黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕)   作:パンダコパンダ

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 11月から投稿時間を20時にするか悩んでる。

 最後の下り、少しだけ文章変えてます。

 いつもいつも誤字報告ありがとうございます!


競走馬ー12:天皇賞・春 京都3200M

 いんやぁー。どうもどうも。

 無敵! 長距離の王! ズヴィズダツァーリです。

 

 この前の阪神大賞典は楽しかったね。ズドーンって抜いてくの。

 あと思うけど、みんな長いからって抑え過ぎじゃない? スローペースなら体力余るからいくらでもスパートかけられちゃう。逆にペース速いと残せる量減るから、他馬とジョッキーが長距離で戦おうと思ったら、無理にでも速いペースの馬が必要だと思う。

 そうなっても僕は先生と一緒に勝つんだけどね。

 

「チビ、今日の調子はどうだ?」

 

 おい! 来やがったなこの嘘つき大魔神!!

 調子いいもんねー。今日も勝ってやるもんねー。

 

「ブルブルル……」

 

 立ち上がったら驚くかな。驚くよね? 触ってこようとしたら……。怪我させたら良くないしやめとこう。うん。

 

「チビ、お前最近冷たくないか?」

 

 自分の胸に手を当てて考えてくれよ大魔神。

 この前の春先、しがらきに放牧した時も、好きなだけ食べていいぞ。とか言ってたのに、しっかり減量させられたんだから。

 

「あれじゃないですか? 佐崎さんが女性じゃないからじゃないですか?」

「あー。たしかに、家内がいると甘えてますしね。こいつ」

 

「まあ、とりあえず、今日もしっかり走ってこい。勝った負けたはどうでもいい。打田さんの言うこと聞いて、やれるだけやったらそれでオッケーだ。怪我だけは、するなよ?」

 

「ヒヒーンっ!」

 もちろん! 楽しく走ってきてやるさ。

「返事したなぁ」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 っておーい!! 今日もあのめんこい子いるじゃん!!

「ツァーリ? どうしたの?」

 いやお姉さん見てくださいよあのめんこい奴!! あ、メロディーレーンって言うんだ。阪神大賞典にもいて気になってたんだよね? 一頭だけちっこいし。

 え? 体重340しかないの? しかもマイナス!? 僕の体重511だから、3分の2くらいしか無い? 乗ったら潰れるんじゃね?

 

「そろそろ本馬場入場だからね。準備は良い?」

 

 大丈夫だよお姉さん! 元気有り余ってるから!

 

『さあ、今年に入って、各地の競馬場は静寂に包まれています。人がいない中山競馬場、皐月賞はコントレイルが勝ちました。阪神競馬場での桜花賞は、デアリングタクトが勝ちました。残す大舞台はここ。京都競馬場。昨年の菊花賞では、大勢の観客の前で新たな扉が開かれたこの地で、14の優駿が、誇り高き楯に挑みます!』

 

 悲しいくらい静かなパドックを抜け、背中に先生を乗せた。他の馬も準備が整って、どんどんとターフに入っていく。

 

『さあ、春の楯。挑む14頭の筆頭が入場です。8枠13番ズヴィズダツァーリ。前走阪神大賞典では、二着におおよそ10馬身差を着ける大勝。2701メートル以上のE区分では、最終直線で並ばれたことがないほど強い馬ですから、今日もどうなるか。

 

 続いてやってきます。平成最後の春天優勝馬。2番人気のフィエールマン。時代が変わっても、このレースの主役であると見せつけることができるのか』

 

 体の状態は良い。あとは、向正面でギアを上げれば、自ずと勝てる。

 

『さあ、ゲート入り。奇数枠最後のズヴィズダツァーリが入ります。いつもと変わらずすんなり入り、2枠2番エタリオウが入ります』

 

 最後に入ったフィエールマン。全馬の状態が整い、ゲートが開いた。

 

『さあ始まりました春の天皇賞。真っ先に飛び出していくのは二頭です。4番と6番。ダンビュライトとスティッフェリオ。この2頭がペースを作っていく。キセキは3番手。前の二頭とは1馬身ほど開いております。

 続いていくモズベッロとユーキャンスマイルとシルヴァンシャー。予想通りの状況で展開しています』

 

 うん。良い感じだね。芝の感じも堅くて気持ちがいい。

 前の馬……。トーゼン? トーセン? カンビーナがいるけど、有馬の時みたいに横に広がってる感じじゃないから怖さもない。

 

