黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕) 作:パンダコパンダ
駄文です。ご都合主義です。
ソダシがかっこいいです。
プロローグ
暗い世界の中。何かに押し出されるようにして足が飛び出した。
一定のリズムで、励ますように体が軽く締め付けられる。そして、顔が出た。
まぶしい光を浴び、僕は上半身をふかふかの場所へ投げ出す。
柵越しに僕を見つめる多くの人。そして、僕の下半身が埋まったままの場所には、濃い毛色をした馬。
馬!?
「あとちょっと……」
「頑張れ!」
「頑張れヴィルシーナ! もう顔は出てるぞ!」
僕は思わず両腕を動かして謎の馬から離れようと両足をバタつかせるが、うんともすんとも。って、僕の両腕おかしくね? なんか細長いし、真っ黒なんだが……。
頭の端に出てきた疑問に気づかないフリをして、僕はただひたすらにもがく。
ドン! とはじき出されたような感覚を腰に受けた僕は、何も考えず瞬間的に両腕を動かして前へ進んだ。
「やった!」
「よし! ヴィルシーナ! お前の子供だ!!」
すぐさま柵の中に入ってきた人たちが声を出し、ヴィルシーナと呼ばれた馬は僕の体をペロペロと舐める。
普通なら、擽ったいだなんて感じるはず。だが僕は、そんな感覚よりも安心感に包まれた。
顔の前にある大きな瞳に吸い寄せられ、顔を、首を、体を舐めるその馬のことを、僕は母だと認知した。
そういえば僕ってなんだろう。そう思っていれば、男の人も女の人も柵の中に入ってきて、僕の体をタオルで拭き始めた。
なぜか見たことある垂れ目の顔の男が、僕のことをじっくりと見つめてきたため、僕はどうすればいいか分からず、体を拭く人たちを気にせず、彼を見続けた。
1秒とか10秒どころじゃない。10分くらいは見つめていたんじゃないだろうか?
隣の女性やいかつい顔の男性が何かを話しかけても、彼は僕を見つめ続けながら会話をしていた。
「綺麗な青鹿毛。お母さんの血が強かったのかな?」
「おとなしいね。走ってくれるかな?」
青鹿毛? という言葉が何かはわからないが、体を舐めてくれた母と似ているというのはうれしい。あと、走る? っていうと競馬かな? 大丈夫か? ほとんど知らないぞ? 僕。
「ヴィルシーナとオルフェーヴル。サンデーサイレンスの3×3になりましたね」
「それにしても、サンデーサイレンスに似てる。マンハッタンカフェもあの馬に似てたが、それ以上じゃないか?」
彼がやっと僕から目を離したので、体を拭いてくれていた女性を見れば、彼女の手にはタオルではなく、哺乳瓶が握られていた。そのまま口を開いていた僕に哺乳瓶の先を突っ込み、顎辺りをしっかり捕まえて飲ませてくる。
母馬は母馬で僕の体を舐め続けていて、今は足先を舐めて何も気にしていないから、これはおそらく普通のことなんだろう。暴れても意味ないし、一旦おとなしく哺乳瓶の中身を飲もう。
「すっごい飲んでる。飲むの上手だよ。この子」
「いいねいいね」
哺乳瓶を吸うのに上手も下手もあるのか? なんて考えつつも。とりあえず飲み干す。もちろん、母のヴィルシーナ? は、ずっと体を舐め続けている状態だ。正直、飽きないのか? なんて思ってしまう。
「佐崎さん。しっかりとした牡馬ですよ」
「ならダービーか……。ヴィルシーナがジェンティルドンナに負け続けたから、娘に雪辱を晴らしてほしかったが」
「でも、あの子の父は奴です。三冠だって狙えます。父も母父も三冠を成し遂げてるんですから。でも、動かないですね」
しばらく、じっと動かないまま辺りをきょろきょろと探っていたが、生まれてから20分ほどしただろうか。急に人たちが慌て始める。柵の向こう側の人もそうだし、哺乳瓶を持っていた女性も心配そうに僕を見てる。
「大丈夫? 動ける?」
どうやら、最初に母馬から逃げようとしたとき以来動こうとしていなかったから心配されたようだ。とりあえずは両腕というか、前足を動かして大丈夫だと伝えてみる。が、顔色が変わっていないから伝わっていない。
『立てる?』
突然聞こえた、透き通った綺麗な声。おしりの方で聞こえた気がして振り返れば、母馬が僕のことを見ていた。
『立てる?』
「ほら、お母さんが呼んでるよ?」
女の人の言い方的に、どうやら先ほどのは母馬の声で正しいようだ。
とりあえず、立ち上がらなければ話にもならないらしい。ということで、よくわからん状態だがいっちょかましてみよう。後ろ脚にぐっと力を込めておしりを突き出してみる。
「うわ!」
「惜しい!」
だが、右脚の力が強すぎたのか、コテンと左に転んでしまい、母馬の前で一回転してしまった。正直すごく恥ずかしいが、今度は慎重に力の入れ具合を考えてしてみるが、前脚に力がなくて前転に近い形で回る。
ハラハラした表情で人たちは僕のことを見つめ、母は動かなくなった僕のことをまたペロペロ舐め始めた。
「頑張れ」
「大丈夫だぞ」
温かい声をかけた人たちの方を向き、今度こそはと脚を動かす。おしりを浮かせ、前脚で力が流れないよう踏ん張る。ふらふらとしながらも、何とか立ち上がれば、その安堵で力が抜け、三度目の転倒。
だが問題ない。コツは掴んだ。
「名前決めれた?」
「ええ。ヴィルシーナに合わせてロシア語の名前だけど」
「なら呼んであげて」
佐崎さんと呼ばれた男性の横。きれいな女性が僕の名前を呼んだ。
「ズヴィズダツァーリ。立って」
他の人もどんどん名前を呼ぶ。男の人が、女の人が、そして母が。
『もう立てるわ。ズヴィズダツァーリ』
「ツァーリって、皇帝だろ? 確か」
「ええ。でも、大魔神の子供なら、皇帝ぐらいなってもらわないと」
「んで? ズヴィズダって?」
佐崎さんが訪ねれば、女性は答えた。だってあなた。流星戦士でしょ?
お前、ハマの大魔神かい!!
自分の馬主が有名なプロ野球選手。その事実に驚いてしまったこと。それが僕の初めて立った瞬間。
三年後の10月。父オルフェーヴル。母父ディープインパクトとの、史上初
父の父 ステイゴールド
父の母 オリエンタルアート
父 オルフェーヴル
母の父 ディープインパクト
母の母 ハルーワスウィート
母 ヴィルシーナ
芝:A タ:G
短:E マ:B 中:A 長:A
逃:G 先:B 差:A 追:A
黄金一族でどの馬が好き?
-
香港ヴァースに泣いたステイゴールド
-
日本に残ったドリームジャーニー
-
芦毛の千両役者ゴールドシップ
-
批判を実力で黙らせたオルフェーヴル
-
障害の王オジュウチョウサン
-
春天二連覇の怪物フェノーメノ
-
濃縮された気性難ナカヤマフェスタ