1番最内のロジャーバローズが良いスタート。3番エメラルファイトのスタートも良いですね。注目の5番ズヴィズダツァーリはゆっくりと後方へと下がり足を溜める』

 

 あれ? 横にいるのサートゥルナーリアじゃない? こいつ前で戦うんだろ? なんでいるの?

 横側を走る見慣れた黒鹿毛に驚きつつも、僕はしっかりと先生の指示通り後ろ側を着く。

 

『1コーナーまでの350メートル先行争いは外からやってきリオンリオンが先頭に立ってハナを掴みます。さあ1コーナーに入って先行馬4頭が団子状態。

 

 1~2コーナー中盤になって最後方はズヴィズダツァーリ。この位置で大丈夫か? スタートにミスがあったサートゥルナーリアは後方から6番手か7番手で2コーナー目を回ります』

 

 僕の視界から先頭に立つウマがラチ越しに見える。正直、すごいところにいるし、皐月賞に比べて全体のスピードが速いような気がする。

 前から離された2番目がロジャー君か?

 

『さあ向こう正面入って位置取りはある程度定まったか? 先頭に立つリオンリオンから離れて4馬身ほどロジャーバローズ。ダノンキングリーは5番手に着けています』

 

 サートゥルナーリアはあんまり前に行く様子がない。僕の視界から見える感じの位置で、ダノンキングリーとヴェロックスはそのさらに前。

 先生の指示がないままでスピードを出し過ぎないよう軽く引っ張られている程度。目の前にいる二頭、アドマイヤジャスタやメイショウテンゲンについていく状態のまま、向こう正面の真ん中を通り、上った坂を下っていく。

 

『さあ先頭リオンリオンから殿のズヴィズダツァーリまでは15馬身。いや20馬身ほど、本当に抜けるのか? できるのか打田幸博。おっと、57:8のタイム!! ここ10年で最速のラップより約1秒早い超ハイペースとなっている!!

 

 先頭から5番手ダノンキングリーまではそれぞれ間が開いた展開。その後ろから固まった状態。並走となってヴェロックスが中団先頭内側に入っています。サートゥルナーリアはリオンリオンから10馬身ほど離されているでしょうか中団の外側を走っている状態。殿ズヴィズダツァーリはメイショウテンゲン豊丈(ブンノ タケ)と共に末脚にかけて3~4(サンヨン)コーナー中間。外側黒いのが出て来るぞ!!』

 

 ここだ! と走っていて思った僕と、展開を見ながら作戦を決めた先生の息が合った。

 

 最内で続けていた走りからゆっくりギアを上げていくと、メイショウテンゲンが少しだけ横に出てくるものの、それごと外から躱していく。

 

『さあ先頭2番手中団差が詰まって第4コーナーを曲がっていくぞ! 外からやってくるズヴィズダツァーリはいつの間にか10番手ほどで直線に入る!! ダノンキングリーとロジャーバローズが並び、サートゥルナーリアとズヴィズダツァーリが後方で並んで上がってくる!! 横に広がっていく状態! 誰が抜け出す!!』

 

 ちょっと!! 当たらないでよサートゥルナーリア!! 近い近いよ!!

 さらに外側に行こうとしたことで、先生の鞭が右のおしりに入ってしまった。

 ごめんなさい、気にせず前に行きます!

 

 緩めに持ってくれてる手綱のおかげで、他の馬より頭を大きく動かしてしまう僕にとっては走りやすい。今日だけかな? なら、今度きつめに持ったら暴れてやろう。

 というわけで、踏み込む。

 

『さあ伸びてくる直線の坂! 内側でロジャーバローズがリオンリオンを交わしたっ! 交わしたが外からズヴィズダツァーリ! ズヴィズダツァーリが伸びていくぞ! サートゥルは伸びない! 伸びてこない! 坂を登りきってロジャーとツァーリが横並び!!

 

 粘る! 粘るロジャーバローズだが捉えにいくズヴィズダツァーリ! 真ん中から割るようにダノンキングリーも上がってきてやっと来たサートゥルナーリアは4番手!

