黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕)   作:パンダコパンダ

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正直、この有馬記念書くつもりなかったんですけど、
何も考えずにオペラオーのこと触れちゃったから書くしかなくなった。

初めて打田さん目線でレースしてます。
いちおう乗馬クラブでの騎乗経験はありますが、
競争レベルのスピードで乗ったことはないので拙い文章だと思います。

なにとぞご容赦を。

あと、いつも誤字報告ありがとうございます! 感謝です!!


競走馬ー10:有馬記念 中山2500M

 気が付けば、年の瀬。

 戦いの舞台は、年末の中山。2500メートル。

 1年間戦い抜いた馬たちに、最高のファンが夢を託す舞台。それに僕とこの子が一緒に出る。

 

「有馬はすごく変な形。外周コースの3コーナーからスタートして、実質的な一番最初のコーナーがいつもの3コーナーの奥側になる感覚。直線抜けて1〜2コーナーで山超えて。あとはいつも通り。そんなコース」

 

 馬房から出した黒い顔。額の白い流星。

 馬体は菊花賞の後少し体が引き締まって見えるが、体重が増えていて、筋肉がさらに増えた印象がある。そんな彼。

 

 人懐っこくて、女好きだけど可愛くて、愛らしい。

 

「去年の今頃はホープフルで勝ったんだよ。んで、今年は有馬記念。まだ負けてないとか、不思議だよな」

 

「ブルルルっ」

 

「はは。お前もそう思うか」

 

 妙なタイミングで、会話がしているようなタイミングで返事をするツァーリにも慣れた。

 

「今日は、お前の一年先輩のアーモンドアイが出てくるし、サートゥルナーリアもいる。あとはリスグラシューって言う今日引退する馬もいる。でも、関係ないよな。お前が最強だ。勝とう」

 

「ブルブルルッ!!」

 

「入場の時にな。また後でな」

 

有馬記念 出馬表

馬名脚質適正人気

スカーレットカラー◁◁◀︎◁12

スワーヴリチャード◁◀︎◀︎◁

エタリオウ◁◁◀︎◁11

スティッフェリオ◁◀︎◀︎◁14

フィエールマン◁◀︎◀︎◁

リスグラシュー◁◁◀︎◁

ワールドプレミア◁◁◀︎◁

レイデオロ◁◀︎◀︎◁10

アーモンドアイ◁◀︎◀︎◁

10サートゥルナーリア◁◀︎◁◁

11キセキ◀︎◁◁◁

12ズヴィズダツァーリ◁◀︎◁◀︎

13アルアイン◁◀︎◁◁16

14ヴェロックス◁◀︎◁◁

15アエロリット◀︎◀︎◁◁13

16シュヴァルグラン◁◁◀︎◁15

 

 天候は微妙だけど、馬場は想定より良い。

 レースで良以外の馬場を経験してないことが不安材料ではあるものの、それでも、硬くて反発力がある方が、ツァーリの足には合っている。

 前で戦った方がいいか? 全体ペースが遅いこともよくある。前の方で戦いに行っても。いや、馬群に呑まれた方が怖いか。

 

 ツァーリの脚を知ってて最後方から戦うのを想定すれば、さらに動かせないよう向正面あたりで壁にするため前を塞ぐはず。

 

「打田さん」

 

 馬房を離れた僕と入れ替わるように、ツァーリの元へ来た友康さん。

 

「脚溜めさせて、一番後ろから大外ぶん回して来い」

 

「良いんですか?」

 

「安心してください。アーモンドアイもサートゥルナーリアも他の馬も強いけど、ウチの(俺たちの)子がいっちゃん強いですから」

 

 少し恥ずかしそうに言う。

 

「無敗っていうのは重いよな。この2年間。絶対に負けない馬を育てようと必死になって考えてた。でも、競馬に絶対はない。答えとなる調教も、答えとなる騎乗もない。ルドルフの丘部さんも、ディープの丈くんも、そして君も。無敗を続ける怖さを経験できるのは、人生で一回もない。もちろん俺も」

 

 突然、帽子を外して頭を下げた友康さん。やめてくれと顔を上げさせようとするが、彼は地面を見つめて言った。

 

「あの子を輝かせられるのは、打田さんしかいない。お客さんが馬券握って夢見るように、調教師は、ジョッキーに夢託すんです。ルドルフも、ディープも、オペラオーも。全部の馬を差し切ってやってください」

 

「ええ。友康さん。強いツァーリの、強い競馬で、勝ちましょう」

 

 今日の戦い方は決まった。壁だろうが何だろうが、僕たちの戦い方をしよう。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『年末の中山競馬場には、全国の競馬ファンが夢を託した優駿、16頭が揃いました。史上稀にみる豪華メンバー。ディープインパクト以来の無敗三冠馬、ズヴィズダツァーリ。牝馬三冠。現役最強の呼び声高い女王。アーモンドアイ。女王は私だと証明できるか、宝塚記念を制したリスグラシュー。