『一度目の坂越えを終えて3コーナーの下り坂。2番人気のフィエールマンはここ。7番手ほどでしょうか。後ろにエタリオウとミッキースワローを控えさせた状態となります。

 

 さあ、正面スタンド前を通る各馬。静寂が包む悲しいスタンドではありますが、ターフ上は熱さで溢れています。ミライヘノツバサ、メイショウテンゲン。少し離れてメロディーレーン。そして一番後ろで2頭並びますズヴィズダツァーリとトーセンカンビーナ。

 スタンド前通過して1コーナー。2コーナーへと向かいます』

 

 どうする先生? ここの坂、中山ほどひどくないけど良い位置に行きたいから前に行きたい。

 3コーナーの下り自体は曖昧でもいい。スピードを上げてくだけだから。ただ、上りのロスはしたくないのが僕の意見。去年一年間先生の戦い方を見てきて僕が思う、僕の考え。

 今回は時計回りで左側の足に負担がかかるし、阪神大賞典も左側が外だから。

 

 そういえば、馬にも利き足ってあるのかな? 左脚の力が強いのか分からないけど、菊花賞も阪神大賞典も今日も、右回りだと走りやすいんだよね。

 

『さあ最後方にいたズヴィズダツァーリが少しずつギアを上げてきた。メロディーレーン、メイショウテンゲン、ミライヘノツバサ、ミッキースワローとエタリオウも躱してフィエールマンと7番手の所まで上がって来てペースを整えています。坂前に息を入れたか鞍上打田』

 

 うん。ここは僕とフィエールマンだけだから走りやすい。

 

『さあ坂を上り切って2度目の3コーナー。先頭で下っていくのはキセキです。そこから3頭が徐々にスピードを上げていきます。

 8番、4番、6番、1番が4コーナー手前。徐々に馬群が詰まっていきます。さあ後方から本命と対抗が上がってくる! フィエールマンが5番手、ズヴィズダツァーリが今6番手で直線』

 

 手綱が緩んだ。先生から、行くぞの合図。

 

『さあ直線! 上がってきた2頭!! 新旧長距離王者の激闘だ! フィエールマンが少しリードか!? いや、並んでいる! スティッフェリオも来るが2頭の戦い』

 

 あれ? おかしい。

 

 必死に足を動かすが、僕のスピードが上がらない。

 先生も、2度3度と鞭を入れてくるが、それでも上がらない。

 

 僕の良い耳に、ピキっと、何かが割れる音がした。そして、左前脚が重い気がした。

 

『叩き合い! ついに敗れるのかツァーリ! フィエールか! ツァーリか! フィエールか! ツァーリか!』

 

 意地だ。こうなったら意地。僕を最強にしてくれているみんなのために、走り切る!

 

『長い直線! 抜けた! 抜け出したぞツァーリ!! クビ差! アタマ差! 体半分前でゴール!! ズヴィズダツァーリ!! 無敗で10連勝達成だァ!! 長距離の皇帝が! 強さを見せつけた!!』

 

 いつもよりスピードの無いウイニングラン。重い左脚を庇いながら、ゆっくりスピードを下げる。

 うん。一周しない方が良い気がする。2コーナー前くらいで完全にスピードを0にした僕は、先にお辞儀だけしようと思ったが、立ち上がろうとして変に力が入ると良くないなと思い、トボトボと歩き始める。

 

『フィエールマン。負けて強しの勝負でしたが、ギリギリ届かず。さあ、勝ちタイムは? 3分16秒4です!! そして、皇帝がする恒例のお辞儀。お? 今日は伏せませんね。頭だけ上下に振っています』

 

 うん、やっぱり左肩? 左前脚が痛い。あれかな? 筋肉痛かな。馬って立ってないと死んじゃうから、立てない怪我したらどうしようもなくて安楽死なんだよな……。ひどいケガじゃなければいいんだけど。

 あ、お姉さん来た。

 

「ツァーリ? 今日はお辞儀しないの?」

「ぶるる……」

「ん? 元気ないね。疲れてる感じはないからいつも通りだけど……」

 

「最後、伸びなかったです。もしかしたら足に何か起きてるかもしれないです。歩き方も少しおかしくなってるから少し微妙です。コズんでるならおります」

「え? わかりました。ツァーリ。ちょっと触るよ?」

 

 じっとした状態で僕は立っていたが、左脚を触られた時に軽い痛みがあったので一つ鳴く。

 僕の状態を確認したお姉さんの指示で、僕たちは急いでターフを去った。

 

