黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕)   作:パンダコパンダ

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 有馬記念。2度目。

 そろそろ書き溜めが無くなる。やばい。


競走馬ー16:2度目の有馬記念 中山2500M

『年末。12月27日の中山。声は出せませんが、我々一人一人の声援が必ず届きます。拍手の一つ一つが背中を押します。我々の熱が、新たなスターホースを生み出します。

 2020年の総決算。有馬記念。出走表をご覧ください』

 

 

有馬記念 出馬表

馬名展開予想人気

バビット◀︎◁◁◁12

ブラストワンピース◁◀︎◀︎◁11

サートゥルナーリア◁◀︎◀︎◁

ラヴズオンリーユー◁◀︎◀︎◁

ワールドプレミア◁◁◀︎◁

キセキ◀︎◁◁◁10

ラッキーライラック◁◀︎◁◁

ペルシアンナイト◁◀︎◀︎◁14

クロノジェネシス◁◀︎◁◁

10カレンブーケドール◁◀︎◀︎◁

11モズベッロ◁◁◁◁16

12オーソリティ◁◀︎◀︎◁

13フィエールマン◁◀︎◀︎◁

14サラキア◁◀︎◀︎◁13

15ズヴィズダツァーリ◁◀︎◁◀︎

16ユーキャンスマイル◁◀︎◀︎◁15

 

『注目はもちろん! と2年続けてきましたから、ご覧の皆様はわかると思いますが、なんといってもズヴィズダツァーリ。春の天皇賞後、怪我が発見され、宝塚記念や凱旋門賞などのレースを回避しましたが、競馬史に残る三冠馬4頭のジャパンカップを制し、2年連続グランプリホースを目指して出走します。

 このレースを制せば、永遠なる皇帝を超え、アーモンドアイと同じG1の冠を八つ被ることになります。そして、デビューから続く連勝記録は12に。何をとっても前人未到です。

 対抗は、秋の天皇賞を2着。その前走宝塚記念では1着のクロノジェネシス。同じ19年組ですからね。19年牡馬といえばズヴィズダツァーリ。同年牝馬といえばクロノジェネシス。女がその底力を見せるのか、男が全てをねじ伏せるのか。

 同じ同期馬で言えば、クロノジェネシスなどに後塵に拝しているカレンブーケドール。ズヴィズダツァーリで言えばサートゥルナーリアも要注意。本命はズヴィズダツァーリと言って良いですが、対抗乱立です』

 

 

「行けるか?」

 

 先生の言葉に、僕は大丈夫だよ? と軽く返す。

 いつも通り緊張はしていない。返馬で体をちゃんとほぐしてるから、輪乗りに混じる必要もない。

 

 調子も悪くない。少なくともジャパンカップの時よりも問題ないはず。

 内ラチ沿いに体力を抑えながら走って、向正面に入る下り坂で一気に前へ飛び出す。ジャパンカップのハイペースでもしっかり勝てたんだ。大丈夫。

 

「よし、枠入りだ。堂々と行こう」

 

 そうだね。先生。

 

 いつも通りの会話。いつも通りの枠入り。今日は奇数枠の一番最後なので、順番的に言うと一番真ん中。

 お姉さんに引っ張られ、外から2番目のゲートに入る。

 

「よろしくね。ツァーリ」

 

『疲れた一年。変わった一年を吹き飛ばす最高の戦いを。夢を賭け、夢を駆けるレースを。第65回有馬記念。全頭揃い……。

 

 スタートです』

 

 目の前の鬱陶しさが解放されて僕たちは走り出す。

 

『さあ真っ先に飛び出したの1枠1番バビットと6番のキセキ。ブラストワンピースとオーソリティ。フィエールマンも前の方。全体的には飛び出したキセキが馬群を引っ張っています。すでに2馬身ほど離れて1番のバビット。

 フィエールマンはここにいます。逃げ集団から1馬身。カレンブーケドールはその半馬身ほど離れております。ペルシアンナイトとラヴズオンリーユーが横並び。半馬身後ろにラッキーライラックとサートゥルナーリア。クロノジェネシスとサラキアが並んで正面スタンド。まばらな拍手を受けていきます。』

 

 

 ペースは速い。去年の勝負と同じ感じ。

 先頭がだいぶ飛ばしているように感じる。いつものパターンならキセキが飛ばして大逃げ決め込む感じかな?

