黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕) 作:パンダコパンダ
4歳の11月末なのに、同期牝馬、
クロノジェネシスが一回も出てないんだよね笑
もちろん今話も出ません。
競馬界は今、世情を吹き飛ばすほどの大フィーバーが起きていた。
それは、なんと言っても、4頭の三冠馬が一つの舞台に集まったから。
世界各国の名馬を日本に集め行うジャパンカップ。今年は状況的なこともあって、日本馬だけでの開催になったのだが、そのメンバーがあまりにも凄すぎた。
一頭目は18年度の三冠牝馬、現役最強との呼び声も高く、愛らしい見た目で人気も高いシャドーロールの女王ことアーモンドアイ。この試合で引退であり、9つ目の冠を被りに来ている。
二頭目は、19年度無敗三冠牡馬、10戦10勝と言う圧倒的力を見せ、現在進行形で歴史に名を残す存在。星の皇帝ことズヴィズダツァーリ。この試合に勝てば、牡馬最多タイになる7つの冠を被ることとなり、シンボリルドルフやディープインパクトに並ぶことになる。
三頭目は、そんなズヴィズダツァーリに続いて二年連続で誕生した、20年度三冠牡馬、未だ底が見えない怪物。軌跡残す天馬ことコントレイル。勝てば無敗同士の戦いを制し、ついにズヴィズダツァーリに黒星をつけられるか。
最後に、史上初となる無敗三冠を達成した牝馬。20年度に現れた夢の新女王、ターフの指揮者・デアリングタクト。
『果たして、こんなことが起きて良かったのでしょうか。変わってしまった世の中、11月を締めくくるここ、東京競馬場には、4頭の三冠が揃うこととなりました。これまではなかった戦いがここにあります。これからも起きない戦いが、ここにはあるでしょう!!』
人数制限がかけられた観客席。いつもより圧倒的に少ないながらも、人がいる。
『夢と、誇りと、意地と、思いが交錯するジャパンカップ。さあ、本馬場入場となります』
ここにいる人も、いない人も、見ているものはすべて同じ。
| 枠 | 馬 | 馬名 | 脚質適正 | 人気 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | カレンブーケドール | ◁◀︎◀︎◁ | 6 |
| 2 | 2 | アーモンドアイ | ◁◀︎◀︎◁ | 1 |
| 2 | 3 | ワールドプレミア | ◁◁◀︎◁ | 8 |
| 3 | 4 | キセキ | ◁◁◀︎◀︎ | 7 |
| 3 | 5 | デアリングタクト | ◁◁◀︎◁ | 4 |
| 4 | 6 | コントレイル | ◁◀︎◀︎◁ | 3 |
| 4 | 7 | ミッキースワロー | ◁◁◀︎◀︎ | 11 |
| 5 | 8 | ウェイトバリス | ◁◁◁◁ | 10 |
| 5 | 9 | トーラスジェミニ | ◀︎◁◁◁ | 15 |
| 6 | 10 | パフォーマプロミス | ◁◀︎◀︎◁ | 13 |
| 6 | 11 | ズヴィズダツァーリ | ◁◀︎◁◀︎ | 2 |
| 7 | 12 | マカヒキ | ◁◁◀︎◀︎ | 12 |
| 7 | 13 | ユーキャンスマイル | ◁◁◀︎◁ | 9 |
| 8 | 14 | ヨシオ | ◁◀︎◀︎◁ | 14 |
| 8 | 15 | グローリーヴェイズ | ◁◀︎◀︎◁ | 5 |