 王座に座る者たちが強さを見せるのか、はたまた新たなスターが生まれるのか。もうすぐ枠入りとなります』

 

「今日も輪乗りはしない?」

 

 ゲート前、誰から始まるとも言えない恒例の流れ。このレースを完成させるレース前最後のピースを、いつもながらのんびりとした表情で眺めるツァーリ。

 

「まあ、こうしてくれるから、他の馬体もしっかり見れるし」

「ブルッ!? ぶるる……」

 多分だけどコイツ、マジ? なら次も混ざらんとこ。とか言ってそうだな。

 

『最後方からの競馬となるであろうズヴィズダツァーリ。かつてのテイエムオペラオーのように年間無敗を賭けた戦いとなります。あの世紀末と同じように包囲網が組まれてしまうのか。ゲート入りですズヴィズダツァーリ。6枠12番として綺麗に収まります。ファンの皆様は4度目のお辞儀を見たいでしょう!! 三冠戦では善走した7枠14番ヴェロックス、最後の大外枠シュヴァルグランが枠入り。全頭準備整いました。19年シーズンの総決算!!

 

 今、スタートです!!』

 

 ゲートが開く。

 

『16頭しっかり出ました。いや、ズヴィズダツァーリが少し出遅れしてますがすっと最後尾』

 

  ッ!」

 

 スタートが上手なはずのツァーリが出遅れた。いや、後ろから戦うから大丈夫だが、少し前に行こうとしてるか? やることは変わらないから落ち着いてくれ。抑えて。

 体力のロスだけが今は怖い。手綱をしっかり握り、後ろに体重を乗せる。

 

『先頭飛び出しています15番のアエロリット。スティッフェリオとアルアインが追走している状況。この3頭がレースを引っ張っていくでしょうか』

 

 まだ前に出ない方が良い。僕の判断を察したのか、ツァーリの引っ張る感じが収まってきて、しっかりとコース内側を走っていく。

 ペース目安として考えていたサートゥルナーリアは少し前。一番前は結構遠いが問題はなさそう。体感のペースが速いから、3コーナー辺りで捉えられる。

 

 というか、邪魔。と、先頭集団ではなく、目の前の馬群に意識が向く。

 

 僕たちの1馬身前に並んで走るヴェロックス、ワールドプレミア、シュヴァルグランの3頭。まだカーブに入ってないからこそ横並びなんだろうが、向こう正面入った時もこの状態なら少し面倒になる。

 アーモンドアイは集団2つ先。

 

『1つ目のコーナーを抜けてもうすぐ2つ目。正面スタンド前に先頭の15番のアエロリットがやってきました。大歓声!! 大きな歓声を浴びている状態で最後尾のズヴィズダツァーリも正面スタンド前、ゴール板を通過しました。

 展開はやや縦に広がっている状態。会場は異なりますが、日本ダービーの時のようです』

 

 なるほどね。

 手綱を握る手が強くなる。

 

 おそらくだが、今日のレースは作戦が二分したのだろう。

 1つは、ハイペースで前を戦い、最後の直線前で広がるだろうから、僕たちが抜け出せる場所が無くなると踏んだ先行策の集団。

 2つ目は、それを見越してスタミナ切れを考え、後ろから一気に呑み込む差し策。そして、自分たちが広がって先行集団を抜くから僕たちを防げると考えている。

 

 騎手同士が図らずとも出来てしまう2重の壁。包囲網。これを、オペラオーと輪田さんは打ち破ったのか。

 

「上がるな」

 

 僕がぽろっとこぼした声が聞こえたのか、ツァーリの頭が一回だけ、頷くように低く下がった。

 この子も一緒なのかとうれしくなると同時に、冷静にならないとと気持ちを引き締める。ゴールドシップの時は気持ちよくさせることが一番だったが、この子の場合は意思疎通がし易い分僕も『掛かり』易い。

 

『さあハイペースでレースが続いて向こう正面へと入っていきます。先頭は変わらずアエロリット。少し間開いてやってくる先行集団先頭スティッフェリオとアルアインが横並び。エタリオウ、スワーヴリチャード、最内にスカーレットカラー3頭絡んでいます。その外側にいるのが注目のアーモンドアイ9番です。半馬身後ろに控えるヴェロックス。三冠戦後は元気がないですから好走してほしい。

 

 さあ、中団です、だいぶ固まってしまっている状態です。6番のリスグラシューと5番のフィエールマンが併走。その後ろキセキと4番人気サートゥルナーリアも絡んで横並び、後ろの馬にとっては壁の状態です。内側の隙間を詰めるように菊花賞2着のワールドプレミア鞍上豊丈がいます。レイオデロとシュヴァルグラン。

 

 ズヴィズダツァーリは最後方ぽつんと1頭だけで隙を伺っている状態!』

 

 3コーナー入って15番達との差が無くなってきた。そろそろ上がっていきたい。

 カーブの合図として一度鞭を入れるが、前に出られそうな隙が無い。横並び4頭のせいで膨らめば、いくらツァーリでも脚を使いすぎる。内側はワールドプレミアが防いでるからどうしようもない。

 

 ギリギリまで溜めろ。リズム保って、最後暴れる。

 4コーナー出口で膨らむのは良い。そこまでは、絶対に最内!!