 

『後方集団。モズベッロとユーキャンスマイルは後ろからの競馬。そして殿。ポツンと一頭走っていますは15番。投票一位。人気も1番のズヴィズダツァーリ。堂々と1回目のゴール板を通過し、第1コーナー。向正面に向かっていきます』

 

 今日の僕のターゲットは、クロノジェネシスとサートゥルナーリア。

 両馬とも基本的には中団グループとして足を溜める戦法をよく使うが、サートゥルナーリアは先行よりのため、どちらか自分に近い方を目安にする。と決めている。

 実際のところは、向正面に入って上がっていき、後ろから来た僕にペースを乱されて行く馬が多いだろうから、そこに対応できそうな馬が、その二頭だという話らしい。

 

 第二コーナーの下り坂を利用して、ハイペースだが少しだけ速度を上げる。

 多分だが、前回の有馬でも最後届いたし最後の短いけど角度のある坂もある。バテたやつを外から抜くだけの簡単なお仕事。

 

『さあズヴィズダツァーリがゆっくりだが上がって行く。つられるようにラッキーライラックとラヴズオンリーユーも上がっているようだが、二頭はこの上がりに着いて行って良いのか?』

 

 うん。大丈夫、大丈夫。

 コースは違うけど、いつもの戦いでハイペースも勝ってる。

 

「行けるよ」

 

 うん。先生の考えも一緒。

 去年の有馬で勝ってるし、ジャパンカップでももちろん勝ってる。速いペースでも追い込みで勝てるなら、いつも通りの戦いでいい。

 

『内回り第3コーナー回りましてフィエールマンが3番手まで上がってきている。大逃げを決めているキセキだが大丈夫か? 上がってくるぞ? さあ直線!!』

 

 向正面から第4コーナーの入り口までは全くの平坦。そして、4コーナーの終わりから降り、このコースで1番低いところに着くと、約300メートルの短い直線の間登り続ける。

 

 4コーナーに移る直前。僕は先生の指示で、ロスにはなるが外側、先頭から6番手ほどでコーナーを曲がる。大回りになる分スピードは落とさなくて良い。

 チラッと周りを確認すれば、9番のクロノジェネシスが最内で隙間を狙っていた。そしてその真後ろにサートゥルナーリア。

 フィエールマンは少し外側なので、役者は全員前に固まった。

 

 

THE HERO

 

20年 ユメヲカケル 有馬記念

追いかけろ

嘲笑を払い除け 遥か先を 追いかけろ

 

 

『直線は300! 300しかないが外側から星帝! 内側には女帝のクロノが来ているが!』

 

 鞭が入る。足を動かす。それの繰り返し。

 芝の状態が良い外側。他の馬に邪魔されないコースを突き進む僕。

 

 横側に広い視界には、クロノとナーリアが居るが、ナーリアの方が体勢は有利。そして、そのナーリアとは、半馬身ほど僕と差があるかな?

 

 うん。流して勝てる。ナーリアは、いつもここで伸びない。

 

『ナーリア! ナーリアが伸びるぞ!!』

 

 

着いてしまった 4度の敗北

離されてしまった 18馬身という壁

だが 何度敗れてもその馬は 決して俯かない

 

 

 僕は、体のルールを忘れていた。

 顔を上げ走るサートゥルナーリアの末脚が、僕より少し前に来た時、踏み込んだ足にパワーが乗っていなかった。

 

 なんで? そう思っても一度流して抜けた力は、すぐには戻らない。

 

『並んだ! 並んだ! ナーリア優勢! ナーリア優勢!』

 

 

永遠の2番手による 過去最高の復讐劇

幕が開いた あとは 戦うだけ

茨の中でも 道があるから歩み続ける

 

 

『ナーリア! ナーリアだ! 星帝を倒したのは、苦渋を舐め続けた同期のライバル!

 

 

サートゥルナーリア1着ゥ  ウッ!!