 後少し! 後少しのところで抜け出すか? ツァーリが良い! ツァーリが良いぞ抜け出した! 20馬身を巻き返した反則級の末脚で! 無敗の二冠馬が誕生した!!

 

 ズヴィズダツァーリが2分22秒6のタイムで一着を取ったー!!

 

 これで! 鞍上打田はダービー2勝目! オルフェーヴル産駒として、初のダービー馬となりました!! 2着は伏兵ロジャーバローズ! 3着は意地を見せたサートゥルナーリア!! ダノンキングリー最後届かず!!』

 

 ぽんぽんと首を叩かれるまで、僕はゴールしたことに気が付いてなかったが、右側にあった声援をいつのまにか背負っていた。

 ターフを半分ほど行ったところで、体も落ち着き、逆走する形になるが、スタンドの前へと向かう。他の馬はもうほとんどがターフを去ってしまったが、測定して、レイ? を受け取って、写真とってなんやらかんやら。

 

 一歩スタンドに近づくだけで大きくなる歓声。少しうるさいと思ってしまう馬の耳に悲しくなってしまうが、今ここにある歓声のすべてが、僕と、先生と、見えないところで戦っているおっちゃん。そして、大魔神への祝福。

 

「うぉおおおお―――――おっ!!」

 

 すでに大きかった歓声がさらに大きくなり、どうしたのかと先生を見れば、掲げた右手がピースになっていた。

 

「ツァーリ。二冠目だ。次も勝つぞ!!」

 

 その言葉を聞いた僕は、皐月賞の時と同様ターフ上に伏せ、首を下げた。

 

 

東京優駿 (日本ダービー) レース結果 上位5着

馬名タイム人気

ズヴィズダツァーリ2:22:6

ロジャーバローズ2:22:613

サートゥルナーリア2:23:0

ダノンキングリー2:23:1

ヴェロックス2:23:1

 上がり3F 最速 5番 33.8秒

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「次の目標は菊花賞か……。10月の20日。セントライト記念か神戸新聞杯か……。どっちを入れるかが問題ですよね」

「そうですね。でもまあ、狙うなら神戸新聞杯でしょう。オルフェーヴルもディープインパクトも他の菊花賞馬もほとんどが神戸新聞杯で1着を取ってますし……」

 

 距離適性を考えれば、ダービーの最後で伸び切らなかったサートゥルナーリアは怖くない。となると、目下の敵と言える存在がいなくなる。なら、三冠戦以降のことを考えるべき。ジャパンカップにしろ有馬記念にしろだ。

 

「友康さん。神戸新聞杯で勝って、気持ちよく送り出しましょう。チビにはヴィルシーナに会わせるって言ったし、ノーザンファームで放牧させて、年末から来年春に向けた体づくりをお願いしていいですか?」

「ええ。やらせていただきます。あの子には、ディープもオルフェもルドルフも、超えてもらわないといけませんから」

 




 出走成績 5戦5勝 獲得賞金総額4億2000万

18/09/22/土 新馬戦 2000メートル 
 1番人気 1着 2:01:8 700万
18/11/17日 東スポ2歳s 1800メート
 1番人気 1着 1:45:2 3,300万
18/12/28/金 ホープフルs 2000メートル
 1番人気 1着 2:01:2 7,000万
   2着 アドマイヤジャスタ 2:01:6 2馬身差

19/04/14/日 皐月賞 2000メートル
 3番人気 1着 1:57:9 11,000万
   2着 サートゥルナーリア 1:58:5 3½馬身差
19/05/26/日 東京優駿(日本ダービー) 2400メートル
 1番人気 1着 2:22:6 20,000万
   2着 ロジャーバローズ 2:22:5 アタマ差


 次走 19/09/16/月 神戸新聞杯(G2) 2400メートル
  有力馬 サートゥルナーリア ヴェロックス

黄金一族でどの馬が好き?

  • 香港ヴァースに泣いたステイゴールド
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