 

『さあ! 4コーナーに差し掛かって先行集団が後方集団に呑まれていく!! 隙間が埋まって最奥ツァーリは上がってこれてない! 大丈夫なのか打田!! 行けるか!?』

 

 左耳に入る声。ツァーリがピクピクと走りながら動かす耳。

 本当に、この子は賢い。

 

 行け! とか、走れ! とか、上がってけ! とか、さらには声にならない声とか。

 この子には、スタンドから聞こえる大きな声が、自分に向っていることが分かっている。

 

「退けぇ  ッツ!!!!」

 

『中山の短い直線!! ツァーリ来ないッ!! ツァーリ来ないッ!! ツァーリ来ないッ!!』

 

 手綱は緩めている。鞭も入れている。けど、前に隙間は……。

 

 隙間は。

 

 

 

 

 

 僕の腕が、今まで感じたことがないほどの力で持っていかれた。

 

『来た! 来た! 来た!』

 

 最内を走りつつスタミナ切れで落ちてきた15番の横、サートゥルナーリアとの間に在ったほんのわずかな隙間にツァーリが、その頭を、その体をねじ込んだ。

 

『ツァーリ! ツァーリが来た!! ツァーリが来た!!』

 

 完全に抜け出した。

 

「強い強い強  いッツ!!!!」

 

 一番最初にゴールしたのはほかでもなく星の皇帝だった。

 

 抜け出したと思った時には、もうゴール板を過ぎていて、僕たちの前にいたはずの馬が、2着3着でレースを終える。

 すごく一瞬のような出来事で、吸った息を吐き出した時には、全てが終わってた。

 

『やはり皇帝は強かった!! 2着サートゥルナーリアに2馬身差!! ズヴィズダツァーリの眼前に、他は一切存在しなかった!!』

 

 

 

有馬記念 レース結果 上位5着

馬名タイム人気

12ズヴィズダツァーリ2:30:1

10サートゥルナーリア2:30:5

リスグラシュー2:30:5

ワールドプレミア2:30:6

アーモンドアイ2:30:6

 

 ツァーリがお辞儀する中、僕の内心は疲労感で溢れていて、正直頭の中が真っ白だった。

 

 

 

 

 


 

 ところで先生、あそこのお姉さん馬きれいだけど、あれが噂のアーモンドアイさん?

 サートゥルナーリアのお姉さんなの?

 

「あなたすごいわね」

 

「……しゅき」

 

「え?」

 

「なんでもないです」

 

 真正面からすごいとか初めていわれてきゅんとしちゃった。うん恥ずかしい。逃げよう。っちょっと先生! 早くウイナーズ・サークルに行こうよ!!




 出走成績 8戦8勝 獲得賞金総額8億9300万

18/09/22/土 新馬戦 2000メートル 
 1番人気 1着 2:01:8 700万
18/11/17日 東スポ2歳s 1800メート
 1番人気 1着 1:45:2 3,300万
18/12/28/金 ホープフルs 2000メートル
 1番人気 1着 2:01:2 7,000万
   2着 アドマイヤジャスタ 2:01:6 2馬身差

19/04/14/日 皐月賞 2000メートル
 3番人気 1着 1:57:9 11,000万
   2着 サートゥルナーリア 1:58:5 3½馬身差
19/05/26/日 東京優駿(日本ダービー) 2400メートル
 1番人気 1着 2:22:5 20,000万
   2着 ロジャーバローズ 2:22:5 アタマ差
19/09/22/日 神戸新聞杯(G2) 2400メートル
 1番人気 1着 2:24:5 5,300万
   2着 サートゥルナーリア 2:26:3 大差(約11馬身差)
19/10/20/日 菊花賞 3000メートル
 1番人気 1着 2:58:9(WR) 12,000万
   2着 ワールドプレミア 3:03:0 大差(約30馬身差)
19/12/22/日 有馬記念 2500メートル
 1番人気 1着 2:30:1 30000万
   2着 サートゥルナーリア 2:30:5 2馬身差

次走 20/03/22/日 阪神大賞典(G2) 3000メートル

話的に阪神大賞典飛ばして春天行きます。

黄金一族でどの馬が好き?

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