 

 ついに苦渋が、美酒へと変わった!!』

 

 

舐め続けた苦渋が 歓喜の美酒となる その日まで

サートゥルナーリア(ヒーロー)を越えろ

有馬記念

 

 一度も諦めなかった馬が、世代の壁を越える。

 

 僕は初めて、ゴール板を先頭で通過できなかった。

 勝ってきたという実績と、勝てるという慢心が、僕を二着に押し留めた。

 

 全力で伸ばした頭も、少しだけ届かなかった。

 ゆっくりとスピードを下げて完全に止まるいつもの僕のいつもの動作。

 

 だが、目の前にあったのは、皐月賞の誓いを裏切った事実。

 何も考えられない。目の前が真っ白になる。

 

 なぜ負けたのか。理由はわかってるが認められない。

 

「ツァーリ……。すまない」

 

 どよめくスタンド。僕の首に顔を埋めて謝る先生。ウイニングランを終わらせて計測所へと向かうサートゥルナーリア。そしてその鞍上で喜びを爆発させるジョッキー。

 

 負けた? 僕が?

 

 

 

 

   ふざけるな。

 

 

 

 

 

 全く動かなくなった僕を心配そうに見つめるお姉さん。

 引いてターフから離れるように僕を動かそうとする先生。そんな二人に反応できないほど、僕の思考は一つに染まった。

 

 ふざけるな。という言葉が脳を食い散らかす。

 僕にくれた愛情を裏切り、二着という負けを届ける屈辱。

 

 

 結局僕が動き始めたのは、サートゥルナーリアがターフから去った10分ほど後だったらしいが、正直よく覚えていない。自分に対する怒りで、何も考えていなかったから。

 

 

 

有馬記念 レース結果 上位5着

馬名タイム人気

サートゥルナーリア2:29:9

15ズヴィズダツァーリ2:29:9

クロノジェネシス2:30:1

14サラキア2:30:113

13フィエールマン2:30:5




一つ目の負け。敗因は油断と慢心。
サートゥルナーリアは、5度目の正直を勝利で飾る。

 出走成績 12戦11勝 獲得賞金総額15億3000万

18/09/22/土 新馬戦 2000メートル 
 1番人気 1着 2:01:8 700万
18/11/17日 東スポ2歳s 1800メート
 1番人気 1着 1:45:2 3,300万
18/12/28/金 ホープフルs 2000メートル
 1番人気 1着 2:01:2 7,000万
   2着 アドマイヤジャスタ 2:01:6 2馬身差

19/04/14/日 皐月賞 2000メートル
 3番人気 1着 1:57:9 11,000万
   2着 サートゥルナーリア 1:58:5 3½馬身差
19/05/26/日 東京優駿(日本ダービー) 2400メートル
 1番人気 1着 2:22:5 20,000万
   2着 ロジャーバローズ 2:22:5 アタマ差
19/09/22/日 神戸新聞杯(G2) 2400メートル
 1番人気 1着 2:24:5 5,300万
   2着 サートゥルナーリア 2:26:3 大差(約11馬身差)
19/10/20/日 菊花賞 3000メートル
 1番人気 1着 2:58:9(WR) 12,000万
   2着 ワールドプレミア 3:03:0 大差(約30馬身差)
19/12/22/日 有馬記念 2500メートル
 1番人気 1着 2:30:1 30000万
   2着 サートゥルナーリア 2:30:5 2馬身差

20/03/22/日 阪神大賞典(G2) 3000メートル
 1番人気 1着 3:00:1 6700万
   2着 ユーキャンスマイル 3:02:0 大差(約12馬身差)
20/05/03/日 天皇賞(春) 3200メートル
 1番人気 1着 3:16:4 15000万
   2着 フィエールマン 3:16:5 1/2馬身差
  裂蹄
20/11/29/日 ジャパンカップ 2400メートル
 1番人気 1着 2:22:9 30000万
   2着 コントレイル 2:23:1 1馬身差
20/12/22/日 有馬記念 2500メートル
 1番人気 2着 2:29:9 12000万 ハナ差
   1着 サートゥルナーリア 2:29:9

次走 未定

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