『ズヴィズダツァーリが1番人気ではないというのは、皐月賞の時以来ですから、約1年半ぶりとなりますね。しかし、天皇賞・春を一着で勝った後、裂蹄等が見つかり休養となっていることもあり2番人気ですが、友康調教師は、「かなりいい状態。菊花賞の時のようなベストの状態とまでは行かないが、それに近いところには持っていけた」と発言してますから、期待しても良いでしょう。
対して、1番人気のアーモンドアイ。ズヴィズダツァーリと競い合った去年の有馬記念では5着となりましたが、その後のヴィクトリアマイルと天皇賞・秋では1着。安田記念では2着といい状態を保ったままです。安定して成績を残してますからね。展開としては中団から仕掛けていくでしょう。本日をもって引退な訳ですし、是非G1・9勝目を目指してほしい』
「こうも豪華だと、逆に落ち着くね」
そんなことを言う先生だが、正直僕にはなんのこっちゃわからない。
先生曰く、僕みたいなやつがあと3頭居る。なんて言ってたが、アーモンドアイさんは有馬記念で倒してる。
コントレイル? と、デアリングタクト? は初めましてだが、筋肉のつき方とか見るに、まだ敵じゃ無い。サートゥルナーリアの方がよっぽど怖い気がする。
「いやぁ、今日は胸借りますね」
「何を言ってるんですか
「嘘言わないでくださいよ。眼前に他なしは打田さんもでしょ?」
なーんて言っちゃってくれて。これまでも時々見ていた顔の騎手。
それを乗せているのは、僕と同じ青鹿毛の馬。
「お前、強いの?」
「え? うん」
突然口を開いたコントレイル。何を言うかと思えば、僕を舐め腐った態度だ。別に群れのボス的なものを求めてるわけじゃ無いが、こっちは先輩だぞ? なんて思ってしまう。
お前より強い。なんて僕が言うもんだから、コントレイルは怒って鼻をフンスフンス鳴らしている。まあせいぜい怒って体力を使ってくれ。流石に同じ無敗三冠相手に何も策を打たず戦うことはない。怪我明けだし。
「いけるか?」
大丈夫だよ先生。天皇賞の時みたいな脚の感じはしない。裂蹄中トレセン内でずっと感じていた違和感も無くなった。4本の足全部に均等に力を伝えられる練習? もできた。
勝つだけだよ。誰よりも前で。
『さあ枠入りとなります。真っ先に入るのは1枠1番のカレンブーケドール。この豪華なメンバーの中で勝つことができれば、それはかなりの意味を持つでしょう。続いて2枠のワールドプレミア。状態はかなりとのこと。さあ続いていきます』
僕の出番となり、他の馬が厩務員さんに強めに引っ張られているのをよそに、自分の足でゲート入りする。そして、他の馬も、大外のグローリーヴェイズもゲートに入る。
『さあ、世界に誇る名馬の戦い。勝つのはどの馬か。アーモンドアイが意地を見せつけるのか、それともシンボリルドルフに並ぶG1・7勝目をズヴィズダツァーリが手にするのか! コントレイル、デアリングタクト の新三冠馬が世界を変えるのか!! 2020年ジャパンカップ、ゲートが開いてスタートです!』
勢いよく飛び出した僕は、左右を確認しつつ、白い毛の馬……。ウェイトパリスの横につける。
そして内心で舌打ち。
先行策を取った2〜3頭が、かなり早いペースで飛ばしてる。先行集団もそれに付き合っていて、全体のペースも上がってる。
『注目の三冠4頭の位置ですが、先頭にいるのがアーモンドアイ。1馬身半ほど離れてデアリングタクト。その真後ろにはコントレイルがいます。ズヴィズダツァーリは最後方。ウェイトパリスと横並びで1コーナーを抜けていきます。