 

 

天皇賞・春 レース結果 上位5着

馬名タイム人気

13ズヴィズダツァーリ3:16:4

14フィエールマン3:16:5

スティッフェリオ3:16:612

ミッキースワロ3:16:9

ユーキャンスマイル3:16:9

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「馬鹿野郎!!」

 

 僕に、大魔神。いや、佐崎さんの怒号が降りかかった。

 

「誰が怪我して良いって言った!! おれはいつも言ってんだろう!! 勝とうが負けようが良い。怪我無く戻ってきてくれれば良いって」

 

 その通りだ。佐崎さんは、僕を愛して接してくれる。

 

「佐崎さん。それぐらいにしてください。この子が怪我したのは私たち調教師や厩務員側の責任です。怒るなら彼じゃなく、私たちに怒ってください。彼だって怪我したくてしているわけじゃないんですから」

 

 んなことわかってる! と口調を荒げる佐崎。多分、みんなにも色々と言いたいことがあるんだとは思う。でも、それでも僕を心配してるから、真っ先に僕に出るんだろうな。

 

「それでも、コイツにはちゃんと言わないとだめです。友康さん。この子は他の子とは違う。ちゃんと考えて動ける子なんだ。オレの、俺たち陣営の自慢の子なんだ。レースで左脚負傷して。裂蹄もして。無敗だろうが何だろうが下手したら俺たちはこの子を殺さないといけなくなるんです。その辛さの10分の1でも理解できる子だと思っているからこそ、毎回言ってるんです」

 

 いや、ストレスになってなんかないよおっちゃん。これは僕が悪い。

 先生やおっちゃんに勝るとも劣らない愛情を注いでくれる()()()()の愛情に背いたんだから。

 

「完治の見込みは何時頃ですか?」

 

「現状だと11月の頭まではかかるかと。コズミ自体は軽いものですが、裂蹄は時間がかかりますから。プール調教とかで体力と筋力を落とさないようにして、勝負勘を取り戻して、ジャパンカップに間に合うかどうか……」

 

「分かりました。なら、凱旋門賞は来年ですね」

 

「ええ」

 

 分かった。全力で治して、全力で鍛えて、ジャパンカップに間に合わせる。

 それが僕の、当分は走れない僕の仕事だ。




皆さんは馬房で大声出さないでね。
馬ちゃんが驚いちゃうので。

一生で一回の凱旋門賞。上がるでしょ?

 出走成績 10戦10勝 獲得賞金総額11億1000万

18/09/22/土 新馬戦 2000メートル 
 1番人気 1着 2:01:8 700万
18/11/17日 東スポ2歳s 1800メート
 1番人気 1着 1:45:2 3,300万
18/12/28/金 ホープフルs 2000メートル
 1番人気 1着 2:01:2 7,000万
   2着 アドマイヤジャスタ 2:01:6 2馬身差

19/04/14/日 皐月賞 2000メートル
 3番人気 1着 1:57:9 11,000万
   2着 サートゥルナーリア 1:58:5 3½馬身差
19/05/26/日 東京優駿(日本ダービー) 2400メートル
 1番人気 1着 2:22:5 20,000万
   2着 ロジャーバローズ 2:22:5 アタマ差
19/09/22/日 神戸新聞杯(G2) 2400メートル
 1番人気 1着 2:24:5 5,300万
   2着 サートゥルナーリア 2:26:3 大差(約11馬身差)
19/10/20/日 菊花賞 3000メートル
 1番人気 1着 2:58:9(WR) 12,000万
   2着 ワールドプレミア 3:03:0 大差(約30馬身差)
19/12/22/日 有馬記念 2500メートル
 1番人気 1着 2:30:1 30000万
   2着 サートゥルナーリア 2:30:5 2馬身差

20/03/22/日 阪神大賞典(G2) 3000メートル
 1番人気 1着 3:00:1 6700万
   2着 ユーキャンスマイル 3:02:0 大差(約12馬身差)
20/05/03/日 天皇賞(春) 3200メートル
 1番人気 1着 3:16:4 15000万
   2着 フィエールマン 3:16:5 1/2馬身差

次走 20/06/28/日 宝塚記念 2200メートル
   故障のため回避

   その他海外遠征計画、故障のため回避

目標 20/11/29/日 ジャパンカップ 2400メートル

有力馬 アーモンドアイ、その他不明

黄金一族でどの馬が好き?

  • 香港ヴァースに泣いたステイゴールド
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