2コーナー抜けで順位は変わらず先頭はキセキ。かなりの大逃げとなっております。それに続いて、かなり離れた2番手。ヨシオとトーラスジェミニがついて行く。1馬身離れてグローリーヴェイズ。半馬身後ろ内側にアーモンドアイ。シャドーロールが光ってる。
1馬身離れてデアリングタクト前を伺っている状態。同じくカレンブーケドールも外側から並走。4頭目の無敗三冠馬コントレイルは真ん中より後ろ。3番10番7番の3頭後ろに従えております』
向正面中盤。完全にペースが早かった。
いや、体力は行けるから大丈夫なんだが、前を潰そうと思ったらかなり無理に行かないといけない。コースはいいけど、最後に使える足のことを考えると……。
バシンッとムチが入る。
あれ? ヨレてた? 違う、しっかりまっすぐ走ってる。このタイミングで緩めることはあっても入れることはなかった。どうしたんだ? 先生。
「お前は最後に飛ばすことだけ考えろ」
おっこらーれたー。
いや、そうだ。僕は走ることを考えなきゃいけないんだ。
ただ、ハミとムチのことを気にして、ちゃんとタイミング通りに出る。
「有馬じゃできなかったけど、強いお前の、強い競馬だ」
答えは一つ。大外をぶん回して打ち抜く。
『さあ向正面終わって3コーナー! 下り坂に入って行く! 馬群は寄ってきた三冠馬が4コーナーで出てくるぞ! 先頭のキセキが呑まれる! ツァーリが速度を上げてくる! 4コーナー出口一番外まで出た! 横並び!』
最後の直線。パッと見て、一番内側にアーモンドアイ。その横で近づいていたのがデアリングタクトだろう。コントレイルは僕の少し前。彼の位置も外側だが、さらにその外にいるのが僕。
『三冠馬4頭が飛び出した!! 三冠が来た! 三冠が来た!!』
少し歪ではあるが、僕たちは横に並んだ。
デアリングタクトはアーモンドアイを、コントレイルは僕と横並び。
ってちょっと待って? コントレイルくん? 僕の方に寄ってきてない?
ジョッキーさんも僕がいる側を鞭で叩いてるから、わかってるもんね。
「おい! いるよ!!」
先生も言ってる。けど、コントレイルは戻らない。と言うより、むしろぶつかってきている。
「どけよ」
コントレイルは言う。
「俺の方が速い」
続けて言葉を繋げる。
ははーん。可愛い奴め……。
無礼だな。
「星の皇帝、舐めんな」
一言呟いた。
ギラギラとした目。それが一層勢い付いた。
「年上に勝ってから、文句は言え」
再び、口にした。
ごめんね先生。流して勝つつもりだったけど、ムカついたから引きちぎる。
「星帝の前にも、横にも、並ぶ奴はいなくて良い」
右肩に先生から鞭がくる。それが合図。
いつも通り踏み込み、頭を下げ、前を向いた時に他は無い。たとえそれが同じ無敗三冠馬でも、歴戦の梟雄でも関係ない。
『タクトが伸びない! アーモンドアイが少し出たか! いやコントレイル!』
僕の後ろに続く
『全部をちぎるようにツァーリが出たぞ!』
脚は、うん、春天の時より重い。前には出ないし、完全じゃない。でも、勝てる。だってゴール前1ハロン。やっとトップギアが入ったから。
『伸びる! 伸びる! コントレイル縋り付くが届かない! 三冠馬3頭を振り切り! ズヴィズダツァーリ1着!! ツァーリ1着!』
……。ふぅ。2400って短いわ。嫌だわ。2200まで走らないとギアが入んないのも困るけど、ペース速いの疲れる。
『無敵の体現者! ズヴィズダツァーリが他の三冠馬を制して1着! これで、シンボリルドルフに並ぶG1・7勝目! 七冠馬の誕生です!!
コントレイル。惜しくも届かず1馬身差の2着! ただ、牝馬三冠のアーモンドアイに2馬身差をつけ、無敗三冠馬の強さを証明しました!』
まばらなスタンドから、まばらな拍手が僕たちに降り注ぐ。
「危なかったなツァーリ」
うん。結構やばかった。思ってた以上に追い縋ってきたし。
さすが無敗三冠馬。意地が違うね。
「さあ、次は有馬記念だ。次も勝とう」
先生が両手を使って表した7の数字。そんなことはどうでもよくて、僕は、僕の背中で年甲斐もなく喜んでくれる先生が嬉しくて。
天皇賞では怪我もあって、それに人もいなくてちゃんとできなかったお辞儀を、今日、人がいるこのターフのど真ん中で、しっかりと行った。いつもよりちょっとだけ長めにしたのは、僕だけの秘密だ。
| 着 | 枠 | 馬 | 馬名 | タイム | 人気 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 6 | 11 | ズヴィズダツァーリ | 2:22:9 | 2 |
| 2 | 4 | 6 | コントレイル | 2:23:1 | 3 |
| 3 | 2 | 2 | アーモンドアイ | 2:23:5 | 1 |
| 4 | 3 | 5 | デアリングタクト | 2:23:5 | 4 |
| 5 | 1 | 1 | カレンブーケドール | 2:23:9 | 6 |
アーモンドアイ
「あなた、やっぱりすごいわね」
ズヴィズダツァーリ
「え、あ、ありがとうございますお姉さん。僕、お姉さんみたいな馬好きですよ?」
アーモンドアイ
「あら。本当? うふふ。強い牡が嫌いな牝は居ないのよ?」
ズヴィズダツァーリ
(勝ち申した!!)
デアリングタクト
「ちょっとちょっと!! ツァーリさんはウチみたいな可愛い方が良いの!! おばさん」
アーモンドアイ
「あら? お転婆な子は嫌われるのよ?」
コントレイル
「ツァーリの兄貴!! さっきまで失礼しました!! 絶対!! ぜーったい次は勝ちますから!」
デアリングタクト
「コントくんタイミング悪い!」
コントレイル
「なんでぇい!!」
実況
『おや? 三冠馬4頭が競走後になって集まってますね。同じ三冠馬同士、積もる話でもしてるんでしょうか』
グランアレグリア
『ピキーン! ツァーリくんが危ない! ところで、大阪杯に出たらツァーリ君いるって聞いてたのに、なんで居なかったの?』
怪我明けなのにブチギレて最後全力出すやーつ
やったね! これでトキノミノルも超えたよ。
出走成績 11戦11勝 獲得賞金総額14億1000万
G1:7勝 歴代2位タイ
18/09/22/土 新馬戦 2000メートル
1番人気 1着 2:01:8 700万
18/11/17日 東スポ2歳s 1800メート
1番人気 1着 1:45:2 3,300万
18/12/28/金 ホープフルs 2000メートル
1番人気 1着 2:01:2 7,000万
2着 アドマイヤジャスタ 2:01:6 2馬身差
19/04/14/日 皐月賞 2000メートル
3番人気 1着 1:57:9 11,000万
2着 サートゥルナーリア 1:58:5 3½馬身差
19/05/26/日 東京優駿(日本ダービー) 2400メートル
1番人気 1着 2:22:5 20,000万
2着 ロジャーバローズ 2:22:5 アタマ差
19/09/22/日 神戸新聞杯(G2) 2400メートル
1番人気 1着 2:24:5 5,300万
2着 サートゥルナーリア 2:26:3 大差(約11馬身差)
19/10/20/日 菊花賞 3000メートル
1番人気 1着 2:58:9(WR) 12,000万
2着 ワールドプレミア 3:03:0 大差(約30馬身差)
19/12/22/日 有馬記念 2500メートル
1番人気 1着 2:30:1 30000万
2着 サートゥルナーリア 2:30:5 2馬身差
20/03/22/日 阪神大賞典(G2) 3000メートル
1番人気 1着 3:00:1 6700万
2着 ユーキャンスマイル 3:02:0 大差(約12馬身差)
20/05/03/日 天皇賞(春) 3200メートル
1番人気 1着 3:16:4 15000万
2着 フィエールマン 3:16:5 1/2馬身差
裂蹄
20/11/29/日 ジャパンカップ 2400メートル
1番人気 1着 2:22:9 30000万
2着 コントレイル 2:23:1 1馬身差
次走 20/12/22/日 有馬記念 2500メートル
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